38 / 56
38、新しい生活
しおりを挟む
(慕われていたのね……)
普段のマティアスと接していれば、わかることだ。
(彼らにとって、マティアスは幼い頃から仕えてきた大切なご主人様)
家令の年齢からすれば、息子のように思って見守ってきたと考えられる。そんな一人息子が悪い女に目をつけられ、また甚振られようとしている。しかも今度は主人も嫌がっていない。心配するな、と言われても無理な話である。
「……わかっているわ。もう二度とマティアスを傷つけ、悲しませたりしない」
「ありがとうございます」
ふぅ、と小さくため息をつき、話を元に戻す。
「それで、今度は帳簿を見せてほしいのだけれど」
「かしこまりました。すぐご用意いたします」
奥様が? と困惑されるかと思ったが、家令はすぐに見せてくれた。しかし……
(うーん……よくわからない……)
これはまず見方からいろいろ教えてもらわなければならない。教えてもらっても、わかるか自信はないけれど……。
「こちらは奥様に関する帳簿でございます」
「わたくしに関する?」
「はい。使用人など、別途に分けて記しているのです」
「へぇ……」
一冊で収まるわけではないのか、と知った。どれどれ、とページをめくって目を通していく。
「シャルレーヌ宝石店、クルーエ店……この金額が、使った額?」
「はい」
「ずいぶん事細やかに書いているのね」
「奥様に関しては特別なのでございます」
何やら含みのある言い方であるが、じっとブランシュは店の名前やら購入した商品名を眺めていく。
(あら?)
「この、コリーナ孤児院やグラネ医院ってのは?」
「寄付金でございます」
「寄付……」
貴族の奥方は……というより高貴な者は弱い者に手を差し伸べる義務がある、という考えに基づき、慈善活動にも勤しまなければならないらしい。
(でも、ブランシュまでそんなことしていたなんて……)
ちょっと、いやだいぶ驚きである。
(しかもきちんと毎月してある……)
「ねぇ、これってマティアスがするよう言ったの?」
「いいえ。奥様が好きに使えるお金の中から、奥様が自由にその用途をお決めになりましたので、旦那様は何もおっしゃっていないはずです」
「じゃあ、わたくし自ら、ってこと?」
ますます信じられない、と彼女は枠の中に記入された数字を見つめる。けっこうな額であった。
「この孤児院と病院は、ブランシュと何か関係があるのかしら?」
「さぁ、そこまでは……ただ、どちらも親を亡くされたり、病気で満足に生活できない子どもたちがいる施設ですね」
(病気で……)
もしかして自分との境遇に重ね合わせたのだろうか。
(力を貸したかったのかしら……)
ブランシュは丁寧に書かれた数字を上からそっと撫でた。
それからブランシュは少しずつ、ルメール家の妻として覚えるべきことや、やるべきことを実践していった。
もちろん何事もそう簡単にはいかず、周りの手を借りながら、時に失敗しながら、であるが、これはこれで新鮮だとくよくよ悩まず、次に繋げようと前向きに受け止めるようになった。
(こういう時は、自分の図太い性格が役に立つわね)
そして失敗を重ねるのは、何も自分だけではない。
「ああっ、奥様! ごめんなさい!」
紅茶を床にぶちまけてしまったブランシュ付きのメイド、ヴァネッサが顔を真っ青にして謝ってくる。彼女がこうした失敗するのは、もう何度目のことだろう。
(まさかわざと零して、わたくしの態度を試しているのかしら)
使用人への叱り方。失礼をされた時の対応にも、人柄は出る。むしろピンチに陥った時こそ、妻としての真価を問われる時。
「ごめんなさい、ごめんなさい、奥様。すぐに片付けますから!」
カップに触れようとした手を、ブランシュはそっと重ねて止める。
「まだ熱いから、素手で触ると火傷してしまうわ」
幸いカップは毛の長い絨毯の上に落ちたので割れてはおらず、ヴァネッサが怪我をすることはなかった。
「あなたは火傷しなかった?」
「あ、はい。わたしは何とも。盛大にぶちまけてしまったので、奥様の方が危なかったです……」
「……まぁ、お互い無事で何よりだわ」
とにかくさっさと片付けようとヴァネッサに伝えると、彼女は目を真ん丸と見開いた。
「どうしたの?」
「あ、いえ。奥様ってお優しいのだなと」
今初めて気づいたという口調にブランシュは呆れてしまう。
「わたくし、今まであなたに紅茶を零されるのは十回以上された気がするのだけれど……」
「す、すみません! 今までずっともう終わりだと思って、何も考えられなくなって、気づいたら片付けが終わっていたので、ひょっとすると紅茶を零したのは、すべてわたしの白昼夢ではないかと」
「あら、そう……って、さすがにそれは無理があるでしょう」
白昼夢見過ぎである。そしてそんなに自分が恐ろしいのかとブランシュは内心ショックを受ける。
「ねぇ、わたくしってそんなに怖い?」
「そりゃ、い、いえっ、奥様はとても優しい方であらせられて……!」
目が泳いでいる。
「ヴァネッサ。怒らないから、本当のことをおっしゃい?」
にっこり微笑むと、ひいっとヴァネッサは白状した。
「はい。実は先輩方から奥様はとんでもない方だと教えられていたので、わたしもいつ首にされるのではないかと気が気ではありませんでした」
ああ、やっぱり他の使用人たちからあれこれ教えられていたのだ。
「それでよく、わたくしの世話を引き受けようと思ったわね?」
「奥様付きのメイドをしてくれるなら、お手当も増やすと……あっ、いえ、一番は奥様にお仕えるできることが光栄でして!」
「いいわ。お金のためね」
むしろ一番納得できる理由である。
「奥様……お怒りになられましたか?」
「別に。お金は大事でしょう。若い娘はいくらあったって困らないでしょうし」
「……わたしは田舎に住む家族に仕送りしているんです」
「仕送り……」
「はい。弟が身体が弱くて、母も父も年だから、心配で……わたし、少しでも力になりたくて、お話を受けしたんです」
「……そう」
ブランシュは自分の浅慮さを恥じた。ヴァネッサは自分のためではなく、大切な家族のためにお金を稼いでいるのだ。
(ヴァネッサだけじゃないわね……)
他の使用人たちにも、家族がいる。故郷を出て、仕事のある王都で働いている。稼いだお金は自分の生活費と擦り合わせながら仕送りをしている。
(そんなことちっとも考えたことがなかった)
自分の世話をするのは当たり前。とても名誉なこと。彼らがどんな生活を送っているかなど、気にもかけなかった。
(わたくしは、仕えられる者として相応しかったかしら……)
答えは否、だ。気に入らないことがあれば使用人に当たり散らしていた。いくら使用人に毅然とした態度を取るのが正しいとしても、乱暴に振る舞うこととはわけが違う。
「……あの、奥様?」
黙り込んでしまったブランシュに、ヴァネッサがびくびくしながら声をかけてくる。
「何でもないわ」
「ほ、本当ですか?」
「……以前のわたくしはあなたたちに横暴だったかもしれない。でも、今は反省しているわ。だから、そんなにびくびくしないでいいわよ」
信じられないかもしれないけれど。
でもここまで溝が深まったのも、ブランシュが招いたことだ。ブランシュ自身でどうにかしていくしかない。
「あの、奥様」
「あなたが私を信用できないのはよくわかるわ。でももう一度だけ……」
「い、いえっ。そうじゃなくて……わたし、これまでずっと奥様のことを誤解していましたけれど、今日そうでもないとわかって、嬉しかったです」
ヴァネッサはそう言うとはにかむように笑った。
「これからも奥様に精いっぱい仕えさせていただきます!」
よろしくお願いします! と彼女は大きな声で宣言すると、紅茶を淹れなおしてくるとぱーっと部屋を出て行った。
「……カップも片付けていきなさいよ」
もう、とティーカップを拾い上げながら、ブランシュはうっかり泣きそうになった。
普段のマティアスと接していれば、わかることだ。
(彼らにとって、マティアスは幼い頃から仕えてきた大切なご主人様)
家令の年齢からすれば、息子のように思って見守ってきたと考えられる。そんな一人息子が悪い女に目をつけられ、また甚振られようとしている。しかも今度は主人も嫌がっていない。心配するな、と言われても無理な話である。
「……わかっているわ。もう二度とマティアスを傷つけ、悲しませたりしない」
「ありがとうございます」
ふぅ、と小さくため息をつき、話を元に戻す。
「それで、今度は帳簿を見せてほしいのだけれど」
「かしこまりました。すぐご用意いたします」
奥様が? と困惑されるかと思ったが、家令はすぐに見せてくれた。しかし……
(うーん……よくわからない……)
これはまず見方からいろいろ教えてもらわなければならない。教えてもらっても、わかるか自信はないけれど……。
「こちらは奥様に関する帳簿でございます」
「わたくしに関する?」
「はい。使用人など、別途に分けて記しているのです」
「へぇ……」
一冊で収まるわけではないのか、と知った。どれどれ、とページをめくって目を通していく。
「シャルレーヌ宝石店、クルーエ店……この金額が、使った額?」
「はい」
「ずいぶん事細やかに書いているのね」
「奥様に関しては特別なのでございます」
何やら含みのある言い方であるが、じっとブランシュは店の名前やら購入した商品名を眺めていく。
(あら?)
「この、コリーナ孤児院やグラネ医院ってのは?」
「寄付金でございます」
「寄付……」
貴族の奥方は……というより高貴な者は弱い者に手を差し伸べる義務がある、という考えに基づき、慈善活動にも勤しまなければならないらしい。
(でも、ブランシュまでそんなことしていたなんて……)
ちょっと、いやだいぶ驚きである。
(しかもきちんと毎月してある……)
「ねぇ、これってマティアスがするよう言ったの?」
「いいえ。奥様が好きに使えるお金の中から、奥様が自由にその用途をお決めになりましたので、旦那様は何もおっしゃっていないはずです」
「じゃあ、わたくし自ら、ってこと?」
ますます信じられない、と彼女は枠の中に記入された数字を見つめる。けっこうな額であった。
「この孤児院と病院は、ブランシュと何か関係があるのかしら?」
「さぁ、そこまでは……ただ、どちらも親を亡くされたり、病気で満足に生活できない子どもたちがいる施設ですね」
(病気で……)
もしかして自分との境遇に重ね合わせたのだろうか。
(力を貸したかったのかしら……)
ブランシュは丁寧に書かれた数字を上からそっと撫でた。
それからブランシュは少しずつ、ルメール家の妻として覚えるべきことや、やるべきことを実践していった。
もちろん何事もそう簡単にはいかず、周りの手を借りながら、時に失敗しながら、であるが、これはこれで新鮮だとくよくよ悩まず、次に繋げようと前向きに受け止めるようになった。
(こういう時は、自分の図太い性格が役に立つわね)
そして失敗を重ねるのは、何も自分だけではない。
「ああっ、奥様! ごめんなさい!」
紅茶を床にぶちまけてしまったブランシュ付きのメイド、ヴァネッサが顔を真っ青にして謝ってくる。彼女がこうした失敗するのは、もう何度目のことだろう。
(まさかわざと零して、わたくしの態度を試しているのかしら)
使用人への叱り方。失礼をされた時の対応にも、人柄は出る。むしろピンチに陥った時こそ、妻としての真価を問われる時。
「ごめんなさい、ごめんなさい、奥様。すぐに片付けますから!」
カップに触れようとした手を、ブランシュはそっと重ねて止める。
「まだ熱いから、素手で触ると火傷してしまうわ」
幸いカップは毛の長い絨毯の上に落ちたので割れてはおらず、ヴァネッサが怪我をすることはなかった。
「あなたは火傷しなかった?」
「あ、はい。わたしは何とも。盛大にぶちまけてしまったので、奥様の方が危なかったです……」
「……まぁ、お互い無事で何よりだわ」
とにかくさっさと片付けようとヴァネッサに伝えると、彼女は目を真ん丸と見開いた。
「どうしたの?」
「あ、いえ。奥様ってお優しいのだなと」
今初めて気づいたという口調にブランシュは呆れてしまう。
「わたくし、今まであなたに紅茶を零されるのは十回以上された気がするのだけれど……」
「す、すみません! 今までずっともう終わりだと思って、何も考えられなくなって、気づいたら片付けが終わっていたので、ひょっとすると紅茶を零したのは、すべてわたしの白昼夢ではないかと」
「あら、そう……って、さすがにそれは無理があるでしょう」
白昼夢見過ぎである。そしてそんなに自分が恐ろしいのかとブランシュは内心ショックを受ける。
「ねぇ、わたくしってそんなに怖い?」
「そりゃ、い、いえっ、奥様はとても優しい方であらせられて……!」
目が泳いでいる。
「ヴァネッサ。怒らないから、本当のことをおっしゃい?」
にっこり微笑むと、ひいっとヴァネッサは白状した。
「はい。実は先輩方から奥様はとんでもない方だと教えられていたので、わたしもいつ首にされるのではないかと気が気ではありませんでした」
ああ、やっぱり他の使用人たちからあれこれ教えられていたのだ。
「それでよく、わたくしの世話を引き受けようと思ったわね?」
「奥様付きのメイドをしてくれるなら、お手当も増やすと……あっ、いえ、一番は奥様にお仕えるできることが光栄でして!」
「いいわ。お金のためね」
むしろ一番納得できる理由である。
「奥様……お怒りになられましたか?」
「別に。お金は大事でしょう。若い娘はいくらあったって困らないでしょうし」
「……わたしは田舎に住む家族に仕送りしているんです」
「仕送り……」
「はい。弟が身体が弱くて、母も父も年だから、心配で……わたし、少しでも力になりたくて、お話を受けしたんです」
「……そう」
ブランシュは自分の浅慮さを恥じた。ヴァネッサは自分のためではなく、大切な家族のためにお金を稼いでいるのだ。
(ヴァネッサだけじゃないわね……)
他の使用人たちにも、家族がいる。故郷を出て、仕事のある王都で働いている。稼いだお金は自分の生活費と擦り合わせながら仕送りをしている。
(そんなことちっとも考えたことがなかった)
自分の世話をするのは当たり前。とても名誉なこと。彼らがどんな生活を送っているかなど、気にもかけなかった。
(わたくしは、仕えられる者として相応しかったかしら……)
答えは否、だ。気に入らないことがあれば使用人に当たり散らしていた。いくら使用人に毅然とした態度を取るのが正しいとしても、乱暴に振る舞うこととはわけが違う。
「……あの、奥様?」
黙り込んでしまったブランシュに、ヴァネッサがびくびくしながら声をかけてくる。
「何でもないわ」
「ほ、本当ですか?」
「……以前のわたくしはあなたたちに横暴だったかもしれない。でも、今は反省しているわ。だから、そんなにびくびくしないでいいわよ」
信じられないかもしれないけれど。
でもここまで溝が深まったのも、ブランシュが招いたことだ。ブランシュ自身でどうにかしていくしかない。
「あの、奥様」
「あなたが私を信用できないのはよくわかるわ。でももう一度だけ……」
「い、いえっ。そうじゃなくて……わたし、これまでずっと奥様のことを誤解していましたけれど、今日そうでもないとわかって、嬉しかったです」
ヴァネッサはそう言うとはにかむように笑った。
「これからも奥様に精いっぱい仕えさせていただきます!」
よろしくお願いします! と彼女は大きな声で宣言すると、紅茶を淹れなおしてくるとぱーっと部屋を出て行った。
「……カップも片付けていきなさいよ」
もう、とティーカップを拾い上げながら、ブランシュはうっかり泣きそうになった。
130
お気に入りに追加
4,253
あなたにおすすめの小説
【改稿版】旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのお話から始まります。
また設定はゆるっとふわふわ、また所々に胸糞な所も御座います。
前作より最寄り読みやすく書いている心算です。
誤字脱字はどうかご容赦くださいませ。
【完結】記憶を失くした旦那さま
山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。
目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。
彼は愛しているのはリターナだと言った。
そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
公爵令嬢の立場を捨てたお姫様
羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ
舞踏会
お茶会
正妃になるための勉強
…何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる!
王子なんか知りませんわ!
田舎でのんびり暮らします!
私がいなければ。
月見 初音
恋愛
大国クラッサ王国のアルバト国王の妾腹の子として生まれたアグネスに、婚約話がもちかけられる。
しかし相手は、大陸一の美青年と名高い敵国のステア・アイザイン公爵であった。
公爵から明らかな憎悪を向けられ、周りからは2人の不釣り合いさを笑われるが、アグネスは彼と結婚する。
結婚生活の中でアグネスはステアの誠実さや優しさを知り彼を愛し始める。
しかしある日、ステアがアグネスを憎む理由を知ってしまい罪悪感から彼女は自死を決意する。
毒を飲んだが死にきれず、目が覚めたとき彼女の記憶はなくなっていた。
そして彼女の目の前には、今にも泣き出しそうな顔のステアがいた。
𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷
初投稿作品なので温かい目で見てくださると幸いです。
コメントくださるととっても嬉しいです!
誤字脱字報告してくださると助かります。
不定期更新です。
表紙のお借り元▼
https://www.pixiv.net/users/3524455
𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷⢄⡱𖧷
あなたの側にいられたら、それだけで
椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。
私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。
傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。
彼は一体誰?
そして私は……?
アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。
_____________________________
私らしい作品になっているかと思います。
ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。
※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります
※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)
それでも、私は幸せです~二番目にすらなれない妖精姫の結婚~
柵空いとま
恋愛
家族のために、婚約者である第二王子のために。政治的な理由で選ばれただけだと、ちゃんとわかっている。
大好きな人達に恥をかかせないために、侯爵令嬢シエラは幼い頃からひたすら努力した。六年間も苦手な妃教育、周りからの心無い言葉に耐えた結果、いよいよ来月、婚約者と結婚する……はずだった。そんな彼女を待ち受けたのは他の女性と仲睦まじく歩いている婚約者の姿と一方的な婚約解消。それだけではなく、シエラの新しい嫁ぎ先が既に決まったという事実も告げられた。その相手は、悪名高い隣国の英雄であるが――。
これは、どんなに頑張っても大好きな人の一番目どころか二番目にすらなれなかった少女が自分の「幸せ」の形を見つめ直す物語。
※他のサイトにも投稿しています
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる