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神子の役目
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(あの頃はまだ、平和だったわね……)
アニエスとトリスタン、ルドヴィクの三人で一緒に遊んで、気軽に話ができた。自分たちの置かれた立場をそこまで強く意識する必要がなかったのだ。
だが今はもう違う。
兄のルドヴィクは次の王位継承者として周りから特別視され、いささか……いや、だいぶ図に乗っている。アニエスが矯正しようとしても、女が生意気な口を挟むなと一蹴して、険悪な雰囲気になるばかりだった。
(下級貴族たちがお兄様をちやほやするのは、自分たちの保身のためだと言うのに……)
兄のことを思って良くないと諫める重臣たちを鬱陶しがり、その場しのぎの、何も考えていない者たちの意見ばかり耳を傾ける兄の態度にアニエスは何をやっているのだと腹が立って仕方がなかった。
(お父様がもう少し、ガツンと言ってくれればいいのに……)
しかし父はアニエスにもだが、幼い頃に母親を亡くした我が子たちを可愛く思うあまり、厳しく叱れないという困った一面があった。もともとが争い事を好まない温厚な性格のせいもある。
(今はまだお父様がいるからいいけれど、お兄様が即位したら本当に大丈夫なのかしら……)
非情ではあるが、アニエスはトリスタンの方が国王に向いていると思った。だが彼は政に関わるつもりはないのか、ダルトワ王国の遺跡調査という名目で、国のあちこちを飛び回っている。……たぶん、争いの火種にならないよう、自ら遠ざかっているのだろう。
アニエスのように、ルドヴィクよりトリスタンを国王に推す人間は一定数いるから。
(はぁ、だからってこのままじゃ……)
「王女殿下」
沈鬱な表情で庭園の噴水を眺めていたアニエスはその声に我に返る。そして気を引き締めるようにスッと背筋を伸ばし、相手と対峙した。
「あら、何かしら。ユーグ様」
変わったと言えば、ユーグの自分に対する態度にも言えるかもしれない。
「どうかなされたのですか」
以前はこんな心配した表情――当たり前のように感情を浮かべることもなかった。天使に感情が必要ではないというように、幼かった彼はただ大人たちの言われたことに何の疑問も持たず、唯々諾々と従っていた。
(それがずいぶん、変わったこと)
でも、今の方がずっといい。あんな、生きているのに死んだような、虚無の表情よりも……。
「アニエス様?」
今度は名前で呼ばれたことに、内心どきりとする。でも、表には一切出さず、ふんとアニエスはそっぽを向いた。
「なんでもなくてよ」
「そのわりには、お声に覇気がありません」
「あなたの気のせいじゃなくて?」
いいえ、と意外にもユーグはきっぱりと否定した。
「貴女はどんな時でも常に元気溌剌としていらっしゃいますから」
まるで何も考えていない能天気な性格だと言われている気がして、アニエスはムッとした。だけどこんなことで一々声を荒立てては相手の思う壺だと、視線を落として、くるんと内側に巻いている毛先を指先で弄りながら答えた。
「そうかしら。わたくしにだって、物思いに耽る時があるわ。あなたが知らないだけで」
自分のすべてを知っているようなこと言わないで、とアニエスは遠回しに牽制した。
「……もしや、縁談の話ですか」
「は?」
全く予想外のことを口にされ、アニエスは目が点になった。
「一体何の話?」
「貴女の、伴侶となれる殿方の話です」
「わたくしが聞きたいのはそういうことじゃなくて……」
なぜユーグの口からそんな話が出てくるのだ。
「世俗と切り離された聖職者でも、男女の色事には興味がおありなのね」
内心の動揺を隠すよう、つい憎まれ口を叩いてしまう。
「他人のことには、一切興味はありません。貴女のことだから、気になるのです」
その思いがけない言葉と真剣な眼差しにどきりとするも、次に発せられた言葉に水を浴びせられた気分になった。
「貴女はダルトワ王国の誇り高き王女なのですから……きちんと相応しい相手でなくてはなりません」
つまり彼はアニエス本人というよりも、王女という特別な地位にいる人間が結婚することに関心を寄せているらしかった。
(そりゃそうよね)
相手はあのユーグなのだ。アニエスのことなんて何とも思っていない。いや、気が強くてお転婆なアニエスがきちんと婿を迎えられるかどうか心配はしているのだろう。王女ゆえ、国の問題、平和にも繋がりかねない、などと広い視野で考えて。
「安心なさって。縁談の話なんて、今のところないから」
「そう、なんですか?」
目を瞬くユーグにええと答える。
「あなたも知っているでしょう? わたくしが以前、隣国の王太子を手酷く振った件」
アニエスにもいちおう、婚約者はいた。しかしこちらへ遊学へ来た際、いずれは結婚するのだからと早々に手を出そうとして、嫌悪感露わに拒絶すれば、今度はアニエスの侍女にちょっかいをかけようとしたので、癇癪を起してやったのだ。
結果王太子との婚約は破談となり、いろんな噂が駆け巡り、アニエスが王太子に振られたという話になっている。アニエスとしては別に周囲にどう思われようが一切気にしない。むしろ縁が切れてせいせいしている。あんな下半身ゆるゆるのクズ男が自分の夫にならずに済んで、心底よかったと。
父も同じ考えのようで、以前よりもより慎重にアニエスの結婚相手を吟味している。当分の間は、まだ決まらないだろう。
(いっそ結婚なんて……)
「よかった」
アニエスは弾かれたように顔を上げた。ユーグがはっと我に返った様子で瞬きをする。
「よかった、って……」
「あ、いえ、決して悪い意味ではなくて」
「じゃあ、どういう意味なの」
アニエスが鋭く問い詰める。何か、期待するような声にも聴こえた。
しかしユーグは視線を逸らし、もごもごと言い訳するように述べた。
「以前の婚約者の方は、とても貴女に相応しい方ではありませんでしたから……周囲は焦って結婚を勧めようとなさるかもしれませんが、姫様自身の幸せのためにも、もっと、時間をかけて考えるべきだと、そう、思ったのです……」
いつも流れるように言葉を紡ぐ彼が、この時は珍しく歯切れ悪く語っていたので本心かどうか疑うべきだったのだろうが、アニエスも普段とは違い、彼の言葉に傷つく自分がいた。
「そう。あなたは、わたくしが他の殿方と結婚して、幸せになるべきだとおっしゃるのね」
なんだかひどく情けない顔をしている気がして、俯いたまま、アニエスは精いっぱい強気な口調で言ってやった。だからユーグがどんな表情を――痛みに耐えるような顔をしていることにも気がつかなかった。
実際彼女が顔を上げた時には、すでにいつもの冷静で、穏やかな表情に戻っていた。
「ええ。貴女は幸せになるべき方ですから」
「……そう」
もっと、憎らしい口調で、結婚だけが女の幸せとは限らないとか、ずいぶん浅はかな考えをお持ちなのねとか反論するのがいつもの自分であったが、アニエスはひどくやるせなさを感じて、疲れてしまった。そしてふと笑いが込み上げてくる。一体自分はこの男に何を期待していたというのか。
「では、ユーグ様が安心できるよう、飛びっきり素敵な花婿を迎えなくてはなりませんわね」
「……ええ、そうですね」
「あなたが神殿に捧げられる前に、式が間に合えばいいんだけれど」
そうだ。この男はもうじきいなくなる。王家の管轄する森の奥深く、神樹――初代ダルトワ王が建国したと同時に生えてきたという巨木が祀られている神殿で一生を過ごす。
立派な大樹はダルトワ王の化身、神の化身と言われている。その樹をそばで見守り、祈りを捧げることが、神子と言われたユーグの役目なのだ。
一度神殿へ入ってしまえば、もう二度と戻って来ない。
アニエスたちの暮らす、世俗とは完全に切り離された神の世界で生きて死ぬのだ。
「わたくしの花嫁姿を祝うために、儀式を延期してもらったらどうかしら」
「……いいえ。残念ですが、これはもう、私が生まれる前から決まっていたことですから」
教会は何十年かに一度――恐らく神樹の世話をする人間の寿命が尽きた時点で、次の生贄を選ぶ。誰でもいいというわけではない。初代ダルトワ国王の血を引いた人間でなければならない。
神殿で生涯を終えることは、教会にとってとても名誉なことだそうだ。アニエスには、とてもそうは思えなかったけれど……
「私のことは気にせず、どうか王女殿下ご自身の幸せのために、焦らずゆっくりと考えてください」
アニエスはもう何も答えなかった。ユーグもそれ以上話を続けようとはせず、頭を下げて、司教や信徒たちが生活する建物が並ぶ白い壁の向こうへ――アニエスとは違う世界へ帰って行く。
彼のピンと伸びた背筋が遠ざかっていくにつれて、いつもアニエスは激しい焦燥感に駆られる。
(――行かないで。ずっと、ここに……わたくしのそばに……)
アニエスは迷いを断ち切るように首を振り、自分もまた背を向けた。
アニエスとトリスタン、ルドヴィクの三人で一緒に遊んで、気軽に話ができた。自分たちの置かれた立場をそこまで強く意識する必要がなかったのだ。
だが今はもう違う。
兄のルドヴィクは次の王位継承者として周りから特別視され、いささか……いや、だいぶ図に乗っている。アニエスが矯正しようとしても、女が生意気な口を挟むなと一蹴して、険悪な雰囲気になるばかりだった。
(下級貴族たちがお兄様をちやほやするのは、自分たちの保身のためだと言うのに……)
兄のことを思って良くないと諫める重臣たちを鬱陶しがり、その場しのぎの、何も考えていない者たちの意見ばかり耳を傾ける兄の態度にアニエスは何をやっているのだと腹が立って仕方がなかった。
(お父様がもう少し、ガツンと言ってくれればいいのに……)
しかし父はアニエスにもだが、幼い頃に母親を亡くした我が子たちを可愛く思うあまり、厳しく叱れないという困った一面があった。もともとが争い事を好まない温厚な性格のせいもある。
(今はまだお父様がいるからいいけれど、お兄様が即位したら本当に大丈夫なのかしら……)
非情ではあるが、アニエスはトリスタンの方が国王に向いていると思った。だが彼は政に関わるつもりはないのか、ダルトワ王国の遺跡調査という名目で、国のあちこちを飛び回っている。……たぶん、争いの火種にならないよう、自ら遠ざかっているのだろう。
アニエスのように、ルドヴィクよりトリスタンを国王に推す人間は一定数いるから。
(はぁ、だからってこのままじゃ……)
「王女殿下」
沈鬱な表情で庭園の噴水を眺めていたアニエスはその声に我に返る。そして気を引き締めるようにスッと背筋を伸ばし、相手と対峙した。
「あら、何かしら。ユーグ様」
変わったと言えば、ユーグの自分に対する態度にも言えるかもしれない。
「どうかなされたのですか」
以前はこんな心配した表情――当たり前のように感情を浮かべることもなかった。天使に感情が必要ではないというように、幼かった彼はただ大人たちの言われたことに何の疑問も持たず、唯々諾々と従っていた。
(それがずいぶん、変わったこと)
でも、今の方がずっといい。あんな、生きているのに死んだような、虚無の表情よりも……。
「アニエス様?」
今度は名前で呼ばれたことに、内心どきりとする。でも、表には一切出さず、ふんとアニエスはそっぽを向いた。
「なんでもなくてよ」
「そのわりには、お声に覇気がありません」
「あなたの気のせいじゃなくて?」
いいえ、と意外にもユーグはきっぱりと否定した。
「貴女はどんな時でも常に元気溌剌としていらっしゃいますから」
まるで何も考えていない能天気な性格だと言われている気がして、アニエスはムッとした。だけどこんなことで一々声を荒立てては相手の思う壺だと、視線を落として、くるんと内側に巻いている毛先を指先で弄りながら答えた。
「そうかしら。わたくしにだって、物思いに耽る時があるわ。あなたが知らないだけで」
自分のすべてを知っているようなこと言わないで、とアニエスは遠回しに牽制した。
「……もしや、縁談の話ですか」
「は?」
全く予想外のことを口にされ、アニエスは目が点になった。
「一体何の話?」
「貴女の、伴侶となれる殿方の話です」
「わたくしが聞きたいのはそういうことじゃなくて……」
なぜユーグの口からそんな話が出てくるのだ。
「世俗と切り離された聖職者でも、男女の色事には興味がおありなのね」
内心の動揺を隠すよう、つい憎まれ口を叩いてしまう。
「他人のことには、一切興味はありません。貴女のことだから、気になるのです」
その思いがけない言葉と真剣な眼差しにどきりとするも、次に発せられた言葉に水を浴びせられた気分になった。
「貴女はダルトワ王国の誇り高き王女なのですから……きちんと相応しい相手でなくてはなりません」
つまり彼はアニエス本人というよりも、王女という特別な地位にいる人間が結婚することに関心を寄せているらしかった。
(そりゃそうよね)
相手はあのユーグなのだ。アニエスのことなんて何とも思っていない。いや、気が強くてお転婆なアニエスがきちんと婿を迎えられるかどうか心配はしているのだろう。王女ゆえ、国の問題、平和にも繋がりかねない、などと広い視野で考えて。
「安心なさって。縁談の話なんて、今のところないから」
「そう、なんですか?」
目を瞬くユーグにええと答える。
「あなたも知っているでしょう? わたくしが以前、隣国の王太子を手酷く振った件」
アニエスにもいちおう、婚約者はいた。しかしこちらへ遊学へ来た際、いずれは結婚するのだからと早々に手を出そうとして、嫌悪感露わに拒絶すれば、今度はアニエスの侍女にちょっかいをかけようとしたので、癇癪を起してやったのだ。
結果王太子との婚約は破談となり、いろんな噂が駆け巡り、アニエスが王太子に振られたという話になっている。アニエスとしては別に周囲にどう思われようが一切気にしない。むしろ縁が切れてせいせいしている。あんな下半身ゆるゆるのクズ男が自分の夫にならずに済んで、心底よかったと。
父も同じ考えのようで、以前よりもより慎重にアニエスの結婚相手を吟味している。当分の間は、まだ決まらないだろう。
(いっそ結婚なんて……)
「よかった」
アニエスは弾かれたように顔を上げた。ユーグがはっと我に返った様子で瞬きをする。
「よかった、って……」
「あ、いえ、決して悪い意味ではなくて」
「じゃあ、どういう意味なの」
アニエスが鋭く問い詰める。何か、期待するような声にも聴こえた。
しかしユーグは視線を逸らし、もごもごと言い訳するように述べた。
「以前の婚約者の方は、とても貴女に相応しい方ではありませんでしたから……周囲は焦って結婚を勧めようとなさるかもしれませんが、姫様自身の幸せのためにも、もっと、時間をかけて考えるべきだと、そう、思ったのです……」
いつも流れるように言葉を紡ぐ彼が、この時は珍しく歯切れ悪く語っていたので本心かどうか疑うべきだったのだろうが、アニエスも普段とは違い、彼の言葉に傷つく自分がいた。
「そう。あなたは、わたくしが他の殿方と結婚して、幸せになるべきだとおっしゃるのね」
なんだかひどく情けない顔をしている気がして、俯いたまま、アニエスは精いっぱい強気な口調で言ってやった。だからユーグがどんな表情を――痛みに耐えるような顔をしていることにも気がつかなかった。
実際彼女が顔を上げた時には、すでにいつもの冷静で、穏やかな表情に戻っていた。
「ええ。貴女は幸せになるべき方ですから」
「……そう」
もっと、憎らしい口調で、結婚だけが女の幸せとは限らないとか、ずいぶん浅はかな考えをお持ちなのねとか反論するのがいつもの自分であったが、アニエスはひどくやるせなさを感じて、疲れてしまった。そしてふと笑いが込み上げてくる。一体自分はこの男に何を期待していたというのか。
「では、ユーグ様が安心できるよう、飛びっきり素敵な花婿を迎えなくてはなりませんわね」
「……ええ、そうですね」
「あなたが神殿に捧げられる前に、式が間に合えばいいんだけれど」
そうだ。この男はもうじきいなくなる。王家の管轄する森の奥深く、神樹――初代ダルトワ王が建国したと同時に生えてきたという巨木が祀られている神殿で一生を過ごす。
立派な大樹はダルトワ王の化身、神の化身と言われている。その樹をそばで見守り、祈りを捧げることが、神子と言われたユーグの役目なのだ。
一度神殿へ入ってしまえば、もう二度と戻って来ない。
アニエスたちの暮らす、世俗とは完全に切り離された神の世界で生きて死ぬのだ。
「わたくしの花嫁姿を祝うために、儀式を延期してもらったらどうかしら」
「……いいえ。残念ですが、これはもう、私が生まれる前から決まっていたことですから」
教会は何十年かに一度――恐らく神樹の世話をする人間の寿命が尽きた時点で、次の生贄を選ぶ。誰でもいいというわけではない。初代ダルトワ国王の血を引いた人間でなければならない。
神殿で生涯を終えることは、教会にとってとても名誉なことだそうだ。アニエスには、とてもそうは思えなかったけれど……
「私のことは気にせず、どうか王女殿下ご自身の幸せのために、焦らずゆっくりと考えてください」
アニエスはもう何も答えなかった。ユーグもそれ以上話を続けようとはせず、頭を下げて、司教や信徒たちが生活する建物が並ぶ白い壁の向こうへ――アニエスとは違う世界へ帰って行く。
彼のピンと伸びた背筋が遠ざかっていくにつれて、いつもアニエスは激しい焦燥感に駆られる。
(――行かないで。ずっと、ここに……わたくしのそばに……)
アニエスは迷いを断ち切るように首を振り、自分もまた背を向けた。
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