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欲張り*
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「グレイス?」
今から自分はとても恥ずかしいことをしようとしている。
(でも……)
ぎゅうっと拳を握りしめ、彼女は両手を前へ出し、膝を立てた。顔を見なくても、レイモンドが驚いているのがわかる。自分から犬のような四つん這いの格好をしているのだから。
「背中も、確かめてください」
「……確かめて、欲しいんだな」
「はい。たくさん触れて、繋がって、確かめて……」
ぎしりと寝台がレイモンドの重みで軋み、腰を引き寄せられる。くちゅりと蜜口に熱い昂りが押し当てられ、一気に挿入された。
「あっ――――」
「くっ」
待ち望んでいたものを与えられ、グレイスはそれだけで達してしまった。
たっぷりとした蜜を纏いながらレイモンドのものをきつく締めつけたのに、彼は歯を食いしばり、見事耐えきってみせた。そうしてゆっくりと腰を動かし、グレイスの気持ちがいいところを探しては先端で執拗に突き、揺さぶってくる。
「はぁっ……グレイスっ、気持いいかっ」
「あぁ……っ、はい、すごく、気持ちいい……レイモンドさまっ」
振り返り、蕩けた表情で彼を見つめる。レイモンドが覆い被さってきて、唇を貪り、はっと口を離すと、耳朶を甘噛みしたり、うなじや背中に忙しなく口づけを落としていく。
たぷたぷと揺れる乳房を掬い上げて揉みしだき、尖りきった敏感な蕾をくりくりと指先で弄られると、グレイスはもう身体に力が入らず、甘い声を上げながら上半身をシーツに沈めた。
「グレイスっ……」
レイモンドは律動をやめず、そのまま激しく肌をぶつかり合わせ、グレイスと共に高みへ昇った。熱い精が胎内を満たしていく感覚に恍惚とし、まだ彼が欲しいという貪欲な気持ちがグレイスを甘く悶えさせた。
「はぁ、はぁ……レイモンド、さま……」
レイモンドの指先が、後ろの留め具を外していく。
すべてが外された時、胸の締めつけから解放され、グレイスはうつ伏せから仰向けにさせられる。黒を纏っていたせいか、露わになった肌の白さにレイモンドが眩しそうに目を細めた。彼女の胸には、レイモンドの口づけが花のように散って、ぱっくりと開いた花びらからは呑み込めなかった彼の注いだ精がとろりと零れ、ひくつく窄まりの方へ伝っている。
グレイスの身体を支配し、穢したのは、夫のレイモンドである。――もっとも、グレイスは支配され、穢されたなど微塵も思っていない。
これはレイモンドに愛された証である。彼は自分を誰よりも深く愛している。
「レイモンド様……わたしに何もなかったと、わかってくれましたか?」
まだ力が入らず、シーツに身体を沈めたまま彼に腕を伸ばす。レイモンドが愛おしそうにその手を掴み、自分の頬を撫でさせた。
「ああ、グレイス。貴女は穢されていなかった。貴女は俺だけが愛することができる、俺だけの妻だ」
嬉しい、とグレイスが微笑むと、レイモンドが身を屈め、口づけすると同時にまた楔を打ち込んだ。溢れていた蜜や精液も再度奥へ練り込まれ、彼を歓迎するように蜜襞が包み込む。
「ん、ん、むぅ……」
呼吸を許さぬような口づけが苦しい。でも気持ちがよくて、とめどなく蜜を零し、ますますレイモンドのものを締めつけてしまう。
「あぁ、グレイス、いい……すごく……」
「んっ、あっ……わたし、も……」
短い言葉でそう伝えれば、レイモンドはグレイスをきつく抱きしめ、荒い息を吐きながら彼女の耳元で囁く。
「グレイス。好きだ。愛している。ずっと、貴女を離さない」
「わたしも、あなたが好き……。ずっとあなたと、一緒にいる――」
ぎゅうっと彼の腰に脚を絡ませ、首の後ろに腕を回してしがみついた。するとレイモンドの肉棒がさらに大きくなり、ぐちゅっ、ずちゅっ、と激しい淫音を鳴らして抽挿を繰り返す。
「あぁ、そこ、いい、……もっと、レイモンドさま……あ、ぁっ、レイ……っ」
グレイスはレイモンドにだけ聞こえるあえやかな声を出しながら、身体全体を揺さぶられ、何も考えられなくなって、グレイス、というレイモンドの呟きが聞こえた瞬間。
「あぁ――」
頭の中が真っ白になり、最奥にどくどくっと熱い飛沫が注がれていくのがわかった。
絶頂する身体をレイモンドに抱きしめられ、一滴でも多く絞り取ってくれと言うようにぐっ、ぐっ、と恥骨を押し当てられる。まるで大きな波に攫われ、水の中を漂っているようだ。
その心地よさにぼんやりしていると、ちょうど窓から差し込む夕日が自分たちを照らしていることに気づく。
(綺麗……)
何となしに、幼い頃彼と過ごした日々を思い出す。夕暮れ時で、ベンチに並んで座っていた。小指を差し出して、いつか必ずまた会おうと交わした約束。
「グレイス……」
涙で濡れたグレイスの瞳に、レイモンドの顔が映る。悲しげな顔をしていた少年は、今や幸せに満ちた表情でグレイスに微笑んでいる。
「ねぇ、レイモンド様」
「なんだい」
「わたし、とても欲張りになったみたい」
どうして? と言うようにレイモンドがゆっくりと目を瞬く。
グレイスはその美しい緑と青の瞳を見つめながら微笑んだ。
「今のあなたの笑顔をわたしだけのものにしたいと思ったから」
レイモンドは目を丸くした後、くしゃりと少年のような笑顔で「俺もだ」と答えた。その返答がとても嬉しくて、自分もまた、今とても幸せなのだと悟った。
今から自分はとても恥ずかしいことをしようとしている。
(でも……)
ぎゅうっと拳を握りしめ、彼女は両手を前へ出し、膝を立てた。顔を見なくても、レイモンドが驚いているのがわかる。自分から犬のような四つん這いの格好をしているのだから。
「背中も、確かめてください」
「……確かめて、欲しいんだな」
「はい。たくさん触れて、繋がって、確かめて……」
ぎしりと寝台がレイモンドの重みで軋み、腰を引き寄せられる。くちゅりと蜜口に熱い昂りが押し当てられ、一気に挿入された。
「あっ――――」
「くっ」
待ち望んでいたものを与えられ、グレイスはそれだけで達してしまった。
たっぷりとした蜜を纏いながらレイモンドのものをきつく締めつけたのに、彼は歯を食いしばり、見事耐えきってみせた。そうしてゆっくりと腰を動かし、グレイスの気持ちがいいところを探しては先端で執拗に突き、揺さぶってくる。
「はぁっ……グレイスっ、気持いいかっ」
「あぁ……っ、はい、すごく、気持ちいい……レイモンドさまっ」
振り返り、蕩けた表情で彼を見つめる。レイモンドが覆い被さってきて、唇を貪り、はっと口を離すと、耳朶を甘噛みしたり、うなじや背中に忙しなく口づけを落としていく。
たぷたぷと揺れる乳房を掬い上げて揉みしだき、尖りきった敏感な蕾をくりくりと指先で弄られると、グレイスはもう身体に力が入らず、甘い声を上げながら上半身をシーツに沈めた。
「グレイスっ……」
レイモンドは律動をやめず、そのまま激しく肌をぶつかり合わせ、グレイスと共に高みへ昇った。熱い精が胎内を満たしていく感覚に恍惚とし、まだ彼が欲しいという貪欲な気持ちがグレイスを甘く悶えさせた。
「はぁ、はぁ……レイモンド、さま……」
レイモンドの指先が、後ろの留め具を外していく。
すべてが外された時、胸の締めつけから解放され、グレイスはうつ伏せから仰向けにさせられる。黒を纏っていたせいか、露わになった肌の白さにレイモンドが眩しそうに目を細めた。彼女の胸には、レイモンドの口づけが花のように散って、ぱっくりと開いた花びらからは呑み込めなかった彼の注いだ精がとろりと零れ、ひくつく窄まりの方へ伝っている。
グレイスの身体を支配し、穢したのは、夫のレイモンドである。――もっとも、グレイスは支配され、穢されたなど微塵も思っていない。
これはレイモンドに愛された証である。彼は自分を誰よりも深く愛している。
「レイモンド様……わたしに何もなかったと、わかってくれましたか?」
まだ力が入らず、シーツに身体を沈めたまま彼に腕を伸ばす。レイモンドが愛おしそうにその手を掴み、自分の頬を撫でさせた。
「ああ、グレイス。貴女は穢されていなかった。貴女は俺だけが愛することができる、俺だけの妻だ」
嬉しい、とグレイスが微笑むと、レイモンドが身を屈め、口づけすると同時にまた楔を打ち込んだ。溢れていた蜜や精液も再度奥へ練り込まれ、彼を歓迎するように蜜襞が包み込む。
「ん、ん、むぅ……」
呼吸を許さぬような口づけが苦しい。でも気持ちがよくて、とめどなく蜜を零し、ますますレイモンドのものを締めつけてしまう。
「あぁ、グレイス、いい……すごく……」
「んっ、あっ……わたし、も……」
短い言葉でそう伝えれば、レイモンドはグレイスをきつく抱きしめ、荒い息を吐きながら彼女の耳元で囁く。
「グレイス。好きだ。愛している。ずっと、貴女を離さない」
「わたしも、あなたが好き……。ずっとあなたと、一緒にいる――」
ぎゅうっと彼の腰に脚を絡ませ、首の後ろに腕を回してしがみついた。するとレイモンドの肉棒がさらに大きくなり、ぐちゅっ、ずちゅっ、と激しい淫音を鳴らして抽挿を繰り返す。
「あぁ、そこ、いい、……もっと、レイモンドさま……あ、ぁっ、レイ……っ」
グレイスはレイモンドにだけ聞こえるあえやかな声を出しながら、身体全体を揺さぶられ、何も考えられなくなって、グレイス、というレイモンドの呟きが聞こえた瞬間。
「あぁ――」
頭の中が真っ白になり、最奥にどくどくっと熱い飛沫が注がれていくのがわかった。
絶頂する身体をレイモンドに抱きしめられ、一滴でも多く絞り取ってくれと言うようにぐっ、ぐっ、と恥骨を押し当てられる。まるで大きな波に攫われ、水の中を漂っているようだ。
その心地よさにぼんやりしていると、ちょうど窓から差し込む夕日が自分たちを照らしていることに気づく。
(綺麗……)
何となしに、幼い頃彼と過ごした日々を思い出す。夕暮れ時で、ベンチに並んで座っていた。小指を差し出して、いつか必ずまた会おうと交わした約束。
「グレイス……」
涙で濡れたグレイスの瞳に、レイモンドの顔が映る。悲しげな顔をしていた少年は、今や幸せに満ちた表情でグレイスに微笑んでいる。
「ねぇ、レイモンド様」
「なんだい」
「わたし、とても欲張りになったみたい」
どうして? と言うようにレイモンドがゆっくりと目を瞬く。
グレイスはその美しい緑と青の瞳を見つめながら微笑んだ。
「今のあなたの笑顔をわたしだけのものにしたいと思ったから」
レイモンドは目を丸くした後、くしゃりと少年のような笑顔で「俺もだ」と答えた。その返答がとても嬉しくて、自分もまた、今とても幸せなのだと悟った。
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