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閨事の授業
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グレイスは、男女の営みを知っていた。
もちろん誰かと実践したことはない。処女は間違いなくレイモンドに捧げた。
ただ知識として――実際に目の前で実演されたことはある。
アンドリューとリアナの情事をうっかり見てしまって……というわけでもなかった。だがアンドリューが原因と言えば原因ではあった。
そう。あれはアンドリューのもとからリアナが失踪し、結婚相手となったグレイスを彼が受け入れず、心無い言動を容赦なく浴びせていた頃――
「いいですか、グレイス。こうなったら、まずは身体の方から堕としてしまいなさい」
アンドリューの母であり、王妃にそう命じられたグレイスは度肝を抜かれる思いだった。
まさか王妃であり、姑になる予定の女性からそんなことを提案されるとは……二の句が継げないグレイスをよそに、王妃はさらにとんでもないことを言い出す。
「明日からあなたには、閨事の授業を受けてもらいます。本来ならばこういったことは最低限の知識だけに留め、あとは伴侶となる殿方に身を委ねるのが正しいのですが……今のあの子の様子では、とても期待できません。ですからグレイス、あなたがあの子を誘惑し、めろめろにさせるのです!」
「めろめろ、ですか……」
「そうです! そのために凄腕の娼婦を呼び寄せています。ああ、安心なさって? あなたが実際に処女を失うのは、アンドリューとの初夜ですから。それまでは色々と見聞きして、男女の色事に関して覚えてもらいます」
つまり知識だけは万全に詰め込み、実践はアンドリューで行ってほしいと。
それでめろめろにしてほしいと……。
(難易度高すぎない?)
「……王妃殿下のお考えはよくわかりましたが、それは少々難しいのではないでしょうか」
今日だってグレイスがアンドリューに話しかけようとしたところ、「リアナ以外を愛するつもりはない!」と一蹴されたのだ。初夜の寝台でも、恐らく同じ台詞を吐かれる。
(そもそも、寝室に来てもらえるかも怪しいのに……)
いや、結婚式にすら出ない可能性もある。であれば初夜云々の話ではない。
「どうかもう一度、よくお考えになられてください」
「……グレイス。わたくしもあなたにとんでもないことをお願いしている自覚はあるわ。でももうあの子の相手になってくれるのはあなたしかいないの! お願い! あのバカ息子を見捨てないでやってちょうだい!」
いつも優雅さを保っている王妃に涙を浮かべて縋られ、グレイスは突き放せなかった。
「……わかりました。お受けしますわ」
「……! ありがとう! グレイス!」
王妃にわんわん泣かれてお礼を述べられ、グレイスは仕方ないかと諦めた。
(このままだと、アンドリュー殿下に睡眠薬か媚薬を飲ませて無理矢理既成事実に持ち込むかもしれないもの……)
そうなれば余計彼との仲は拗れ、最悪の結末を生みかねない。ここはひとまず王妃の考えに乗って、様子を見ることにしよう。
グレイスはそう考え、王妃手案の閨教育を受けることに決めた。
◇
「初めまして、グレイス様。本日から講師役を務めさせてもらいますエステラと申します」
王妃の推薦で呼ばれた凄腕娼婦は、見かけはグレイスより二、三歳上の、清楚さが漂う女性であった。もっと露出の多い蠱惑的な女性を想像していたので、グレイスは少々以外に思った。
そんなグレイスの胸の内を見透かしたようにエステラはうっすらと微笑を浮かべる。
「派手な女性を好む殿方もいらっしゃいますわ。ですが私は自分の魅力を最大限に生かすには、今の装いが最善だと考えました。それに男性に言えたことではありませんが、人間はギャップに弱い生き物ですから」
「なるほど……」
確かに清楚な女性が垣間見せる淫らな一面というのは男心をくすぐるのかもしれない。
グレイスはメモに「自分の魅力を考える、ギャップを狙え」と書き記した。彼女はどこまでも真面目であった。
授業はまず講義形式で女性と男性の身体の違いを学び、実にサクサクと進んでいった。
「――では、次はいよいよ男女の交わりをご覧になっていただきます」
そうしてエステラはグレイスを寝台のある部屋へと案内した。寝台の上には仰向けにさせられ、目隠しをされている男性がすでにいた。服は脱いで、下穿き一枚穿いている状態である。
「あの、先生。そちらの方は?」
「こちらは女性経験が全くない童貞の男性です」
まるで商品の説明でもするかのようにエステラは端的に紹介する。
「後で経験豊富な男性との性交の仕方もお教えしますが、まずは何も知らない男性の扱い方についてお見せしますね」
どんな場合でもアンドリューに対応できるように、とのことらしい。万全を期して備えるのは良いことだと思うが、アンドリューは童貞ではないだろうとグレイスは思った。
(リアナ様と、ずっと離宮に籠っていらしたもの)
さすがに成人している男女が二人きりになり、清い関係のままでいられるとは考えにくい。女官たちの噂からも、すでに一線を越えてしまったと見なすのが妥当だろう。
愛する人をすでに抱いたアンドリューと夫婦の営みをしなければならないことに、覚悟を決めたとはいえ、グレイスは苦々しく、途方に暮れたような気持ちになった。
「グレイス様」
「あ、ごめんなさい。少し現実逃避してしまって……。それで先生がこの方と……実践なさるのですか?」
人様の性交を見ることに今更ながら抵抗を覚える。男性は了承しているのだろうか……と、どこかずれているグレイスは心配になった。
「ご安心ください。そういう性癖のお人ですから。グレイス様が見ているとはわからないよう、目隠しと耳栓もしております」
「……世の中にはいろんな人がいるのですね」
「はい。いろんな人がおります」
それ以上深く尋ねることはやめ、グレイスはエステラの閨技を観察した。面識のない男性の身体を観察するのは良心が咎めたが、エステラがどこまでも淡々と説明するので、どこか手術光景を見ているような、冷静な心で見ることができた。
(あの男性、触れられる度にびくびくしてる……)
視界が遮られているせいでもあるだろうが、エステラの指先が触れたり、唇で愛撫される度に腰を浮かせ、「あっ……」とか「うっ……」と情けない声を上げて魚のように跳ねている。そして盛り上がっている下着にエステラが触れた瞬間――
「あっ……」
びくびくと男性は震え、下穿きをじわりと濡らした。どうやらエステラと身体を繋げる前に果ててしまったようだ。彼女はこうなることがわかっていたのか、微笑ましい眼差しで男性の下半身を見下ろしている。
「このように経験のない男性はすぐに射精してしまいます。この時に気をつけなければならないのが、女性側の反応です」
「女性側の?」
「はい。男性からすれば、無様な姿を晒してしまったわけですから。この世から消えてしまいたくなるほどの羞恥を覚え、一生もののトラウマとなってしまうでしょう」
「それほどのショックなのですか?」
「はい。ですから女性側は『もう終わったの?』や『早すぎるでしょ』とか、『早漏?』などの言葉は決して言わないようにしてあげてください」
耳栓をしているはずだが、エステラの言葉が聞こえたかのように横たわっている男性がびくっとして胸を押さえている。なるほど。そうしたワードは容赦なく胸を抉るらしい。
「では、この場合どうすればいいのでしょうか?」
「そうですね。とにかく気まずい雰囲気は壊しましょう。女性側が困惑するのも当然ですが、それを表に出してしまえば、男性はさらに居たたまれない気持ちになり、その次の行為にも影響を及ぼしかねませんので、ここはぐっと堪えましょう」
そう言ってエステラは男性に覆い被さり、彼の耳元で何かを囁いた。そうすると彼は唇を震わせ、こくこく頷く。何て言ったのだろうと思っていると、エステラがこちらを振り向き、微笑した。
「こういう時はとにかく褒めて、相手が好きだという気持ちを伝えるようにしましょう」
「なるほど。……でも、難しそうですわね」
「大丈夫です。グレイス様ならやり遂げられるはずです」
その時エステラが何を根拠にそう言ったかはわからない。アンドリューは経験済みなので、そんな事態に陥ることはないだろうという意味だったのかもしれない。
その後彼女は、グレイスだけを部屋の外へ移し、目隠しをとった男性が今度は主体となってエステラを抱く様を覗き穴から見学させた。男性は不慣れなせいか、一々おどおどし、かと思えば急に興奮に任せてエステラの身体を貪ったりと、まさに――
(レイモンド様と、そっくりだった……)
もちろん誰かと実践したことはない。処女は間違いなくレイモンドに捧げた。
ただ知識として――実際に目の前で実演されたことはある。
アンドリューとリアナの情事をうっかり見てしまって……というわけでもなかった。だがアンドリューが原因と言えば原因ではあった。
そう。あれはアンドリューのもとからリアナが失踪し、結婚相手となったグレイスを彼が受け入れず、心無い言動を容赦なく浴びせていた頃――
「いいですか、グレイス。こうなったら、まずは身体の方から堕としてしまいなさい」
アンドリューの母であり、王妃にそう命じられたグレイスは度肝を抜かれる思いだった。
まさか王妃であり、姑になる予定の女性からそんなことを提案されるとは……二の句が継げないグレイスをよそに、王妃はさらにとんでもないことを言い出す。
「明日からあなたには、閨事の授業を受けてもらいます。本来ならばこういったことは最低限の知識だけに留め、あとは伴侶となる殿方に身を委ねるのが正しいのですが……今のあの子の様子では、とても期待できません。ですからグレイス、あなたがあの子を誘惑し、めろめろにさせるのです!」
「めろめろ、ですか……」
「そうです! そのために凄腕の娼婦を呼び寄せています。ああ、安心なさって? あなたが実際に処女を失うのは、アンドリューとの初夜ですから。それまでは色々と見聞きして、男女の色事に関して覚えてもらいます」
つまり知識だけは万全に詰め込み、実践はアンドリューで行ってほしいと。
それでめろめろにしてほしいと……。
(難易度高すぎない?)
「……王妃殿下のお考えはよくわかりましたが、それは少々難しいのではないでしょうか」
今日だってグレイスがアンドリューに話しかけようとしたところ、「リアナ以外を愛するつもりはない!」と一蹴されたのだ。初夜の寝台でも、恐らく同じ台詞を吐かれる。
(そもそも、寝室に来てもらえるかも怪しいのに……)
いや、結婚式にすら出ない可能性もある。であれば初夜云々の話ではない。
「どうかもう一度、よくお考えになられてください」
「……グレイス。わたくしもあなたにとんでもないことをお願いしている自覚はあるわ。でももうあの子の相手になってくれるのはあなたしかいないの! お願い! あのバカ息子を見捨てないでやってちょうだい!」
いつも優雅さを保っている王妃に涙を浮かべて縋られ、グレイスは突き放せなかった。
「……わかりました。お受けしますわ」
「……! ありがとう! グレイス!」
王妃にわんわん泣かれてお礼を述べられ、グレイスは仕方ないかと諦めた。
(このままだと、アンドリュー殿下に睡眠薬か媚薬を飲ませて無理矢理既成事実に持ち込むかもしれないもの……)
そうなれば余計彼との仲は拗れ、最悪の結末を生みかねない。ここはひとまず王妃の考えに乗って、様子を見ることにしよう。
グレイスはそう考え、王妃手案の閨教育を受けることに決めた。
◇
「初めまして、グレイス様。本日から講師役を務めさせてもらいますエステラと申します」
王妃の推薦で呼ばれた凄腕娼婦は、見かけはグレイスより二、三歳上の、清楚さが漂う女性であった。もっと露出の多い蠱惑的な女性を想像していたので、グレイスは少々以外に思った。
そんなグレイスの胸の内を見透かしたようにエステラはうっすらと微笑を浮かべる。
「派手な女性を好む殿方もいらっしゃいますわ。ですが私は自分の魅力を最大限に生かすには、今の装いが最善だと考えました。それに男性に言えたことではありませんが、人間はギャップに弱い生き物ですから」
「なるほど……」
確かに清楚な女性が垣間見せる淫らな一面というのは男心をくすぐるのかもしれない。
グレイスはメモに「自分の魅力を考える、ギャップを狙え」と書き記した。彼女はどこまでも真面目であった。
授業はまず講義形式で女性と男性の身体の違いを学び、実にサクサクと進んでいった。
「――では、次はいよいよ男女の交わりをご覧になっていただきます」
そうしてエステラはグレイスを寝台のある部屋へと案内した。寝台の上には仰向けにさせられ、目隠しをされている男性がすでにいた。服は脱いで、下穿き一枚穿いている状態である。
「あの、先生。そちらの方は?」
「こちらは女性経験が全くない童貞の男性です」
まるで商品の説明でもするかのようにエステラは端的に紹介する。
「後で経験豊富な男性との性交の仕方もお教えしますが、まずは何も知らない男性の扱い方についてお見せしますね」
どんな場合でもアンドリューに対応できるように、とのことらしい。万全を期して備えるのは良いことだと思うが、アンドリューは童貞ではないだろうとグレイスは思った。
(リアナ様と、ずっと離宮に籠っていらしたもの)
さすがに成人している男女が二人きりになり、清い関係のままでいられるとは考えにくい。女官たちの噂からも、すでに一線を越えてしまったと見なすのが妥当だろう。
愛する人をすでに抱いたアンドリューと夫婦の営みをしなければならないことに、覚悟を決めたとはいえ、グレイスは苦々しく、途方に暮れたような気持ちになった。
「グレイス様」
「あ、ごめんなさい。少し現実逃避してしまって……。それで先生がこの方と……実践なさるのですか?」
人様の性交を見ることに今更ながら抵抗を覚える。男性は了承しているのだろうか……と、どこかずれているグレイスは心配になった。
「ご安心ください。そういう性癖のお人ですから。グレイス様が見ているとはわからないよう、目隠しと耳栓もしております」
「……世の中にはいろんな人がいるのですね」
「はい。いろんな人がおります」
それ以上深く尋ねることはやめ、グレイスはエステラの閨技を観察した。面識のない男性の身体を観察するのは良心が咎めたが、エステラがどこまでも淡々と説明するので、どこか手術光景を見ているような、冷静な心で見ることができた。
(あの男性、触れられる度にびくびくしてる……)
視界が遮られているせいでもあるだろうが、エステラの指先が触れたり、唇で愛撫される度に腰を浮かせ、「あっ……」とか「うっ……」と情けない声を上げて魚のように跳ねている。そして盛り上がっている下着にエステラが触れた瞬間――
「あっ……」
びくびくと男性は震え、下穿きをじわりと濡らした。どうやらエステラと身体を繋げる前に果ててしまったようだ。彼女はこうなることがわかっていたのか、微笑ましい眼差しで男性の下半身を見下ろしている。
「このように経験のない男性はすぐに射精してしまいます。この時に気をつけなければならないのが、女性側の反応です」
「女性側の?」
「はい。男性からすれば、無様な姿を晒してしまったわけですから。この世から消えてしまいたくなるほどの羞恥を覚え、一生もののトラウマとなってしまうでしょう」
「それほどのショックなのですか?」
「はい。ですから女性側は『もう終わったの?』や『早すぎるでしょ』とか、『早漏?』などの言葉は決して言わないようにしてあげてください」
耳栓をしているはずだが、エステラの言葉が聞こえたかのように横たわっている男性がびくっとして胸を押さえている。なるほど。そうしたワードは容赦なく胸を抉るらしい。
「では、この場合どうすればいいのでしょうか?」
「そうですね。とにかく気まずい雰囲気は壊しましょう。女性側が困惑するのも当然ですが、それを表に出してしまえば、男性はさらに居たたまれない気持ちになり、その次の行為にも影響を及ぼしかねませんので、ここはぐっと堪えましょう」
そう言ってエステラは男性に覆い被さり、彼の耳元で何かを囁いた。そうすると彼は唇を震わせ、こくこく頷く。何て言ったのだろうと思っていると、エステラがこちらを振り向き、微笑した。
「こういう時はとにかく褒めて、相手が好きだという気持ちを伝えるようにしましょう」
「なるほど。……でも、難しそうですわね」
「大丈夫です。グレイス様ならやり遂げられるはずです」
その時エステラが何を根拠にそう言ったかはわからない。アンドリューは経験済みなので、そんな事態に陥ることはないだろうという意味だったのかもしれない。
その後彼女は、グレイスだけを部屋の外へ移し、目隠しをとった男性が今度は主体となってエステラを抱く様を覗き穴から見学させた。男性は不慣れなせいか、一々おどおどし、かと思えば急に興奮に任せてエステラの身体を貪ったりと、まさに――
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