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婚約者の愛する人
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アンドリューがリアナを三年近く探していたのは、彼女が突然王都からいなくなったからである。
まず、アンドリューとリアナの出会いは幼少期まで遡る。当時身体の弱かったアンドリューを国王夫妻は不憫に思い、もっと環境の良い場所で療養させてやろうと、空気の良い土地に、乳母と幼いアンドリューを一緒に行かせた。そこでアンドリューはリアナと出会うこととなる。彼女はその地方を治める子爵家の娘であった。
淡い初恋は一生の思い出となり、アンドリューの身体が良くなり、王都へ帰ってきてからも、彼はリアナを忘れることができなかった。世話になった礼と、行儀見習いという名目でリアナを王宮へ招き、人目を忍んで愛し合うようになった。
リアナは貴族の娘であったが、王太子の妃になるには身分が釣り合わなかった。息子の恋に国王夫妻も貴族の大半も、もっと相応しい令嬢を娶るようアンドリューに命じた。
それでも反対されればされるほどアンドリューはリアナへの恋情を燃え上がらせ、こうなったら根競べとばかりにますます彼女に執着を見せる。
そんな愛する男の気持ちと、反対する高貴な人々の圧に板挟みになって耐えられなくなったのか、ある日忽然とリアナは王宮から姿を消した。
アンドリューはすぐにリアナを探させた。
しかし、彼女は見つからなかった。一年経ち、周囲がそろそろ諦めたらどうだと言っても、アンドリューは諦めなかった。彼女の領地はもちろん、国中を探し回る勢いで自ら足を運んだりしたが、それでもやはり、リアナは見つからなかった。
それで、とうとう三年目が経った頃。
国王夫妻がもういいだろうと、アンドリューに妻を――本来の婚約者を娶るよう命じた。
それがグレイスであった。
そう。彼女はもっと早い時期――アンドリューが療養地へ行く前に、すでに婚約者となっていた。その時グレイスは八歳だった。彼が療養中手紙を送ったりしていたのだが……返事はなかった。
向こうへいる間アンドリューがリアナに恋に落ちてしまったので、帰ってくるなりグレイスとの婚約を直ちに解消することを要求し、国王夫妻もその時はまだ息子が夢を見ているのだろうと思い、ひとまず言われたとおり解消して、現実を知った後で改めて婚約させることに決めた。
王家はあくまでも婚約解消のつもりであったが、グレイスの家からすれば一方的に破棄されたようなものであり、普通ならば娘をもう嫁がせるものかと、頼まれても願い下げるだろう。
しかし相手は王家であり、またグレイスの父親は野心家であった。
「王太子の心はいつか必ずおまえのものになる。今は夢を見させておけばいい」
そんな父を兄や妹はひどいと憤ったが、グレイスは逆らうことはしなかった。
国王夫妻に頼まれたお願い――命令であり、また父に抗って不和を起こす性格でもなかった。
(わたしが断れば、妹のパトリシアが婚約者になるよう、お父様や陛下たちは命じるかもしれない)
当時妹はまだ幼かったが、きちんと好きな相手がいた。心が通い合った、苦労しない相手と結ばれてほしいと思ったことが、一番の理由かもしれない。
ともかく、消えたリアナの代わりに、グレイスは改めてアンドリューの婚約者となった。当初他にも候補はいたのだが、三年の月日は結婚適齢期の令嬢たちにとって長く、諦めて他の男性と結婚させる親が多かった。グレイスもすでに二十一歳になっていた。
これでやっとアンドリューと結婚できる。丸く収まるのだ。グレイスや周囲の人間はそう安堵しかけたが、そう簡単には上手くいかなかった。
「僕はきみを愛するつもりはない」
憎々しげに吐き出された言葉とアンドリューの表情を、グレイスは一生忘れることはできないだろう。
最初から好かれるとは思っていなかったが、一切聞く耳持たず、ほんの少しの歩み寄りさえ拒絶するアンドリューの態度に、グレイスだけでなく国王夫妻も呆れかえった。
「おまえはいつまで子どもでいるつもりだ。王太子として、未来の国王として、もっと自覚しなさい」
厳しい説教も、アンドリューには響かず、これはもう世継ぎだけでもさっさと作らせるべきではないかと周囲が画策し始めた頃――
「殿下。リアナ様は、どういったお方でした?」
グレイスは朗らかな表情で、まるで融通が利かない子どもを相手にするように、アンドリューに問いかけた。彼は当然そんなグレイスを警戒し、決して絆されまいとそっぽを向き、明確に相手を傷つけようとした刺々しい言葉を投げ返した。
「どうしてそんなこときみに教える必要がある。知って、自分の方が優れているとでも思いたいのか」
「そうですね。申し訳ございませんでした。ただ殿下がそこまで好いた女性を知りたいと思ったのです」
グレイスは最初、彼の怒りを見るとすぐに距離を置き、決して深追いすることはしなかった。辛抱強く、アンドリューの警戒心を解いていき、グレイスが彼に対して恋心を抱いていないことを証明した。
「殿下。リアナ様はもしかしたら娼館にいるかもしれません」
「何だと!? きみはリアナがそんなところにいるとでも思っているのか!?」
「もちろんリアナ様自ら足を運んだなんて思っておりません。もしかすると、わたしの父やキャンベル公爵が裏で手を引いている可能性もあると言いたいのです。父や公爵は、彼女が妃になることをよく思っておりませんから」
だからそういった場所も探してみたらどうかと真剣な顔で助言すれば、初めてアンドリューはグレイスの目を見てくれた。
「……きみは、僕と結婚したいと思っていないのか」
「わたしは、殿下には本当に愛する人と結ばれてほしいと願っております」
国の統治者というのは大変なものだ。国王は孤独な存在で、それを支えるにはやはり心から彼を愛し、また彼自身も愛する人の方が、途中で何かあっても乗り越えられると思った。
「殿下のリアナ様への想いを聞いたからこそ、そう思ったのです」
「グレイス……」
「殿下。陛下や父たちは諦めろとおっしゃいましたが、もう一度、探してみましょう」
そうしてグレイスとアンドリューは、こっそりとリアナの行方を探った。
グレイスは父親の動向を密かに探ってもみた。
しかしやはり、リアナの行方は掴めなかった。
「ここまで探していないとなると、恐らく外国へ行ったのかもしれません。まずは隣国から――」
「もういい、グレイス」
投げやりな口調ではなく、寂しそうな、穏やかな表情と共に、アンドリューは告げた。
「ここまで探しても出てこないんだ。きっとリアナは僕と人生を歩むつもりはないのだろう。……僕の運命の相手ではなかったんだ」
「そんな。きっと何か事情が――」
「きみは十分手を尽くしてくれた。……ありがとう。今まで散々失礼な態度をとってしまって、本当に申し訳なかった」
「殿下……」
アンドリューは気弱そうな目をしつつ、グレイスに伝えた。
「リアナのことを忘れられるか自信はないし、きみのことも愛せるかわからないけれど……きみとなら、たぶんやっていけると思う。だからグレイス。どうかもう一度、僕とやり直してほしい」
普通の女性であったら、「何なのその言葉は!?」と呆れて激怒しただろう。現に後で妹のパトリシアに伝えたところ「はぁ!? 何その上から目線、失礼すぎる言葉は!? 喧嘩売っているの!?」とたいそうブチギレていた。
しかし言われたグレイス本人は朗らかな笑みを浮かべ、「はい」とアンドリューの言葉に頷いた。
リアナがいなくなって三年。アンドリューの婚約者でありながらこっそりとリアナを探し続けた半年。ようやく、グレイスは彼に覚悟を決めてもらえた。婚約者として隣に立つことを許してもらえたのだ。
もうすぐにでも結婚してほしいと彼の両親は急かしたが、グレイスはまだ時間がかかるだろうと思っていた。
しかし諦めて覚悟を決めたおかげか、アンドリューはグレイスを受け入れて、急速に距離を縮めていった。もう以前のように刺々しい言動で視界に入れまいとしなかったし、何かとリアナと比べて悲痛な表情を浮かべることもしなくなった。
それどころか……。
「グレイス。きみは慈悲深くて、天使のような女性だ。早く、きみと結婚したい」
気づいたら事あるごとに甘い台詞を吐き、熱のこもった眼差しで見つめてくることが当たり前のようになっていた。
それでまだ当分先だろうと考えていた結婚式も早まり、着々と準備が進んでいる最中であった。周囲の人間も今度こそようやく丸く収まるのだと安堵していたのだが――
「リアナ・アトリー様と、そのご子息、ジェイク様でございます」
(運命の相手はやっぱり、彼女だったのね)
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そう。彼女はもっと早い時期――アンドリューが療養地へ行く前に、すでに婚約者となっていた。その時グレイスは八歳だった。彼が療養中手紙を送ったりしていたのだが……返事はなかった。
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王家はあくまでも婚約解消のつもりであったが、グレイスの家からすれば一方的に破棄されたようなものであり、普通ならば娘をもう嫁がせるものかと、頼まれても願い下げるだろう。
しかし相手は王家であり、またグレイスの父親は野心家であった。
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そんな父を兄や妹はひどいと憤ったが、グレイスは逆らうことはしなかった。
国王夫妻に頼まれたお願い――命令であり、また父に抗って不和を起こす性格でもなかった。
(わたしが断れば、妹のパトリシアが婚約者になるよう、お父様や陛下たちは命じるかもしれない)
当時妹はまだ幼かったが、きちんと好きな相手がいた。心が通い合った、苦労しない相手と結ばれてほしいと思ったことが、一番の理由かもしれない。
ともかく、消えたリアナの代わりに、グレイスは改めてアンドリューの婚約者となった。当初他にも候補はいたのだが、三年の月日は結婚適齢期の令嬢たちにとって長く、諦めて他の男性と結婚させる親が多かった。グレイスもすでに二十一歳になっていた。
これでやっとアンドリューと結婚できる。丸く収まるのだ。グレイスや周囲の人間はそう安堵しかけたが、そう簡単には上手くいかなかった。
「僕はきみを愛するつもりはない」
憎々しげに吐き出された言葉とアンドリューの表情を、グレイスは一生忘れることはできないだろう。
最初から好かれるとは思っていなかったが、一切聞く耳持たず、ほんの少しの歩み寄りさえ拒絶するアンドリューの態度に、グレイスだけでなく国王夫妻も呆れかえった。
「おまえはいつまで子どもでいるつもりだ。王太子として、未来の国王として、もっと自覚しなさい」
厳しい説教も、アンドリューには響かず、これはもう世継ぎだけでもさっさと作らせるべきではないかと周囲が画策し始めた頃――
「殿下。リアナ様は、どういったお方でした?」
グレイスは朗らかな表情で、まるで融通が利かない子どもを相手にするように、アンドリューに問いかけた。彼は当然そんなグレイスを警戒し、決して絆されまいとそっぽを向き、明確に相手を傷つけようとした刺々しい言葉を投げ返した。
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「何だと!? きみはリアナがそんなところにいるとでも思っているのか!?」
「もちろんリアナ様自ら足を運んだなんて思っておりません。もしかすると、わたしの父やキャンベル公爵が裏で手を引いている可能性もあると言いたいのです。父や公爵は、彼女が妃になることをよく思っておりませんから」
だからそういった場所も探してみたらどうかと真剣な顔で助言すれば、初めてアンドリューはグレイスの目を見てくれた。
「……きみは、僕と結婚したいと思っていないのか」
「わたしは、殿下には本当に愛する人と結ばれてほしいと願っております」
国の統治者というのは大変なものだ。国王は孤独な存在で、それを支えるにはやはり心から彼を愛し、また彼自身も愛する人の方が、途中で何かあっても乗り越えられると思った。
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「グレイス……」
「殿下。陛下や父たちは諦めろとおっしゃいましたが、もう一度、探してみましょう」
そうしてグレイスとアンドリューは、こっそりとリアナの行方を探った。
グレイスは父親の動向を密かに探ってもみた。
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「ここまで探していないとなると、恐らく外国へ行ったのかもしれません。まずは隣国から――」
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「殿下……」
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リアナがいなくなって三年。アンドリューの婚約者でありながらこっそりとリアナを探し続けた半年。ようやく、グレイスは彼に覚悟を決めてもらえた。婚約者として隣に立つことを許してもらえたのだ。
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気づいたら事あるごとに甘い台詞を吐き、熱のこもった眼差しで見つめてくることが当たり前のようになっていた。
それでまだ当分先だろうと考えていた結婚式も早まり、着々と準備が進んでいる最中であった。周囲の人間も今度こそようやく丸く収まるのだと安堵していたのだが――
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