わたしを捨てたはずの婚約者様からは逃げられない。

りつ

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ディートハルト

30、静かで穏やかな*

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 イレーネはディートハルトのことを許していないだろう。彼もまた、自分の性格がこれから変わるとも思っていなかった。

 彼は久しぶりにイレーネに会うことができて、妊婦であるにもかかわらず、彼女を抱きたくてたまらなかったからだ。くれぐれも無理はさせないようにという医者の許可も得ると、彼はさっそくイレーネに抱きたいと告げた。彼女は渋ったものの、ディートハルトが後ろから抱きしめて感じるように愛撫していくと、諦めたように身体の力を抜いた。

「怖いから……優しくしてください……」
「ああ、わかってる」

 急いで挿入することはせず、着ている服を少しずつ肌蹴させていき、イレーネの肌を堪能した。以前よりも胸が大きくなり、その膨らみを掌で掬って確かめていると、彼女が恥ずかしそうに目を伏せるのがわかり、可愛く思った。

「ん……」

 胸の飾りを指の腹で優しく押しつぶすように撫でていけば、次第にイレーネは身体をぴくんぴくんと震わせていき、甘い吐息を零し始める。

「気持ちいい?」

 耳元にそっと息を吹きかけるようにしてたずねると、くすぐったそうに身を捩り、小さく首を横に振られた。否定するのは、彼女のいつもの癖だ。

 ディートハルトは気にせず触り続け、やがて胸の膨らみから掌を下していき、赤ん坊のいるお腹を撫で、太股を厭らしく擦っていった。そうして脚の付け根の部分まで辿りつくと、柔らかな曲線をこれまた焦らすように指で辿り、イレーネが触ってというようにディートハルトの腕を掴んでくると、ようやく柔らかな茂みのその先、小さな蕾や花芯を弄り始めた。

「濡れてる……」

 彼女の耳が赤くなるのがわかった。口元に笑みを浮かべながら、ディートハルトは傷つけぬよう指先で花びらをなぞり、蜜を掬って蕾にまぶしていく。

「ん、ん……ぁっ……」

 彼女の抑えようとして、抑えきれない声が耳に心地よい。くちくちと鳴り始めた水音も重なり合って、自分の思考もゆっくりと溶けていく感じがした。良い香りがする彼女の柔らかな髪に頬をすり寄せ、浅い呼吸を吐きながら、ふっくらとした実をさらに気持ちよくさせようと、何度も撫でていく。

「はぁ、んっ……ぁんっ……」

 びくんと彼女の身体が大きく震え、花びらの奥から蜜が溢れてくるのがわかった。中でもう一度いかせてやりたかったが、そろそろディートハルトも我慢の限界だった。

「イレーネ……挿入れていいか?」

 絶頂の余韻でディートハルトにくったりと体を預けていたイレーネは小さく頷いた。疲れてもう抵抗するのが面倒になっただけかもしれないが、彼女が自分を欲してくれているようにも思え、ディートハルトは嬉しかった。急いで下穿きから自分のものを取り出し、蜜口にあてがう。挿入する瞬間は怖いのか、彼女の身体が強張るのを感じた。

「大丈夫。全部は挿入れない」

 ゆっくりと、少しずつ、中へと押し込んでいく。久しぶりだから狭く、自分の分身に吸いつくように咥える感覚にディートハルトははぁ、と息を吐いた。

 全部埋め込んでやりたいのを必死で留め、浅い箇所を撫でるように突いていく。

「ぁん……はぁ……ふ、ぅ……」

 ぱちゅんぱちゅんとなる淫らな水音に、イレーネも快感を得ている声を上げる。顔を振り向かせて、上気した頬に蕩けた表情を見て、ディートハルトはますます中のものを硬くさせた。興奮に任せて思いきり奥を突きたい衝動を鋼の精神で抑えつけ、代わりに彼女の唇に吸いついた。

「ん、んむぅ……」

 イレーネは苦しそうに眉根を寄せながらも小さな口で必死にディートハルトの劣情を受け止めようとしている。そんな健気な姿に彼はたまらない気持ちになり、でも乱暴にはしたくないと相反する感情に翻弄されたまま、くぐもった呻き声を漏らした。

「んっ、ぁっ、いくっ……」

 やがてイレーネは二度目の絶頂を迎えた。その締めつけにディートハルトも我慢できず射精した。

「はぁ、はぁ……」

 普段自分より低い体温の彼女は、今は同じように熱く、しっとりと汗ばんでいた。その肌の温もりをさらに感じたくて後ろからきつく抱きしめる。ぐったりとしな垂れかかる彼女の顔中に口づけを落とし、また唇を貪る。

「ん……」
「はぁ、イレーネ……」

 いつもより穏やかな行為であったが、深く満たされた心地だった。それがなぜかはわからなかったが、相手がイレーネであるからということは間違いなかった。

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