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ディートハルト
25、獣*
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「ぁ……ぅ、あぁっ……」
追いつめられ、もどかしげな様子で腰を浮かせていたイレーネがまた達した。
秘所を眼前に晒させ、ひたすら焦らすように舐めていたディートハルトはふっと口を放し、ぷっくりと赤く膨らんだ蕾や、しとどに濡らした花びらをじっと見つめる。先ほど得た快感のせいか、それともディートハルトの注ぐ視線のせいか、奥からまた愛液が湧き出てくる。それは花びらで掬いきれず、溢れて窄まりの方へと流れ落ちていった。
小さく可愛らしい後孔は突然流れ落ちてきた蜜にびっくりしたようにひくつき、何とも卑猥な光景を見せてくれる。ディートハルトは吸い寄せられるように、その穴の入り口を撫でた。途端びくっ、とイレーネの尻が震える。
「ハインツは、ここにも挿入れたのか?」
イレーネの方を見れば、一気に目が覚めた様子で、ぶんぶんと首を横に振る。
「本当?」
「本当です……」
嘘、ではないにしても、何かを隠しているように見えたディートハルトはさらに指で窪みを撫でていく。
「いやっ、ディートハルトさま。そこだけはやめてください……」
「そう言って、ハインツにも許しを請うたのか?」
すすり泣く彼女に、彼はどうなんだと、零れ落ちそうな蜜を指で掬い、蕾にまぶしてやる。彼女は正直に答えなければ永遠に甘い責め苦が待っていると知っているので、しばらく催促し続ければ、やがては折れた。
「やりたいと言われましたけれど……でも、わたしが嫌だって……そこじゃなくて、こっちがいいって言って……そうしたら、許してくれたんです……」
「そっちって、こっち?」
「あんっ……」
花びらを割って中へ指を入れて、蕾を震えさせるように内側から振動を送れば、彼女はたまらないというように甘い声で啼いた。その声を聴いたディートハルトの頭もおかしくなりそうで、鎌首をもたげた肉杭を一気に突き刺したくなるが、まだすべてを聞き出せたわけではない。
「なぁ、イレーネ。まだ、言ってないことがあるだろう?」
「ぁっ、いった、もうぜんぶいったの……ぁぁっ……」
言った、という言葉がまるで違う言葉のように聴こえるのは、ディートハルトの指をきつく咥えたからだ。それに合わせるように後孔もひくひくと反応しているのがわかる。
「なんでこっちがいいんだ?」
「なんでって……」
どうしてそんな当然なことを聞くのか、というようにイレーネはディートハルトを困惑した眼差しで見てくる。
「こっちも、気持ちがいいらしいぞ」
「ひっ……」
挿入れてみようか、と言えば、彼女はよほど嫌なのか涙目になりながら首を振る。彼女の泣き顔は男の嗜虐心をひどく刺激する。ハインツもそうだったに違いない。女遊びも派手にやってきたハインツなら、後ろも開発したくなったはずだ。
「イレーネ。何て言ったんだ」
覆い被さって、ディートハルトはイレーネの泣き顔を見下ろす。潤んだ目で許しを請うように自分を見ている。滅茶苦茶に犯してやりたいという獰猛な欲望に支配されそうで、ディートハルトの方が我慢を強いられている気がしてくる。
反り返った熱い塊を彼女の柔らかな腹にぐいぐい押しつければ、彼女も欲しいのか切なそうに息を吐いた。
「ディートハルトさま……どうかもう、許して……」
夫婦の閨事は、話したくない。
イレーネの態度は一貫していた。でも、ディートハルトには逆らうことができなかった。彼女が自分から淫らに腰を振るうのが悪い。他にどんなことを教えてもらったのか、すべて聞き出さなければ気が済まなくなった。たとえ彼女の口から聞かされるたびに激しい嫉妬に駆られても、知らないままでいる方がずっと我慢できなかった。
「教えて、イレーネ……」
ずりずりと陰茎を腹になすりつけながら、彼はイレーネの頬に口づけして、耳たぶを甘噛みした。彼女が言わないなら、別に一生与えられず、与えない行為を続けてもよかった。聞きたいことは聞けなくても、イレーネに触れて、彼女の目が自分を映しているだけでも十分心は満たされていたから。
だがイレーネの方が先に限界がきた。
「……赤ちゃんが欲しいから……中にだして、っていったんです……」
「そう。じゃあ、俺も挿入れていい?」
彼女が首を振る。子どもみたいな素直な仕草に思わず微笑む。
「じゃあ、やっぱりこっちに挿入れようか?」
「だめ……そこは汚い……怖い……」
「汚くないし、怖くない。きちんと解せば、感じたことのない快感を得られる。俺はきみに、もっと気持ちよくなってほしいんだ」
実際ディートハルトは、もう一つの処女も奪いたくなってきた。ハインツさえ与えられなかった悦楽を、自分はイレーネに思う存分与えることができると思うと、優越感が湧いてくる。
どんなにイレーネがハインツを想い続けても、彼はもうこの世に生きておらず、彼女に触れることすらできないのだ。
「いや、いや……」
それだけは嫌、と彼女は泣きながら訴えた。可愛いなと思いながらディートハルトはイレーネの耳元で囁くように問いかける。どうして欲しいんだと一つしかない選択肢を彼女の口から伝えさせようとしている。
「いれて……」
まだ、足りない。それじゃあ、いつもと同じだ。
「中に、だしてほしいの……あなたの子種がほしいの……」
(ああ――)
言わせたとわかっていても、ディートハルトはイレーネの言葉に心臓の鼓動を早め、理性が吹き飛んだ。
痛いほど張りつめた剛直をずぶりと一気に捩じ込み、悲鳴を上げるイレーネの唇にむしゃぶりついて、一番奥、子宮の入り口を何度も突いた。たぶん、彼女からすれば痛みを覚える抱き方をしている。でも、そんなことを考える余裕はなかった。
ただ彼女のすべてを蹂躙して、中へ出したい。孕ませたい。身体が、本能がそう訴えている。
今まで抱いてきた女はみんな獣のようになって乱れていたが、今はディートハルトがその立場だった。イレーネも顔をぐしゃぐしゃにしながら喘いでいるが、間違いなく自分の方が獣で、彼女は襲われている人間だ。あるいはどちらも獣になって睦み合えば、気にならないのだと彼は気づいた。
「ぁんっ、ディートハルトさまっ、もうっ、いくっ、いっちゃうっ……」
「ああっ、いけっ、俺も、出るっ」
「あっ、だめっ、ださないでっ、いやっ、ハインツさまっ、いやぁ――」
追いつめられて混乱したのか、イレーネはとっさにハインツの名前を口にした。それに怒りと興奮が混ざり、最奥をどすんと強く突いた。イレーネは声にならない悲鳴を上げ、腰を大きく反らす。まるで魂が飛んでいってしまいそうな姿に見え、逃げないよう彼はきつく抱きしめ、シーツに沈んだ。
しばらく肩で激しく息をしていたディートハルトは、大きく上下するイレーネの胸に耳を当て、彼女のどくんどくんと鳴る心臓の音に耳を澄ましていた。彼女は生きている。自分の腕の中にいる。ディートハルトはその事実を噛みしめるように、彼女をさらにきつく抱きしめた。
深い口づけをして、身体中を愛撫して、柔らかな肌や秘所を執拗に舐めて、男性器を女性器に挿入して、腰を振るう。ただひたすらその繰り返しなのに、ディートハルトは飽きることなくイレーネの身体を抱いた。
追いつめられ、もどかしげな様子で腰を浮かせていたイレーネがまた達した。
秘所を眼前に晒させ、ひたすら焦らすように舐めていたディートハルトはふっと口を放し、ぷっくりと赤く膨らんだ蕾や、しとどに濡らした花びらをじっと見つめる。先ほど得た快感のせいか、それともディートハルトの注ぐ視線のせいか、奥からまた愛液が湧き出てくる。それは花びらで掬いきれず、溢れて窄まりの方へと流れ落ちていった。
小さく可愛らしい後孔は突然流れ落ちてきた蜜にびっくりしたようにひくつき、何とも卑猥な光景を見せてくれる。ディートハルトは吸い寄せられるように、その穴の入り口を撫でた。途端びくっ、とイレーネの尻が震える。
「ハインツは、ここにも挿入れたのか?」
イレーネの方を見れば、一気に目が覚めた様子で、ぶんぶんと首を横に振る。
「本当?」
「本当です……」
嘘、ではないにしても、何かを隠しているように見えたディートハルトはさらに指で窪みを撫でていく。
「いやっ、ディートハルトさま。そこだけはやめてください……」
「そう言って、ハインツにも許しを請うたのか?」
すすり泣く彼女に、彼はどうなんだと、零れ落ちそうな蜜を指で掬い、蕾にまぶしてやる。彼女は正直に答えなければ永遠に甘い責め苦が待っていると知っているので、しばらく催促し続ければ、やがては折れた。
「やりたいと言われましたけれど……でも、わたしが嫌だって……そこじゃなくて、こっちがいいって言って……そうしたら、許してくれたんです……」
「そっちって、こっち?」
「あんっ……」
花びらを割って中へ指を入れて、蕾を震えさせるように内側から振動を送れば、彼女はたまらないというように甘い声で啼いた。その声を聴いたディートハルトの頭もおかしくなりそうで、鎌首をもたげた肉杭を一気に突き刺したくなるが、まだすべてを聞き出せたわけではない。
「なぁ、イレーネ。まだ、言ってないことがあるだろう?」
「ぁっ、いった、もうぜんぶいったの……ぁぁっ……」
言った、という言葉がまるで違う言葉のように聴こえるのは、ディートハルトの指をきつく咥えたからだ。それに合わせるように後孔もひくひくと反応しているのがわかる。
「なんでこっちがいいんだ?」
「なんでって……」
どうしてそんな当然なことを聞くのか、というようにイレーネはディートハルトを困惑した眼差しで見てくる。
「こっちも、気持ちがいいらしいぞ」
「ひっ……」
挿入れてみようか、と言えば、彼女はよほど嫌なのか涙目になりながら首を振る。彼女の泣き顔は男の嗜虐心をひどく刺激する。ハインツもそうだったに違いない。女遊びも派手にやってきたハインツなら、後ろも開発したくなったはずだ。
「イレーネ。何て言ったんだ」
覆い被さって、ディートハルトはイレーネの泣き顔を見下ろす。潤んだ目で許しを請うように自分を見ている。滅茶苦茶に犯してやりたいという獰猛な欲望に支配されそうで、ディートハルトの方が我慢を強いられている気がしてくる。
反り返った熱い塊を彼女の柔らかな腹にぐいぐい押しつければ、彼女も欲しいのか切なそうに息を吐いた。
「ディートハルトさま……どうかもう、許して……」
夫婦の閨事は、話したくない。
イレーネの態度は一貫していた。でも、ディートハルトには逆らうことができなかった。彼女が自分から淫らに腰を振るうのが悪い。他にどんなことを教えてもらったのか、すべて聞き出さなければ気が済まなくなった。たとえ彼女の口から聞かされるたびに激しい嫉妬に駆られても、知らないままでいる方がずっと我慢できなかった。
「教えて、イレーネ……」
ずりずりと陰茎を腹になすりつけながら、彼はイレーネの頬に口づけして、耳たぶを甘噛みした。彼女が言わないなら、別に一生与えられず、与えない行為を続けてもよかった。聞きたいことは聞けなくても、イレーネに触れて、彼女の目が自分を映しているだけでも十分心は満たされていたから。
だがイレーネの方が先に限界がきた。
「……赤ちゃんが欲しいから……中にだして、っていったんです……」
「そう。じゃあ、俺も挿入れていい?」
彼女が首を振る。子どもみたいな素直な仕草に思わず微笑む。
「じゃあ、やっぱりこっちに挿入れようか?」
「だめ……そこは汚い……怖い……」
「汚くないし、怖くない。きちんと解せば、感じたことのない快感を得られる。俺はきみに、もっと気持ちよくなってほしいんだ」
実際ディートハルトは、もう一つの処女も奪いたくなってきた。ハインツさえ与えられなかった悦楽を、自分はイレーネに思う存分与えることができると思うと、優越感が湧いてくる。
どんなにイレーネがハインツを想い続けても、彼はもうこの世に生きておらず、彼女に触れることすらできないのだ。
「いや、いや……」
それだけは嫌、と彼女は泣きながら訴えた。可愛いなと思いながらディートハルトはイレーネの耳元で囁くように問いかける。どうして欲しいんだと一つしかない選択肢を彼女の口から伝えさせようとしている。
「いれて……」
まだ、足りない。それじゃあ、いつもと同じだ。
「中に、だしてほしいの……あなたの子種がほしいの……」
(ああ――)
言わせたとわかっていても、ディートハルトはイレーネの言葉に心臓の鼓動を早め、理性が吹き飛んだ。
痛いほど張りつめた剛直をずぶりと一気に捩じ込み、悲鳴を上げるイレーネの唇にむしゃぶりついて、一番奥、子宮の入り口を何度も突いた。たぶん、彼女からすれば痛みを覚える抱き方をしている。でも、そんなことを考える余裕はなかった。
ただ彼女のすべてを蹂躙して、中へ出したい。孕ませたい。身体が、本能がそう訴えている。
今まで抱いてきた女はみんな獣のようになって乱れていたが、今はディートハルトがその立場だった。イレーネも顔をぐしゃぐしゃにしながら喘いでいるが、間違いなく自分の方が獣で、彼女は襲われている人間だ。あるいはどちらも獣になって睦み合えば、気にならないのだと彼は気づいた。
「ぁんっ、ディートハルトさまっ、もうっ、いくっ、いっちゃうっ……」
「ああっ、いけっ、俺も、出るっ」
「あっ、だめっ、ださないでっ、いやっ、ハインツさまっ、いやぁ――」
追いつめられて混乱したのか、イレーネはとっさにハインツの名前を口にした。それに怒りと興奮が混ざり、最奥をどすんと強く突いた。イレーネは声にならない悲鳴を上げ、腰を大きく反らす。まるで魂が飛んでいってしまいそうな姿に見え、逃げないよう彼はきつく抱きしめ、シーツに沈んだ。
しばらく肩で激しく息をしていたディートハルトは、大きく上下するイレーネの胸に耳を当て、彼女のどくんどくんと鳴る心臓の音に耳を澄ましていた。彼女は生きている。自分の腕の中にいる。ディートハルトはその事実を噛みしめるように、彼女をさらにきつく抱きしめた。
深い口づけをして、身体中を愛撫して、柔らかな肌や秘所を執拗に舐めて、男性器を女性器に挿入して、腰を振るう。ただひたすらその繰り返しなのに、ディートハルトは飽きることなくイレーネの身体を抱いた。
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