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ディートハルト
12、救われない*
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※注意 ヒロイン以外とがっつりやっている描写があります
最初は上手く達せないでいたマルガレーテも、ディートハルトの丁寧な愛撫により、次第に快感を拾い始め、蕾が花開くように女の悦びに目覚めていった。
「あぁ……いいの、そこ……もっと、ディートハルトっ、あっ、もうだめっ、あぁぁっん」
腰を弓なりに反らし、尻をいやらしく震わせてマルガレーテは絶頂した。ディートハルトは浅く息をしながらも射精を堪え、彼女が悶える様をじっと見ていた。彼女は長い睫毛に縁どられた目を閉じてふぅふぅと呼吸を整えようとしていた。ディートハルトがゆっくりと奥を突いてやれば、「あん……」と甘い声を漏らして億劫そうに目を開いた。
水色の瞳はどろりと蕩け、白い頬は赤みを差して、吸われてふっくらとした小さな唇は薄く開き、真っ赤な舌がちらちらと見えている。
「ディートハルト……わたくし、恥ずかしいのに……まだ、足りないの、んっ……あんっ、もうだめぇ……」
「そんなこと言って、ここは俺のものが欲しいと吸いついてきますよ……」
「いやぁあ……」
口ではそう言いながらも、夫に意地悪されてマルガレーテの表情は嬉しくてたまらない様子だった。もっとちょうだいというように腰をくねらせ、ディートハルトを奥へと誘おうとする。彼は望みのまま最奥を突き、ますます妻を狂わせた。
「あぁっ、だめっ、わたっ、おかしくっ、ひぃっ、」
ぱんぱんと肌と肌がぶつかりあう音。ぶちゅっ、ぐちゅっ、と結合部から鳴り響く淫らな音。マルガレーテの大きな乳房がいやらしく揺れて、細い手足をディートハルトの腰や腕に絡め、涎を垂らしながら喘ぐ姿。
(あぁ、なんだろう……)
愛する人と繋がっているのに。気持ちがいいと言ってくれているのに。
ひどく冷めた自分がいた。
(こんなに、よがり狂ってるのに)
他の女は何度も絶頂すれば、美しい姿を獣のように荒々しく変えた。それを見て余計に興奮する男もいたが、たいていの男は興醒めするものだ。少なくともディートハルトはそうだった。だがマルガレーテはやはり元がいいからか、どんなに乱れても美しかった。きっと彼女の母親もこんな感じで国王を狂わせたのだろう。
昼は淑女で、夜は娼婦。まさに、男の理想と言えた。
しかしディートハルトはマルガレーテを抱けば抱くほど、淫乱な姿を見せられるたび、初めて抱いた時のような満足感は減っていき、彼女と一緒に狂うこともできず、他の女を抱いている時のように、冷静に彼女の痴態を観察するようになっていった。
なぜだろう、とまたもや達したマルガレーテの締めつけをやり過ごしながら、ディートハルトは考える。
幼い頃に出会った可愛い彼女。ディートハルトに優しくしてくれた天使みたいな少女。自分みたいな人間を優しい人と言ってくれた初恋の人。いつまでも永遠の愛を捧げると誓った人。
『あなたは、優しい人よ』
「ディートハルト……もっと、もっとちょうだい……」
少女の笑顔が、目の前の淫乱な女と重なって、消えていく。
(――ああ、そうか)
身体を繋げて女の悦びに目覚めた少女は、幻想の世界に生きる妖精でもなんでもなく、他の女たちと同じ、現世で肉欲に溺れる雌と変わりなかった。
自分が求めていた少女は彼女ではないのだ。成長して、いつの間にかいなくなっていた。もうとっくの昔に死んでしまっていたのだ。――いいや、それも違うかもしれない。
「ねぇ、もっと、もっとちょうだいっ、」
『まぁ、お母様とお父様に、そんな酷いことを?』
ディートハルトは何度目かの行為の後、マルガレーテに自分の過去を打ち明けた。彼女は涙ぐんで、可哀想だと同情してくれた。そしてもう大丈夫だとディートハルトを抱きしめて、一晩中慰めてくれた。ディートハルトはそれで救われたと思った。自分はもう何も苦しむことはない。受け止めてくれる人がいる。傷は癒された。
(そんなはず、ないだろう)
ずっとこびりついている。あの悪魔のような母の姿が、泣いて助けを求める息子を無視した父の姿が、両親に愛されてぬくぬくと育った異母弟の姿が、焼き付いて離れない。思い出すたびに、どす黒い感情に支配され、何もかも壊し尽くしたくなる。
許すことなどできない。この傷は永遠に自分の中に刻みつけられ、残り続ける。
「ぅうっ、いくっ、いぐぅ……」
たかが幼少期に子どもからかけられた何気ない一言など、たまたま一緒に暮らした日々など、何の意味もなかった。美しい女に優しい言葉をかけられて、抱きしめられて、救われたと思い込んで、ただの幻想に縋りついていただけだ。
自分は一生、救われない。悪魔と罵られたまま、生きていくしかない。
「あっ、あっ、あぁあああぁ」
気づいてしまった事実に絶望し、怒りが興奮に変わってディートハルトはマルガレーテの中を思いきり突き立て、精を吐き出した。彼女は魚のようにびくんびくんと痙攣して、白目を剥いたまま気を失った。陰茎を引き抜けば、こぽりと中身が溢れてくる。雄と雌が交じりあって出た分泌液。性の生臭さを嗅覚で捉え、激しい虚しさと不快感が襲う。
「ははっ……」
ディートハルトの口から乾いた笑い声が漏れる。顔を両手で覆って、天を仰いで、そのまま狂ったようにしばし笑い続けた。傍らでは両手を放り出した裸の妻が気絶して、そのすぐそばで夫が同じく裸で哄笑している。さぞ異様な光景だろう。そんな状況も含めておかしくてたまらなかった。
もし今使用人がこの部屋の扉を開けたら、マルガレーテを愛する国王が見たら、顔を真っ青にして言葉を失ったに違いない。いや、中には今のディートハルトのように大声を上げて笑う者もいるかもしれない。
あの女なら、腹を抱えて笑うはずだ。そしてこうも言うはずだ。
『ね、私の言ったとおりでしょう?』
彼女はわかっていた。わかったうえで、ディートハルトとマルガレーテの永遠の幸せを願っているなど言ったのだ。相変わらず、性根の腐った人間だ。だがそれは自分も同じだろう。いや、自分の方がはるかに腐っている。
マルガレーテに数えきれないほどの愛を囁いておきながら、何とも薄っぺらい言葉を伝えているにすぎなかった。愛してなど、いなかったのだ。そもそも、人を愛することすら、自分はよくわかっていない。そんな人間が誰かを愛せるものか。それなのにあんなに必死になって、一体自分がやったことは何だったのか。何のためにここまでやってきたのか。馬鹿みたいだ。これが笑わずにいられるか。一番の道化者じゃないか。
ひとしきり感情を爆発させ、笑い疲れたディートハルトは無表情で、ぽっかりと空いた暗闇に自分の身体がゆっくりと沈んでいく錯覚に陥った。そんな中で、ふと湧いた感情。
「イレーネ」
彼女に会いたい。
最初は上手く達せないでいたマルガレーテも、ディートハルトの丁寧な愛撫により、次第に快感を拾い始め、蕾が花開くように女の悦びに目覚めていった。
「あぁ……いいの、そこ……もっと、ディートハルトっ、あっ、もうだめっ、あぁぁっん」
腰を弓なりに反らし、尻をいやらしく震わせてマルガレーテは絶頂した。ディートハルトは浅く息をしながらも射精を堪え、彼女が悶える様をじっと見ていた。彼女は長い睫毛に縁どられた目を閉じてふぅふぅと呼吸を整えようとしていた。ディートハルトがゆっくりと奥を突いてやれば、「あん……」と甘い声を漏らして億劫そうに目を開いた。
水色の瞳はどろりと蕩け、白い頬は赤みを差して、吸われてふっくらとした小さな唇は薄く開き、真っ赤な舌がちらちらと見えている。
「ディートハルト……わたくし、恥ずかしいのに……まだ、足りないの、んっ……あんっ、もうだめぇ……」
「そんなこと言って、ここは俺のものが欲しいと吸いついてきますよ……」
「いやぁあ……」
口ではそう言いながらも、夫に意地悪されてマルガレーテの表情は嬉しくてたまらない様子だった。もっとちょうだいというように腰をくねらせ、ディートハルトを奥へと誘おうとする。彼は望みのまま最奥を突き、ますます妻を狂わせた。
「あぁっ、だめっ、わたっ、おかしくっ、ひぃっ、」
ぱんぱんと肌と肌がぶつかりあう音。ぶちゅっ、ぐちゅっ、と結合部から鳴り響く淫らな音。マルガレーテの大きな乳房がいやらしく揺れて、細い手足をディートハルトの腰や腕に絡め、涎を垂らしながら喘ぐ姿。
(あぁ、なんだろう……)
愛する人と繋がっているのに。気持ちがいいと言ってくれているのに。
ひどく冷めた自分がいた。
(こんなに、よがり狂ってるのに)
他の女は何度も絶頂すれば、美しい姿を獣のように荒々しく変えた。それを見て余計に興奮する男もいたが、たいていの男は興醒めするものだ。少なくともディートハルトはそうだった。だがマルガレーテはやはり元がいいからか、どんなに乱れても美しかった。きっと彼女の母親もこんな感じで国王を狂わせたのだろう。
昼は淑女で、夜は娼婦。まさに、男の理想と言えた。
しかしディートハルトはマルガレーテを抱けば抱くほど、淫乱な姿を見せられるたび、初めて抱いた時のような満足感は減っていき、彼女と一緒に狂うこともできず、他の女を抱いている時のように、冷静に彼女の痴態を観察するようになっていった。
なぜだろう、とまたもや達したマルガレーテの締めつけをやり過ごしながら、ディートハルトは考える。
幼い頃に出会った可愛い彼女。ディートハルトに優しくしてくれた天使みたいな少女。自分みたいな人間を優しい人と言ってくれた初恋の人。いつまでも永遠の愛を捧げると誓った人。
『あなたは、優しい人よ』
「ディートハルト……もっと、もっとちょうだい……」
少女の笑顔が、目の前の淫乱な女と重なって、消えていく。
(――ああ、そうか)
身体を繋げて女の悦びに目覚めた少女は、幻想の世界に生きる妖精でもなんでもなく、他の女たちと同じ、現世で肉欲に溺れる雌と変わりなかった。
自分が求めていた少女は彼女ではないのだ。成長して、いつの間にかいなくなっていた。もうとっくの昔に死んでしまっていたのだ。――いいや、それも違うかもしれない。
「ねぇ、もっと、もっとちょうだいっ、」
『まぁ、お母様とお父様に、そんな酷いことを?』
ディートハルトは何度目かの行為の後、マルガレーテに自分の過去を打ち明けた。彼女は涙ぐんで、可哀想だと同情してくれた。そしてもう大丈夫だとディートハルトを抱きしめて、一晩中慰めてくれた。ディートハルトはそれで救われたと思った。自分はもう何も苦しむことはない。受け止めてくれる人がいる。傷は癒された。
(そんなはず、ないだろう)
ずっとこびりついている。あの悪魔のような母の姿が、泣いて助けを求める息子を無視した父の姿が、両親に愛されてぬくぬくと育った異母弟の姿が、焼き付いて離れない。思い出すたびに、どす黒い感情に支配され、何もかも壊し尽くしたくなる。
許すことなどできない。この傷は永遠に自分の中に刻みつけられ、残り続ける。
「ぅうっ、いくっ、いぐぅ……」
たかが幼少期に子どもからかけられた何気ない一言など、たまたま一緒に暮らした日々など、何の意味もなかった。美しい女に優しい言葉をかけられて、抱きしめられて、救われたと思い込んで、ただの幻想に縋りついていただけだ。
自分は一生、救われない。悪魔と罵られたまま、生きていくしかない。
「あっ、あっ、あぁあああぁ」
気づいてしまった事実に絶望し、怒りが興奮に変わってディートハルトはマルガレーテの中を思いきり突き立て、精を吐き出した。彼女は魚のようにびくんびくんと痙攣して、白目を剥いたまま気を失った。陰茎を引き抜けば、こぽりと中身が溢れてくる。雄と雌が交じりあって出た分泌液。性の生臭さを嗅覚で捉え、激しい虚しさと不快感が襲う。
「ははっ……」
ディートハルトの口から乾いた笑い声が漏れる。顔を両手で覆って、天を仰いで、そのまま狂ったようにしばし笑い続けた。傍らでは両手を放り出した裸の妻が気絶して、そのすぐそばで夫が同じく裸で哄笑している。さぞ異様な光景だろう。そんな状況も含めておかしくてたまらなかった。
もし今使用人がこの部屋の扉を開けたら、マルガレーテを愛する国王が見たら、顔を真っ青にして言葉を失ったに違いない。いや、中には今のディートハルトのように大声を上げて笑う者もいるかもしれない。
あの女なら、腹を抱えて笑うはずだ。そしてこうも言うはずだ。
『ね、私の言ったとおりでしょう?』
彼女はわかっていた。わかったうえで、ディートハルトとマルガレーテの永遠の幸せを願っているなど言ったのだ。相変わらず、性根の腐った人間だ。だがそれは自分も同じだろう。いや、自分の方がはるかに腐っている。
マルガレーテに数えきれないほどの愛を囁いておきながら、何とも薄っぺらい言葉を伝えているにすぎなかった。愛してなど、いなかったのだ。そもそも、人を愛することすら、自分はよくわかっていない。そんな人間が誰かを愛せるものか。それなのにあんなに必死になって、一体自分がやったことは何だったのか。何のためにここまでやってきたのか。馬鹿みたいだ。これが笑わずにいられるか。一番の道化者じゃないか。
ひとしきり感情を爆発させ、笑い疲れたディートハルトは無表情で、ぽっかりと空いた暗闇に自分の身体がゆっくりと沈んでいく錯覚に陥った。そんな中で、ふと湧いた感情。
「イレーネ」
彼女に会いたい。
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