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69、城での情事*
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ずっと一緒に暮らしていれば、身体を重ねていれば、まったくの無関心を貫くのはなかなかできない。翌朝無防備な寝起きを見られることも、避けられない。
「……おはようございます」
じっと見つめられる気まずさから挨拶することも、おはよう、と掠れた声で返されることも。
「昨日も、遅かったんですね」
「ああ……疲れた」
弱音も吐いて、甘えるように首筋に顔を埋められる。
「まだ、もう少し寝ていらして。食事を持ってきますから……」
いいと言われ、まだ寝ているよう引き留められる。そして彼の手はイレーネの背中や尻をゆっくりと撫でまわし始める。
「ディートハルトさま……ん……見習いの娘が起こしにきますから……」
まだ少女ともいえる娘だ。情事の最中など、刺激が強すぎる。そもそもイレーネたちが寝起きする建物は男性が立ち入ることを禁じている。基本的には。監督者の目に留まらなければ、好きにしていい、というのが暗黙の了解で、隠れて恋人を招き入れる者もいた。
だからディートハルトも、大丈夫だとイレーネの小さな耳朶を甘噛みしながら囁く。
「その娘に見せつけてやればいい……きっと心の内では、そういうことに興味を持ち始める年頃だろうから……」
「だめ……あっ……」
内股を鍛えた脚で優しく押し上げられ、つい声が漏れてしまう。
「きみはここが弱い……」
ゆっくりと繰り返し押し上げられ、イレーネは身体を捩る。でもディートハルトにがっちりと捕えられ、胸元に顔を寄せられる。
「待って……おねがい、待ってください……」
朝から身体を繋げれば、その後の仕事に差し支えがある。ひどく疲れてしまうのだ。だからイレーネは毛布の中、反り返ってお腹のあたりに当たっている男根に手を伸ばした。
「これで、我慢してください……」
ディートハルトは目を細め、手で扱くイレーネの顔をじっと眺めていた。それほど時間をかけず、彼は射精した。溜まっていたのかもしれない。掌に包み込まれた雄茎はすぐに硬さを取り戻したから。
「口でも、慰めてくれ……」
望み通りイレーネはごそごそと毛布の中にもぐりこみ、彼のものを咥えた。息苦しいだろうと気遣ってか、あるいは己のものを咥える姿をもっとよく見たいと思ったからか、ディートハルトは毛布を剥ぐと、イレーネの髪を撫でながら見下ろしてくる。淫らな水音が薄暗い部屋の中に響き、彼の荒い息と呻き声で溶け合う。
「あぁ……いきそうだ……うっ、」
口を放すと同時に、勢いよく精液が出され、胸や頬まで飛び散った。
(こんなに……)
知らずと、お腹の奥が熱くなる。だがイレーネはすぐにはしたないことだと、布でそれらを優しく拭き取った。しかしその間にまた彼のものは元気になってしまい、彼女は困ってしまった。ならば今度は胸で挟んでいかせようとすれば、もう我慢できないというようにディートハルトに組み敷かれ、挿入されてしまう。
「ぁ……ディートハルトさま、まって……」
だめだと首を振れば口を塞がれ、無我夢中で腰を振られた。結局何度か出され、ぐったりと横たわるイレーネの身体を抱きしめて口づけする姿を、起しにきた見習いの侍女にばっちりと見られてしまう。
振り返ったディートハルトに朝食を持ってくるよう告げられた少女は、可哀想なほど真っ赤になって転がるように部屋を出て行ったので、イレーネは心の底から申し訳なく思った。
夜に抱くことができないから朝に抱く。昼間偶然すれ違っても、空き部屋へと連れて行かれ、抱かれた。婚約時代とは違い、イレーネはやめてほしいと頼んだ。だがディートハルトは巧みな愛撫であっという間にイレーネを丸め込み、一つに繋がった。
「んっ、ぁっ……ふぅ、ぅ……」
壁に追い詰められ、手首を一つにまとめられて頭上で拘束される。首筋や脇に顔を埋められ、においを嗅がれる。汗をかいているのでやめてほしいと懇願すれば、さらに興奮した様子で鼻を押し付けられ、掌は太股を這い回って陰核と入り口をねちっこく弄られた。
「ぁっ、あんっ……」
気をやったのも束の間、しゃがんでスカートの中に潜り込まれて、濡れそぼった蜜洞に舌を捻じ込まれる。花芽も一緒に吸われてイレーネはびくびくと身体を震わせて達した。
出てきたディートハルトに寄りかかり、足を抱えられ、硬く張りつめた肉棒を突き刺される。もう無理だと譫言のように繰り返しても、まだ大丈夫だと乱れた呼吸と共に掠れた低い声で励まされ、奥や弱いところを容赦なく突いて絶頂させられる。向き合う形で何度も揺さぶられ、唇を腫れそうなほど執拗に吸われる。
「あ、だめ……もうはいらない。あふれちゃう……」
「じゃあ栓をして、もう一度、はぁ、注いでやらないとな……」
「いや、いやぁ……」
それから何度かお互いに達して、ようやくディートハルトは満足してくれた。ぐぽっという音を立てて陰茎が引き抜かれる。べとべとになった蜜口から彼の注いだものが入りきれず肌を伝う。拭かなくちゃ、と思ったイレーネは甘い声をあげた。ディートハルトが零れないよう指で掬って押し込んできたからだ。
イレーネは内心驚いたが、疲れでそれを表に出す気力はなく、また早く仕事に戻らねばならないとされるがままになって、衣服の乱れを急いで直そうとした。しかしそれもまたディートハルトが後ろから抱きしめて邪魔してくる。
「ディートハルトさま。さすがにもう……」
「ああ、わかってる」
口ではそう言っても彼はイレーネを抱きしめ、その手はお腹を緩やかに撫でていた。まるで注いだものを感じるように。
「今日は陛下とお茶の席を一緒にする約束をしているんです」
「どうせ会議で遅れる」
「そんなこと、」
決まっている、と彼は言い切った。
「また内乱の鎮圧で金を巻き上げないといけないからな。聖職者たちに民衆から集めたお布施金を出させろと言って、彼らは商人から卑しい金を没収しろと矛先を変えて、日頃彼らの恩恵を受けている上層市民が激怒する。会議は紛糾して、女王の側近でもある諸侯たちが宥めて、成り上がりの下級貴族が機嫌をとって、女王は結論を出すのに頭を悩ませ、次に持ち越すことを決める。いつものパターンだ」
女王になったことで――というより新たに王が即位した最初の時期は、決まって反感を持つ者があちこち現れる。
外国を収めたかと思えば、次は国内。東を鎮圧すれば、今度は西。いっそ女王に忠誠を誓うくらいなら、独立をしようと企てる大公も出始める。その繰り返しだ。
先王であるヴィルヘルムも何とか税を収めさせようとしていたが、それはグリゼルダの治世になっても同じことだった。ただ彼女は国内を平和にするためにその費用を捻出しようとしているので、まだましな方であろう。
実際彼女は熱心な教会の信者となり、諸侯たちの話にも耳を傾け、商人たちが商売をしやすいよう交通を整える政策など打ち出して、理解ある女王として上手くバランスをとろうとしている。
こちらに都合のいいことばかりでは、彼らの不満が爆発して、結局また別の王に地位を奪われてしまうからだ。家臣の言うことを聞かない前王に対する不満を見抜き、グリゼルダは即位することが叶った。だから臣下を蔑ろにはできない。王の独断で国を治めることは自分が討たれることに繋がりかねない。怯えながら統治する定めであった。
「女王様よりも姫でいた方が、ずっと楽だったろうにな」
グリゼルダは後悔しているだろうか。
「……わたしは、そうは思いません」
「どうして?」
「たしかに大変なこともあったかもしれないけれど……それでも、今の地位に就けたからこそ、得られたものもあったはずだから」
「どうだろうな」
どこか皮肉気に言ったディートハルトを振り返り、イレーネは真っ直ぐと見つめた。
「たとえ今は得られなくても、これから得られるかもしれないわ」
イレーネのいつになく強い眼差しと物言いに、ディートハルトは僅かに目を瞠り、不思議そうに見ていた。
「どうしてそんなにむきになっているんだ?」
「だって……」
グリゼルダの動機がどういうものであれ、彼女は自ら女王の地位を欲したのだ。ようやく、夢を叶えたというのに、ディートハルトの言い分は薄情すぎる気がした。
「陛下も、後悔しているんじゃないか」
だとしたら……あまりにも二人とも勝手だ。
ようやく思い描いていた理想までたどり着いて、欲しかったものを手に入れて、それでやっぱり違うから捨てるなんて、ひどすぎる。それを仕方ないと、当然のことのように述べる神経も、イレーネには全く理解できなかった。
「それを叶えるために、あなたたちはどれほどの人間を巻き込んだんですか。どれだけの犠牲を払ってきたんですか。手に入れたのならば、最後まで責任を負うべきでしょう」
それが巻き込んだ相手への、せめてもの償いではないのか。
「あなたが力を貸したから、姫様は女王陛下になられた。なら、そんな傍観者として見ているのではなく、積極的に支えてあげるべきです」
ディートハルトはしばし黙り込み、イレーネも今度は目を逸らさず、彼を見上げる。
「きみが望むなら、そうしよう」
イレーネは深い失望を味わいながら、諦めたように目を伏せた。
「……おはようございます」
じっと見つめられる気まずさから挨拶することも、おはよう、と掠れた声で返されることも。
「昨日も、遅かったんですね」
「ああ……疲れた」
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「まだ、もう少し寝ていらして。食事を持ってきますから……」
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まだ少女ともいえる娘だ。情事の最中など、刺激が強すぎる。そもそもイレーネたちが寝起きする建物は男性が立ち入ることを禁じている。基本的には。監督者の目に留まらなければ、好きにしていい、というのが暗黙の了解で、隠れて恋人を招き入れる者もいた。
だからディートハルトも、大丈夫だとイレーネの小さな耳朶を甘噛みしながら囁く。
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ゆっくりと繰り返し押し上げられ、イレーネは身体を捩る。でもディートハルトにがっちりと捕えられ、胸元に顔を寄せられる。
「待って……おねがい、待ってください……」
朝から身体を繋げれば、その後の仕事に差し支えがある。ひどく疲れてしまうのだ。だからイレーネは毛布の中、反り返ってお腹のあたりに当たっている男根に手を伸ばした。
「これで、我慢してください……」
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「口でも、慰めてくれ……」
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「あぁ……いきそうだ……うっ、」
口を放すと同時に、勢いよく精液が出され、胸や頬まで飛び散った。
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知らずと、お腹の奥が熱くなる。だがイレーネはすぐにはしたないことだと、布でそれらを優しく拭き取った。しかしその間にまた彼のものは元気になってしまい、彼女は困ってしまった。ならば今度は胸で挟んでいかせようとすれば、もう我慢できないというようにディートハルトに組み敷かれ、挿入されてしまう。
「ぁ……ディートハルトさま、まって……」
だめだと首を振れば口を塞がれ、無我夢中で腰を振られた。結局何度か出され、ぐったりと横たわるイレーネの身体を抱きしめて口づけする姿を、起しにきた見習いの侍女にばっちりと見られてしまう。
振り返ったディートハルトに朝食を持ってくるよう告げられた少女は、可哀想なほど真っ赤になって転がるように部屋を出て行ったので、イレーネは心の底から申し訳なく思った。
夜に抱くことができないから朝に抱く。昼間偶然すれ違っても、空き部屋へと連れて行かれ、抱かれた。婚約時代とは違い、イレーネはやめてほしいと頼んだ。だがディートハルトは巧みな愛撫であっという間にイレーネを丸め込み、一つに繋がった。
「んっ、ぁっ……ふぅ、ぅ……」
壁に追い詰められ、手首を一つにまとめられて頭上で拘束される。首筋や脇に顔を埋められ、においを嗅がれる。汗をかいているのでやめてほしいと懇願すれば、さらに興奮した様子で鼻を押し付けられ、掌は太股を這い回って陰核と入り口をねちっこく弄られた。
「ぁっ、あんっ……」
気をやったのも束の間、しゃがんでスカートの中に潜り込まれて、濡れそぼった蜜洞に舌を捻じ込まれる。花芽も一緒に吸われてイレーネはびくびくと身体を震わせて達した。
出てきたディートハルトに寄りかかり、足を抱えられ、硬く張りつめた肉棒を突き刺される。もう無理だと譫言のように繰り返しても、まだ大丈夫だと乱れた呼吸と共に掠れた低い声で励まされ、奥や弱いところを容赦なく突いて絶頂させられる。向き合う形で何度も揺さぶられ、唇を腫れそうなほど執拗に吸われる。
「あ、だめ……もうはいらない。あふれちゃう……」
「じゃあ栓をして、もう一度、はぁ、注いでやらないとな……」
「いや、いやぁ……」
それから何度かお互いに達して、ようやくディートハルトは満足してくれた。ぐぽっという音を立てて陰茎が引き抜かれる。べとべとになった蜜口から彼の注いだものが入りきれず肌を伝う。拭かなくちゃ、と思ったイレーネは甘い声をあげた。ディートハルトが零れないよう指で掬って押し込んできたからだ。
イレーネは内心驚いたが、疲れでそれを表に出す気力はなく、また早く仕事に戻らねばならないとされるがままになって、衣服の乱れを急いで直そうとした。しかしそれもまたディートハルトが後ろから抱きしめて邪魔してくる。
「ディートハルトさま。さすがにもう……」
「ああ、わかってる」
口ではそう言っても彼はイレーネを抱きしめ、その手はお腹を緩やかに撫でていた。まるで注いだものを感じるように。
「今日は陛下とお茶の席を一緒にする約束をしているんです」
「どうせ会議で遅れる」
「そんなこと、」
決まっている、と彼は言い切った。
「また内乱の鎮圧で金を巻き上げないといけないからな。聖職者たちに民衆から集めたお布施金を出させろと言って、彼らは商人から卑しい金を没収しろと矛先を変えて、日頃彼らの恩恵を受けている上層市民が激怒する。会議は紛糾して、女王の側近でもある諸侯たちが宥めて、成り上がりの下級貴族が機嫌をとって、女王は結論を出すのに頭を悩ませ、次に持ち越すことを決める。いつものパターンだ」
女王になったことで――というより新たに王が即位した最初の時期は、決まって反感を持つ者があちこち現れる。
外国を収めたかと思えば、次は国内。東を鎮圧すれば、今度は西。いっそ女王に忠誠を誓うくらいなら、独立をしようと企てる大公も出始める。その繰り返しだ。
先王であるヴィルヘルムも何とか税を収めさせようとしていたが、それはグリゼルダの治世になっても同じことだった。ただ彼女は国内を平和にするためにその費用を捻出しようとしているので、まだましな方であろう。
実際彼女は熱心な教会の信者となり、諸侯たちの話にも耳を傾け、商人たちが商売をしやすいよう交通を整える政策など打ち出して、理解ある女王として上手くバランスをとろうとしている。
こちらに都合のいいことばかりでは、彼らの不満が爆発して、結局また別の王に地位を奪われてしまうからだ。家臣の言うことを聞かない前王に対する不満を見抜き、グリゼルダは即位することが叶った。だから臣下を蔑ろにはできない。王の独断で国を治めることは自分が討たれることに繋がりかねない。怯えながら統治する定めであった。
「女王様よりも姫でいた方が、ずっと楽だったろうにな」
グリゼルダは後悔しているだろうか。
「……わたしは、そうは思いません」
「どうして?」
「たしかに大変なこともあったかもしれないけれど……それでも、今の地位に就けたからこそ、得られたものもあったはずだから」
「どうだろうな」
どこか皮肉気に言ったディートハルトを振り返り、イレーネは真っ直ぐと見つめた。
「たとえ今は得られなくても、これから得られるかもしれないわ」
イレーネのいつになく強い眼差しと物言いに、ディートハルトは僅かに目を瞠り、不思議そうに見ていた。
「どうしてそんなにむきになっているんだ?」
「だって……」
グリゼルダの動機がどういうものであれ、彼女は自ら女王の地位を欲したのだ。ようやく、夢を叶えたというのに、ディートハルトの言い分は薄情すぎる気がした。
「陛下も、後悔しているんじゃないか」
だとしたら……あまりにも二人とも勝手だ。
ようやく思い描いていた理想までたどり着いて、欲しかったものを手に入れて、それでやっぱり違うから捨てるなんて、ひどすぎる。それを仕方ないと、当然のことのように述べる神経も、イレーネには全く理解できなかった。
「それを叶えるために、あなたたちはどれほどの人間を巻き込んだんですか。どれだけの犠牲を払ってきたんですか。手に入れたのならば、最後まで責任を負うべきでしょう」
それが巻き込んだ相手への、せめてもの償いではないのか。
「あなたが力を貸したから、姫様は女王陛下になられた。なら、そんな傍観者として見ているのではなく、積極的に支えてあげるべきです」
ディートハルトはしばし黙り込み、イレーネも今度は目を逸らさず、彼を見上げる。
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