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41、夫婦*
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イレーネは戸惑ったものの、逆らわなかった。これまで数え切れないほど、ハインツとはそういうことをしてきたから今更だった。だからといって、決して恥ずかしくないわけではなかったけれど。
むしろ何度やってもお互いの性器を舐め合うという行為は慣れなくて、もしエミールが起き出して部屋の扉を開けてしまったら……という背徳感もあった。
「重く、ないですか」
「ぜんぜん。もっと体重のせていいよ」
そう言われても病人の上に乗っかるのは気が引けて、イレーネは肘と膝をつき、身体を浮かせるようにしてハインツの上に跨った。彼の眼前に自分の尻を突き出す格好になり、初めの頃は顔から火が出るほど恥ずかしく、泣いて嫌がったものだ。今も尻を割り開き、じっとその奥に視線が注がれていると思うと、身体全体が火照ってくる。
でもこれは愛の行為で、互いを気持ちよくさせるためのものだと知っているから、イレーネは目の前で涎を垂らしているハインツの分身にちゅっと口づけした。いきなり口で咥えると疲れてしまうので、まずは雁首や裏筋など、ハインツに気持ちがいいと教えてもらった箇所に舌を這わせていく。
「イレーネのここ、もう濡れてる……」
「ひゃっ……」
相手が何をしているかわからないので、いきなりふっと息を吹きかけられて、イレーネはびくっと尻を揺らしてしまった。ハインツが笑い、かわいいと内股の白く柔らかい肌に吸いついてあとを残そうとする。濡れているそこには触れず、彼もまた焦らすようにその周りを愛撫しているのがわかった。
「はぁ……ん……」
蜜壺が疼き、触れられてもないのに蜜が湧き出て、花びらを濡らしていく。は、は……とイレーネは犬のように待てを食らっている心地になってきて、あそこを物欲しげにひくつかせた。
「ほら、イレーネも舐めて……」
手が止まっていると指摘され、イレーネは甘い責め苦に耐えながら再びハインツのものを慰め始める。焦らすように優しく、ゆっくりと下から上へ舌先で舐めていくと、ぴくぴくと男根は生き物のように脈打ち、まるでもっと欲しいというように硬く勃ち上がってくる。
イレーネは願いを叶えるように亀頭を口に咥えた。カリの部分をひっかけるように唇で吸い上げれば、ハインツの呻き声が聴こえてくる。もっと気持ちよくなってほしくて、必死で顎を上下に動かし、手で竿を扱いた。
「んっ、んむぅ、んんっ――」
もうそろそろ射精するんじゃないだろうか、と思っていたら、いきなりべろりと花芯を舐められ、彼女は息を呑んだ。ハインツはべろべろと花びらや蕾を舐め、ちゅうっと吸い上げるように口づけしてくるので、イレーネはたまらなくなって、一度彼のものから口を放してしまった。
「ぁっ、はぁ……んっ、そこ、だめ……ぁぁんっ……」
逃げようと前へ進もうとすれば、太股を掴まれてますます夢中で舐めてくる。
「ふぅ、うっ、ぁ、あっ、ぁっん――」
イレーネはとうとう自分の身体を支えきれず、だがハインツにのしかかってはだめだと、横へと倒れ込んだ。しかしハインツはそれでもイレーネの秘所から顔を離さず、じゅるじゅると蜜を啜って、イレーネの頭の中を何度も真っ白にさせた。
「ぁ……ハインツさま、もう、もうおやめになって……」
息も絶え絶えにそう懇願すると、彼はようやくイレーネに快感を与えることをやめてくれた。イレーネはぐったりとしていたが、まだハインツを導いてやれていないと思い、身を起すと、今度は向き合って、彼の上へと跨る。
「イレーネが挿入れてくれるの?」
少しの揶揄と、たっぷりの甘さを含んだ声でハインツはイレーネを愛おしそうに見上げた。彼女は困った顔をしながらもこくりと頷き、天を向いた屹立を濡れそぼった入り口へあてがった。
「んっ、ふぅ、はぁぁ……」
ぐぷっと水音を立てながら飲み込まれていく肉棒は媚肉を容赦なく擦り、最奥へと突き進んでいく。すべて咥え終わって、イレーネは目を瞑ってふぅふぅと息をしながらしばらく圧倒的な存在に酔いしれた。
だがじっとしていても、剛直はイレーネの中を刺激し続け、彼女は自然と腰を揺らしてしまう。その妻の緩慢な動きに辛くなったのか、ハインツが腰を突き上げ始めたのでイレーネはぱちっと目を開いて、だめ……と彼の胸に手を置いた。
「わたしが、動きますから。だから、あなたはじっとしていて……」
ね? と心配から頼めば、ハインツはわかったというように微笑んでイレーネの手を自分の指に絡ませた。
「でも、苦しいから。いっぱい動いて」
「もう……」
そう言いながらも、イレーネは緩やかに前後に腰を動かしたり、尻を持ち上げてハインツを快感で呻かせた。イレーネもまた陰核が擦れて、奥を何度も自分の意思で突かせて、たまらなく気持ちよかった。ハインツはそんなイレーネの痴態を見上げながら、揺れる乳房に手を伸ばして揉み始める。
子どもを産んで大きくなった胸をイレーネはもっと触ってというように彼の手首を掴んで押しつけた。それに興奮してか、ハインツは両手で押しつぶすようにこね回し、硬い蕾をきゅっと摘まんだ。
「あっん……」
ハインツはイレーネと駆け落ちすることを決めてから、さらに優しくなった。甘い容姿に釣られて女性から秋波を送られても無視するか、本当に気づかないまま、嫉妬するイレーネを可愛がった。
妊娠した時もイレーネの体調を気遣って、欲しいものやしてほしいことを聞いて、身体に何かあったら大変だと大人しく休んでいるよう何度も言われた。エミールが生まれてからは、ますます真面目で優しい父親となった。イレーネのことも、息子の前ではお母さんと呼ぶことが増えた。
「イレーネのここ、すごく尖ってる……」
でも、閨事では相変わらず意地悪で、イレーネの恥ずかしいこと、嫌がること――つまり気持ちがいいことをたくさんしてくる。
「んっ、ぁっ、ハインツさまっ、そんなひっぱったら、とれちゃう……!」
「本当? それは大変だ……じゃあ、こっちならいい?」
今度はくりくりと押しつぶしてきて、イレーネはいやいやと少女のように首を横に振った。
「あぁ、イレーネ、かわいい……はぁ、もう、だめだっ」
我慢の限界だというように勢いよく腰を突き上げ、ぱちゅんぱちゅんと淫らな打擲音を響かせながらイレーネを甘く啼かせた。
「あっん、だめっ、ハインツさま……わたし、もう、いっちゃう……いっちゃう……」
「あぁ、俺も、イレーネ、いくっ」
「はぁ、う、ぁっ、あぁっ――」
イレーネは喉元を晒しながら、がくがくと身体を震わせた。そして力尽きたようにハインツの胸へ倒れ込んでしまう。彼は大きく胸を上下しながら、イレーネの背中を撫でてくる。彼女が重たいだろうと横へずれようとしても、ぐっと抱きしめられ、顔を上げると唇に触れて、互いの瞳に吸い寄せられるようにして口づけを交わした。
苦しいのに夢中で貪り合い、ハインツはくぐもった声を上げながら、さらにイレーネを強く抱きしめてくる。自分を見つめる彼の表情は苦悶に満ちていた。
「イレーネ……おまえが好きだ……おまえと離れたくない……おまえをこの世に残したくない……おまえも一緒に連れて行きたい……」
死にたくない、と血を吐くような本音に、イレーネは胸を衝かれ、泣きそうになった。
(わたしも、あなたと一緒にいたい……)
ハインツと一緒に死ねたらどれほど幸福だろう。
(でも……)
イレーネの胸の内を聞いたようにハインツは微笑んだ。
「わかってる。エミールがいるから……おまえによく似た、可愛くて、素直で、優しい俺たちの子ども……あの子だけは、連れて行けないからっ……」
ハインツは目を閉じて声を震わせた。
イレーネを連れて行くということは、エミールから母親を取り上げるということだ。そんな非道なこと、息子を愛している彼にはできなかった。
「でもな、イレーネ……俺が死んだあと、おまえが誰か他の男と一緒になって、そいつと新しい家族になって、それでいつか、俺のことも忘れちまうかと思うと……すごく、辛いんだ……気が狂いそうになる……」
「あなた……」
イレーネは涙を流すハインツの頬を撫で、そっと口づけを落としていく。
「ハインツ様、わたしは誰のものにもなりません……わたしはずっと、あなただけの妻ですわ……」
たとえ彼がこの世を去っても、イレーネは未亡人であり続ける。そう告げても、ハインツは寂しげにこちらを見るだけだ。
「イレーネ、俺にはわかるんだよ……きっとおまえは他の男に奪われる……だっておまえは俺みたいなクズでも見捨てず、一緒に生きる道を選んでくれた……どんな化け物じみたやつだって受け入れてくれる懐の深さがあるから……だから、きっと奪いにくる……俺じゃあ、敵わないくらいの恐ろしい男がおまえを……」
最後まで言葉にはせず、ハインツは黙ってイレーネを抱きしめた。彼女も彼に縋りつき、耳元で囁いた。その言葉を聞いて、ハインツは泣きそうな顔でイレーネの名前を呟いたのだった。
むしろ何度やってもお互いの性器を舐め合うという行為は慣れなくて、もしエミールが起き出して部屋の扉を開けてしまったら……という背徳感もあった。
「重く、ないですか」
「ぜんぜん。もっと体重のせていいよ」
そう言われても病人の上に乗っかるのは気が引けて、イレーネは肘と膝をつき、身体を浮かせるようにしてハインツの上に跨った。彼の眼前に自分の尻を突き出す格好になり、初めの頃は顔から火が出るほど恥ずかしく、泣いて嫌がったものだ。今も尻を割り開き、じっとその奥に視線が注がれていると思うと、身体全体が火照ってくる。
でもこれは愛の行為で、互いを気持ちよくさせるためのものだと知っているから、イレーネは目の前で涎を垂らしているハインツの分身にちゅっと口づけした。いきなり口で咥えると疲れてしまうので、まずは雁首や裏筋など、ハインツに気持ちがいいと教えてもらった箇所に舌を這わせていく。
「イレーネのここ、もう濡れてる……」
「ひゃっ……」
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「ほら、イレーネも舐めて……」
手が止まっていると指摘され、イレーネは甘い責め苦に耐えながら再びハインツのものを慰め始める。焦らすように優しく、ゆっくりと下から上へ舌先で舐めていくと、ぴくぴくと男根は生き物のように脈打ち、まるでもっと欲しいというように硬く勃ち上がってくる。
イレーネは願いを叶えるように亀頭を口に咥えた。カリの部分をひっかけるように唇で吸い上げれば、ハインツの呻き声が聴こえてくる。もっと気持ちよくなってほしくて、必死で顎を上下に動かし、手で竿を扱いた。
「んっ、んむぅ、んんっ――」
もうそろそろ射精するんじゃないだろうか、と思っていたら、いきなりべろりと花芯を舐められ、彼女は息を呑んだ。ハインツはべろべろと花びらや蕾を舐め、ちゅうっと吸い上げるように口づけしてくるので、イレーネはたまらなくなって、一度彼のものから口を放してしまった。
「ぁっ、はぁ……んっ、そこ、だめ……ぁぁんっ……」
逃げようと前へ進もうとすれば、太股を掴まれてますます夢中で舐めてくる。
「ふぅ、うっ、ぁ、あっ、ぁっん――」
イレーネはとうとう自分の身体を支えきれず、だがハインツにのしかかってはだめだと、横へと倒れ込んだ。しかしハインツはそれでもイレーネの秘所から顔を離さず、じゅるじゅると蜜を啜って、イレーネの頭の中を何度も真っ白にさせた。
「ぁ……ハインツさま、もう、もうおやめになって……」
息も絶え絶えにそう懇願すると、彼はようやくイレーネに快感を与えることをやめてくれた。イレーネはぐったりとしていたが、まだハインツを導いてやれていないと思い、身を起すと、今度は向き合って、彼の上へと跨る。
「イレーネが挿入れてくれるの?」
少しの揶揄と、たっぷりの甘さを含んだ声でハインツはイレーネを愛おしそうに見上げた。彼女は困った顔をしながらもこくりと頷き、天を向いた屹立を濡れそぼった入り口へあてがった。
「んっ、ふぅ、はぁぁ……」
ぐぷっと水音を立てながら飲み込まれていく肉棒は媚肉を容赦なく擦り、最奥へと突き進んでいく。すべて咥え終わって、イレーネは目を瞑ってふぅふぅと息をしながらしばらく圧倒的な存在に酔いしれた。
だがじっとしていても、剛直はイレーネの中を刺激し続け、彼女は自然と腰を揺らしてしまう。その妻の緩慢な動きに辛くなったのか、ハインツが腰を突き上げ始めたのでイレーネはぱちっと目を開いて、だめ……と彼の胸に手を置いた。
「わたしが、動きますから。だから、あなたはじっとしていて……」
ね? と心配から頼めば、ハインツはわかったというように微笑んでイレーネの手を自分の指に絡ませた。
「でも、苦しいから。いっぱい動いて」
「もう……」
そう言いながらも、イレーネは緩やかに前後に腰を動かしたり、尻を持ち上げてハインツを快感で呻かせた。イレーネもまた陰核が擦れて、奥を何度も自分の意思で突かせて、たまらなく気持ちよかった。ハインツはそんなイレーネの痴態を見上げながら、揺れる乳房に手を伸ばして揉み始める。
子どもを産んで大きくなった胸をイレーネはもっと触ってというように彼の手首を掴んで押しつけた。それに興奮してか、ハインツは両手で押しつぶすようにこね回し、硬い蕾をきゅっと摘まんだ。
「あっん……」
ハインツはイレーネと駆け落ちすることを決めてから、さらに優しくなった。甘い容姿に釣られて女性から秋波を送られても無視するか、本当に気づかないまま、嫉妬するイレーネを可愛がった。
妊娠した時もイレーネの体調を気遣って、欲しいものやしてほしいことを聞いて、身体に何かあったら大変だと大人しく休んでいるよう何度も言われた。エミールが生まれてからは、ますます真面目で優しい父親となった。イレーネのことも、息子の前ではお母さんと呼ぶことが増えた。
「イレーネのここ、すごく尖ってる……」
でも、閨事では相変わらず意地悪で、イレーネの恥ずかしいこと、嫌がること――つまり気持ちがいいことをたくさんしてくる。
「んっ、ぁっ、ハインツさまっ、そんなひっぱったら、とれちゃう……!」
「本当? それは大変だ……じゃあ、こっちならいい?」
今度はくりくりと押しつぶしてきて、イレーネはいやいやと少女のように首を横に振った。
「あぁ、イレーネ、かわいい……はぁ、もう、だめだっ」
我慢の限界だというように勢いよく腰を突き上げ、ぱちゅんぱちゅんと淫らな打擲音を響かせながらイレーネを甘く啼かせた。
「あっん、だめっ、ハインツさま……わたし、もう、いっちゃう……いっちゃう……」
「あぁ、俺も、イレーネ、いくっ」
「はぁ、う、ぁっ、あぁっ――」
イレーネは喉元を晒しながら、がくがくと身体を震わせた。そして力尽きたようにハインツの胸へ倒れ込んでしまう。彼は大きく胸を上下しながら、イレーネの背中を撫でてくる。彼女が重たいだろうと横へずれようとしても、ぐっと抱きしめられ、顔を上げると唇に触れて、互いの瞳に吸い寄せられるようにして口づけを交わした。
苦しいのに夢中で貪り合い、ハインツはくぐもった声を上げながら、さらにイレーネを強く抱きしめてくる。自分を見つめる彼の表情は苦悶に満ちていた。
「イレーネ……おまえが好きだ……おまえと離れたくない……おまえをこの世に残したくない……おまえも一緒に連れて行きたい……」
死にたくない、と血を吐くような本音に、イレーネは胸を衝かれ、泣きそうになった。
(わたしも、あなたと一緒にいたい……)
ハインツと一緒に死ねたらどれほど幸福だろう。
(でも……)
イレーネの胸の内を聞いたようにハインツは微笑んだ。
「わかってる。エミールがいるから……おまえによく似た、可愛くて、素直で、優しい俺たちの子ども……あの子だけは、連れて行けないからっ……」
ハインツは目を閉じて声を震わせた。
イレーネを連れて行くということは、エミールから母親を取り上げるということだ。そんな非道なこと、息子を愛している彼にはできなかった。
「でもな、イレーネ……俺が死んだあと、おまえが誰か他の男と一緒になって、そいつと新しい家族になって、それでいつか、俺のことも忘れちまうかと思うと……すごく、辛いんだ……気が狂いそうになる……」
「あなた……」
イレーネは涙を流すハインツの頬を撫で、そっと口づけを落としていく。
「ハインツ様、わたしは誰のものにもなりません……わたしはずっと、あなただけの妻ですわ……」
たとえ彼がこの世を去っても、イレーネは未亡人であり続ける。そう告げても、ハインツは寂しげにこちらを見るだけだ。
「イレーネ、俺にはわかるんだよ……きっとおまえは他の男に奪われる……だっておまえは俺みたいなクズでも見捨てず、一緒に生きる道を選んでくれた……どんな化け物じみたやつだって受け入れてくれる懐の深さがあるから……だから、きっと奪いにくる……俺じゃあ、敵わないくらいの恐ろしい男がおまえを……」
最後まで言葉にはせず、ハインツは黙ってイレーネを抱きしめた。彼女も彼に縋りつき、耳元で囁いた。その言葉を聞いて、ハインツは泣きそうな顔でイレーネの名前を呟いたのだった。
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