33 / 116
33、選択
しおりを挟む
ディートハルトとの婚約が破談になった時は、すぐにハインツとの婚約が決まった。だからもうすでに父はあれこれと候補者を頭の中で絞り、最終的な決定を下そうとしているはずだ。
今度はどんな相手だろう。さすがに二度も違う男性と身体を繋げた身だ。若い男性は嫌厭するだろう。あるいはそういったことを上手く隠して付き合えと言われるかもしれない。
それかそんなこと些細な問題だというような事情のある男――うんと年の離れた男性のもとへ嫁がされるか。早くに妻を亡くして、子どももいて、あとは自分の老後の世話をさせるためだけの女性を探している相手とか……。
誰でもよかった。どうせ、みんな同じだ。ハインツ以外、みんな……
「イレーネ様」
イレーネはメイドの声にのろのろと顔を上げた。そしてその顔に、今気づいたというように眉根を下げた。
「あなた、あの時のメイドよね……ごめんなさい。わたしのせいでお父様に罰せられて……」
ハインツと二人きりにさせた監督不行き届きだとして、しばらくの間減給と、イレーネの世話を外されていたのだ。
「いいえ、それは構わないのです。……それより、イレーネ様にお会いしたいという方から言伝を預かっております」
「えっ?」
メイドはこっそりとイレーネの耳元に口を寄せ、数日後、散歩を装って庭の小屋へ行くよう囁いた。
父が商談で留守にしている間、イレーネは「お父様がいない間、少しの間でいいから気分転換に外を歩きたいの」と家令にお願いした。無理矢理婚約を解消されたことを知っている家令はイレーネに同情してか、メイドがそばにいることを条件に許してくれた。そのメイドはもちろん、数日前にイレーネに小屋へ行くことを告げたメイドであった。
イレーネは庭に咲いた花を楽しむ余裕もなく、ただ周りの目を気にして、それでも足早に小屋へと向かった。メイドが近くで見張りながら、イレーネは一人、小屋の扉を開けた。そこには――
「イレーネ!」
「ハインツ様!」
イレーネは彼の姿を見るなりばっと抱き着いていた。ハインツもぎゅうと強く抱きしめ返して、イレーネの名を何度も呼んだ。
「もう、お会いできないと思っておりました」
目に涙を浮かべながらそう述べると、憔悴しきった顔で、それでもハインツは笑って見せた。
「今度は地面に額を擦りつけても許してくれなかったからさ。おまえのメイドに無理言って引き受けてもらったんだ」
「そう、だったんですか」
「うん……」
彼はイレーネに会えて今までの緊張の糸が切れたのか、ずるずると床に座り込んだ。支えきれず、イレーネも一緒になって下へと落ちた。
「弟がさ、俺のせいだって言うんだよ。今まで通り道楽者でいてくれればよかったのに、急に真面目ぶって勉強なんかし始めるから、だから僕の将来の居場所がなくなるって……」
ハインツはそこまで言うと、乾いた声で笑った。
「親父もさ、おまえに今さらやる気を出してもらっても、困るって……結局、後で俺の日頃の素行とか出来の悪さを理由にして、アドリアンに家を継がせるつもりだったんだ……だから、俺が邪魔になったから、とうとう、捨てられちまった……」
「ハインツ様……」
イレーネはハインツの打ちひしがれた様子がまるで泣いているように見えて、気づけば頭をかき抱き、自身の身体へ抱き寄せていた。
ハインツはしばらくイレーネのされるがままになっていたが、時間を気にしてか、やがて身体を離した。イレーネは黙って、ハインツを見つめた。彼は弱々しい笑みを浮かべ、イレーネの頬をくすぐった。
「なぁ、イレーネ。俺と、逃げないか」
彼女は息を呑んだ。
「逃げるって……」
「どこか遠くの町で、俺と一緒に暮らすってこと」
「そのために、ここへいらしたんですか」
「いいや……最初は、せめて顔だけでも見て、別れの言葉を言いたいって思った……だっていきなり別れろって言われても、はいそうですかって納得できないし、あんまりだろ。だから一言だけでも……でも、なんかおまえの顔見たら、やっぱ無理って思って……」
つまり突発的に思いついたことらしい。
「どこへ、逃げるんですか」
「それは……」
「まずどうやって逃げるんですか。」
「……わかんね」
「……」
「でも! おまえと離れたくないんだ! だから――」
「ハインツ様」
イレーネは落ち着いた声で彼の言葉を遮った。
「無理ですわ」
ハインツは傷ついたような顔をした。顔を歪め、ぐっと歯を食いしばって、下を向いて笑った。
「そうだよな……おまえは俺と逃げる道なんか、選ばないよな」
力尽きたようにハインツは腕を床へと下した。
「じゃあさ、最後に一度だけやらせてよ……イレーネのこと忘れたくないから。それで、一生の思い出にするから、なぁ、それくらいなら、」
「ハインツ様」
「やっぱだめか? でも俺、もうおまえと会えなくなると思うと、何を糧に生きていけばいいかわかんねぇんだよ、今までみたいに、まぁいいっか、ってなんないんだよ。もう、おまえがいないと、」
「ハインツ様」
わたしを見て、とイレーネは彼の両頬を挟んで無理矢理顔を上げさせた。驚きで見開かれる青い目を真っ直ぐと見つめる。
「今はそんなことしている暇はありません。逃げるなら、きちんと計画を立てないと」
「……は?」
ポカンと呆けた面を晒すハインツに、イレーネは悪戯っぽく微笑んだ。
「わたしと一緒に、逃げてくれるんでしょう?」
「いや、そうだけど、え? でもさっき無理だって……」
「行き先も逃げる方法も決まっていない今のやり方では無理だと言ったんです」
「いや、そんなん、おまえ……」
ハインツはまだどこか放心した様子で、譫言みたいなことを呟いていたが、やがて「はぁー……」と顔を覆ってため息をついた。
「なんだよ、もう、俺もう死んだ方がマシっていう心地になったよ……びっくりさせるなよ……」
「ごめんなさい」
「いや、生き返ったからいいんだけど……でも、本当にいいんだな?」
顔を上げて、両手を握られる。
「俺と逃げて、一緒に生きてくれるか」
ハインツの言葉に、イレーネは躊躇いなく頷いた。
「ほんとに? もう家族にも会えねぇし、途中で捕まったらひどい罰与えられるかもしれねぇ……運よく逃げきれても、今までみたいに裕福な暮らしはできないだろうし……それでも、いいのか」
「ええ、わかっています」
それでも、と思うのだ。
「どんな辛いことが待っていようと……今までの生活をすべて捨てることになっても、あなたと離れたくないんです」
「イレーネ……」
どうせこのまま何もしなければ、ハインツ以外の人間と結婚する羽目になる。だったら、やるだけのことはやってみよう。
(こんなふうに私が思うようになったのも、ハインツ様の影響かも……)
そんなことをイレーネが思っていると、ハインツは急にやる気になったように背筋を伸ばした。
「わかった。じゃあ、いつにする? 今から?」
「さすがにそれはちょっと……でも、なるべく早く決行しましょう」
そうでないとイレーネの次の婚約者が決まり、また家へ押しかけられるか、今度こそ一歩も外へ出してもらえなくなる可能性がある。
「じゃあ、準備ができしだい日を決めて、それで夜がいいよな……俺がこっそりここまで来て……おまえ、夜に抜け出せる?」
「ええ、たぶん、大丈夫だと思います」
最悪シーツを繋ぎ合わせて窓から糸のように垂らして下りればいい。
「それで、とにかく遠くに逃げないとな……ああ、でも街の外へ行くには見張りがいるんだよな……運よく出られたとしても、それから朝までどこまで行けるか……馬も手配して……」
取り留めもなく語られるハインツの計画をイレーネは聞きながら、きっと自分たちだけでは限界があると冷静に思い始めていた。
「――ハインツ様。わたしに一人、力を貸してくれるかもしれない人がいるんです」
驚いたように彼はイレーネを見た。
「そんな人間いるのかよ」
「力を貸してくれるかどうかは、まだわかりません」
なにせ彼女はとても気紛れで、顔見知りだからといって手を貸してくれるとは限らない。でも、全く相手にしないということもしないはずだ。
「ハインツ様にも、口添えしてほしいのです」
今までのことを踏まえれば、きっと彼女は自分たちに興味を持つだろう。だから……頼んでみる価値はある。
「なんかこえーな……誰なんだよ、そいつ」
イレーネが口にした名前に、ハインツは今日一番の驚いた顔を見せたのだった。
今度はどんな相手だろう。さすがに二度も違う男性と身体を繋げた身だ。若い男性は嫌厭するだろう。あるいはそういったことを上手く隠して付き合えと言われるかもしれない。
それかそんなこと些細な問題だというような事情のある男――うんと年の離れた男性のもとへ嫁がされるか。早くに妻を亡くして、子どももいて、あとは自分の老後の世話をさせるためだけの女性を探している相手とか……。
誰でもよかった。どうせ、みんな同じだ。ハインツ以外、みんな……
「イレーネ様」
イレーネはメイドの声にのろのろと顔を上げた。そしてその顔に、今気づいたというように眉根を下げた。
「あなた、あの時のメイドよね……ごめんなさい。わたしのせいでお父様に罰せられて……」
ハインツと二人きりにさせた監督不行き届きだとして、しばらくの間減給と、イレーネの世話を外されていたのだ。
「いいえ、それは構わないのです。……それより、イレーネ様にお会いしたいという方から言伝を預かっております」
「えっ?」
メイドはこっそりとイレーネの耳元に口を寄せ、数日後、散歩を装って庭の小屋へ行くよう囁いた。
父が商談で留守にしている間、イレーネは「お父様がいない間、少しの間でいいから気分転換に外を歩きたいの」と家令にお願いした。無理矢理婚約を解消されたことを知っている家令はイレーネに同情してか、メイドがそばにいることを条件に許してくれた。そのメイドはもちろん、数日前にイレーネに小屋へ行くことを告げたメイドであった。
イレーネは庭に咲いた花を楽しむ余裕もなく、ただ周りの目を気にして、それでも足早に小屋へと向かった。メイドが近くで見張りながら、イレーネは一人、小屋の扉を開けた。そこには――
「イレーネ!」
「ハインツ様!」
イレーネは彼の姿を見るなりばっと抱き着いていた。ハインツもぎゅうと強く抱きしめ返して、イレーネの名を何度も呼んだ。
「もう、お会いできないと思っておりました」
目に涙を浮かべながらそう述べると、憔悴しきった顔で、それでもハインツは笑って見せた。
「今度は地面に額を擦りつけても許してくれなかったからさ。おまえのメイドに無理言って引き受けてもらったんだ」
「そう、だったんですか」
「うん……」
彼はイレーネに会えて今までの緊張の糸が切れたのか、ずるずると床に座り込んだ。支えきれず、イレーネも一緒になって下へと落ちた。
「弟がさ、俺のせいだって言うんだよ。今まで通り道楽者でいてくれればよかったのに、急に真面目ぶって勉強なんかし始めるから、だから僕の将来の居場所がなくなるって……」
ハインツはそこまで言うと、乾いた声で笑った。
「親父もさ、おまえに今さらやる気を出してもらっても、困るって……結局、後で俺の日頃の素行とか出来の悪さを理由にして、アドリアンに家を継がせるつもりだったんだ……だから、俺が邪魔になったから、とうとう、捨てられちまった……」
「ハインツ様……」
イレーネはハインツの打ちひしがれた様子がまるで泣いているように見えて、気づけば頭をかき抱き、自身の身体へ抱き寄せていた。
ハインツはしばらくイレーネのされるがままになっていたが、時間を気にしてか、やがて身体を離した。イレーネは黙って、ハインツを見つめた。彼は弱々しい笑みを浮かべ、イレーネの頬をくすぐった。
「なぁ、イレーネ。俺と、逃げないか」
彼女は息を呑んだ。
「逃げるって……」
「どこか遠くの町で、俺と一緒に暮らすってこと」
「そのために、ここへいらしたんですか」
「いいや……最初は、せめて顔だけでも見て、別れの言葉を言いたいって思った……だっていきなり別れろって言われても、はいそうですかって納得できないし、あんまりだろ。だから一言だけでも……でも、なんかおまえの顔見たら、やっぱ無理って思って……」
つまり突発的に思いついたことらしい。
「どこへ、逃げるんですか」
「それは……」
「まずどうやって逃げるんですか。」
「……わかんね」
「……」
「でも! おまえと離れたくないんだ! だから――」
「ハインツ様」
イレーネは落ち着いた声で彼の言葉を遮った。
「無理ですわ」
ハインツは傷ついたような顔をした。顔を歪め、ぐっと歯を食いしばって、下を向いて笑った。
「そうだよな……おまえは俺と逃げる道なんか、選ばないよな」
力尽きたようにハインツは腕を床へと下した。
「じゃあさ、最後に一度だけやらせてよ……イレーネのこと忘れたくないから。それで、一生の思い出にするから、なぁ、それくらいなら、」
「ハインツ様」
「やっぱだめか? でも俺、もうおまえと会えなくなると思うと、何を糧に生きていけばいいかわかんねぇんだよ、今までみたいに、まぁいいっか、ってなんないんだよ。もう、おまえがいないと、」
「ハインツ様」
わたしを見て、とイレーネは彼の両頬を挟んで無理矢理顔を上げさせた。驚きで見開かれる青い目を真っ直ぐと見つめる。
「今はそんなことしている暇はありません。逃げるなら、きちんと計画を立てないと」
「……は?」
ポカンと呆けた面を晒すハインツに、イレーネは悪戯っぽく微笑んだ。
「わたしと一緒に、逃げてくれるんでしょう?」
「いや、そうだけど、え? でもさっき無理だって……」
「行き先も逃げる方法も決まっていない今のやり方では無理だと言ったんです」
「いや、そんなん、おまえ……」
ハインツはまだどこか放心した様子で、譫言みたいなことを呟いていたが、やがて「はぁー……」と顔を覆ってため息をついた。
「なんだよ、もう、俺もう死んだ方がマシっていう心地になったよ……びっくりさせるなよ……」
「ごめんなさい」
「いや、生き返ったからいいんだけど……でも、本当にいいんだな?」
顔を上げて、両手を握られる。
「俺と逃げて、一緒に生きてくれるか」
ハインツの言葉に、イレーネは躊躇いなく頷いた。
「ほんとに? もう家族にも会えねぇし、途中で捕まったらひどい罰与えられるかもしれねぇ……運よく逃げきれても、今までみたいに裕福な暮らしはできないだろうし……それでも、いいのか」
「ええ、わかっています」
それでも、と思うのだ。
「どんな辛いことが待っていようと……今までの生活をすべて捨てることになっても、あなたと離れたくないんです」
「イレーネ……」
どうせこのまま何もしなければ、ハインツ以外の人間と結婚する羽目になる。だったら、やるだけのことはやってみよう。
(こんなふうに私が思うようになったのも、ハインツ様の影響かも……)
そんなことをイレーネが思っていると、ハインツは急にやる気になったように背筋を伸ばした。
「わかった。じゃあ、いつにする? 今から?」
「さすがにそれはちょっと……でも、なるべく早く決行しましょう」
そうでないとイレーネの次の婚約者が決まり、また家へ押しかけられるか、今度こそ一歩も外へ出してもらえなくなる可能性がある。
「じゃあ、準備ができしだい日を決めて、それで夜がいいよな……俺がこっそりここまで来て……おまえ、夜に抜け出せる?」
「ええ、たぶん、大丈夫だと思います」
最悪シーツを繋ぎ合わせて窓から糸のように垂らして下りればいい。
「それで、とにかく遠くに逃げないとな……ああ、でも街の外へ行くには見張りがいるんだよな……運よく出られたとしても、それから朝までどこまで行けるか……馬も手配して……」
取り留めもなく語られるハインツの計画をイレーネは聞きながら、きっと自分たちだけでは限界があると冷静に思い始めていた。
「――ハインツ様。わたしに一人、力を貸してくれるかもしれない人がいるんです」
驚いたように彼はイレーネを見た。
「そんな人間いるのかよ」
「力を貸してくれるかどうかは、まだわかりません」
なにせ彼女はとても気紛れで、顔見知りだからといって手を貸してくれるとは限らない。でも、全く相手にしないということもしないはずだ。
「ハインツ様にも、口添えしてほしいのです」
今までのことを踏まえれば、きっと彼女は自分たちに興味を持つだろう。だから……頼んでみる価値はある。
「なんかこえーな……誰なんだよ、そいつ」
イレーネが口にした名前に、ハインツは今日一番の驚いた顔を見せたのだった。
261
お気に入りに追加
4,937
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。
ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」
ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。
「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」
一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。
だって。
──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる