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10、騎士の名前
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黒の騎士団は国王が設立したもので、王城が根倉ともいえた。特に王が気に入った騎士は傍に控えさせており、華やかな装いは並みの貴族よりも裕福そうに見えた。
彼らは貴婦人との宮廷付き合いも大切にしており、時としてはそちらに命を懸ける者もいる。
とにかく女性を見かければ声をかけるのが彼らの性分で、イレーネの同僚はそんな良い獲物となった。
むろん彼女たちの方も満更ではない調子で彼らのお相手を務め、恋人役まで勝ち取る者もいる。親の決めた婚約者よりもずっと見目麗しく、上手くいけば結婚できるかもしれない。だがたいていは数回の逢瀬で終わり、他の上玉を狙うまでの都合のいい相手にしかならなかった。
だからイレーネは、騎士といえば警戒する。遠目から見てすれ違うとわかれば、わざわざ他の道を探すか、身を隠して彼らが通り過ぎるのを待った。
だが今回は運悪く一人の騎士と目が合ってしまい、逃げ遅れた。引き返せば逆に無礼と捉えられるかもしれないと迷っている間に数人ほどの騎士とかち合ってしまう。
彼らは案の定、イレーネに声をかけてきた。
「これはこれは。可愛らしいレディ。今日は実に良い天気ですね」
揶揄するような軽薄な口調に、イレーネは何と返していいかわからない。真面目な応対ならばともかく、砕けた会話など、彼女には無縁であった。
「おい、やめてやれ。怖がっているじゃないか」
「本当だ。そんなに縮こまってしまって、可哀想に」
気を悪くしないでくれ、と一人の騎士にスッと手を取られ、彼女は身体を強張らせる。その様を見て、彼らはまた笑った。
「本当だ。まるで狩りで捕えられるうさぎのようだ」
「臆病なレディ。どうか我々にその顔をよく見せてください」
「あの、仕事の途中なのでどうかお許しください」
か細い声に、彼らはよりいっそう興味をかきたてられたようだ。頬に手を当てられ、優しくであったが、強制的に顔を振り向かされた。
「へぇ。若くして亭主を亡くした貴婦人のような顔をしていらっしゃる」
「本当だ。目元の黒子が色っぽい」
「気の強そうな顔立ちなのに憂いた表情がまたいい」
言いたい放題に自分の顔を評価され、イレーネはぞっとした。耐えられず騎士の手を振り落としていた。
「もう本当にどうかおやめください」
先ほどよりもやや苛立ちを込めて告げても、彼らは小動物を可愛がるような目で面白がるだけであった。
「声もいい」
「啼かせてみたらどうなるか、確かめてみたい」
あまりの品のなさに言葉を失う。
「レディ。きみの名前は?」
ぐっと顔を近づかれ、後ろへ下がる。その分だけ大きく詰められる。
「どこ付きの侍女だ?」
ふるふる首を横に振り、もういっそ逃げてしまおうと思った。しかしイレーネの考えなどお見通しのように他の騎士に退路を断たれる。彼らの目はしだいに獰猛な光を帯び始めていた。
「まだ話の途中だ。上の身分の者に逆らったらどうなるか知っているだろう?」
「それともそれすら知らない新米の使用人なのかい?」
「さぁ、教えておくれ」
イレーネはどこにも逃げる場所がなく、その場に跪いた。
「どうかもう、お許しください。わたしはグリゼルダ殿下に仕える者でございます。姫のもとへ行かねばならないのです」
両手を固く握りしめ、神に祈るように許しを請う。
ここまですればさすがに彼らも――
「へぇ。第三王女の侍女だったのか」
「あの王女の侍女はみな美人揃いだな」
「しかし、彼女の侍女たちとはほぼ一通り逢瀬を交わしたと思っていたが、まだいたのだな」
「ああ。……いや、待て。ひょっとすると、ディートハルトの婚約者ではないのか?」
その名前にぎくりとする。騎士たちの反応も変わった。
「なに。ディートハルトのか」
「本当か?」
「ああ。きっとそうだ。やつが婚約者をえたことに、ご婦人方がとても嘆いておられた。相手は叙爵された男爵家の娘……イレーネ・メルツ」
ああ、とうとうばれてしまった。
イレーネは血の気が引いた。その様子を見て、彼らは仲間の言葉が正しかったのだと知る。
「なんと。あの男の婚約者か」
「ならば余計に味あわせてもらおう」
「そうだな。他でもない、やつの女だと思えば奪い甲斐もある」
イレーネは今度こそなりふり構わず逃げようとした。立ち塞がる身体を押しのけて。だが……男女の差は歴然しており、あっさりと捕えられてしまう。
「ああ、逃げないでください」
「いやっ! 離してっ」
もがくイレーネを男たちはくすくす笑う。抵抗も戯れとしか思っていない様子だった。震えるイレーネの耳元に口を寄せ、男が囁きかける。
「別に少しくらい火遊びしても、やつは何とも思いませんよ。彼にとって、囚われのお姫様こそが本命で、それ以外はただの都合のいい相手でしかない」
――あなたも同じです。
とっくの昔に知っていた事実だが、いざ他人の口からはっきりと告げられて、イレーネの心は深く傷ついた。何も考えられず、抵抗の弱まったイレーネを、騎士たちは合意したとみなし、連れ去ろうとする。
「何をしている!」
だが鋭く響き渡った声にハッと我に返る。そして再度がむしゃらに騎士の腕の中で暴れ、逃げようともがいた。
「くっ、大人しくしろっ!」
「いやっ、誰か助けて!」
イレーネの声が届いたのか、どけっ、と騎士たちを押しのけ、一人の男がぐいっとイレーネの腕を引っ張り上げた。
(あ……)
イレーネは男に抱きしめられるように腕の中に庇われていた。とっさに胸に置いた掌から、男の熱い体温を感じ取った。
「これが黒の騎士団の実状か」
「そんな。我々はただ、そちらのレディと少し戯れていたのです」
「ええ。神聖な白の騎士団の方にはご理解できないと思いますが、こんなのは日常茶飯事なのですよ」
「それにレディも口では嫌だと言いながら、満更ではないご様子であった」
白々しくもそう言い切った彼らが、イレーネは心底気持ち悪く、怯えた。
「貴様たちのような人間が同じ騎士だとは、吐き気がするな」
無感情にそう言い放った男にも、騎士たちはへらへらと笑って返した。
「我々とあなたでは、同じ騎士とは言い難いでしょう」
「あなたは神に仕える騎士で、我々は陛下に仕える身ですから」
「……そうか。ならば今回のことは国王陛下に伝えさせてもらう」
そこでようやく彼らは顔色を変えた。そしてぶつぶつ文句を言うと、捨て台詞を吐いて立ち去っていった。
「大丈夫か?」
イレーネははっとして、慌てて彼から距離をとった。男の顔をしげしげと見上げ、泣きそうな心地になりながら、深く頭を下げた。
「危ないところを助けていただき、ありがとうございました」
「いや、これくらい……むしろ助けるのが遅くなってすまなかった。怖かっただろう」
顔を上げて、心配そうに自分を見つめる目をイレーネは見つめ返した。
「ええ。でも、ユリウス様に助けていただいたので、あれ以上の結末を迎えずにすみましたわ」
彼は目を瞠って、なぜかひどく狼狽えた態度をとった。
「ユリウス様?」
「あ、いや……私の名前を、知っていたんだな」
そう言えば名前を呼んだのは初めてであった。彼とはもう二回も会っているのに。
「前回の試合の時に、観客があなた様の名前を呼んでいたので……ごめんなさい。わたしのような侍女が軽々しく呼んではいけませんでしたね」
「いや! そんなことない! ただ驚いただけだ! 遠慮せず、どんどん呼んでくれ!」
勢いよくそう頼まれ、今度はイレーネが目を丸くしてしまう。あ、と彼も己の態度に我に返ったようで、頬を赤くした。なんだか以前もこんなことがあったなと思い、イレーネは微笑んだ。
「わ、笑わないでくれ」
「ごめんなさい。ふふっ」
ユリウスの困り顔を見て、イレーネは堪えきれずくすくす笑ってしまった。彼はひどいな、というようにじっと見つめてきたが、先ほどの泣きそうな表情から笑顔になったイレーネの変化に、よかったというように目を細め、彼女と一緒に笑ったのだった。
彼らは貴婦人との宮廷付き合いも大切にしており、時としてはそちらに命を懸ける者もいる。
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「おい、やめてやれ。怖がっているじゃないか」
「本当だ。そんなに縮こまってしまって、可哀想に」
気を悪くしないでくれ、と一人の騎士にスッと手を取られ、彼女は身体を強張らせる。その様を見て、彼らはまた笑った。
「本当だ。まるで狩りで捕えられるうさぎのようだ」
「臆病なレディ。どうか我々にその顔をよく見せてください」
「あの、仕事の途中なのでどうかお許しください」
か細い声に、彼らはよりいっそう興味をかきたてられたようだ。頬に手を当てられ、優しくであったが、強制的に顔を振り向かされた。
「へぇ。若くして亭主を亡くした貴婦人のような顔をしていらっしゃる」
「本当だ。目元の黒子が色っぽい」
「気の強そうな顔立ちなのに憂いた表情がまたいい」
言いたい放題に自分の顔を評価され、イレーネはぞっとした。耐えられず騎士の手を振り落としていた。
「もう本当にどうかおやめください」
先ほどよりもやや苛立ちを込めて告げても、彼らは小動物を可愛がるような目で面白がるだけであった。
「声もいい」
「啼かせてみたらどうなるか、確かめてみたい」
あまりの品のなさに言葉を失う。
「レディ。きみの名前は?」
ぐっと顔を近づかれ、後ろへ下がる。その分だけ大きく詰められる。
「どこ付きの侍女だ?」
ふるふる首を横に振り、もういっそ逃げてしまおうと思った。しかしイレーネの考えなどお見通しのように他の騎士に退路を断たれる。彼らの目はしだいに獰猛な光を帯び始めていた。
「まだ話の途中だ。上の身分の者に逆らったらどうなるか知っているだろう?」
「それともそれすら知らない新米の使用人なのかい?」
「さぁ、教えておくれ」
イレーネはどこにも逃げる場所がなく、その場に跪いた。
「どうかもう、お許しください。わたしはグリゼルダ殿下に仕える者でございます。姫のもとへ行かねばならないのです」
両手を固く握りしめ、神に祈るように許しを請う。
ここまですればさすがに彼らも――
「へぇ。第三王女の侍女だったのか」
「あの王女の侍女はみな美人揃いだな」
「しかし、彼女の侍女たちとはほぼ一通り逢瀬を交わしたと思っていたが、まだいたのだな」
「ああ。……いや、待て。ひょっとすると、ディートハルトの婚約者ではないのか?」
その名前にぎくりとする。騎士たちの反応も変わった。
「なに。ディートハルトのか」
「本当か?」
「ああ。きっとそうだ。やつが婚約者をえたことに、ご婦人方がとても嘆いておられた。相手は叙爵された男爵家の娘……イレーネ・メルツ」
ああ、とうとうばれてしまった。
イレーネは血の気が引いた。その様子を見て、彼らは仲間の言葉が正しかったのだと知る。
「なんと。あの男の婚約者か」
「ならば余計に味あわせてもらおう」
「そうだな。他でもない、やつの女だと思えば奪い甲斐もある」
イレーネは今度こそなりふり構わず逃げようとした。立ち塞がる身体を押しのけて。だが……男女の差は歴然しており、あっさりと捕えられてしまう。
「ああ、逃げないでください」
「いやっ! 離してっ」
もがくイレーネを男たちはくすくす笑う。抵抗も戯れとしか思っていない様子だった。震えるイレーネの耳元に口を寄せ、男が囁きかける。
「別に少しくらい火遊びしても、やつは何とも思いませんよ。彼にとって、囚われのお姫様こそが本命で、それ以外はただの都合のいい相手でしかない」
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「何をしている!」
だが鋭く響き渡った声にハッと我に返る。そして再度がむしゃらに騎士の腕の中で暴れ、逃げようともがいた。
「くっ、大人しくしろっ!」
「いやっ、誰か助けて!」
イレーネの声が届いたのか、どけっ、と騎士たちを押しのけ、一人の男がぐいっとイレーネの腕を引っ張り上げた。
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彼は目を瞠って、なぜかひどく狼狽えた態度をとった。
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「あ、いや……私の名前を、知っていたんだな」
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「いや! そんなことない! ただ驚いただけだ! 遠慮せず、どんどん呼んでくれ!」
勢いよくそう頼まれ、今度はイレーネが目を丸くしてしまう。あ、と彼も己の態度に我に返ったようで、頬を赤くした。なんだか以前もこんなことがあったなと思い、イレーネは微笑んだ。
「わ、笑わないでくれ」
「ごめんなさい。ふふっ」
ユリウスの困り顔を見て、イレーネは堪えきれずくすくす笑ってしまった。彼はひどいな、というようにじっと見つめてきたが、先ほどの泣きそうな表情から笑顔になったイレーネの変化に、よかったというように目を細め、彼女と一緒に笑ったのだった。
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