3 / 116
3、残酷な男*
しおりを挟む
ディートハルトはしばらくイレーネの動向に目を光らせていたが、彼女が約束を守り、また不平不満を零さず従順であったので、それから彼の気が向いた時に度々抱かれるようになった。イレーネも父の機嫌を損なわないためにディートハルトに身を委ねた。
「ぁっ、んっ、ん」
ディートハルトは女の身体を知り尽くしていた。イレーネのいいところなど、とっくに見抜かれ、手早くいかせたい時はそこを集中的に攻められる。
「はぁ、うっ、もう……」
「もう、いく?」
後ろから抱え込まれ、肌蹴た胸の頂きをくりくりと弄られながら、ディートハルトが耳元で問いかける。
ろくに愛撫もせず挿入されて、呆気なく達しようとするイレーネの淫乱さを嘲笑う響きを込めていながら、囁く声は低く掠れて、それすら快感を煽る要因になって、イレーネは弓なりに腰を反らせ、くぐもった声をあげながら体を震わせた。
中が激しく収縮し、淫水がどっと溢れ出すのがわかった。心地よい疲労が、頭の中を空っぽにして、この瞬間だけは、すべての悩みや苦痛から解放される。イレーネにとって、唯一安らぐ時でもあった。
「ぁんっ、」
しかし未だ居座っている中のものがぐんと奥を突いたことで、また地獄へと引き戻される。溢れ出した愛液のおかげでさらに粘着質な音を響かせ、ディートハルトは硬く大きな肉杭でイレーネの中をかきまわすように蹂躙していく。
「や、もう、はぁ、いやぁっ……」
達したばかりでひどく敏感になっていた彼女はまたあの頭が真っ白になるほどの悦楽を味わわされることを恐れ、首を横に振った。
「ディ、ディート、ハルトさま、どうか、もう、お許しを、んぅ、」
「俺はまだ、いってない」
暴れるイレーネを後ろからしっかりと押さえつけ、ディートハルトは容赦なく下から肉棒を突き上げ、イレーネに嬌声を上げさせた。
「あっ、あぁっ、だめっ、またっ、あ、あ、んっ――」
ディートハルトはイレーネを人形のように揺さぶると、勢いよく射精した。
「あ、はぁ、はぁ……」
二人して荒い息を吐く。小刻みに震えるイレーネの身体はディートハルトによって支えられており、もし今彼が手を離せば、寝台の縁に座って抱え上げられている自分は床へ無様に転げ落ちるだろう。
だが今日は体勢的に途中で引き抜くことが難しかったため、そのまま中へどくどくと注ぎ込まれていく。彼の逞しい腕はイレーネを離さないままであった。
「汗だくだな……」
後ろで髪をまとめているイレーネのうなじを見ながら、あるいは触れている体温が熱いからそう思ったのか、とにかくディートハルトはぽつりと呟いた。がっしりとした腕で自分を抱えている彼の身体も、またひどく熱かった。
相手が身じろぎしたので、イレーネも彼の膝の上から下りようとした。白濁をすべて吐き出した男根が自分の中から出て行きほっとするも、だらりと残滓が腿を伝っていく感触に急に虚しさが襲う。
「こちらを向いて」
ふらふらになりながら立ち上がったイレーネの手を掴み、ディートハルトは己の方へ振り向かせた。一瞬まだするのかと不安になったが、彼はイレーネの秘所へ伸ばし、指を差し込んできた。
「んっ」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら掻き出しているのは精液だろう。
「あっ、ん……」
細長い指がたっぷりと溢れ出した蜜壺の中をひっかく。精液と共に愛液もかき出され、ぼとぼと床へ染みを落としていく。イレーネは恥ずかしくてたまらず、また彼の指使いに子宮の奥が疼き、熱い息を零しながら腰をくねらせてしまう。
「じっとしていて」
身じろぎするイレーネに命じるディートハルトの声はどこまでも淡々としていた。彼としては夕食の席に招待され、そのまま寝室へ案内されて、怪しまれないよう義務まで果たした。疲れて一刻も早くここを立ち去りたいと思っているはずだ。
「……」
指を引き抜き、布でべとべとになった指を拭うと、彼はそっと手にいつもの薬を握らせた。部屋の外には使用人が待機しており、監視されているので、言葉にはしなかった。イレーネはその場で口にしてこくりと飲み込んだ。
彼は衣服を整えると、そのまま立ち上がり、帰ることを告げた。せめて部屋を出るまでは見送ろうとしたが、彼はそれも制止した。
「きみはここで寝ているといい」
その方が怪しまれない。イレーネは素直に従い、またお待ちしていますと別れの挨拶を代わりに口にした。
彼がちらりと振り返る。紫の瞳にはこちらを憐れむような色を浮かばせていたが、やはり言葉にはせず、そのまま出て行った。
部屋の外からもう帰るのですかという父の驚いた声が聴こえてくる。
『いいか、イレーネ。ディートハルトを籠絡しろ。やつの子どもを孕むのだ』
イレーネはごろりと寝返りをうち、目を閉じた。
父は子さえ孕めばどうにかできると考えているみたいだが、イレーネからすれば甘い考えだ。きっと子ができても、ディートハルトは自分の子と認めない。強硬に迫っても、マルガレーテとの幸せに邪魔だと判断すれば、イレーネの子など始末するだろう。それでイレーネが命を落としても、仕方がないと考える。
彼はそういう人間だ、と彼女は冷静に思った。
「ぁっ、んっ、ん」
ディートハルトは女の身体を知り尽くしていた。イレーネのいいところなど、とっくに見抜かれ、手早くいかせたい時はそこを集中的に攻められる。
「はぁ、うっ、もう……」
「もう、いく?」
後ろから抱え込まれ、肌蹴た胸の頂きをくりくりと弄られながら、ディートハルトが耳元で問いかける。
ろくに愛撫もせず挿入されて、呆気なく達しようとするイレーネの淫乱さを嘲笑う響きを込めていながら、囁く声は低く掠れて、それすら快感を煽る要因になって、イレーネは弓なりに腰を反らせ、くぐもった声をあげながら体を震わせた。
中が激しく収縮し、淫水がどっと溢れ出すのがわかった。心地よい疲労が、頭の中を空っぽにして、この瞬間だけは、すべての悩みや苦痛から解放される。イレーネにとって、唯一安らぐ時でもあった。
「ぁんっ、」
しかし未だ居座っている中のものがぐんと奥を突いたことで、また地獄へと引き戻される。溢れ出した愛液のおかげでさらに粘着質な音を響かせ、ディートハルトは硬く大きな肉杭でイレーネの中をかきまわすように蹂躙していく。
「や、もう、はぁ、いやぁっ……」
達したばかりでひどく敏感になっていた彼女はまたあの頭が真っ白になるほどの悦楽を味わわされることを恐れ、首を横に振った。
「ディ、ディート、ハルトさま、どうか、もう、お許しを、んぅ、」
「俺はまだ、いってない」
暴れるイレーネを後ろからしっかりと押さえつけ、ディートハルトは容赦なく下から肉棒を突き上げ、イレーネに嬌声を上げさせた。
「あっ、あぁっ、だめっ、またっ、あ、あ、んっ――」
ディートハルトはイレーネを人形のように揺さぶると、勢いよく射精した。
「あ、はぁ、はぁ……」
二人して荒い息を吐く。小刻みに震えるイレーネの身体はディートハルトによって支えられており、もし今彼が手を離せば、寝台の縁に座って抱え上げられている自分は床へ無様に転げ落ちるだろう。
だが今日は体勢的に途中で引き抜くことが難しかったため、そのまま中へどくどくと注ぎ込まれていく。彼の逞しい腕はイレーネを離さないままであった。
「汗だくだな……」
後ろで髪をまとめているイレーネのうなじを見ながら、あるいは触れている体温が熱いからそう思ったのか、とにかくディートハルトはぽつりと呟いた。がっしりとした腕で自分を抱えている彼の身体も、またひどく熱かった。
相手が身じろぎしたので、イレーネも彼の膝の上から下りようとした。白濁をすべて吐き出した男根が自分の中から出て行きほっとするも、だらりと残滓が腿を伝っていく感触に急に虚しさが襲う。
「こちらを向いて」
ふらふらになりながら立ち上がったイレーネの手を掴み、ディートハルトは己の方へ振り向かせた。一瞬まだするのかと不安になったが、彼はイレーネの秘所へ伸ばし、指を差し込んできた。
「んっ」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら掻き出しているのは精液だろう。
「あっ、ん……」
細長い指がたっぷりと溢れ出した蜜壺の中をひっかく。精液と共に愛液もかき出され、ぼとぼと床へ染みを落としていく。イレーネは恥ずかしくてたまらず、また彼の指使いに子宮の奥が疼き、熱い息を零しながら腰をくねらせてしまう。
「じっとしていて」
身じろぎするイレーネに命じるディートハルトの声はどこまでも淡々としていた。彼としては夕食の席に招待され、そのまま寝室へ案内されて、怪しまれないよう義務まで果たした。疲れて一刻も早くここを立ち去りたいと思っているはずだ。
「……」
指を引き抜き、布でべとべとになった指を拭うと、彼はそっと手にいつもの薬を握らせた。部屋の外には使用人が待機しており、監視されているので、言葉にはしなかった。イレーネはその場で口にしてこくりと飲み込んだ。
彼は衣服を整えると、そのまま立ち上がり、帰ることを告げた。せめて部屋を出るまでは見送ろうとしたが、彼はそれも制止した。
「きみはここで寝ているといい」
その方が怪しまれない。イレーネは素直に従い、またお待ちしていますと別れの挨拶を代わりに口にした。
彼がちらりと振り返る。紫の瞳にはこちらを憐れむような色を浮かばせていたが、やはり言葉にはせず、そのまま出て行った。
部屋の外からもう帰るのですかという父の驚いた声が聴こえてくる。
『いいか、イレーネ。ディートハルトを籠絡しろ。やつの子どもを孕むのだ』
イレーネはごろりと寝返りをうち、目を閉じた。
父は子さえ孕めばどうにかできると考えているみたいだが、イレーネからすれば甘い考えだ。きっと子ができても、ディートハルトは自分の子と認めない。強硬に迫っても、マルガレーテとの幸せに邪魔だと判断すれば、イレーネの子など始末するだろう。それでイレーネが命を落としても、仕方がないと考える。
彼はそういう人間だ、と彼女は冷静に思った。
232
お気に入りに追加
4,937
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。
ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」
ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。
「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」
一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。
だって。
──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる