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約束
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ノワール帝国へ嫁ぐことが正式に決まると、リュシエンヌはさらに帝国についての勉強時間を増やした。
礼儀作法や言葉遣い、歴史など……伴侶となる皇帝――ギュスターヴが好むものも伝聞や父のもとへ届けられる書簡から読み取ろうとした。
リュシエンヌ自身もギュスターヴと手紙を通じて少しでも人となりを知りたいと送ってみたが、彼からの返信は一切なく、おかげで未だどういう人間かわからないままであった。
(もしかしたら、わたしの手紙を読んで不快に思われたのかしら……)
もしくはまだ結婚前だというのに手紙を送りつけて鬱陶しく感じたのか。
(どうしよう……。陛下の機嫌を損ねてしまったら……)
リュシエンヌは毎日泣きそうな心地で眠れぬ日々を送っていた。
しかしそういった不安は、決して人前で見せなかった。
「姫様も、とうとう結婚なさるのですね」
特にランスロットの前では、細心の注意を払って、何でもない自分を装うのに努めた。
「そうね。あと少しでこの城を発つなんて……あっという間だったわ」
リュシエンヌはランスロットを連れて、宮殿の中庭を歩いていた。
このところ輿入れの準備や勉強でずっと外へ出ていなかったので、久しぶりの陽光が眩しく感じる。
(もう、ここにも帰ってこられないのね……)
「帝国へ嫁ぐ覚悟は、もうできているのですか」
リュシエンヌは後ろから告げられた言葉にどきりとした。
ランスロットに結婚のことを触れられたのは、今が初めてだからだ。
前の人生では、リュシエンヌがノワール帝国へ嫁ぐことを嫌がり、それを見越していた両親はランスロットと結婚するよう命じた。だから予め、ランスロットには告げられていたと思う。
だが今回、リュシエンヌは断らなかった。両親はランスロットに娘と結婚するよう命じる必要がなくなった。ランスロットはリュシエンヌのノワール帝国への輿入れの話を聞いても、ただ「おめでとうございます」と祝福した。
そのどこか他人行儀のような、一歩引いた距離に、傷つく自分がいた。
すべてリュシエンヌ自身が選んだ道なのに。
(でも考えてみれば、彼は臣下でしかない。お父様たちの決定には従うしかない)
国同士の決まり事ならばなおのことだ。
彼は仕方がないことだと受け入れて、リュシエンヌの選択を尊重しようとしている。
ならば自分も最後まで立派に公女として振る舞うべきだろう。
「ええ、もうとっくに決まっているわ」
「……失礼ながら、俺には貴女が無理をしているように見えます」
ランスロットの指摘に内心驚くものの、どこかで安堵にも似た気持ちを覚えた。
ああ、やはり彼の目は誤魔化せない。自分のことをよくわかっていると……。
「当たり前じゃない。だって帝国へ嫁ぐのよ? 無理だってするわ」
振り返って笑うように言った。ランスロットは黙ってリュシエンヌを見つめた。
彼が言いたいのは、そういうことではない。
結婚すること自体、リュシエンヌが無理をしているのではないかと問いただしたいのだ。
「……正直、姫様が縁談をお引き受けするとは思いませんでした」
「わたしはそういう性格ではないから?」
「ええ……。貴女は人と付き合うのが苦手で、見知らぬ土地へ嫁ぐことなど、怖くて考えられないことだと……この国で一生を終えるのだと、そう、今の今まで思っておりました」
間違っていない。ランスロットの言う通りだ。今も、怖くてたまらない。帝国など行きたくない。生まれたこの国で、最期まで過ごしたかった。
「ですが、姫様もきちんと成長なさっていたのですね。公女として自分にできることを考えて、役目を果たそうとしている。……いつまでも子どもだと思っていたのは俺の方でした」
「……いいのよ。本当に、子どもだったのだから」
自分は彼に、両親にずっと守られていたのだ。甘えていた。
(でも、もうそれもお終い)
「これからは、もっと姫様のことを大人扱いしなければなりませんね」
ランスロットが湿っぽくなった雰囲気を払拭するように、明るく言った。
「帝国はどんな国でしょうか。俺も護衛騎士として楽しみです。向こうの騎士ともぜひ一度手合わせを――」
「ランスロット。あなたはこの国に残りなさい」
ずっと言おうと思っていたことを告げれば、ランスロットは息を呑んだ。
「…………すみません、姫様。もう一度、おっしゃっていただけますか。聞き間違いかもしれないので」
「あなたを帝国へ連れて行くつもりはありません」
二人の間に重い沈黙が落ちる。
ランスロットの顔が険しく、厳しいものに変わる。
「……理由をお聞きしても?」
「理由など……普通に考えてわかるでしょう?」
「いいえ、わかりません。ちっとも理解できない」
感情を抑えようとしているが、僅かな苛立ちが感じられる声でランスロットは説明を求める。
「……あなたは昔からわたしのそばにいた。護衛とはいえ、嫁ぎ先にまで一緒に連れて行けば、勘違いしてしまう人間もいるでしょう」
姫と護衛騎士。
まるで物語にあるような不道徳な関係を人々は自分とランスロットに見出すかもしれない。
「そんな理由で、俺を置いていくのですか」
「そんな理由が、大きな不和を起こすのよ」
「くだらない噂をする人間なんて放っておけばいい」
「……陛下のお心を煩わせたくないの」
ギュスターヴの怒りを買うのが怖い。自分を裏切ったと、セレスト公国へ牙を剥くかもしれない。何が引き金かになるかわからない以上、不安要素は取り除いておくべきだ。
「姫様がそこまで陛下のことを考えていらっしゃるとは思いませんでした」
どこか責めるようにランスロットが自嘲する。
「ランスロット……」
「……すみません。かっこ悪いですよね。ですが、どこかで己惚れていたんです。俺は貴女にとって、そこそこ大事な人間だろうって……。だから……呑み込まなくてはいけないと思っていても、心がまだ追いついていないと言いますか……まだ、引き返せる、姫様に引き返してほしいと望む自分がいます」
(やめて……)
自分を見つめる眼差しは熱く、恋い焦がれていた。過去に見たもの。リュシエンヌが欲しくてたまらない感情が込められている。
「リュシエンヌ……」
ランスロットが一歩踏み出す。
自分との距離を縮め、触れようと手を伸ばす。
打ち明けてしまいたい。縋りつきたい。でも――
『ひめさま……、はや、く……』
「俺はずっと貴女のことが――」
「ランスロット」
リュシエンヌは身を引き、彼の紡ごうとした言葉を遮った。
「姫様……」
彼を拒絶し、一線を引いたことでランスロットは傷つくのがわかった。リュシエンヌも同じくらい胸が痛み、苦しくなった。
しかしここで折れるわけにはいかなかった。
「ランスロット。あなたはわたしが最も信頼する人。強くて優しくて……いつもわたしを守ってくれた」
(だからこそ、あの時命を失った)
「あなたのその力で、今度はこの国を守ってほしいの。お父様やお母様、フェラン……セレスト公国の民たちを……」
リュシエンヌの愛する人たちを。大切な人たちを。
「わたしはもう、ここにはいられないから……だから、お願い。ランスロット」
「……ずるいですよ、姫様。俺が貴女のお願いを拒絶することなんて、今までありましたか? それなのに……」
彼は視線を逸らし、前髪をくしゃりとかき上げる。やるせなさを感じる長いため息を吐いた後、リュシエンヌを見た。
「それは、命令ですか?」
リュシエンヌはランスロットを見つめ返し、微笑んだ。
「ええ、命令です。今日であなたの護衛の任を解きます」
ランスロットはじっと黙り込んでいたが、やがてゆっくりと目を閉じた。
「わかりました。貴女の命に従います。その代わり、一つだけ約束してください」
「……何かしら」
目を開いた彼は、先ほどとは違う優しい表情でリュシエンヌに告げた。
「貴女自身の幸せを求めることを、決して諦めないでください」
ランスロットはそっとリュシエンヌの手に触れ、両手で温もりを伝えるよう握りしめた。男女のそれではなく、家族のような、慈しむような気持ちを思わせる触れ方だった。
「辛いことや苦しいことがあった時、一人で抱え込まず、誰かに打ち明けてください。陛下でもいい。侍女でも、それ以外の人間でも……貴女が心を許せる人を作って、心を開くことを俺は願います。それがきっと、貴女の幸せに繋がるでしょうから」
「ランスロット……」
「約束してくださいますか?」
リュシエンヌは目を潤ませ、涙が零れないよう必死で瞬きをする。
彼はこんな理不尽な命を下した自分を心配し、幸せを求めてくれと願っている。
胸が詰まり、リュシエンヌは「わかったわ」と震える声で約束した。
礼儀作法や言葉遣い、歴史など……伴侶となる皇帝――ギュスターヴが好むものも伝聞や父のもとへ届けられる書簡から読み取ろうとした。
リュシエンヌ自身もギュスターヴと手紙を通じて少しでも人となりを知りたいと送ってみたが、彼からの返信は一切なく、おかげで未だどういう人間かわからないままであった。
(もしかしたら、わたしの手紙を読んで不快に思われたのかしら……)
もしくはまだ結婚前だというのに手紙を送りつけて鬱陶しく感じたのか。
(どうしよう……。陛下の機嫌を損ねてしまったら……)
リュシエンヌは毎日泣きそうな心地で眠れぬ日々を送っていた。
しかしそういった不安は、決して人前で見せなかった。
「姫様も、とうとう結婚なさるのですね」
特にランスロットの前では、細心の注意を払って、何でもない自分を装うのに努めた。
「そうね。あと少しでこの城を発つなんて……あっという間だったわ」
リュシエンヌはランスロットを連れて、宮殿の中庭を歩いていた。
このところ輿入れの準備や勉強でずっと外へ出ていなかったので、久しぶりの陽光が眩しく感じる。
(もう、ここにも帰ってこられないのね……)
「帝国へ嫁ぐ覚悟は、もうできているのですか」
リュシエンヌは後ろから告げられた言葉にどきりとした。
ランスロットに結婚のことを触れられたのは、今が初めてだからだ。
前の人生では、リュシエンヌがノワール帝国へ嫁ぐことを嫌がり、それを見越していた両親はランスロットと結婚するよう命じた。だから予め、ランスロットには告げられていたと思う。
だが今回、リュシエンヌは断らなかった。両親はランスロットに娘と結婚するよう命じる必要がなくなった。ランスロットはリュシエンヌのノワール帝国への輿入れの話を聞いても、ただ「おめでとうございます」と祝福した。
そのどこか他人行儀のような、一歩引いた距離に、傷つく自分がいた。
すべてリュシエンヌ自身が選んだ道なのに。
(でも考えてみれば、彼は臣下でしかない。お父様たちの決定には従うしかない)
国同士の決まり事ならばなおのことだ。
彼は仕方がないことだと受け入れて、リュシエンヌの選択を尊重しようとしている。
ならば自分も最後まで立派に公女として振る舞うべきだろう。
「ええ、もうとっくに決まっているわ」
「……失礼ながら、俺には貴女が無理をしているように見えます」
ランスロットの指摘に内心驚くものの、どこかで安堵にも似た気持ちを覚えた。
ああ、やはり彼の目は誤魔化せない。自分のことをよくわかっていると……。
「当たり前じゃない。だって帝国へ嫁ぐのよ? 無理だってするわ」
振り返って笑うように言った。ランスロットは黙ってリュシエンヌを見つめた。
彼が言いたいのは、そういうことではない。
結婚すること自体、リュシエンヌが無理をしているのではないかと問いただしたいのだ。
「……正直、姫様が縁談をお引き受けするとは思いませんでした」
「わたしはそういう性格ではないから?」
「ええ……。貴女は人と付き合うのが苦手で、見知らぬ土地へ嫁ぐことなど、怖くて考えられないことだと……この国で一生を終えるのだと、そう、今の今まで思っておりました」
間違っていない。ランスロットの言う通りだ。今も、怖くてたまらない。帝国など行きたくない。生まれたこの国で、最期まで過ごしたかった。
「ですが、姫様もきちんと成長なさっていたのですね。公女として自分にできることを考えて、役目を果たそうとしている。……いつまでも子どもだと思っていたのは俺の方でした」
「……いいのよ。本当に、子どもだったのだから」
自分は彼に、両親にずっと守られていたのだ。甘えていた。
(でも、もうそれもお終い)
「これからは、もっと姫様のことを大人扱いしなければなりませんね」
ランスロットが湿っぽくなった雰囲気を払拭するように、明るく言った。
「帝国はどんな国でしょうか。俺も護衛騎士として楽しみです。向こうの騎士ともぜひ一度手合わせを――」
「ランスロット。あなたはこの国に残りなさい」
ずっと言おうと思っていたことを告げれば、ランスロットは息を呑んだ。
「…………すみません、姫様。もう一度、おっしゃっていただけますか。聞き間違いかもしれないので」
「あなたを帝国へ連れて行くつもりはありません」
二人の間に重い沈黙が落ちる。
ランスロットの顔が険しく、厳しいものに変わる。
「……理由をお聞きしても?」
「理由など……普通に考えてわかるでしょう?」
「いいえ、わかりません。ちっとも理解できない」
感情を抑えようとしているが、僅かな苛立ちが感じられる声でランスロットは説明を求める。
「……あなたは昔からわたしのそばにいた。護衛とはいえ、嫁ぎ先にまで一緒に連れて行けば、勘違いしてしまう人間もいるでしょう」
姫と護衛騎士。
まるで物語にあるような不道徳な関係を人々は自分とランスロットに見出すかもしれない。
「そんな理由で、俺を置いていくのですか」
「そんな理由が、大きな不和を起こすのよ」
「くだらない噂をする人間なんて放っておけばいい」
「……陛下のお心を煩わせたくないの」
ギュスターヴの怒りを買うのが怖い。自分を裏切ったと、セレスト公国へ牙を剥くかもしれない。何が引き金かになるかわからない以上、不安要素は取り除いておくべきだ。
「姫様がそこまで陛下のことを考えていらっしゃるとは思いませんでした」
どこか責めるようにランスロットが自嘲する。
「ランスロット……」
「……すみません。かっこ悪いですよね。ですが、どこかで己惚れていたんです。俺は貴女にとって、そこそこ大事な人間だろうって……。だから……呑み込まなくてはいけないと思っていても、心がまだ追いついていないと言いますか……まだ、引き返せる、姫様に引き返してほしいと望む自分がいます」
(やめて……)
自分を見つめる眼差しは熱く、恋い焦がれていた。過去に見たもの。リュシエンヌが欲しくてたまらない感情が込められている。
「リュシエンヌ……」
ランスロットが一歩踏み出す。
自分との距離を縮め、触れようと手を伸ばす。
打ち明けてしまいたい。縋りつきたい。でも――
『ひめさま……、はや、く……』
「俺はずっと貴女のことが――」
「ランスロット」
リュシエンヌは身を引き、彼の紡ごうとした言葉を遮った。
「姫様……」
彼を拒絶し、一線を引いたことでランスロットは傷つくのがわかった。リュシエンヌも同じくらい胸が痛み、苦しくなった。
しかしここで折れるわけにはいかなかった。
「ランスロット。あなたはわたしが最も信頼する人。強くて優しくて……いつもわたしを守ってくれた」
(だからこそ、あの時命を失った)
「あなたのその力で、今度はこの国を守ってほしいの。お父様やお母様、フェラン……セレスト公国の民たちを……」
リュシエンヌの愛する人たちを。大切な人たちを。
「わたしはもう、ここにはいられないから……だから、お願い。ランスロット」
「……ずるいですよ、姫様。俺が貴女のお願いを拒絶することなんて、今までありましたか? それなのに……」
彼は視線を逸らし、前髪をくしゃりとかき上げる。やるせなさを感じる長いため息を吐いた後、リュシエンヌを見た。
「それは、命令ですか?」
リュシエンヌはランスロットを見つめ返し、微笑んだ。
「ええ、命令です。今日であなたの護衛の任を解きます」
ランスロットはじっと黙り込んでいたが、やがてゆっくりと目を閉じた。
「わかりました。貴女の命に従います。その代わり、一つだけ約束してください」
「……何かしら」
目を開いた彼は、先ほどとは違う優しい表情でリュシエンヌに告げた。
「貴女自身の幸せを求めることを、決して諦めないでください」
ランスロットはそっとリュシエンヌの手に触れ、両手で温もりを伝えるよう握りしめた。男女のそれではなく、家族のような、慈しむような気持ちを思わせる触れ方だった。
「辛いことや苦しいことがあった時、一人で抱え込まず、誰かに打ち明けてください。陛下でもいい。侍女でも、それ以外の人間でも……貴女が心を許せる人を作って、心を開くことを俺は願います。それがきっと、貴女の幸せに繋がるでしょうから」
「ランスロット……」
「約束してくださいますか?」
リュシエンヌは目を潤ませ、涙が零れないよう必死で瞬きをする。
彼はこんな理不尽な命を下した自分を心配し、幸せを求めてくれと願っている。
胸が詰まり、リュシエンヌは「わかったわ」と震える声で約束した。
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