21 / 29
21. 愛する人
しおりを挟む『ルーデウスよ。お前が大魔帝ニズゼルファに敗れてしまったのは余の責任なのだ』
俺がニズゼルファに敗れたのは父さんの責任?
どういう意味だ?
『今さらこんなことを話しても遅いのだが……やはり伝えないわけにはいかぬ。真実を知った上でどう判断するか。それをお前に任せたいと思う』
そんなひと言から真実の扉が開け放たれた。
◇◇◇
『まずはじめに。この世界の歴史にはまだ語られていない部分があるのだ』
「語られていない部分ですと?」
「ヤッザンちょっと黙って! お父さまの話が聞えないじゃん~!」
「す、すみませんっ……」
泣きはらしていたウェルミィもすっかり泣き止んで今は父さんの話に耳を傾けていた。
『これらすべてはエアリアル帝国の皇族の間だけで語り継がれてきた伝承だ』と前置きした上で父さんはこう続ける。
太古の昔、この世界にさまざまな種族が誕生した。
これは俺たちも知ってる歴史だ。
でも父さんいわく、それよりも前の歴史があったって話だ。
まずはじめに創造主たる神がこの世界を作った。
そして、神はこの世界に自らの分身たる〝半神〟という種族を作り上げる。
半神は世界に誕生した最初の種族だったようだ。
「ふむ……。そのような種族がおったとは聞いたことがないのぅ」
「うちも初耳だよぉ! 大昔のさらにずっ~と昔にそんな種族が存在したなんて……なんかロマンチックかも♪」
「続きを聞いてみましょう」
半神は神の分身であるがゆえに無敵の力を有していたみたいだ。
そこには万物を創造する力も含まれていた。
やがて。
半神族は力を使ってこの世界にさまざまな種族を誕生させる。
どうやらそれが今日の種族の起源ってわけらしい。
その際にオーブもそれぞれ生み出されたようだ。
そのあと。
多くの種族を生み出した半神は退化して亜人族となり、そのほかの種族と同列の存在としてこの世界で暮らすようになる。
「なっ……亜人族ですと!?」
「えぇっ!? 亜人族って人族が進化する前の種族じゃん!」
「この話が本当なら人族の祖先は半神ということになりますね」
「にわかに信じられん話じゃ……」
この話にはこの場にいる全員が驚きの声を上げた。
もちろん俺も驚きを隠せなかった。
『なぜ半神がこのように多くの種族を生み出したのか、その理由は今のところ明らかとなっていない。だが、それによって各地でさまざまな種族が繁栄し、今日の世界を形成することとなった。すべての歴史は最初の種族である半神からはじまったのだ』
ウィンドウ上の父さんがいちど言葉を区切ったのを確認すると。
ヤッザンのおっさんはこんなことを言い出す。
「しかし疑問ですなぁ……。争いの火種となる他の種族をどうして生み出したのでしょう」
「たしかにそうじゃのう。同胞たちだけで暮らせばこの世界はきっと楽園となったはずじゃ。わざわざ亜人族に退化した理由も分からん」
「……たぶん、友だちを作ろうとしたんじゃないかな?」
「友だちですか?」
不思議そうに訊ねるマキマに向けて俺は言う。
「だってそうじゃん? こんなだだっ広い世界に自分たちの種族しか存在しないなんて寂しすぎるよ。だからきっと仲良くなれる友だちを作りたくていろいろな種族を生み出したんじゃないか?」
規模は小さいかもしれないけど。
蒼狼王族、オーガ族、刀鎧始祖族のみんなと共存する国を作り上げた俺には半神の気持ちがなんとなく分かるような気がした。
「さすがお兄さまっ♡ 素敵な考えだよぉ~♪」
「そうですね。なんというかとてもティムさまらしい発想だと思います。わたしもそう信じたいです」
でも。
半神にどんな思いがあったのか分からないけど、実際の歴史はそんな夢のようにはいかなかった。
その後の歴史は周知のとおりだ。
数えきれないほどの争いを繰り返し、多くの種族が繁栄しては滅んでいく。
『その過程で亜人族にも変化が生じるようになったのだ』と父さんは語る。
当然、亜人族が人族に進化することを指してそう言ってるんだって思ったけど。
どうやらそういうわけじゃないらしい。
『ここから先話す内容はとても繊細な問題を含んでいる。皆どうか驚かないで聞いてほしい』
父さんはそこでひと呼吸置くとゆっくりとこう続けた。
『実は亜人族が種族進化して生まれたのは人族だけではなかったのだ。亜人族から分裂するようにもうひとつの種族も生まれてしまった。それが……魔族なのだよ』
「ふぇっ、亜人族から魔族も生まれちゃったの!?」
「分裂して人族と魔族が誕生した……と。これが事実だとすれば……」
じいさんの言葉を先読みするように父さんはこう口にする。
『そうだ。話を聞いて皆も分かったことだろう。人族と魔族はいわば肉親のような存在なのだよ』
退化したとはいえ亜人族はもともと無敵の力を有していた半神だ。
己の中に眠るその圧倒的な力を前に。
亜人族の中では、光と闇の心がせめぎ合っていたのかもしれない。
結果的にそのせめぎ合いが溢れ出る形で人族と魔族は誕生することになる。
(マジかよこの話。肉親って……)
ひょっとしてスキルと極意が似てるのはそのせいなんじゃないか?
半神の血を引いてるからお互いこれだけ優れた異能を扱うことができるって……そういうことなのか?
ここでなにか思いついたようにマキマが声を上げる。
「ちょっと待ってください。ということは魔族は遥か以前から存在してたってことではないでしょうか?」
「人族と分裂する形で誕生したのなら、つまりそういうことですぞ」
「じゃあ……今から10年前に突然変異的に出現したっていう話はどういうことなんだ?」
俺が疑問を口にすると、ブライのじいさんが首を横に振る。
「おそらくそれは誤った認識だったんじゃろう」
「……だよね。魔族はもっとずっと前からこの世界に誕生してて、表舞台の歴史に出てこなかったってことなんじゃない?」
どうやらウェルミィのその予想は当たってたようだ。
亜人族から分裂進化した魔族はひっそりとこの世界で暮らしてきた。
やがて、魔族の中で力をつけてくる者がいくつか現れるようになる。
それが魔族の王――魔王だったってわけだ。
『魔王は同胞から知恵を奪い、獰猛なケモノに変える力を持っていたと言われている。それが魔獣の正体なのだよ』
そして、魔王たちは頃合いを見計らって獰猛なケモノに変えた同胞――つまりモンスターを世界各地に送り込み、多くの種族を襲撃させた。
これが『死の大暴乱』の真実だったようだ。
そこまで父さんの話を聞いてマキマが異を唱えた。
「でもちょっとおかしいです。どうしてそんな魔族しか知り得ないような事実がエアリアル帝国の伝承に残っていたのでしょうか?」
「たしかにそうだな」
それは俺も不思議に思ってたところだ。
こんな話、魔族じゃないと知ることはできないはず。
すると。
ふたたびこちらの言葉を読むようにウィンドウ上の父さんはこう切り出す。
『どうして魔族に関するこんな事実が分かるのかと、疑問に思った者もいると思う。もちろんこれには理由がある。これから話すことはエアリアル帝国の秘密とも大きく関わっているからできれば覚悟のある者だけが耳を傾けてほしい』
その瞬間、地下室に緊張が走った。
これまでとは一線を画す話をしようとしてるってのが画面越しから伝わってきたからだ。
けれど。
誰もこの場から出て行こうとはしない。
(そうだよ。ここまで話を聞いたんだ。今さら耳を塞ぐなんてことはできない)
俺は真実が知りたいんだ。
そして、その気持ちはこの場にいるみんなも同じようだった。
俺がニズゼルファに敗れたのは父さんの責任?
どういう意味だ?
『今さらこんなことを話しても遅いのだが……やはり伝えないわけにはいかぬ。真実を知った上でどう判断するか。それをお前に任せたいと思う』
そんなひと言から真実の扉が開け放たれた。
◇◇◇
『まずはじめに。この世界の歴史にはまだ語られていない部分があるのだ』
「語られていない部分ですと?」
「ヤッザンちょっと黙って! お父さまの話が聞えないじゃん~!」
「す、すみませんっ……」
泣きはらしていたウェルミィもすっかり泣き止んで今は父さんの話に耳を傾けていた。
『これらすべてはエアリアル帝国の皇族の間だけで語り継がれてきた伝承だ』と前置きした上で父さんはこう続ける。
太古の昔、この世界にさまざまな種族が誕生した。
これは俺たちも知ってる歴史だ。
でも父さんいわく、それよりも前の歴史があったって話だ。
まずはじめに創造主たる神がこの世界を作った。
そして、神はこの世界に自らの分身たる〝半神〟という種族を作り上げる。
半神は世界に誕生した最初の種族だったようだ。
「ふむ……。そのような種族がおったとは聞いたことがないのぅ」
「うちも初耳だよぉ! 大昔のさらにずっ~と昔にそんな種族が存在したなんて……なんかロマンチックかも♪」
「続きを聞いてみましょう」
半神は神の分身であるがゆえに無敵の力を有していたみたいだ。
そこには万物を創造する力も含まれていた。
やがて。
半神族は力を使ってこの世界にさまざまな種族を誕生させる。
どうやらそれが今日の種族の起源ってわけらしい。
その際にオーブもそれぞれ生み出されたようだ。
そのあと。
多くの種族を生み出した半神は退化して亜人族となり、そのほかの種族と同列の存在としてこの世界で暮らすようになる。
「なっ……亜人族ですと!?」
「えぇっ!? 亜人族って人族が進化する前の種族じゃん!」
「この話が本当なら人族の祖先は半神ということになりますね」
「にわかに信じられん話じゃ……」
この話にはこの場にいる全員が驚きの声を上げた。
もちろん俺も驚きを隠せなかった。
『なぜ半神がこのように多くの種族を生み出したのか、その理由は今のところ明らかとなっていない。だが、それによって各地でさまざまな種族が繁栄し、今日の世界を形成することとなった。すべての歴史は最初の種族である半神からはじまったのだ』
ウィンドウ上の父さんがいちど言葉を区切ったのを確認すると。
ヤッザンのおっさんはこんなことを言い出す。
「しかし疑問ですなぁ……。争いの火種となる他の種族をどうして生み出したのでしょう」
「たしかにそうじゃのう。同胞たちだけで暮らせばこの世界はきっと楽園となったはずじゃ。わざわざ亜人族に退化した理由も分からん」
「……たぶん、友だちを作ろうとしたんじゃないかな?」
「友だちですか?」
不思議そうに訊ねるマキマに向けて俺は言う。
「だってそうじゃん? こんなだだっ広い世界に自分たちの種族しか存在しないなんて寂しすぎるよ。だからきっと仲良くなれる友だちを作りたくていろいろな種族を生み出したんじゃないか?」
規模は小さいかもしれないけど。
蒼狼王族、オーガ族、刀鎧始祖族のみんなと共存する国を作り上げた俺には半神の気持ちがなんとなく分かるような気がした。
「さすがお兄さまっ♡ 素敵な考えだよぉ~♪」
「そうですね。なんというかとてもティムさまらしい発想だと思います。わたしもそう信じたいです」
でも。
半神にどんな思いがあったのか分からないけど、実際の歴史はそんな夢のようにはいかなかった。
その後の歴史は周知のとおりだ。
数えきれないほどの争いを繰り返し、多くの種族が繁栄しては滅んでいく。
『その過程で亜人族にも変化が生じるようになったのだ』と父さんは語る。
当然、亜人族が人族に進化することを指してそう言ってるんだって思ったけど。
どうやらそういうわけじゃないらしい。
『ここから先話す内容はとても繊細な問題を含んでいる。皆どうか驚かないで聞いてほしい』
父さんはそこでひと呼吸置くとゆっくりとこう続けた。
『実は亜人族が種族進化して生まれたのは人族だけではなかったのだ。亜人族から分裂するようにもうひとつの種族も生まれてしまった。それが……魔族なのだよ』
「ふぇっ、亜人族から魔族も生まれちゃったの!?」
「分裂して人族と魔族が誕生した……と。これが事実だとすれば……」
じいさんの言葉を先読みするように父さんはこう口にする。
『そうだ。話を聞いて皆も分かったことだろう。人族と魔族はいわば肉親のような存在なのだよ』
退化したとはいえ亜人族はもともと無敵の力を有していた半神だ。
己の中に眠るその圧倒的な力を前に。
亜人族の中では、光と闇の心がせめぎ合っていたのかもしれない。
結果的にそのせめぎ合いが溢れ出る形で人族と魔族は誕生することになる。
(マジかよこの話。肉親って……)
ひょっとしてスキルと極意が似てるのはそのせいなんじゃないか?
半神の血を引いてるからお互いこれだけ優れた異能を扱うことができるって……そういうことなのか?
ここでなにか思いついたようにマキマが声を上げる。
「ちょっと待ってください。ということは魔族は遥か以前から存在してたってことではないでしょうか?」
「人族と分裂する形で誕生したのなら、つまりそういうことですぞ」
「じゃあ……今から10年前に突然変異的に出現したっていう話はどういうことなんだ?」
俺が疑問を口にすると、ブライのじいさんが首を横に振る。
「おそらくそれは誤った認識だったんじゃろう」
「……だよね。魔族はもっとずっと前からこの世界に誕生してて、表舞台の歴史に出てこなかったってことなんじゃない?」
どうやらウェルミィのその予想は当たってたようだ。
亜人族から分裂進化した魔族はひっそりとこの世界で暮らしてきた。
やがて、魔族の中で力をつけてくる者がいくつか現れるようになる。
それが魔族の王――魔王だったってわけだ。
『魔王は同胞から知恵を奪い、獰猛なケモノに変える力を持っていたと言われている。それが魔獣の正体なのだよ』
そして、魔王たちは頃合いを見計らって獰猛なケモノに変えた同胞――つまりモンスターを世界各地に送り込み、多くの種族を襲撃させた。
これが『死の大暴乱』の真実だったようだ。
そこまで父さんの話を聞いてマキマが異を唱えた。
「でもちょっとおかしいです。どうしてそんな魔族しか知り得ないような事実がエアリアル帝国の伝承に残っていたのでしょうか?」
「たしかにそうだな」
それは俺も不思議に思ってたところだ。
こんな話、魔族じゃないと知ることはできないはず。
すると。
ふたたびこちらの言葉を読むようにウィンドウ上の父さんはこう切り出す。
『どうして魔族に関するこんな事実が分かるのかと、疑問に思った者もいると思う。もちろんこれには理由がある。これから話すことはエアリアル帝国の秘密とも大きく関わっているからできれば覚悟のある者だけが耳を傾けてほしい』
その瞬間、地下室に緊張が走った。
これまでとは一線を画す話をしようとしてるってのが画面越しから伝わってきたからだ。
けれど。
誰もこの場から出て行こうとはしない。
(そうだよ。ここまで話を聞いたんだ。今さら耳を塞ぐなんてことはできない)
俺は真実が知りたいんだ。
そして、その気持ちはこの場にいるみんなも同じようだった。
207
お気に入りに追加
1,165
あなたにおすすめの小説

妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける
堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」
王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。
クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。
せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。
キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。
クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。
卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。
目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。
淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。
そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。

いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。

【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)

私はあなたの正妻にはなりません。どうぞ愛する人とお幸せに。
火野村志紀
恋愛
王家の血を引くラクール公爵家。両家の取り決めにより、男爵令嬢のアリシアは、ラクール公爵子息のダミアンと婚約した。
しかし、この国では一夫多妻制が認められている。ある伯爵令嬢に一目惚れしたダミアンは、彼女とも結婚すると言い出した。公爵の忠告に聞く耳を持たず、ダミアンは伯爵令嬢を正妻として迎える。そしてアリシアは、側室という扱いを受けることになった。
数年後、公爵が病で亡くなり、生前書き残していた遺言書が開封された。そこに書かれていたのは、ダミアンにとって信じられない内容だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる