きさらぎ駅

水野華奈

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”さんず”から”やみ”へ

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でも思い出せない私は役立たずで、こうして恐怖に煽られ、怯えて、震えて、彼にこうして着いていくしかできない。



「人間だ!!!!人間だぞ!!!!」



狂ったような笑い声と叫び声。
それは男が正常じゃないと訴えていた。


匠の携帯の光が闇にユラユラと動く。





「匠!携帯のライト消して!!!」


「あっ、わかった」




男の笑い声が聞えなくなったところで、匠は携帯の明かりを消した。

男は追いかけてくるわけでもない。
ただ狂ったかのように笑って人間だと叫び続けていた。


だが自分達の存在を知らせるような真似は避けたい。

なんでもっと早く気付かなかったんだろう。


私達は自ら男に居場所を教えていた。



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