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電車に乗って
十
しおりを挟む結局、私と匠は最終電車まで人混みの多い場所に居ることにした。
二人…もしくは一人になるのを避け、トイレもわざわざ混んでる場所に並ぶほどに私達は静けさを恐れた。
気を抜いたら直ぐにでもまた異変が起きそうで、気を抜く時間という物はなかったように思う。
「…………………」
あれから殆ど無言の状態。
匠の携帯はあれから鳴らず、私の携帯はポケットに突っ込んだままだ。
触る気にも慣れない。
寧ろ持ち歩くことさえ気持ち悪くて、嫌で仕方なかった。
あんな混乱の中で投げ捨てた携帯を匠が拾っていたなんて思わず、カラオケ店を出て人通りの多い場所に出たときに見せられて悲鳴を上げてしまった。
周りはさぞ驚いただろう。
勿論、一番驚いたのは私だ。
匠は大丈夫だと何回もいい、ドブに投げ捨てようとするのを必死に止められた。
仕方なしに持っているが、使う気にはなれない。
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