きさらぎ駅

水野華奈

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電車に乗って

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歌は唄わずに、軽いつまみを頼んでまったりとした時間を過ごす。


そんな中、再び携帯が音を奏でた。




「……俺のじゃないから沙耶じゃない?」


「えっ、私?」




慌てて鞄を探る。
こういう時、受信音を一緒にしていると面倒だと思う。




「あっ、私だ!」




やっと取り出した携帯は、やはりピカピカと点滅して光っていた。




「会社の人だったりして」




笑いながら茶化してくる匠。

それに困ったように笑いながら、ボックスを開いた。




「……………っ香織…」




会社の人間と言われれば会社の人間。


メールは二通。


どちらも香織からだった。


馬鹿だ。
何で早く気付かなかったんだろう。


事態に気付いた匠が私の肩に手をおいた。




「ゆっくり読んで、落ち着いて。連絡が取れるなら無事だということだ」


「……っ…うん」




精一杯頷いた。




『助けて』




最初に届いていたのはそんな物だった。
何故気付かなかったのだろう。


そして今さっき届いたのは画像。
文字などなく、一枚の画像だった。




「真っ黒………」




呟いて画像を匠に見せる。

何の意味があるのかわからず、互いに首を傾げるしかなかった。

  
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