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電車に乗って
三
しおりを挟む歌は唄わずに、軽いつまみを頼んでまったりとした時間を過ごす。
そんな中、再び携帯が音を奏でた。
「……俺のじゃないから沙耶じゃない?」
「えっ、私?」
慌てて鞄を探る。
こういう時、受信音を一緒にしていると面倒だと思う。
「あっ、私だ!」
やっと取り出した携帯は、やはりピカピカと点滅して光っていた。
「会社の人だったりして」
笑いながら茶化してくる匠。
それに困ったように笑いながら、ボックスを開いた。
「……………っ香織…」
会社の人間と言われれば会社の人間。
メールは二通。
どちらも香織からだった。
馬鹿だ。
何で早く気付かなかったんだろう。
事態に気付いた匠が私の肩に手をおいた。
「ゆっくり読んで、落ち着いて。連絡が取れるなら無事だということだ」
「……っ…うん」
精一杯頷いた。
『助けて』
最初に届いていたのはそんな物だった。
何故気付かなかったのだろう。
そして今さっき届いたのは画像。
文字などなく、一枚の画像だった。
「真っ黒………」
呟いて画像を匠に見せる。
何の意味があるのかわからず、互いに首を傾げるしかなかった。
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