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匠と沙耶
四
しおりを挟む一緒にそれを見ていた匠と視線が合う。
「恐らく帰ってこれる何かがあるはずなんだ。作り話の奴もいるだろうけど、本物もあると思う」
「……どうやったら帰ってこれるの?!香織は捕まっちゃってるんだよ?!!」
言ってからハッとして眉を下げて直ぐに謝った。
八つ当たりだ。
焦りでまくしたてた。
匠は悪くない。
寧ろ友人を探すのに協力してくれてる。
こんなに遅い時間なのに…。
「…疲れてるんだ。少し寝てろ。明日の…嫌、もう今日だな…今日ゆっくり探そう」
「でも!!仕事が……」
「俺は休むよ」
「…………私もだけど…でもごめんなさい」
謝る。
会社まで休ませることになるなんて……。
これで悪戯だったら香織を叱ってやる。
思って僅かに笑んで見せた。
悪戯ならどれだけ良いだろう。
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