きさらぎ駅

水野華奈

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序章

十五

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カタカタと背筋が凍り付く。



この人は何故こんな風に何も見えない闇の中、まっすぐ進むことができるのだろうと…


今更ながらにそんな事を思った。



よく見ればわかること。



気付こうと思えばいつでも気付けた。



車のライトは眩く前方を照らしてるけど、その景色は闇一色─────。




この人の人柄のせいで、信じきっていた。


まともだと。


助かったのだと。


でもそれは大きな間違いで、この人も追いかけてきた人達と大差ないのかも知れない。




『香織!!?香織!!?どうしたの、返事して』



『………さ……や、沙耶ぁ』




喉がカラカラで、私は彼を凝視したまま上手く話せない。


頭の中は危険信号が点滅しまくってる。


密室に自ら飛び込んで、私は本当に馬鹿なのかも……。




『香織!!!!!』




沙耶の焦りが入り混じった怒鳴り声など、遠くに聞こえるくらい、私は緊張状態にあった。


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