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序章
十一
しおりを挟むドンドコドン……
太鼓の音色が近くで聞こえて、息を殺して耳を澄ました。
近い。
さっきより確実に────。
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
誰か助けて。
祈った所で既に遅かった。
改札口からワラワラと人が姿を現す。
祭り故か、それとも常にその服装かは知らないが皆一様に仮面と浴衣姿だった。
だが唯一性別だけ認識できる。
彼等は男だ。
「あの婆さん毎度ながら役に立つよなぁ」
そんな言葉が聞こえて、ビクリと体を震わせた。
メールの続きなんか見れない。
出口は一つしかないのだし、私に逃げ場はなかった。
此処が何処だとかもうどうでも良い。
今は命に関わるような気がするし。
変な判断したら仮面をはり付けた男共に殺されそうな雰囲気だ。
メールは途中までしか読めなかった。
話からすれば沙耶達が私を見つけられることはないという事だ。
あぁ………。
泣きそう。
仕事で疲れてよれよれな上に走りすぎて足が痛いし。
何の嫌がらせか知らないけど、怖すぎて泣ける。
「……………………」
涙ながらに視線を泳がせる。
走って、逃げる。
その選択をなくした訳じゃない。
危ないけど、でも……。
簡単に捕まって殺されるくらいなら、悪足掻きをしても良いかも知れない。
うん。
膝が踊ってるけど!!
凄く怖いけど………!!
でも何より、死ぬのは嫌だ。
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