狼の宝

水野華奈

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え……?!困惑のタイムスリップ

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言って信じてもらえるだろうか…。


でも…言うしかない。




此処が¨新撰組¨なら尚更だ!





「言っても信じてもらえないかも知れません…」




伏し目がちに言う蒼子に、皆はこくりと黙って頷いてくれる。




「私…時代を越えたみたいです、此処より遥か先の時代から来ました。160年程先だと思います」




駄目元で言ってみた。


反応を伺って見るが、彼等は無言。


一番最初に口を開いた強面の男性は、私を見ながら仲間に話し掛けた。





「おい、こいつ病のせいで頭逝かれてんじゃねぇか?」





失礼だ!!!
悪いのは心臓で頭は正常なのに!


キッと睨み付けるが相手にされず、同情の眼差しで見られた。





「…土方くんそれは可哀想じゃないかな?」


やんわり強面の男性を咎めてくれるが、その顔は心配そうにしていた。


「えっと…土方歳三?」





新撰組、そして土方と言われて思い付くのはそれくらいだ。





「俺を知ってるのか?間者…にしては頼りねぇな」


ふんっと鼻で笑われ、バカにされる。


「新撰組、土方歳三。近藤勇、山南敬介。近藤さんは局長さんで土方歳三と山南さんは副長…ですよね?」





カチッとすんだ音がして、目の前には刀の刃。





「怪しい者は…斬る」





無表情の男だ。
目が覚めた時にいた男性…。


ひしひしと感じる殺意に、蒼子は目を見開いたがにっこり笑った。





「なるべく苦しめないで下さい」





目を閉じてその時を待つが、なかなか斬られる気配がない。

うっすら目を開けると、土方が視線で止めていた。





笑顔の男性が私を庇うように前に出ていて、優しそうな男性は土方と共にその優しそうな瞳を細めている。




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