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▽8
翌朝、リカルドが家に迎えに来た。僕用に誂えられた服を手渡し、着替えるように言われる。感情が好転したからか、朝から軽い食事を取ることが出来た。僕の体調を確認しながら、彼は僕を馬車に乗せた。
馬車の中でもお菓子をくれる。胃は現金にも上質な菓子を欲しがり、僕はぱくぱくと貰った傍から口に入れていった。そもそも、魔術師というものは燃費が悪く、一時的に食べられなかった反動で食欲が堰を切っていた。目的地に到着する頃には、食べ過ぎを心配されるほどだった。
到着した先は、神殿だった。
馬車から降りた時に、ようやく彼の姿を認識する余裕ができる。髪は以前にこの場所に来た時のように上品にまとめられ、彼は嫌がるだろうが……以前よりも更に、兄と近い空気を纏っている。
服も落ち着きのある色味、かつ、襟、袖、と皮膚を覆う部分が多い。遊び人が、一気に番持ちにでもなってしまったようだった。
さらりと腰を抱かれ、案内に従って歩を進める。お菓子に夢中で目的を聞くのを忘れていたが、案内人の手前、何しに来たかわからない、と言うのは憚られた。
案内されたのは、以前来た時と同じような部屋だった。椅子に腰掛け、リカルドに事情を聞こうとした途端、案内人と入れ替わりに別のひとが入ってくる。
「おはようございます、大神官様」
「はい。おはようございます」
大神官は柔らかく挨拶をすると、僕たちの向かいに腰掛けた。何かを言う前に、リカルドは二つの小箱を取り出す。そっと両方の蓋が開かれた。
一つの雷管石は、最近は見慣れた色だ。もう一つの雷管石は透明で、特別な色をしていない。だが、大振りで貴族が選ぶような石だ。中に込められている魔力は、と指先を伸ばすと、リカルドは僕の手に雷管石を持たせてくれた。
触れると、見知った魔力が流れ込んでくる。込められている魔力が彼のものであることを悟り、そっと石を返した。
二つの石は、揃って大神官へと手渡される。
「リカルドさん、ロシュさん」
「はい」
「は……、はい」
両手に握られた石が、僅かに傾けられる。きらり、と窓辺からの光を反射した。
「私は、この二つの石に込められた魔力の相性を鑑ることができます。ひとつはリカルドさんの魔力。もうひとつはロシュさんの魔力です。────結果を、知りたいですか?」
リカルドは、黙って僕を見た。
「俺は、……例えば数年後まで、曖昧なまま疑問を持っていたくない。だから結果は知りたい。ロシュと相性が悪いとか、ロシュよりも相性がいい相手がいるのなら、その結果は破り捨てるつもりだ」
「僕、は…………」
相性を聞きたくない、と思った。だが、その真意は、リカルド以外に番を持ちたくない、だ。
他に相性がいい相手がいても、僕を選んでくれるのなら。
「僕も、聞きます。……確かに、これからずっと一緒に暮らすのなら、はっきりさせておきたい、……です」
ふわり、と目の前の人は花が咲くような笑みを浮かべ、石を戻した。心から喜ばしい、と思われているのが伝わってくるような表情だ。
なぜ微笑むのか、と思って。ふと、今の時点で既に大神官だけは、結果を知っているのだということに思い至った。
「鑑定結果をお伝えします。私がどちらかの雷管石を受け取って、魔力相性の良い人物を探すとしたら、もう一つの石を持ってきます」
はー、とリカルドが詰めていた息を吐き出した。僕はきょときょとと二人を見る。十分に伝わっていないことが分かったのか、大神官はふふ、と口元に手を当てた。
「時々、いるんですよ。神殿を介さず、神の手によって巡り会う番が。はっきりと神殿を仲介している訳ではありませんので、そういう時には、魔力の相性を鑑定するのが後、になってしまうのですが」
「じゃあ……。例えば、僕の雷管石が持ち込まれたとしたら」
「私なら、相性の良いアルファ、としてリカルドさんの雷管石を持ってきます」
「────よ、良かったぁ……」
息を吐いた後で、黙っていたことを咎めるようにリカルドを小突く。だが、小突かれた当人はやに下がった顔をして、口元に拳を当てて笑っていた。
大神官は多忙のようで、出口まで送っていけないことを詫びてから部屋を辞した。最後まで、僕たちを祝福するような態度のままだった。彼の眼には、何が鑑えていたんだろう。
小箱を片付けている彼の隣で、強張っていた肩から力を抜く。
「リカルド。僕はね、……別に、リカルド以外と相性がいい、って言われてもリカルドを選んだけど」
「ああ。俺もだ」
「……でも、リカルドはそのことを一生思い悩むだろうから、こういう結果になって良かったと思ってるよ」
じわ、と彼の眼の端に光るものが浮いた。途端に、気付かなかったことを悔やむ。両親を見て、想像以上に兄へ引け目を感じてきた彼こそが、いちばん不安だった筈だ。
立ち上がり、座ったままの彼の頭を抱え込む。
「……俺は、ロシュと番になりたい」
「僕も」
伸びてきた腕が、僕の身体を引き寄せる。互いに抱き締めて、感情を交わし合った。
「急いで鑑定して貰えて良かったな」
「え? なんで」
問いかけると、リカルドは目を丸くする。そして、僕の胸元のあたりで深く呼吸をした。
「発情期」
「────あ」
忘れてた、と声を上げると、彼は呆れたように息を吐いた。自分よりも、近くにいるアルファのほうが匂いが分かってしまうんだろう。
「これから屋敷に帰って、別棟に移動な」
「あの、いつもは僕、家に籠もって……」
「別々じゃ、番になれないぞ?」
目の前のアルファの言うとおりだ。番候補がいるというのに、発情期に別々に過ごそうとするほうが変な話だった。
「でも、いま番候補だって分かったばっかりで……」
「けどロシュって、発情期での休暇日数が長くなかったか? 症状、軽いんだっけ?」
ぐう、と反論の余地なく黙り込む。
言われたとおり、発情期の休暇日数も長ければ、症状も重たいのが僕の発情期の常だった。アルファと番えば、身体の関係はあれど、身体的な負担は少なくなるはずだ。
「軽くはない……。かな、と」
「重いんだな?」
言い当てられ、また黙り込む。すん、と匂いを取り込むアルファからも、別の匂いが立ち上りはじめる。
「俺と発情期を過ごすの、不安?」
「そうじゃなくて…………、恥ずかしい」
言葉にすれば一言だ。実利をどれだけ並べられても、羞恥心が邪魔をする。うう、と顔を隠そうとするが、相手が上手で逃れられない。
「でも、項を噛まないと。俺たち番えない。……ロシュはそれでもいいか?」
「よくない……!」
反射的に口に出してしまって、罠に掛かったことに気付く。はっと目を見開いて、ぷるぷると唇を震わせた。
くっ、とリカルドが笑う。
「まあ。気持ちが追いついてないんなら待つよ」
背から指が離れた。温かかった部分が、すう、と冷えていく。番えたら、あの体温は自分のもの。未だ知らない独占欲が、ふっと萌芽した。
退室の準備が整い、鞄を持ち上げたリカルドの背を追って、服の裾を引いた。立ち止まった身体が、僅かに振り返る。
「リカルドが別の人の番になるの、いやだ」
「……恥ずかしいんじゃないのか?」
はっきりと、首を横に振る。
「別の人のものになるほうが、……いやだ」
力が緩んで、指は服から離れる。だらりと垂れ下がった手が、下の方から持ち上げられた。くい、と力強い腕が扉の外へと導く。
開けた扉の先。廊下には光の海に見えるほど白い筋が何重にも重なっている。廊下の床を叩く、リカルドの靴音が響く。
波を踏み散らかして歩いていく彼の手を離さないよう、きゅっと握り返した。
翌朝、リカルドが家に迎えに来た。僕用に誂えられた服を手渡し、着替えるように言われる。感情が好転したからか、朝から軽い食事を取ることが出来た。僕の体調を確認しながら、彼は僕を馬車に乗せた。
馬車の中でもお菓子をくれる。胃は現金にも上質な菓子を欲しがり、僕はぱくぱくと貰った傍から口に入れていった。そもそも、魔術師というものは燃費が悪く、一時的に食べられなかった反動で食欲が堰を切っていた。目的地に到着する頃には、食べ過ぎを心配されるほどだった。
到着した先は、神殿だった。
馬車から降りた時に、ようやく彼の姿を認識する余裕ができる。髪は以前にこの場所に来た時のように上品にまとめられ、彼は嫌がるだろうが……以前よりも更に、兄と近い空気を纏っている。
服も落ち着きのある色味、かつ、襟、袖、と皮膚を覆う部分が多い。遊び人が、一気に番持ちにでもなってしまったようだった。
さらりと腰を抱かれ、案内に従って歩を進める。お菓子に夢中で目的を聞くのを忘れていたが、案内人の手前、何しに来たかわからない、と言うのは憚られた。
案内されたのは、以前来た時と同じような部屋だった。椅子に腰掛け、リカルドに事情を聞こうとした途端、案内人と入れ替わりに別のひとが入ってくる。
「おはようございます、大神官様」
「はい。おはようございます」
大神官は柔らかく挨拶をすると、僕たちの向かいに腰掛けた。何かを言う前に、リカルドは二つの小箱を取り出す。そっと両方の蓋が開かれた。
一つの雷管石は、最近は見慣れた色だ。もう一つの雷管石は透明で、特別な色をしていない。だが、大振りで貴族が選ぶような石だ。中に込められている魔力は、と指先を伸ばすと、リカルドは僕の手に雷管石を持たせてくれた。
触れると、見知った魔力が流れ込んでくる。込められている魔力が彼のものであることを悟り、そっと石を返した。
二つの石は、揃って大神官へと手渡される。
「リカルドさん、ロシュさん」
「はい」
「は……、はい」
両手に握られた石が、僅かに傾けられる。きらり、と窓辺からの光を反射した。
「私は、この二つの石に込められた魔力の相性を鑑ることができます。ひとつはリカルドさんの魔力。もうひとつはロシュさんの魔力です。────結果を、知りたいですか?」
リカルドは、黙って僕を見た。
「俺は、……例えば数年後まで、曖昧なまま疑問を持っていたくない。だから結果は知りたい。ロシュと相性が悪いとか、ロシュよりも相性がいい相手がいるのなら、その結果は破り捨てるつもりだ」
「僕、は…………」
相性を聞きたくない、と思った。だが、その真意は、リカルド以外に番を持ちたくない、だ。
他に相性がいい相手がいても、僕を選んでくれるのなら。
「僕も、聞きます。……確かに、これからずっと一緒に暮らすのなら、はっきりさせておきたい、……です」
ふわり、と目の前の人は花が咲くような笑みを浮かべ、石を戻した。心から喜ばしい、と思われているのが伝わってくるような表情だ。
なぜ微笑むのか、と思って。ふと、今の時点で既に大神官だけは、結果を知っているのだということに思い至った。
「鑑定結果をお伝えします。私がどちらかの雷管石を受け取って、魔力相性の良い人物を探すとしたら、もう一つの石を持ってきます」
はー、とリカルドが詰めていた息を吐き出した。僕はきょときょとと二人を見る。十分に伝わっていないことが分かったのか、大神官はふふ、と口元に手を当てた。
「時々、いるんですよ。神殿を介さず、神の手によって巡り会う番が。はっきりと神殿を仲介している訳ではありませんので、そういう時には、魔力の相性を鑑定するのが後、になってしまうのですが」
「じゃあ……。例えば、僕の雷管石が持ち込まれたとしたら」
「私なら、相性の良いアルファ、としてリカルドさんの雷管石を持ってきます」
「────よ、良かったぁ……」
息を吐いた後で、黙っていたことを咎めるようにリカルドを小突く。だが、小突かれた当人はやに下がった顔をして、口元に拳を当てて笑っていた。
大神官は多忙のようで、出口まで送っていけないことを詫びてから部屋を辞した。最後まで、僕たちを祝福するような態度のままだった。彼の眼には、何が鑑えていたんだろう。
小箱を片付けている彼の隣で、強張っていた肩から力を抜く。
「リカルド。僕はね、……別に、リカルド以外と相性がいい、って言われてもリカルドを選んだけど」
「ああ。俺もだ」
「……でも、リカルドはそのことを一生思い悩むだろうから、こういう結果になって良かったと思ってるよ」
じわ、と彼の眼の端に光るものが浮いた。途端に、気付かなかったことを悔やむ。両親を見て、想像以上に兄へ引け目を感じてきた彼こそが、いちばん不安だった筈だ。
立ち上がり、座ったままの彼の頭を抱え込む。
「……俺は、ロシュと番になりたい」
「僕も」
伸びてきた腕が、僕の身体を引き寄せる。互いに抱き締めて、感情を交わし合った。
「急いで鑑定して貰えて良かったな」
「え? なんで」
問いかけると、リカルドは目を丸くする。そして、僕の胸元のあたりで深く呼吸をした。
「発情期」
「────あ」
忘れてた、と声を上げると、彼は呆れたように息を吐いた。自分よりも、近くにいるアルファのほうが匂いが分かってしまうんだろう。
「これから屋敷に帰って、別棟に移動な」
「あの、いつもは僕、家に籠もって……」
「別々じゃ、番になれないぞ?」
目の前のアルファの言うとおりだ。番候補がいるというのに、発情期に別々に過ごそうとするほうが変な話だった。
「でも、いま番候補だって分かったばっかりで……」
「けどロシュって、発情期での休暇日数が長くなかったか? 症状、軽いんだっけ?」
ぐう、と反論の余地なく黙り込む。
言われたとおり、発情期の休暇日数も長ければ、症状も重たいのが僕の発情期の常だった。アルファと番えば、身体の関係はあれど、身体的な負担は少なくなるはずだ。
「軽くはない……。かな、と」
「重いんだな?」
言い当てられ、また黙り込む。すん、と匂いを取り込むアルファからも、別の匂いが立ち上りはじめる。
「俺と発情期を過ごすの、不安?」
「そうじゃなくて…………、恥ずかしい」
言葉にすれば一言だ。実利をどれだけ並べられても、羞恥心が邪魔をする。うう、と顔を隠そうとするが、相手が上手で逃れられない。
「でも、項を噛まないと。俺たち番えない。……ロシュはそれでもいいか?」
「よくない……!」
反射的に口に出してしまって、罠に掛かったことに気付く。はっと目を見開いて、ぷるぷると唇を震わせた。
くっ、とリカルドが笑う。
「まあ。気持ちが追いついてないんなら待つよ」
背から指が離れた。温かかった部分が、すう、と冷えていく。番えたら、あの体温は自分のもの。未だ知らない独占欲が、ふっと萌芽した。
退室の準備が整い、鞄を持ち上げたリカルドの背を追って、服の裾を引いた。立ち止まった身体が、僅かに振り返る。
「リカルドが別の人の番になるの、いやだ」
「……恥ずかしいんじゃないのか?」
はっきりと、首を横に振る。
「別の人のものになるほうが、……いやだ」
力が緩んで、指は服から離れる。だらりと垂れ下がった手が、下の方から持ち上げられた。くい、と力強い腕が扉の外へと導く。
開けた扉の先。廊下には光の海に見えるほど白い筋が何重にも重なっている。廊下の床を叩く、リカルドの靴音が響く。
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