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オルキスの屋敷に来る前は領地を駆け回っていたが、こちらの屋敷では蝶で花かとばかりにもてなされる。
厳しいとの噂を聞いたヴィリディ家当主……オルキスの父であるその人ですら、俺に対してはその美しい顔立ちを緩ませるのだ。
何故こんなにも態度が柔らかいのか不思議に思ったものだが、あまり表に出ることのないオルキスのもう一人の父……生みの親であるオメガの父は、庭好きで穏やかな人だった。オルキスの人当たりが柔らかい部分はこちらに似たのだろう、と分かるその人と接していると、俺とも魔力の質が近いことが分かる。
つまり、オルキスの父が番に対して甘いがために、息子の番である俺にもその甘さの一部が適用されているようなのだ。
結果、屋敷の中をぶらついていると、使用人なりオルキスの両親や兄弟なりに厚意をもって話しかけられる。最初の頃は、会話に緊張して部屋に戻っていたが、仕事がない生活にも飽きてしまった。
屋敷に出ないと仕事が貰えない、と気づいた俺は、屋敷中の魔術装置を調べ回って、調子が悪いものを見つけると、『直してもいいか』尋ねるようになった。
重要なものではなく『いいよ』と言われると期限を聞いて装置を外して持って帰り、自分が考え得る中で最高の質の魔術式に更新して期限内に仕込む。
そういう事を繰り返していると、流石に当主にもオルキスにもばれた。
「ずっと魔術式を書いてるから何かと思えば……」
オルキスは動き回っていないと落ち着かない俺に驚いた様子だったが、激甘な番である。友人であるフィーアをお目付役として、医師に相談しつつ無理のない範囲で、という約束で許可された。
屋敷を歩き回る所為で屋敷の人々と話すことにも慣れ、過ごしやすさは増している。
オルキスは復帰直後は溜まっていた仕事に追われていたが、俺が屋敷での立ち位置を確保する頃には、それも落ち着いていた。
「セルド。僕、今日はお休みなんだよ」
唐突にそう言われたのは、天気の良い日の朝食の場だった。暑くもなく寒くもなく、暮らしやすい日のうちの一日だ。
体調にも変化はなく、質の良い料理が盛られた皿を丁寧かつ迅速に空にしていく。今日は何をしようか、と考えていた時のことであった。
「良かったな。部屋でゆっくりするのか?」
「朝方はそうするけど、昼になったら屋敷の庭を散策しない? お弁当を外で食べるのは楽しいと思うんだ」
「あ、行きたい!」
前のめりに返事をすると、オルキスは嬉しそうに頷く。
せっかく久しぶりの休みだというのに、安全な場所で俺を楽しませようと考えてくれていたのか。そういえば、昨日も急ぎの仕事を引き受けていないか、尋ねられていたように思う。
根菜をすり潰して味を調えたスープを口に入れると、ほっこりと優しい味わいが広がった。
「なんか、気を遣わせてごめんな。あんまり俺が暴れるのは怖いし」
「うん、僕も。お互いに魔力が強い所為で、育ちが早いのは予想外だったね」
腹の子は魔術に心得のある医師に定期的に診てもらっているのだが、平均よりも早く育っているとの事だった。両親ともに魔力が多いためか、栄養と魔力を糧に身体を育てている様子が分かるらしい。
その代わりに俺は以前とは比べものにならないくらい食べてしまうのだが、体重が増えることもなく、見事に魔力に転化されている。
「もう最近、食べても食べても腹が減るんだよ。実家にいたら食費のこと考えなきゃいけなかったから、ほんと助かる」
そう言い、パンを千切って頬張る。オルキスは困ったように笑っていた。
「過剰に食べることもしなくていいらしいけど、セルドの体調だけを考えて。食費は本当に気にしないでね」
「はいはい、せいぜい腹いっぱい食べるよ。お前の子だもんな」
魔力量が多い所為か、オルキスもそこそこ食べる質らしい。朝食としてテーブルいっぱいに並んだ食事が、たった二人によって片っ端から消えていくのは壮観ですらある。
俺の言葉に、オルキスはぱっと顔を輝かせ、何だか、うんうん、と一人で納得していた。
しばらく同じ部屋で過ごしているが、オルキスの恋は醒める様子を見せない。すぐに飽きた、と放り出されることも考えてはいたが、毎日律儀に愛を囁いては、俺の助けになろうと心を砕いている。
料理の載った皿がなくなると、二人して長かった食事を終えた。
給仕に食事量の相談をして、美味しくなく感じるようになった食材もまた伝えた。
体調の変化が大きく、数日前には好きだった味が今日には受け付けなくなったりする。栄養を摂れないのが一番困ること、と料理人には細かく現状を伝えることにしていた。
給仕も熱心に詳細を問い返してくれるので、親切心をこそばゆく感じながら話を終えた。
「悪い。暇だっただろ」
俺と給仕が話しているのを聞くばかりになっていたオルキスに声を掛けると、彼は立ち上がって近寄り、俺の腰を抱く。
「ううん。僕も知っておいた方が良いことだよ」
「…………そう、か……?」
首を傾げる額にキスをされ、一緒にオルキスの自室に戻った。
俺が調理に使う攪拌機の魔術式を直そうと紙を取り出すと、オルキスは隣で娯楽小説の本を積み上げた。
しばらくはお互いに別のことをしていたが、飽きた俺が娯楽小説に目をやりはじめると、遊戯盤を持ち出して対戦に誘ってくる。駒を特定の規則に従って進めていく陣取りの遊びで、覚えることは少ないはずなのに、初回はあっさりと負けた。
面白がってもう一回、と何度も挑めば何となく流れが分かってくる。少年のようにけらけらと笑い声を上げ、互いの駒を跳ね散らかしていった。
ふと腕に触れる時、何の気負いもなしに触れていることに気づく。ぺたぺたと腕に触れさせると、上の方でオルキスが不思議そうに目を瞠った。
「また魔力がおかしくなってる?」
発情期が終わらなかった時に、俺が魔力をいじって治した時のことを指しているのだろう。いや、とその言葉に首を振る。
「触っても、嫌な感じしないなって」
オルキスはぽかんとして、むずむずと口元を閉じて、少し考えた後で俺を抱き込んだ。いつものこと、とされるがままになっていると、そっと髪が撫でられた。
灰褐色の髪の柔らかさは彼によく褒められるが、最近では丁寧に手入れされるので絡まりやすさも改善している。オルキスは髪を掻き分けて耳に掛け、指先の感触で楽しんでから、鼻先から口元を埋めて息を吸い込む。
もぞもぞとする感覚も、続けられていれば慣れるのが不思議だ。
「君から離れたらまた僕は病んでしまいそうだから、面倒だろうけど、こうやって触らせてね」
「別に、嫌じゃないからいいよ。邪魔されてる訳でなし」
「セルドのそういうとこ、大好き」
「知ってる」
くっついたオルキスは、遊戯に戻りたがらなくなった。髪を撫で、肌に触れ、ぽつりぽつりと断続的な会話を楽しむ。俺は彼の膝の間に座らされ、やんわりと魔力を馴染ませた。
神殿の鑑定士の腕は良いようで、俺もオルキスも、互いの魔力相性はいいのだろうと納得している。相性の悪い魔力は触れているだけで苛々したり、体調が悪くなったりと影響を及ぼすが、俺たちはたぶん放っておけば何時間でも触れ合っていられる。
最たるものが発情期の期間だっただろう。あの時期、魔力の境界は失っているに等しかった。
「僕ね。ずっと前から神殿に雷管石を預けてたんだけど、相手が見付からなくて。もう結婚の適齢期だから、っていくらか番候補……口約束程度にそういった人を父も見繕いはじめていて。だから、運命には会えないのかなあ、って思っていたんだ」
「ほんと……それに関してはごめんな。代わりの魔術師を雇えなくて……」
初めてその事情を話した時、オルキスは目をまん丸にしていた。
それもそうだろう、彼が運命に会えない、と気を揉んでいた理由が、まさか番の実家が貧乏だったから、とは彼も思うまい。
「ううん。僕はそういった事情を想定してなかった。長い間会えなかったのは寂しかったけど、でも、そういう事情がある人、のことを僕が考えるいい機会になったよ。これも、君からの贈り物なのかなって」
それにね、と耳元で、宝物を打ち明けるようにオルキスは言葉を続ける。
「もう、会いたかった君に逢えたから。なんでもいいんだ。全部、笑い話なんだよ」
オルキスからの恋情は、疑うべくもない。こんな言葉を演技で紡げるのなら、たいした役者だ。
ふふ、と伝えられたことに満足そうに笑うオルキスは、背後から回した腕にやんわりと力を込める。腕に手を添え、背後に寄り掛かっても、彼の体躯はびくともしなかった。
のんびりとしている時間、いい機会だとオルキスの手ずから髪を梳られ、爪を整えてやすりを掛けられ、今度、装飾品を贈りたいのだと打ち明けられた。
「貰ってばっかだと返す時に困るんだが……」
「違うよ。病から救ってもらって、番も子も与えられて、一生掛かったって返しきれないんだよ」
上機嫌な声音は、聞き入れるような響きを持たない。これがアルファってやつなんだろう、と思ったが、実害がないので放っておいた。
財を使い果たす勢いで贈ってくるならその時に止めるが、金持ちの散財は他の者の懐も同時に暖める。適度に俺が放っておけば、助かる者もいるだろう。
番として文句の付けようもない。最近の困りごとと言えば、そんな贅沢な悩みだった。
「そろそろ庭に行こうか」
使用人から弁当が届けられ、庭で弁当を広げた後、手入れをされた庭を解説を受けながら散策する。
思ったよりも広かった敷地は半日がかりでも周りきれず、次の約束を交わしてその日を終えるのだった。
厳しいとの噂を聞いたヴィリディ家当主……オルキスの父であるその人ですら、俺に対してはその美しい顔立ちを緩ませるのだ。
何故こんなにも態度が柔らかいのか不思議に思ったものだが、あまり表に出ることのないオルキスのもう一人の父……生みの親であるオメガの父は、庭好きで穏やかな人だった。オルキスの人当たりが柔らかい部分はこちらに似たのだろう、と分かるその人と接していると、俺とも魔力の質が近いことが分かる。
つまり、オルキスの父が番に対して甘いがために、息子の番である俺にもその甘さの一部が適用されているようなのだ。
結果、屋敷の中をぶらついていると、使用人なりオルキスの両親や兄弟なりに厚意をもって話しかけられる。最初の頃は、会話に緊張して部屋に戻っていたが、仕事がない生活にも飽きてしまった。
屋敷に出ないと仕事が貰えない、と気づいた俺は、屋敷中の魔術装置を調べ回って、調子が悪いものを見つけると、『直してもいいか』尋ねるようになった。
重要なものではなく『いいよ』と言われると期限を聞いて装置を外して持って帰り、自分が考え得る中で最高の質の魔術式に更新して期限内に仕込む。
そういう事を繰り返していると、流石に当主にもオルキスにもばれた。
「ずっと魔術式を書いてるから何かと思えば……」
オルキスは動き回っていないと落ち着かない俺に驚いた様子だったが、激甘な番である。友人であるフィーアをお目付役として、医師に相談しつつ無理のない範囲で、という約束で許可された。
屋敷を歩き回る所為で屋敷の人々と話すことにも慣れ、過ごしやすさは増している。
オルキスは復帰直後は溜まっていた仕事に追われていたが、俺が屋敷での立ち位置を確保する頃には、それも落ち着いていた。
「セルド。僕、今日はお休みなんだよ」
唐突にそう言われたのは、天気の良い日の朝食の場だった。暑くもなく寒くもなく、暮らしやすい日のうちの一日だ。
体調にも変化はなく、質の良い料理が盛られた皿を丁寧かつ迅速に空にしていく。今日は何をしようか、と考えていた時のことであった。
「良かったな。部屋でゆっくりするのか?」
「朝方はそうするけど、昼になったら屋敷の庭を散策しない? お弁当を外で食べるのは楽しいと思うんだ」
「あ、行きたい!」
前のめりに返事をすると、オルキスは嬉しそうに頷く。
せっかく久しぶりの休みだというのに、安全な場所で俺を楽しませようと考えてくれていたのか。そういえば、昨日も急ぎの仕事を引き受けていないか、尋ねられていたように思う。
根菜をすり潰して味を調えたスープを口に入れると、ほっこりと優しい味わいが広がった。
「なんか、気を遣わせてごめんな。あんまり俺が暴れるのは怖いし」
「うん、僕も。お互いに魔力が強い所為で、育ちが早いのは予想外だったね」
腹の子は魔術に心得のある医師に定期的に診てもらっているのだが、平均よりも早く育っているとの事だった。両親ともに魔力が多いためか、栄養と魔力を糧に身体を育てている様子が分かるらしい。
その代わりに俺は以前とは比べものにならないくらい食べてしまうのだが、体重が増えることもなく、見事に魔力に転化されている。
「もう最近、食べても食べても腹が減るんだよ。実家にいたら食費のこと考えなきゃいけなかったから、ほんと助かる」
そう言い、パンを千切って頬張る。オルキスは困ったように笑っていた。
「過剰に食べることもしなくていいらしいけど、セルドの体調だけを考えて。食費は本当に気にしないでね」
「はいはい、せいぜい腹いっぱい食べるよ。お前の子だもんな」
魔力量が多い所為か、オルキスもそこそこ食べる質らしい。朝食としてテーブルいっぱいに並んだ食事が、たった二人によって片っ端から消えていくのは壮観ですらある。
俺の言葉に、オルキスはぱっと顔を輝かせ、何だか、うんうん、と一人で納得していた。
しばらく同じ部屋で過ごしているが、オルキスの恋は醒める様子を見せない。すぐに飽きた、と放り出されることも考えてはいたが、毎日律儀に愛を囁いては、俺の助けになろうと心を砕いている。
料理の載った皿がなくなると、二人して長かった食事を終えた。
給仕に食事量の相談をして、美味しくなく感じるようになった食材もまた伝えた。
体調の変化が大きく、数日前には好きだった味が今日には受け付けなくなったりする。栄養を摂れないのが一番困ること、と料理人には細かく現状を伝えることにしていた。
給仕も熱心に詳細を問い返してくれるので、親切心をこそばゆく感じながら話を終えた。
「悪い。暇だっただろ」
俺と給仕が話しているのを聞くばかりになっていたオルキスに声を掛けると、彼は立ち上がって近寄り、俺の腰を抱く。
「ううん。僕も知っておいた方が良いことだよ」
「…………そう、か……?」
首を傾げる額にキスをされ、一緒にオルキスの自室に戻った。
俺が調理に使う攪拌機の魔術式を直そうと紙を取り出すと、オルキスは隣で娯楽小説の本を積み上げた。
しばらくはお互いに別のことをしていたが、飽きた俺が娯楽小説に目をやりはじめると、遊戯盤を持ち出して対戦に誘ってくる。駒を特定の規則に従って進めていく陣取りの遊びで、覚えることは少ないはずなのに、初回はあっさりと負けた。
面白がってもう一回、と何度も挑めば何となく流れが分かってくる。少年のようにけらけらと笑い声を上げ、互いの駒を跳ね散らかしていった。
ふと腕に触れる時、何の気負いもなしに触れていることに気づく。ぺたぺたと腕に触れさせると、上の方でオルキスが不思議そうに目を瞠った。
「また魔力がおかしくなってる?」
発情期が終わらなかった時に、俺が魔力をいじって治した時のことを指しているのだろう。いや、とその言葉に首を振る。
「触っても、嫌な感じしないなって」
オルキスはぽかんとして、むずむずと口元を閉じて、少し考えた後で俺を抱き込んだ。いつものこと、とされるがままになっていると、そっと髪が撫でられた。
灰褐色の髪の柔らかさは彼によく褒められるが、最近では丁寧に手入れされるので絡まりやすさも改善している。オルキスは髪を掻き分けて耳に掛け、指先の感触で楽しんでから、鼻先から口元を埋めて息を吸い込む。
もぞもぞとする感覚も、続けられていれば慣れるのが不思議だ。
「君から離れたらまた僕は病んでしまいそうだから、面倒だろうけど、こうやって触らせてね」
「別に、嫌じゃないからいいよ。邪魔されてる訳でなし」
「セルドのそういうとこ、大好き」
「知ってる」
くっついたオルキスは、遊戯に戻りたがらなくなった。髪を撫で、肌に触れ、ぽつりぽつりと断続的な会話を楽しむ。俺は彼の膝の間に座らされ、やんわりと魔力を馴染ませた。
神殿の鑑定士の腕は良いようで、俺もオルキスも、互いの魔力相性はいいのだろうと納得している。相性の悪い魔力は触れているだけで苛々したり、体調が悪くなったりと影響を及ぼすが、俺たちはたぶん放っておけば何時間でも触れ合っていられる。
最たるものが発情期の期間だっただろう。あの時期、魔力の境界は失っているに等しかった。
「僕ね。ずっと前から神殿に雷管石を預けてたんだけど、相手が見付からなくて。もう結婚の適齢期だから、っていくらか番候補……口約束程度にそういった人を父も見繕いはじめていて。だから、運命には会えないのかなあ、って思っていたんだ」
「ほんと……それに関してはごめんな。代わりの魔術師を雇えなくて……」
初めてその事情を話した時、オルキスは目をまん丸にしていた。
それもそうだろう、彼が運命に会えない、と気を揉んでいた理由が、まさか番の実家が貧乏だったから、とは彼も思うまい。
「ううん。僕はそういった事情を想定してなかった。長い間会えなかったのは寂しかったけど、でも、そういう事情がある人、のことを僕が考えるいい機会になったよ。これも、君からの贈り物なのかなって」
それにね、と耳元で、宝物を打ち明けるようにオルキスは言葉を続ける。
「もう、会いたかった君に逢えたから。なんでもいいんだ。全部、笑い話なんだよ」
オルキスからの恋情は、疑うべくもない。こんな言葉を演技で紡げるのなら、たいした役者だ。
ふふ、と伝えられたことに満足そうに笑うオルキスは、背後から回した腕にやんわりと力を込める。腕に手を添え、背後に寄り掛かっても、彼の体躯はびくともしなかった。
のんびりとしている時間、いい機会だとオルキスの手ずから髪を梳られ、爪を整えてやすりを掛けられ、今度、装飾品を贈りたいのだと打ち明けられた。
「貰ってばっかだと返す時に困るんだが……」
「違うよ。病から救ってもらって、番も子も与えられて、一生掛かったって返しきれないんだよ」
上機嫌な声音は、聞き入れるような響きを持たない。これがアルファってやつなんだろう、と思ったが、実害がないので放っておいた。
財を使い果たす勢いで贈ってくるならその時に止めるが、金持ちの散財は他の者の懐も同時に暖める。適度に俺が放っておけば、助かる者もいるだろう。
番として文句の付けようもない。最近の困りごとと言えば、そんな贅沢な悩みだった。
「そろそろ庭に行こうか」
使用人から弁当が届けられ、庭で弁当を広げた後、手入れをされた庭を解説を受けながら散策する。
思ったよりも広かった敷地は半日がかりでも周りきれず、次の約束を交わしてその日を終えるのだった。
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