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しばらく抱き付いて触れ合った後で、永登は自宅に来ないかと誘った。彼の自宅は管理人付きのマンションで、買い出しなどを頼むことも出来るそうだ。
発情期を一緒に過ごすつもりでいる彼に、本当にいいのか、と何度も念押しした。
「稔くんだって、抑制剤なしで過ごしてみたくない?」
彼の誘いは甘かった。
今まで散々、抑制剤で体調を崩してきた。体重がない所為か、薬の副作用が重すぎるのだ。
あの体調の悪さを味わわなくていい。気持ちいいことだけしていればいい。深く考える前に、頷いていた。
きのう世話になったタクシーへと連絡をして、永登のマンションへと送ってもらう。僕の家よりも格段に広いマンションを見て、あのまま自宅にいなくてよかった、と胸を撫で下ろした。
永登は、途中で寄って貰ったスーパーで買った物を冷蔵庫に仕舞っている。僕が広いソファの上で溶けていると、額に冷えたペットボトルが当てられた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
喉を潤して、正気を保っているうちにシャワーを借りたい、と頼んだ。何故か一緒に入ろうとする永登を叩き出して、浴室で身体を洗う。
自宅から持ち込んだ室内着に着替え、頭にバスタオルを載せる。
「あのよく分からない形のドライヤー借りていい?」
「よく分からない形……?」
僕の言葉に釈然としない様子だったが、変な形のドライヤーを借りる許可はくれた。小型だと侮っていたら、あんがい早く乾いた。
乾いた髪を撫で付け、脱衣所を出る。
僕を見つけた永登は、立ち上がって大股で近寄ってくる。僕の手を持ち上げて、ちゅ、と甲に唇を落とした。形の整った鼻先が皮膚をこする。
「他の臭いがしなくなって、ますます良い匂いになった」
屈み込んだ唇が近付いて、啄むように触れて離れた。永登にも、香水以外に目立つ匂いがある。僕の匂いに反応しているんだろうか。
「永登の匂い、も、変わってる、か……? なんか、いつもより……」
瞳に陰が差して、唇が持ち上げる。
「うん。君のフェロモンは、効き過ぎるみたいだ。俺が身体を洗ったら──」
ぐ、と腰に手が回り、つま先立ちになるほど高く持ち上げられた。こつり、と額がぶつかる。
「いちど、抱かせてくれる?」
「…………ッ! だ、抱く……!?」
舌が縺れるばかりの僕の言葉に、永登は面白そうに目を見開いて、無言で身体を解放した。
クローゼットに向かい、室内着を取り出すと、僕の頭にいちど手を置いて歩き去る。
「永登……!」
「身体を洗い終わるまでに、返事を考えておいて」
じゃあ、と軽く手を挙げ、リビングの扉が閉じられた。よろめきながらソファに向かい、ぼすん、と弾みを付けて座る。
両手で顔を覆って、前髪をくしゃくしゃにした。頬が火照って仕方がない。
微かに水音が聞こえてくる静かな室内で、ぼうっと壁紙を眺めていた。
「僕に……、どうしろと」
目元に手を当てて、ただ透ける光を見つめる。身体を重ねても、番になってしまったって構わないと彼は言外に示してくる。
永登にとっては、ただ発情期を楽に過ごすための行為ではないのだ。
「────……返事は決まった?」
ラフな室内着を身に纏った永登が戻ってくる。その格好であっても、美形の顔立ちは損なわれない。
隣に座ったアルファの、服の裾を指で掴む。
「……僕、さっきまで発情期を楽に過ごせたら、って下心があって」
「ああ。抑制剤は身体が小さい人ほど、負担が大きいだろうね」
「うん。それもあって、まだ永登が持っている気持ちほど、感情が追いついてないかもしれない。でも、永登以外のひとと、発情期を過ごすことを考えられないのは本当だから。……それでも、いいか?」
下がっていた視線を必死で持ち上げると、彼の顔は愛しさに蕩けきっていた。大げさに両手を広げる腕に飛び込むと、そのまま持ち上げられる。
ぐるん、と反転した視界で、悲鳴に近い声を漏らす。
「……あ、わ……!? こわ……!」
「ごめんごめん、ゆっくり運ぶね」
器用に僕を抱え上げたまま、彼は明るいリビングを出た。廊下を歩いて、一つの扉を押し開ける。
リビングよりも暗い室内に戸惑っていると、壁に備え付けてあるスイッチを押すように指示された。反転したまま戸惑いつつ指を伸ばすと、ぱっと柔らかな照明が灯る。
部屋の中央あたりに、大きなベッドが鎮座している。ここが寝室であることはすぐに分かった。
部屋を大股に突っ切ると、僕はベッドの上に下ろされる。
「君がノーと言わないなら、俺はそれに付け込むよ」
屈み込む男の唇を、顔を傾けて受け入れた。唇に指を当て、よこしまな笑みを浮かべるアルファを窺う。
手のひらを彼の胸に当てると、やっぱりドクドクと鳴っていた。
「……演技が上手いな」
「ばれたか。生業だからね」
くい、と服を引いてベッドへ促す。重い体重がベッドに乗って、座った面が深く沈み込んだ。
届く位置になった頬に、ちゅ、とキスをする。
「不安がらせてごめんな。おいで」
手を広げると、大きな体躯が降ってきた。ぎゅう、と距離を詰めると未だにどこどこと忙しなく鳴っている。
唇が首筋に触れた。つっと辿られると、くすぐったさに身じろぎする。開いた唇から覗いた歯が、皮膚に軽く立てられた。
「……──っ、ン」
ぞわぞわと刺激が伝って、縋り付く背を抱き返す。唇が触れた場所を吸われ、朱い痕が残った。
掌が、上着の下に潜り込む。つ、と腹の薄い皮膚の上を指が滑った。視界の下で服が持ち上がって、指が胸元まで這い上がった。
円を描くように丘を撫で、てっぺんを摘まみ上げる。
「……なっ…………! う、ン……」
声を遮るように、相手の舌が唇を舐める。促されるままに唇を開くと、間から厚い舌が入り込んできた。
ざらざらとしたものが、口内の柔らかい粘膜を舐める。舌先が長く入り込む度に苦しくて、何度も息を唾液ごと飲んだ。
「ん、ふ。……ぁ、ふ、あ……! ンう」
頭を振っても、食らいついた顎は離れない。唇が離れた隙に息を吸って、また覆い被さる唇を拙く受け止めた。
僕が抵抗できないのを良いことに、指先は動き回り、こりこりとした感触を堪能している。
「この……ッ! やらし、ことばっか……ン、う」
声を許されるのも一瞬だけだ、胸の粒が膨れ、撫でられるだけで感じるようになったところで、ようやく不埒な指は離れた。
解放されたくちびるを開き、息を吸い込む。
「俺、誰にでもこんなことしないよ?」
「してたら引っぱた……おい。もう、や……」
服が捲り上げられ、色を変えた突起が露わになる。にたり、と目の前の口の端が上がったのが見えた。
開いた口の中に、赤いものが覗く。ちろりと突起を舐め上げ、口に含まれた。
「……ン、ぁ。……あぁッ、ふ、うあ」
ちゅう、と吸われる感触で、また刺激に反応した部分が持ち上がる。空いた手はもう片方の先端を捏ね回し、乳輪を摘まんだ。
一度くちが離れると、唾液が残る場所が、すう、と冷える。ちろちろと舌の先端に突起がなぶられて揺れた。
「かわいいなぁ」
「やめろ。もう、いっぱいいっぱい、で…………ん、ァ!」
そんなに吸われたら膨らんで、戻らなくなってしまう。まだ弄り足りなさそうな男を引き剥がし、いちど呼吸を整える。
引き離された男は、不満、と顔に書いてあった。僕の上着を引くと、持ち上げて腕から引き抜く。
唾液で濡れた場所が、つんと尖った。
「予想通り身体、細いね。もう少しすっきりした服も似合うんじゃない?」
「オメガだって隠せる方が都合がいいから……」
「うん。何となくそれは分かってたけど、俺と番になったら隠す必要ないし」
大きな掌が、胸に触れて、するすると下がる。腹の肉を摘まもうとするが、皮膚だけで上滑りした。
「もっと食べさせないと……」
ひとり決意を新たにするアルファは、腰骨あたりをまるく撫でた。自分の指ではない感触が、皮膚の上を這う。
もぞもぞとした僅かな快感が、皮膚の下で燻った。
「さっきから……、焦らされてるのか?」
周囲は、アルファの匂いで満ちている。濃厚で、圧のあるにおいが周囲に広がり、身体の熱を押し上げていく。
「手加減していたつもりだよ」
骨張った指先が下の服に掛かった。咄嗟にその指を遮ろうと手を掛けてしまい、見下ろす瞳と見つめあう。
指を持ち上げ、かるく握り込んだ。
「指、外さなくていいんだ?」
「……いい」
届くか届かないかというような声を、聡い耳は律儀に拾った。愉しそうな笑い声と共に、下着もろとも脱がされる。
僅かに迸りを蓄えている茎は、まだ茂りの内に身を潜めたままだ。気恥ずかしさに太腿を寄せる。
永登は何かを思いだしたように近くの小机に手を伸ばすと、引き出しの上から未開封な半透明のボトルを取り出す。
フィルムを剥いでいる横顔を、ぽかんと見つめた。
「……買い置きしてんの?」
他の相手への嫉妬というよりも、純粋な興味だった。彼は剥けたフィルムをゴミ箱に放る。
「心配しなくても。さっき寄ったスーパー、端っこにドラッグストアがあったから、そっちで買ったやつだよ」
「別に心配はしてないが」
心配するとしたら、今からその中身を使われる自分の身体に対してだ。
永登はキャップを開け、中身を掌に絞り出す。べとべとになった掌を塗り広げ、僕の股の間に潜り込ませる。
ぬるりとしたものが草叢に纏わり付き、中で縮こまっているモノを引き摺り出す。先端に液体をまぶすと、粘膜の上をちがう皮膚が滑った。
「……ンっ、……ふ、ぁ。……うあ」
永登は僕を引き寄せ、自らの太腿に乗せると掌中におさめた熱をぐちぐちと弄ぶ。唇は声を零し、彼の耳元で嬌声を上げた。
「……ァ、ひ……っ、ぁ」
自分の手のひらで慰める時とはまるで違う。厚い皮膚も、皮膚の下から押し上げる骨のかたちも、容赦なく扱き上げる大胆さも。彼の手で施されていることが脳に刻み込まれる。
丸い爪を避けて、鈴口を指先が抉った。
「っ……! ……ぁ、ぁあぁああッ」
かさぶたを剥がすかのように、やがて下からじくじくと薄い体液が零れ始める。ローションと体液が混ざり、くぷくぷと泡を作った。
悲鳴へと過渡する声を愉しみ、男は首筋を掬って唇を重ねた。呼吸を繋げたまま、指は弱い場所を嬲る。掻き消された悲鳴の奥で、息を交換した。
「……ゃ、も……! じゅうぶん……!」
「『いや』? じゃあ、別のトコ触ろっか」
永登は僕の身体を持ち上げ、肩に凭れさせる。太腿が持ち上がると、触れるようになった尻を撫でる。
「揉んだら怒る?」
「…………べつに。……って、言った傍から……ッ!」
ぽこぽこと頭を叩いても、許可されたからいいだろうとばかりに揉みしだく。感触を堪能すると、ローションのボトルを持ち上げ、広い掌にぬめりが足された。
伸びた指が肉の狭間を通り、まだ閉じた輪の上を伝う。
「…………ひッ」
「ここ、弄らないと繋がれないから。触るよ?」
「ん。……う、ん」
おずおずと承諾すると、近くにあった胸のてっぺんにキスをされた。もぞり、と身体を動かし、不安定なバランスを相手の身体に委ねる。
もういちど窪みに指を押し当て、周囲の筋肉を揉む。指の腹に吸い付く粘膜をいいことに、ずぶ、と潜り込んだ。
「あッ……!」
弱い粘膜を、慎重に探る指が奥へ進む。節くれ立った場所はごりごりと内壁を掻く。掴まっている肩に爪を立て、違和感をやり過ごした。
かなり長い時間、隅々まで探られ続ける。ふと、くっと伸ばした先、指の腹が確信めいてその場所を捉えた。
「────え? ……ヒッ、ぁあああッ!」
ずくん、と普段とは毛色の違う快楽が襲う。身体がぶるぶると震え、崩れかける体勢を腕が支えた。
支えた腕は僕の身体を固定し、更に深く見つけた場所を撫でさする。
「……ぁ、ン、ぁあ、う。ッ……ぁあ…………!」
指の腹で押される度、快楽の火が広がる。指が前後する度に、ごりごりと粘膜を擦る。肉縁は綻び、ちゅう、と太い指に吸い付いた。
腹の奥を押し上げる感覚は、電気信号のような刺激を長引かせた。神経に薄皮越しに触れられ、奥を許しているからこそダイレクトに苛む。
「ん、く。……ひあ、……あぁ、ン、……ぁああッ!」
どれだけの時間、触られていたのか分からない。ちゅぽ、と指が引き抜かれたときには、身体の中心は痺れの名残があった。
臍の下に手を当て、押し当てられた快楽の余韻を味わう。背に回された腕が、身体をアルファの元に引き寄せた。
「ナカ、入りたいな」
掌を置いた股間は盛り上がり、どくどくと血の巡っている様すら分かりそうだ。指先で捏ねられた場所を、肉棒で押し潰される様を想像する。指先の味を知った後腔がきゅっと疼いた。
「僕、も。されたい」
近付いてきた唇に、自分からも距離を詰める。唇が離れると、支えられていた身体が反転し、ベッドに押し付けられた。
彼はふっと表情を崩すと、纏っていた上着を脱ぎ、シーツの上に落とした。下の服にも手を掛け、一気にずり落とす。膨れて持ち上がった雄に手が添えられると、ぶるりと震えた反動で汁を垂らした。
画面越しに、そして背後の座席から見ていた顔が、鼻先にまで近付く。シーツに背を付けて、映像を見る動機そのままに綺麗なものを見つめた。彼の瞳に映る僕は、どんな顔をしているんだろう。
太腿が持ち上げられ、腰が浮く。大きな体躯が覆い被さった。ひくつく縁に、丸く張った亀頭が押し当てられる。
くち、と水音が鳴った。
「────ん、くう……」
ずぶ、と滑りを借りて潜り込んだ雄を、反射的に喰い締める。息継ぎをするタイミングを見計らって、更に腰が押し付けられた。
ぐぷぷ、と嵌まり込んだものは内壁を巻き込み、指先で覚えさせられた快楽の火をまた灯す。
「……ぁ、あ、──ぁあああッ!」
ぐり、と指よりも重い質量で突き上げる。残響にくちびるを開き、残った息を吐き出す。は、と荒れた息が整うのを待たず、性急に肉慾は奥へ奥へと進む。
狭い場所を、太いものが押し拡げる。
「……ン、ぁ、……ぁ、う、あ」
不安定な脚を揺らすと、固定している腕が支える。ぐっと体重を掛け、膨らみがその場所へと辿り着いた。
こつん、と柔らかい場所に触れ、ぐりぐりと押す。閉じきれない奥は、ぢゅう、と雄の鈴口を銜え込んだ。
「ァ、……ひ、……ァああ、ぁ、や、だ」
引き抜くことなく、硬さを保った剛直を揺らす。指よりももっと奥、神経を擦り切るほどに近い場所に、どくどくと子種を蓄えた灼熱が押し当てられている。
ぬるつく腔をみちみちと拡げ、僅かずつデータを刷り込む。伸びた掌が、僕の腹の上を撫でた。膨らんだ雄のかたちが分かりそうな程、身体のすべてを使って受け入れている。
「俺と、番になってくれる、って言ったよね?」
「そう、だよ……! でも。こんな、おく……ぁ、ン……!」
身体の中のモノが動き、不意のことに唇を噛む。ぐす、と啜り泣くように声を漏らすと、大きい手が腰を掴んだ。
引いた腰が、大振りに打ち付けられる。
「──────ッ!」
二度、三度と反射で締め付ける感触を味わうと、ゆるくピストンが始まった。奥に辿り着く度についでだとばかりに抉られ、ひっ、と声が溢れる。
濃厚なフェロモンはもうだだ漏れになり、息をするのにさえ逃げ場はなかった。
「……ぁあ、ぁ、ぁ、ン。────ヒッ、ぐ、うぁ、あ、あッ!」
人畜無害な普段の表情とは裏腹に、集中している眉は顰められ、瞳は逐一、僕の様子を追う。彼の瞳がこんな風に動く様を僕は知っている。
いつもの、スクリーンを見るときと同じだ。
「ァ。や……ぁ、奥ば、っか……あ、ぁ、ひ、う、ぁぁあ……」
「いちばん、気持ちよさそ、……、な、トコ、だよね……ッ!」
「──ァ、あぁっ」
番と定めた、知らない雄を身体に受け入れて悦んでいる。まさしく発情だった。身体を柔らかく綻ばせ、先走る精を飲み下す。
ずちゅ、ずちゅ、と水音で溢れた音に、ベッドのスプリングが軋んで、嬌声が重なる。互いを誘う匂いを混ぜ合って、境界を無くして、ただ絡まり合っていた。
傾ぐ背に手を伸ばし、繋がる身体に脚を絡める。
「……おく。奥、に…………ッ!」
瞳の奥に、ほの暗い、見たことのない色を見た。
いっそう強く腰が引かれる。膨れて熱を孕んだ猛りが、ずるる、と狭道を駆け上がった。どちゅ、と突き入った先端が奥の口を捉える。
びゅる、と白濁が暴発した。
「────ァ、ンぁっ。……ぁあぁあぁあああぁぁぁっ!」
「ぁ、うわ。……っく、ぁ…………」
じくじくと鈍いしびれが残り、押し付けられた腰からは精が零れ落ちる余地はない。永遠にも思える間、繋がったまま、細くみじかい呼吸を続ける。
靄のかかった頭は、ただ自らに子種を送り込むアルファに脚を絡め、逃がすまいと縋っていた。
「……稔くん?」
「ぁ、……うん」
「名残惜しいけど、抜こっか」
おずおずと脚から力を抜くと、ずる、と柔らかくなった男根が抜け出る。体液を纏っててらてらと光る巨きなそれを見て、ごくんと喉を鳴らした。
抑制剤はもう効かず、頭のタガが外れている。開いた脚を戻さないまま、僕はぽつりと呟いた。
「それ、勃ったら。……もっかい、できる?」
媚びるような顔をして、閉じきれない後腔を晒す。目を見開いた男の喉が、さっきの僕と同じように動いた。
覆い被さるアルファの身体を受け止め、肩口に隠して唇を持ち上げる。スクリーン外のこの貌は、もう僕だけのものだ。
発情期を一緒に過ごすつもりでいる彼に、本当にいいのか、と何度も念押しした。
「稔くんだって、抑制剤なしで過ごしてみたくない?」
彼の誘いは甘かった。
今まで散々、抑制剤で体調を崩してきた。体重がない所為か、薬の副作用が重すぎるのだ。
あの体調の悪さを味わわなくていい。気持ちいいことだけしていればいい。深く考える前に、頷いていた。
きのう世話になったタクシーへと連絡をして、永登のマンションへと送ってもらう。僕の家よりも格段に広いマンションを見て、あのまま自宅にいなくてよかった、と胸を撫で下ろした。
永登は、途中で寄って貰ったスーパーで買った物を冷蔵庫に仕舞っている。僕が広いソファの上で溶けていると、額に冷えたペットボトルが当てられた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
喉を潤して、正気を保っているうちにシャワーを借りたい、と頼んだ。何故か一緒に入ろうとする永登を叩き出して、浴室で身体を洗う。
自宅から持ち込んだ室内着に着替え、頭にバスタオルを載せる。
「あのよく分からない形のドライヤー借りていい?」
「よく分からない形……?」
僕の言葉に釈然としない様子だったが、変な形のドライヤーを借りる許可はくれた。小型だと侮っていたら、あんがい早く乾いた。
乾いた髪を撫で付け、脱衣所を出る。
僕を見つけた永登は、立ち上がって大股で近寄ってくる。僕の手を持ち上げて、ちゅ、と甲に唇を落とした。形の整った鼻先が皮膚をこする。
「他の臭いがしなくなって、ますます良い匂いになった」
屈み込んだ唇が近付いて、啄むように触れて離れた。永登にも、香水以外に目立つ匂いがある。僕の匂いに反応しているんだろうか。
「永登の匂い、も、変わってる、か……? なんか、いつもより……」
瞳に陰が差して、唇が持ち上げる。
「うん。君のフェロモンは、効き過ぎるみたいだ。俺が身体を洗ったら──」
ぐ、と腰に手が回り、つま先立ちになるほど高く持ち上げられた。こつり、と額がぶつかる。
「いちど、抱かせてくれる?」
「…………ッ! だ、抱く……!?」
舌が縺れるばかりの僕の言葉に、永登は面白そうに目を見開いて、無言で身体を解放した。
クローゼットに向かい、室内着を取り出すと、僕の頭にいちど手を置いて歩き去る。
「永登……!」
「身体を洗い終わるまでに、返事を考えておいて」
じゃあ、と軽く手を挙げ、リビングの扉が閉じられた。よろめきながらソファに向かい、ぼすん、と弾みを付けて座る。
両手で顔を覆って、前髪をくしゃくしゃにした。頬が火照って仕方がない。
微かに水音が聞こえてくる静かな室内で、ぼうっと壁紙を眺めていた。
「僕に……、どうしろと」
目元に手を当てて、ただ透ける光を見つめる。身体を重ねても、番になってしまったって構わないと彼は言外に示してくる。
永登にとっては、ただ発情期を楽に過ごすための行為ではないのだ。
「────……返事は決まった?」
ラフな室内着を身に纏った永登が戻ってくる。その格好であっても、美形の顔立ちは損なわれない。
隣に座ったアルファの、服の裾を指で掴む。
「……僕、さっきまで発情期を楽に過ごせたら、って下心があって」
「ああ。抑制剤は身体が小さい人ほど、負担が大きいだろうね」
「うん。それもあって、まだ永登が持っている気持ちほど、感情が追いついてないかもしれない。でも、永登以外のひとと、発情期を過ごすことを考えられないのは本当だから。……それでも、いいか?」
下がっていた視線を必死で持ち上げると、彼の顔は愛しさに蕩けきっていた。大げさに両手を広げる腕に飛び込むと、そのまま持ち上げられる。
ぐるん、と反転した視界で、悲鳴に近い声を漏らす。
「……あ、わ……!? こわ……!」
「ごめんごめん、ゆっくり運ぶね」
器用に僕を抱え上げたまま、彼は明るいリビングを出た。廊下を歩いて、一つの扉を押し開ける。
リビングよりも暗い室内に戸惑っていると、壁に備え付けてあるスイッチを押すように指示された。反転したまま戸惑いつつ指を伸ばすと、ぱっと柔らかな照明が灯る。
部屋の中央あたりに、大きなベッドが鎮座している。ここが寝室であることはすぐに分かった。
部屋を大股に突っ切ると、僕はベッドの上に下ろされる。
「君がノーと言わないなら、俺はそれに付け込むよ」
屈み込む男の唇を、顔を傾けて受け入れた。唇に指を当て、よこしまな笑みを浮かべるアルファを窺う。
手のひらを彼の胸に当てると、やっぱりドクドクと鳴っていた。
「……演技が上手いな」
「ばれたか。生業だからね」
くい、と服を引いてベッドへ促す。重い体重がベッドに乗って、座った面が深く沈み込んだ。
届く位置になった頬に、ちゅ、とキスをする。
「不安がらせてごめんな。おいで」
手を広げると、大きな体躯が降ってきた。ぎゅう、と距離を詰めると未だにどこどこと忙しなく鳴っている。
唇が首筋に触れた。つっと辿られると、くすぐったさに身じろぎする。開いた唇から覗いた歯が、皮膚に軽く立てられた。
「……──っ、ン」
ぞわぞわと刺激が伝って、縋り付く背を抱き返す。唇が触れた場所を吸われ、朱い痕が残った。
掌が、上着の下に潜り込む。つ、と腹の薄い皮膚の上を指が滑った。視界の下で服が持ち上がって、指が胸元まで這い上がった。
円を描くように丘を撫で、てっぺんを摘まみ上げる。
「……なっ…………! う、ン……」
声を遮るように、相手の舌が唇を舐める。促されるままに唇を開くと、間から厚い舌が入り込んできた。
ざらざらとしたものが、口内の柔らかい粘膜を舐める。舌先が長く入り込む度に苦しくて、何度も息を唾液ごと飲んだ。
「ん、ふ。……ぁ、ふ、あ……! ンう」
頭を振っても、食らいついた顎は離れない。唇が離れた隙に息を吸って、また覆い被さる唇を拙く受け止めた。
僕が抵抗できないのを良いことに、指先は動き回り、こりこりとした感触を堪能している。
「この……ッ! やらし、ことばっか……ン、う」
声を許されるのも一瞬だけだ、胸の粒が膨れ、撫でられるだけで感じるようになったところで、ようやく不埒な指は離れた。
解放されたくちびるを開き、息を吸い込む。
「俺、誰にでもこんなことしないよ?」
「してたら引っぱた……おい。もう、や……」
服が捲り上げられ、色を変えた突起が露わになる。にたり、と目の前の口の端が上がったのが見えた。
開いた口の中に、赤いものが覗く。ちろりと突起を舐め上げ、口に含まれた。
「……ン、ぁ。……あぁッ、ふ、うあ」
ちゅう、と吸われる感触で、また刺激に反応した部分が持ち上がる。空いた手はもう片方の先端を捏ね回し、乳輪を摘まんだ。
一度くちが離れると、唾液が残る場所が、すう、と冷える。ちろちろと舌の先端に突起がなぶられて揺れた。
「かわいいなぁ」
「やめろ。もう、いっぱいいっぱい、で…………ん、ァ!」
そんなに吸われたら膨らんで、戻らなくなってしまう。まだ弄り足りなさそうな男を引き剥がし、いちど呼吸を整える。
引き離された男は、不満、と顔に書いてあった。僕の上着を引くと、持ち上げて腕から引き抜く。
唾液で濡れた場所が、つんと尖った。
「予想通り身体、細いね。もう少しすっきりした服も似合うんじゃない?」
「オメガだって隠せる方が都合がいいから……」
「うん。何となくそれは分かってたけど、俺と番になったら隠す必要ないし」
大きな掌が、胸に触れて、するすると下がる。腹の肉を摘まもうとするが、皮膚だけで上滑りした。
「もっと食べさせないと……」
ひとり決意を新たにするアルファは、腰骨あたりをまるく撫でた。自分の指ではない感触が、皮膚の上を這う。
もぞもぞとした僅かな快感が、皮膚の下で燻った。
「さっきから……、焦らされてるのか?」
周囲は、アルファの匂いで満ちている。濃厚で、圧のあるにおいが周囲に広がり、身体の熱を押し上げていく。
「手加減していたつもりだよ」
骨張った指先が下の服に掛かった。咄嗟にその指を遮ろうと手を掛けてしまい、見下ろす瞳と見つめあう。
指を持ち上げ、かるく握り込んだ。
「指、外さなくていいんだ?」
「……いい」
届くか届かないかというような声を、聡い耳は律儀に拾った。愉しそうな笑い声と共に、下着もろとも脱がされる。
僅かに迸りを蓄えている茎は、まだ茂りの内に身を潜めたままだ。気恥ずかしさに太腿を寄せる。
永登は何かを思いだしたように近くの小机に手を伸ばすと、引き出しの上から未開封な半透明のボトルを取り出す。
フィルムを剥いでいる横顔を、ぽかんと見つめた。
「……買い置きしてんの?」
他の相手への嫉妬というよりも、純粋な興味だった。彼は剥けたフィルムをゴミ箱に放る。
「心配しなくても。さっき寄ったスーパー、端っこにドラッグストアがあったから、そっちで買ったやつだよ」
「別に心配はしてないが」
心配するとしたら、今からその中身を使われる自分の身体に対してだ。
永登はキャップを開け、中身を掌に絞り出す。べとべとになった掌を塗り広げ、僕の股の間に潜り込ませる。
ぬるりとしたものが草叢に纏わり付き、中で縮こまっているモノを引き摺り出す。先端に液体をまぶすと、粘膜の上をちがう皮膚が滑った。
「……ンっ、……ふ、ぁ。……うあ」
永登は僕を引き寄せ、自らの太腿に乗せると掌中におさめた熱をぐちぐちと弄ぶ。唇は声を零し、彼の耳元で嬌声を上げた。
「……ァ、ひ……っ、ぁ」
自分の手のひらで慰める時とはまるで違う。厚い皮膚も、皮膚の下から押し上げる骨のかたちも、容赦なく扱き上げる大胆さも。彼の手で施されていることが脳に刻み込まれる。
丸い爪を避けて、鈴口を指先が抉った。
「っ……! ……ぁ、ぁあぁああッ」
かさぶたを剥がすかのように、やがて下からじくじくと薄い体液が零れ始める。ローションと体液が混ざり、くぷくぷと泡を作った。
悲鳴へと過渡する声を愉しみ、男は首筋を掬って唇を重ねた。呼吸を繋げたまま、指は弱い場所を嬲る。掻き消された悲鳴の奥で、息を交換した。
「……ゃ、も……! じゅうぶん……!」
「『いや』? じゃあ、別のトコ触ろっか」
永登は僕の身体を持ち上げ、肩に凭れさせる。太腿が持ち上がると、触れるようになった尻を撫でる。
「揉んだら怒る?」
「…………べつに。……って、言った傍から……ッ!」
ぽこぽこと頭を叩いても、許可されたからいいだろうとばかりに揉みしだく。感触を堪能すると、ローションのボトルを持ち上げ、広い掌にぬめりが足された。
伸びた指が肉の狭間を通り、まだ閉じた輪の上を伝う。
「…………ひッ」
「ここ、弄らないと繋がれないから。触るよ?」
「ん。……う、ん」
おずおずと承諾すると、近くにあった胸のてっぺんにキスをされた。もぞり、と身体を動かし、不安定なバランスを相手の身体に委ねる。
もういちど窪みに指を押し当て、周囲の筋肉を揉む。指の腹に吸い付く粘膜をいいことに、ずぶ、と潜り込んだ。
「あッ……!」
弱い粘膜を、慎重に探る指が奥へ進む。節くれ立った場所はごりごりと内壁を掻く。掴まっている肩に爪を立て、違和感をやり過ごした。
かなり長い時間、隅々まで探られ続ける。ふと、くっと伸ばした先、指の腹が確信めいてその場所を捉えた。
「────え? ……ヒッ、ぁあああッ!」
ずくん、と普段とは毛色の違う快楽が襲う。身体がぶるぶると震え、崩れかける体勢を腕が支えた。
支えた腕は僕の身体を固定し、更に深く見つけた場所を撫でさする。
「……ぁ、ン、ぁあ、う。ッ……ぁあ…………!」
指の腹で押される度、快楽の火が広がる。指が前後する度に、ごりごりと粘膜を擦る。肉縁は綻び、ちゅう、と太い指に吸い付いた。
腹の奥を押し上げる感覚は、電気信号のような刺激を長引かせた。神経に薄皮越しに触れられ、奥を許しているからこそダイレクトに苛む。
「ん、く。……ひあ、……あぁ、ン、……ぁああッ!」
どれだけの時間、触られていたのか分からない。ちゅぽ、と指が引き抜かれたときには、身体の中心は痺れの名残があった。
臍の下に手を当て、押し当てられた快楽の余韻を味わう。背に回された腕が、身体をアルファの元に引き寄せた。
「ナカ、入りたいな」
掌を置いた股間は盛り上がり、どくどくと血の巡っている様すら分かりそうだ。指先で捏ねられた場所を、肉棒で押し潰される様を想像する。指先の味を知った後腔がきゅっと疼いた。
「僕、も。されたい」
近付いてきた唇に、自分からも距離を詰める。唇が離れると、支えられていた身体が反転し、ベッドに押し付けられた。
彼はふっと表情を崩すと、纏っていた上着を脱ぎ、シーツの上に落とした。下の服にも手を掛け、一気にずり落とす。膨れて持ち上がった雄に手が添えられると、ぶるりと震えた反動で汁を垂らした。
画面越しに、そして背後の座席から見ていた顔が、鼻先にまで近付く。シーツに背を付けて、映像を見る動機そのままに綺麗なものを見つめた。彼の瞳に映る僕は、どんな顔をしているんだろう。
太腿が持ち上げられ、腰が浮く。大きな体躯が覆い被さった。ひくつく縁に、丸く張った亀頭が押し当てられる。
くち、と水音が鳴った。
「────ん、くう……」
ずぶ、と滑りを借りて潜り込んだ雄を、反射的に喰い締める。息継ぎをするタイミングを見計らって、更に腰が押し付けられた。
ぐぷぷ、と嵌まり込んだものは内壁を巻き込み、指先で覚えさせられた快楽の火をまた灯す。
「……ぁ、あ、──ぁあああッ!」
ぐり、と指よりも重い質量で突き上げる。残響にくちびるを開き、残った息を吐き出す。は、と荒れた息が整うのを待たず、性急に肉慾は奥へ奥へと進む。
狭い場所を、太いものが押し拡げる。
「……ン、ぁ、……ぁ、う、あ」
不安定な脚を揺らすと、固定している腕が支える。ぐっと体重を掛け、膨らみがその場所へと辿り着いた。
こつん、と柔らかい場所に触れ、ぐりぐりと押す。閉じきれない奥は、ぢゅう、と雄の鈴口を銜え込んだ。
「ァ、……ひ、……ァああ、ぁ、や、だ」
引き抜くことなく、硬さを保った剛直を揺らす。指よりももっと奥、神経を擦り切るほどに近い場所に、どくどくと子種を蓄えた灼熱が押し当てられている。
ぬるつく腔をみちみちと拡げ、僅かずつデータを刷り込む。伸びた掌が、僕の腹の上を撫でた。膨らんだ雄のかたちが分かりそうな程、身体のすべてを使って受け入れている。
「俺と、番になってくれる、って言ったよね?」
「そう、だよ……! でも。こんな、おく……ぁ、ン……!」
身体の中のモノが動き、不意のことに唇を噛む。ぐす、と啜り泣くように声を漏らすと、大きい手が腰を掴んだ。
引いた腰が、大振りに打ち付けられる。
「──────ッ!」
二度、三度と反射で締め付ける感触を味わうと、ゆるくピストンが始まった。奥に辿り着く度についでだとばかりに抉られ、ひっ、と声が溢れる。
濃厚なフェロモンはもうだだ漏れになり、息をするのにさえ逃げ場はなかった。
「……ぁあ、ぁ、ぁ、ン。────ヒッ、ぐ、うぁ、あ、あッ!」
人畜無害な普段の表情とは裏腹に、集中している眉は顰められ、瞳は逐一、僕の様子を追う。彼の瞳がこんな風に動く様を僕は知っている。
いつもの、スクリーンを見るときと同じだ。
「ァ。や……ぁ、奥ば、っか……あ、ぁ、ひ、う、ぁぁあ……」
「いちばん、気持ちよさそ、……、な、トコ、だよね……ッ!」
「──ァ、あぁっ」
番と定めた、知らない雄を身体に受け入れて悦んでいる。まさしく発情だった。身体を柔らかく綻ばせ、先走る精を飲み下す。
ずちゅ、ずちゅ、と水音で溢れた音に、ベッドのスプリングが軋んで、嬌声が重なる。互いを誘う匂いを混ぜ合って、境界を無くして、ただ絡まり合っていた。
傾ぐ背に手を伸ばし、繋がる身体に脚を絡める。
「……おく。奥、に…………ッ!」
瞳の奥に、ほの暗い、見たことのない色を見た。
いっそう強く腰が引かれる。膨れて熱を孕んだ猛りが、ずるる、と狭道を駆け上がった。どちゅ、と突き入った先端が奥の口を捉える。
びゅる、と白濁が暴発した。
「────ァ、ンぁっ。……ぁあぁあぁあああぁぁぁっ!」
「ぁ、うわ。……っく、ぁ…………」
じくじくと鈍いしびれが残り、押し付けられた腰からは精が零れ落ちる余地はない。永遠にも思える間、繋がったまま、細くみじかい呼吸を続ける。
靄のかかった頭は、ただ自らに子種を送り込むアルファに脚を絡め、逃がすまいと縋っていた。
「……稔くん?」
「ぁ、……うん」
「名残惜しいけど、抜こっか」
おずおずと脚から力を抜くと、ずる、と柔らかくなった男根が抜け出る。体液を纏っててらてらと光る巨きなそれを見て、ごくんと喉を鳴らした。
抑制剤はもう効かず、頭のタガが外れている。開いた脚を戻さないまま、僕はぽつりと呟いた。
「それ、勃ったら。……もっかい、できる?」
媚びるような顔をして、閉じきれない後腔を晒す。目を見開いた男の喉が、さっきの僕と同じように動いた。
覆い被さるアルファの身体を受け止め、肩口に隠して唇を持ち上げる。スクリーン外のこの貌は、もう僕だけのものだ。
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