4 / 9
4
しおりを挟む
最近の僕は、永登と遊ぶために仕事をこなしているように思う時がある。彼がちょくちょく予定を入れてくるため、仕事はその前に片付けなくてはならない。
夜中にモニタを見て唸りながら、キーボードを叩くのが常だった。
『稔くん、海いきたい』
村雨映人は、日頃は行かない場所に僕を連れて行くことに味を占めたらしい。長い夏休みはあと一ヶ月ほど余っているそうで、お呼び出しが掛かった。
最近になって、ほんの少しだけ村雨映人の長期休暇が取り上げられつつある。といっても、ずっと働きっぱなしだった彼をねぎらうコメントばかりだ。そして、いまも休業している叶隆生のことを述べて、典型の取り上げ方が終わる。
携帯を握り、メッセージ画面を見つめる。海に行くなら、電車を乗り継いで二時間ほどかかるだろうか。
『泳ぐ?』
『泳ぐのはいいかなあ。海辺を歩きたい』
じゃあ、と場所の案を出すと、永登と意見が合った。その場で仕事用のファイルを閉じ、座席の空きを調べる。空席は十分で、平日だけあって直ぐに押さえられそうだ。
「移動に時間かかるし、朝早い便で行くか。えっと……」
時間を伝えると、同意が返ってくる。予約画面でクリックしていた座席の予約を確定した。
帰りの便の時間を相談すると、少し間を置いて文字が浮かんでくる。
『移動に時間が掛かるなら、泊まりも良さそうだね』
びくり、と手を震わせ、指先を動かす。
『泊まりで行きたきゃもっと前に言えよ』
『あはは。ごめんごめん』
謝るタヌキの画像が浮かんでくると、僕はほっと息を吐いた。
ベータ相手だと思って泊まり、を軽率に提案するのだろうが、何の気もないオメガ相手にアルファが誘うなんて、普通に大問題だ。
『稔くんと、長く一緒にいたいなって思って』
『ずっと遊んでたいだけだろ。泊まりの旅行はいつか、な』
いつか、なんて言って、そのいつかが来るだなんて端から思っていない。いくら仲良くなったってアルファとオメガだ。間違いが起きるような状況は避けるべきだろう。
そして、こうやって交友を続けるべきかも迷っている。
いずれ、僅かにでも発情期のフェロモンが嗅ぎ取られてしまったら。騙していた、と詰られでもするんだろうか。
『ほんと? 楽しみにしてる』
本当に楽しそうにしている言葉を見ていられない。ふい、と顔を背けてパソコンの画面に向き直った。
海に行く、と決めた日は快晴だった。互いに電車の中でぺたぺたと日焼け止めを塗り足し、持参した帽子を見せ合う。
暑さのせいで永登もマスクをする気はないようで、人の少ない車内でのんびりと背を座席に預けている。横の窓からは、途方もないスピードで切り替わる風景が流れていく。
ゴシップ誌なんかは大丈夫か、とちょくちょく視線を巡らせているが、今のところ僕たちに向けられるレンズは見当たらない。目の前にいる美形のアルファも見慣れて、芸能人であることを忘れてしまいそうだ。
買い求めた観光雑誌を開き、ぺらりぺらりと捲る。二人とも土地勘がなく、今日はこの観光モデルコースをなぞる形になりそうだ。
「────つっても、この観光コース、明らかに恋人用なんだよな……」
ぼそり、と文句を言うと、永登は横から雑誌を覗き込んだ。
「俺が相手だと不満でも?」
「ありませんけどぉ……」
茶化すように語尾を上げると、横で愉快そうに喉が鳴った。覗き込む体勢は、ほんの一、二週間前とは比べものにならないほど近い。
映画館で、背後の座席から彼を見つめていた時期が遠い昔のようだ。
「稔くん、俺の顔ってあんまり好みじゃない?」
「友達に好みとか好みじゃないって何だよ」
「どっち?」
「……ノーコメント」
答えがお気に召さなかったらしい永登は、ぐいー、っと横から体重を掛けてくる。おもい、と文句を言うと、気が済んだようで元に戻った。
「稔くん、俺の顔はじっと見てくれるんだけど、反応が薄いんだよなぁ……。悪くない顔だと思うのに」
真横でひとり拗ね始めた、綺麗な顔立ちを見つめる。反応が薄いと思われているのなら、そう思われないよう努力している甲斐があるものだ。
好んで彼を見ていた、だなんて、オメガが伝えたって嬉しくはないだろう。
ページを捲ると、雑誌の途中に時計の広告が挟まっていた。身に付けているのは、叶隆生だ。
「叶隆生『は』、かっこいいよなぁ」
「ちょっと含みを感じるんだけど」
思ったよりも棘のある声音を、不思議に思う。叶隆生と村雨映人は二人揃うと悪ガキ二人、といった空気で、気の置けない仲であったはずだ。
僕の言葉も、冗談として受け取ってくれると思っていた。
「……ごめん。目の前に本人がいるから、素直に褒めづらくて」
「いや。俺も、大人げなかったな」
気にしないで、と今度は萎んだ声に、ちら、と隣を見る。ぽつり、と寂しげに声が漏れた。
「……僕は、叶隆生より村雨映人の作品の方を好んで観てたよ」
永登がこちらを見る気配がする。
「お世辞でもうれしいな」
「……その言葉、嫌いなんだよな。お世辞にされてるみたいで」
「あ。お世辞じゃない方が嬉しい!」
「知らん。勝手に意地張って曲解してろ」
横から腕をぶらぶらと揺らす迷惑な男から視線を逸らし、見てもいない窓に向ける。やがて、腕から指が離れた。
表情を窺うために、視線を元に戻す。
「俺、やっぱ、あいつにコンプレックスでもあるのかなぁ……」
へにゃりとした声は、彼がしがない男を演じるときによく聞く声音だ。そこには演技派、と称されるであろう役者の影はない。
だが、ただ一人として付き合うならば、そちらのほうが好ましかった。
「外れてたら笑ってくれていいんだけど、叶隆生の休業と、あんたの夏休み、って関係してる?」
ばれるよなあ、と呟く彼は、隠すつもりもなさそうだ。
「うん。まぁ、そんな感じ。ずっと競ってたライバルっていうか、視界に入れてた奴がさ。急に休業することになったんだけど」
叶隆生は子役時代からこれまでずっと役者として一線を走ってきたが、急に私生活が取り沙汰されることになった。
最近、叶隆生には番ができた。番との間に子も生まれた。だから、叶隆生は番の仕事への復帰に伴い、自分が休業して家での仕事を分担できるようにする、と発表して休業に入ったのだった。
そして、ずっと視界に入れていた人物が急に消えてしまった男、がここに生まれた訳だ。
「敵対視してた訳でもないし。あいつ仕事しか興味ありません、って顔してたくせにちゃっかり番いるんじゃん、とか思ってないけど」
「うん。……ふふ、そう思ったんだな」
「思ったけどね。仕事だけだと思ってた奴が、どうやら仕事も人生も充実してたらしいんだ。そもそも仕事でもあっちの方が評価されてるし、休業して子育てが話題になりはじめたら今度は父親役をやらせてみよう、なんて前向きな話も出るし。じゃあ、仕事しかやってこなかった俺はなんなの、みたいになっちゃってさ」
永登は、全てを投げ出すようなジェスチャーをした。それだけで、彼の気持ちは窺い知れる。
一度すべり出した唇は、彼の気持ちを率直に次々と吐露した。
「人生的な下地がなくたって、いくらでも役貰ってから積み上げて世界を演じられる、って思ってやってきたのに。違うのかなあ、違うんだろうなあ、って。それで、うわー、ってなっちゃった」
「確かに、そんな相手が近くにいるの。やだな」
僕がくすくすと笑い始めると、永登もつられるように笑った。画面越しに見るものとは違っていたが、そのいびつさも好ましい。
「そういう……やだな、って思っても、いいのかなぁ」
「良くも悪くもない。思っても言わなきゃ同じことだろ」
「え。稔くんに言っちゃったよ」
「本人に対して言わなきゃいいって話だよ。僕は叶隆生と関わり無いし」
彼はそういうものかなあ、とでも言いたげに首を傾げていた。
善人を演じさせれば人柄が滲み出ていると称され、悪役を演じさせてもどこか憎めなさが漂う。あまり他人に対して、黒い感情を持ったことはなさそうだ。
「じゃあ、内緒にして。共犯だからね」
喋りすぎて疲れたのか、永登は僕の肩に寄り掛かった。脚の長さがあるとはいえ、肩の位置だってあちらのほうが高い。
黙り込んだ相手をひたすら放置していると、やがて寝息が聞こえてきた。短時間の睡眠が上手いらしい。
僕はちらちらと綺麗な顔を眺め、何もかもを持っているように見えるアルファにもコンプレックスはあるのだなあ、とぼんやり思った。
座席の揺れは心地良く、つられて眠ってしまいそうになる。
ちょうど曇が晴れたのか、車内には強く光が差し込んできた。冷房で整えられた車内へ押し寄せるように、熱が伝わってくる。
「……あんたに秘密があるような奴を、共犯にするな」
ぽつん、と呟いて、眠気覚まし用のタブレットを口に含んだ。今日の休みのために昨日だって夜遅くまで仕事を片付けたのだが、先に眠られては負けだ。
仕方ない、と窓からの景色を独り占めすることに決めた。
「────……はぁ」
いつか、オメガだと打ち明けるべきなんだろうか。それとも、墓まで持っていくべきなんだろうか。どちらが、彼に対して誠実だと言えるのだろう。
じりじりと灼く陽は暑い。服越しに触れ合っている場所が熱い。跳ねっぱなしの鼓動は煩い。
人を観察する眼がある癖にどうして気づいてくれないのか。共犯者に選んだ相手が、最も自分を騙していることを。
夜中にモニタを見て唸りながら、キーボードを叩くのが常だった。
『稔くん、海いきたい』
村雨映人は、日頃は行かない場所に僕を連れて行くことに味を占めたらしい。長い夏休みはあと一ヶ月ほど余っているそうで、お呼び出しが掛かった。
最近になって、ほんの少しだけ村雨映人の長期休暇が取り上げられつつある。といっても、ずっと働きっぱなしだった彼をねぎらうコメントばかりだ。そして、いまも休業している叶隆生のことを述べて、典型の取り上げ方が終わる。
携帯を握り、メッセージ画面を見つめる。海に行くなら、電車を乗り継いで二時間ほどかかるだろうか。
『泳ぐ?』
『泳ぐのはいいかなあ。海辺を歩きたい』
じゃあ、と場所の案を出すと、永登と意見が合った。その場で仕事用のファイルを閉じ、座席の空きを調べる。空席は十分で、平日だけあって直ぐに押さえられそうだ。
「移動に時間かかるし、朝早い便で行くか。えっと……」
時間を伝えると、同意が返ってくる。予約画面でクリックしていた座席の予約を確定した。
帰りの便の時間を相談すると、少し間を置いて文字が浮かんでくる。
『移動に時間が掛かるなら、泊まりも良さそうだね』
びくり、と手を震わせ、指先を動かす。
『泊まりで行きたきゃもっと前に言えよ』
『あはは。ごめんごめん』
謝るタヌキの画像が浮かんでくると、僕はほっと息を吐いた。
ベータ相手だと思って泊まり、を軽率に提案するのだろうが、何の気もないオメガ相手にアルファが誘うなんて、普通に大問題だ。
『稔くんと、長く一緒にいたいなって思って』
『ずっと遊んでたいだけだろ。泊まりの旅行はいつか、な』
いつか、なんて言って、そのいつかが来るだなんて端から思っていない。いくら仲良くなったってアルファとオメガだ。間違いが起きるような状況は避けるべきだろう。
そして、こうやって交友を続けるべきかも迷っている。
いずれ、僅かにでも発情期のフェロモンが嗅ぎ取られてしまったら。騙していた、と詰られでもするんだろうか。
『ほんと? 楽しみにしてる』
本当に楽しそうにしている言葉を見ていられない。ふい、と顔を背けてパソコンの画面に向き直った。
海に行く、と決めた日は快晴だった。互いに電車の中でぺたぺたと日焼け止めを塗り足し、持参した帽子を見せ合う。
暑さのせいで永登もマスクをする気はないようで、人の少ない車内でのんびりと背を座席に預けている。横の窓からは、途方もないスピードで切り替わる風景が流れていく。
ゴシップ誌なんかは大丈夫か、とちょくちょく視線を巡らせているが、今のところ僕たちに向けられるレンズは見当たらない。目の前にいる美形のアルファも見慣れて、芸能人であることを忘れてしまいそうだ。
買い求めた観光雑誌を開き、ぺらりぺらりと捲る。二人とも土地勘がなく、今日はこの観光モデルコースをなぞる形になりそうだ。
「────つっても、この観光コース、明らかに恋人用なんだよな……」
ぼそり、と文句を言うと、永登は横から雑誌を覗き込んだ。
「俺が相手だと不満でも?」
「ありませんけどぉ……」
茶化すように語尾を上げると、横で愉快そうに喉が鳴った。覗き込む体勢は、ほんの一、二週間前とは比べものにならないほど近い。
映画館で、背後の座席から彼を見つめていた時期が遠い昔のようだ。
「稔くん、俺の顔ってあんまり好みじゃない?」
「友達に好みとか好みじゃないって何だよ」
「どっち?」
「……ノーコメント」
答えがお気に召さなかったらしい永登は、ぐいー、っと横から体重を掛けてくる。おもい、と文句を言うと、気が済んだようで元に戻った。
「稔くん、俺の顔はじっと見てくれるんだけど、反応が薄いんだよなぁ……。悪くない顔だと思うのに」
真横でひとり拗ね始めた、綺麗な顔立ちを見つめる。反応が薄いと思われているのなら、そう思われないよう努力している甲斐があるものだ。
好んで彼を見ていた、だなんて、オメガが伝えたって嬉しくはないだろう。
ページを捲ると、雑誌の途中に時計の広告が挟まっていた。身に付けているのは、叶隆生だ。
「叶隆生『は』、かっこいいよなぁ」
「ちょっと含みを感じるんだけど」
思ったよりも棘のある声音を、不思議に思う。叶隆生と村雨映人は二人揃うと悪ガキ二人、といった空気で、気の置けない仲であったはずだ。
僕の言葉も、冗談として受け取ってくれると思っていた。
「……ごめん。目の前に本人がいるから、素直に褒めづらくて」
「いや。俺も、大人げなかったな」
気にしないで、と今度は萎んだ声に、ちら、と隣を見る。ぽつり、と寂しげに声が漏れた。
「……僕は、叶隆生より村雨映人の作品の方を好んで観てたよ」
永登がこちらを見る気配がする。
「お世辞でもうれしいな」
「……その言葉、嫌いなんだよな。お世辞にされてるみたいで」
「あ。お世辞じゃない方が嬉しい!」
「知らん。勝手に意地張って曲解してろ」
横から腕をぶらぶらと揺らす迷惑な男から視線を逸らし、見てもいない窓に向ける。やがて、腕から指が離れた。
表情を窺うために、視線を元に戻す。
「俺、やっぱ、あいつにコンプレックスでもあるのかなぁ……」
へにゃりとした声は、彼がしがない男を演じるときによく聞く声音だ。そこには演技派、と称されるであろう役者の影はない。
だが、ただ一人として付き合うならば、そちらのほうが好ましかった。
「外れてたら笑ってくれていいんだけど、叶隆生の休業と、あんたの夏休み、って関係してる?」
ばれるよなあ、と呟く彼は、隠すつもりもなさそうだ。
「うん。まぁ、そんな感じ。ずっと競ってたライバルっていうか、視界に入れてた奴がさ。急に休業することになったんだけど」
叶隆生は子役時代からこれまでずっと役者として一線を走ってきたが、急に私生活が取り沙汰されることになった。
最近、叶隆生には番ができた。番との間に子も生まれた。だから、叶隆生は番の仕事への復帰に伴い、自分が休業して家での仕事を分担できるようにする、と発表して休業に入ったのだった。
そして、ずっと視界に入れていた人物が急に消えてしまった男、がここに生まれた訳だ。
「敵対視してた訳でもないし。あいつ仕事しか興味ありません、って顔してたくせにちゃっかり番いるんじゃん、とか思ってないけど」
「うん。……ふふ、そう思ったんだな」
「思ったけどね。仕事だけだと思ってた奴が、どうやら仕事も人生も充実してたらしいんだ。そもそも仕事でもあっちの方が評価されてるし、休業して子育てが話題になりはじめたら今度は父親役をやらせてみよう、なんて前向きな話も出るし。じゃあ、仕事しかやってこなかった俺はなんなの、みたいになっちゃってさ」
永登は、全てを投げ出すようなジェスチャーをした。それだけで、彼の気持ちは窺い知れる。
一度すべり出した唇は、彼の気持ちを率直に次々と吐露した。
「人生的な下地がなくたって、いくらでも役貰ってから積み上げて世界を演じられる、って思ってやってきたのに。違うのかなあ、違うんだろうなあ、って。それで、うわー、ってなっちゃった」
「確かに、そんな相手が近くにいるの。やだな」
僕がくすくすと笑い始めると、永登もつられるように笑った。画面越しに見るものとは違っていたが、そのいびつさも好ましい。
「そういう……やだな、って思っても、いいのかなぁ」
「良くも悪くもない。思っても言わなきゃ同じことだろ」
「え。稔くんに言っちゃったよ」
「本人に対して言わなきゃいいって話だよ。僕は叶隆生と関わり無いし」
彼はそういうものかなあ、とでも言いたげに首を傾げていた。
善人を演じさせれば人柄が滲み出ていると称され、悪役を演じさせてもどこか憎めなさが漂う。あまり他人に対して、黒い感情を持ったことはなさそうだ。
「じゃあ、内緒にして。共犯だからね」
喋りすぎて疲れたのか、永登は僕の肩に寄り掛かった。脚の長さがあるとはいえ、肩の位置だってあちらのほうが高い。
黙り込んだ相手をひたすら放置していると、やがて寝息が聞こえてきた。短時間の睡眠が上手いらしい。
僕はちらちらと綺麗な顔を眺め、何もかもを持っているように見えるアルファにもコンプレックスはあるのだなあ、とぼんやり思った。
座席の揺れは心地良く、つられて眠ってしまいそうになる。
ちょうど曇が晴れたのか、車内には強く光が差し込んできた。冷房で整えられた車内へ押し寄せるように、熱が伝わってくる。
「……あんたに秘密があるような奴を、共犯にするな」
ぽつん、と呟いて、眠気覚まし用のタブレットを口に含んだ。今日の休みのために昨日だって夜遅くまで仕事を片付けたのだが、先に眠られては負けだ。
仕方ない、と窓からの景色を独り占めすることに決めた。
「────……はぁ」
いつか、オメガだと打ち明けるべきなんだろうか。それとも、墓まで持っていくべきなんだろうか。どちらが、彼に対して誠実だと言えるのだろう。
じりじりと灼く陽は暑い。服越しに触れ合っている場所が熱い。跳ねっぱなしの鼓動は煩い。
人を観察する眼がある癖にどうして気づいてくれないのか。共犯者に選んだ相手が、最も自分を騙していることを。
28
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれβの恋の諦め方
めろめろす
BL
αやΩへの劣等感により、幼少時からひたすら努力してきたβの男、山口尚幸。
努力の甲斐あって、一流商社に就職し、営業成績トップを走り続けていた。しかし、新入社員であり極上のαである瀬尾時宗に一目惚れしてしまう。
世話役に立候補し、彼をサポートしていたが、徐々に体調の悪さを感じる山口。成績も落ち、瀬尾からは「もうあの人から何も学ぶことはない」と言われる始末。
失恋から仕事も辞めてしまおうとするが引き止められたい結果、新設のデータベース部に異動することに。そこには美しいΩ三目海里がいた。彼は山口を嫌っているようで中々上手くいかなかったが、ある事件をきっかけに随分と懐いてきて…。
しかも、瀬尾も黙っていなくなった山口を探しているようで。見つけられた山口は瀬尾に捕まってしまい。
あれ?俺、βなはずなにのどうしてフェロモン感じるんだ…?
コンプレックスの固まりの男が、αとΩにデロデロに甘やかされて幸せになるお話です。
小説家になろうにも掲載。
エリートアルファの旦那様は孤独なオメガを手放さない
小鳥遊ゆう
BL
両親を亡くした楓を施設から救ってくれたのは大企業の御曹司・桔梗だった。
出会った時からいつまでも優しい桔梗の事を好きになってしまった楓だが報われない恋だと諦めている。
「せめて僕がαだったら……Ωだったら……。もう少しあなたに近づけたでしょうか」
「使用人としてでいいからここに居たい……」
楓の十八の誕生日の夜、前から体調の悪かった楓の部屋を桔梗が訪れるとそこには発情(ヒート)を起こした楓の姿が。
「やはり君は、私の運命だ」そう呟く桔梗。
スパダリ御曹司αの桔梗×βからΩに変わってしまった天涯孤独の楓が紡ぐ身分差恋愛です。
可愛くない僕は愛されない…はず
おがこは
BL
Ωらしくない見た目がコンプレックスな自己肯定感低めなΩ。痴漢から助けた女子高生をきっかけにその子の兄(α)に絆され愛されていく話。
押しが強いスパダリα ✕ 逃げるツンツンデレΩ
ハッピーエンドです!
病んでる受けが好みです。
闇描写大好きです(*´`)
※まだアルファポリスに慣れてないため、同じ話を何回か更新するかもしれません。頑張って慣れていきます!感想もお待ちしております!
また、当方最近忙しく、投稿頻度が不安定です。気長に待って頂けると嬉しいです(*^^*)
恋のキューピットは歪な愛に招かれる
春於
BL
〈あらすじ〉
ベータの美坂秀斗は、アルファである両親と親友が運命の番に出会った瞬間を目の当たりにしたことで心に深い傷を負った。
それも親友の相手は自分を慕ってくれていた後輩だったこともあり、それからは二人から逃げ、自分の心の傷から目を逸らすように生きてきた。
そして三十路になった今、このまま誰とも恋をせずに死ぬのだろうと思っていたところにかつての親友と遭遇してしまう。
〈キャラクター設定〉
美坂(松雪) 秀斗
・ベータ
・30歳
・会社員(総合商社勤務)
・物静かで穏やか
・仲良くなるまで時間がかかるが、心を許すと依存気味になる
・自分に自信がなく、消極的
・アルファ×アルファの政略結婚をした両親の元に生まれた一人っ子
・両親が目の前で運命の番を見つけ、自分を捨てたことがトラウマになっている
養父と正式に養子縁組を結ぶまでは松雪姓だった
・行方をくらますために一時期留学していたのもあり、語学が堪能
二見 蒼
・アルファ
・30歳
・御曹司(二見不動産)
・明るくて面倒見が良い
・一途
・独占欲が強い
・中学3年生のときに不登校気味で1人でいる秀斗を気遣って接しているうちに好きになっていく
・元々家業を継ぐために学んでいたために優秀だったが、秀斗を迎え入れるために誰からも文句を言われぬように会社を繁栄させようと邁進してる
・日向のことは家族としての好意を持っており、光希のこともちゃんと愛している
・運命の番(日向)に出会ったときは本能によって心が惹かれるのを感じたが、秀斗の姿がないのに気づくと同時に日向に向けていた熱はすぐさま消え去った
二見(筒井) 日向
・オメガ
・28歳
・フリーランスのSE(今は育児休業中)
・人懐っこくて甘え上手
・猪突猛進なところがある
・感情豊かで少し気分の浮き沈みが激しい
・高校一年生のときに困っている自分に声をかけてくれた秀斗に一目惚れし、絶対に秀斗と結婚すると決めていた
・秀斗を迎え入れるために早めに子どもをつくろうと蒼と相談していたため、会社には勤めずにフリーランスとして仕事をしている
・蒼のことは家族としての好意を持っており、光希のこともちゃんと愛している
・運命の番(蒼)に出会ったときは本能によって心が惹かれるのを感じたが、秀斗の姿がないのに気づいた瞬間に絶望をして一時期病んでた
※他サイトにも掲載しています
ビーボーイ創作BL大賞3に応募していた作品です
完結•枯れおじ隊長は冷徹な副隊長に最後の恋をする
禅
BL
赤の騎士隊長でありαのランドルは恋愛感情が枯れていた。過去の経験から、恋愛も政略結婚も面倒くさくなり、35歳になっても独身。
だが、優秀な副隊長であるフリオには自分のようになってはいけないと見合いを勧めるが全滅。頭を悩ませているところに、とある事件が発生。
そこでαだと思っていたフリオからΩのフェロモンの香りがして……
※オメガバースがある世界
ムーンライトノベルズにも投稿中
【完結】運命の相手は報われない恋に恋してる
grotta
BL
オメガの僕には交際中の「運命の番」がいる。僕は彼に夢中だけど、彼は運命に逆らうようにいつも新しい恋を探している。
◆
アルファの俺には愛してやまない「運命の番」がいる。ただ愛するだけでは不安で、彼の気持ちを確かめたくて、他の誰かに気があるふりをするのをやめられない。
【溺愛拗らせ攻め×自信がない平凡受け】
未熟で多感な時期に運命の番に出会ってしまった二人の歪んだ相思相愛の話。
久藤冬樹(21歳)…平凡なオメガ
神林豪(21歳)…絵に描いたようなアルファ(中身はメンヘラ)
※番外編も完結しました。ゼミの後輩が頑張るおまけのifルートとなります
無理です!僕は絶対にこんな屑駄目王子の嫁になりませんからね?
竜鳴躍
BL
見た目と才能を隠していた第二王子と第一王子の婚約者候補のラブコメ?王家ざまあ。番確定なのに未成熟で分かってない主人公(受)とすれ違いの攻。あげく第一王子は変装した弟に恋をするし、たいへんです。
※前半あらすじ?
「なんでウチは公爵なのぉ!?」ハイリ5歳は絶望した。ちょっと顔が綺麗なだけで傲慢な第一王子。外面が良いだけの悪魔の婚約者候補に選ばれてしまう。ハイリは男の子だけどΩでお嫁に行く。だから女の子に混じって、実家の爵位と年齢から選ばれてしまった。死にそうになったところを助けてしまったり、あまりのアホさにやらかす男を助けてしまい、なんとか自分だとバレないように裏工作するハイリ。見た目と才能をひた隠しにして、どうにかこうにか誰かに第一王子を押し付けようとするのだった。
☆短編になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる