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~チュートリアル島⑩~

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ーチュートリアル島 マシンファクトリー 王の間ー
レイナ「アタシが…アタシがやらなきゃ…」
レイナは気力を振り絞りソニックウェーブを喰らいながらも王様の最後のベルに斬り掛かる。
王様からレイナに向けて次のソニックウェーブがくり出されようとしている。
レイナ(お父さん…お母さん…アタシも今そちらに逝きます…。)
レイナは覚悟した。
ガブ「ガブふぁいあー」
疲労で動けないガブの渾身の攻撃が王様に放たれるもいつものガブファイアーよりも威力も大きさも大したことがない
ベアード「ガブ、援護感謝する。」
ベアードが王様を持ち上げそのままバックドロップの要領で地面に叩きつける。
ベルにヒビが入り、模様は消え去った。
ガブ「やっとおわったぁ…」
レイナ「アタシ生きてる…」
ベアード「歳は取りたくないのぉ…今ので腰が…」
ヤマト「もう立ち向かって来ないよな…?」
王様の不規則なベルの音はいつの間にか止んでいた。
王様が起き上がる。
王様「お主達は…なぜ王の間がこんなにボロボロなのだ…?」
ヤマト「王様!アナタはダークバロン達に操られていたんだ!」
王様「ダークバロンだと…。してお主達は…?」
レイナ「アタシの…アタシの故郷を返して…」
王様「故郷…?返してだと…?なんの事だ…?」
レイナは王様に事のあらましを説明する。
王様「私はなんということを…そなたの故郷を汚すばかりかそれによって海竜の被害まで出てしまうという事か…」
レイナは泣き崩れる。
王様「今すぐに工場中のアンドロイド達を向かわせ、ゴミを廃棄させよう。当然ゴミはこの工場内で全て処理をする。」
王様は機械族特有の電気信号で配下のキカイ族全てに命令をし、すぐさまゴミの廃棄へ取りかからせた。
王様「あとは海竜だが…私が直接話をしてみよう…」
王様自らスクラップヤード港へと出向く。

ーチュートリアル島 スクラップヤード港ー
すでに先に到着していたキカイ族達によってゴミの山は小さくなっていたがまだ完全には取り除かれておらず作業を続けていた。
王様は海に向かって叫ぶ。
王様「海竜達よ!話をさせて頂きたいこの港街にゴミを投棄したのは私達マシンファクトリーに住む者たちだ…願わくば、この街を海に沈めないで頂きたい…。」
海の波が高くなり、文字通り龍の様で青いカラダの海竜達が海の中より姿を現す。
その中でも一際大きく海竜達を束ねる海竜王が話かけてきた。
海竜王「キカイ族の王よ、なぜこの港を汚した!」
王様「それは…ダークバロンによって操られていた様で何も…だがそれでも私達が偉大なる海を汚したことに間違いは無い…それでもこの街を沈めるというなら代わりに私達のキカイ族の住処、マシンファクトリーを沈めるがいい。」
ヤマト「えっ!?」
王様「いくら操られていたとはいえそれだけの事をしてしまったんだ…」
海竜王「よかろう、先にそちらから沈めてやろうその後にこの港街だ」
レイナ「そんな…」
レイナは両手で口元を抑え膝から崩れ落ちる。
海竜王「1度汚れてしまったものは沈め浄化する必要がある…。」
ヤマト「どうして!こんなにも頼んでいるじゃないか!」
海竜王「願ったことが全て思い通りになる訳ではないのだよ少年よ。」
ヤマト「そんなのおかしいよ、レイナはこの汚れた海をキレイにしようと1人頑張っていたじゃないか…それなのに…」
ベアード「ワシらがいくら言っても海竜達の考えは変わらぬよ…それが海竜族、海を守る者たちなんじゃ…」
ヤマト「それじゃあオレ達なんの為に…ガブ、ヤツらを倒そう…それなら…」
ガブ「海竜族相手に戦いを挑むバカはいないよ…そもそもオイラ動けないし…」
ガブはベアードに背負われている状態。
王様「海竜王よ、この責任は全て私達キカイ族が取る。それでなんとか港街だけは…」
キカイ族の王は何度も何度も頭を下げる。
海竜王「ならぬ。」
するとまだ小さな海竜が1匹海から顔を出し海竜王の前へと進む。
小さな海竜「父ちゃん、この港街だけは許してくれないかな…」
一同「とっ…父ちゃん!?」
海竜王「ならぬ。」
小さな海竜「オイラ昔群れとはぐれた時にこの港街に住んでいた女の人に助けてもらった思い出の街なんだよ…」
レイナ「アナタ…あの時の…」
小さな海竜「おねえちゃん…?あの時のおねえちゃんだ!フード被っているからわからなかったよ!」
海竜王「…。そうか…群れからはぐれたムスコを…海竜王の子と言えば次世代の海竜王…そのムスコを救ったという事は海竜族の未来を救ったと言っても過言では無い…」
海竜王「だが罪は罪だ!キカイ族の者たちよ…全てのゴミを撤去し、撤去後はこの海の浄化装置を作ってこの港街に取り付けるのだ、この港街は我々海竜族と擬人族との友好の証とし地上に残そう。」
レイナ「ありがとうございます」
レイナは大粒の涙を流した。
海竜王「礼を言わねばならぬのはこちらの方だ、我が子を救ってくれた恩人に感謝する。それと街を沈めようとした事済まなかった。」
レイナ「街が無事ならそれでいいんです。アタシはあの子と出会ったこの海が好きだから…だからもう一度あの子に会いたい一心で海をキレイにしたくて…」
海竜王「コレは友好の証の竜の骨笛だ、おまえにやろう。この笛を吹けば海の上であれば我々海竜族がおまえのチカラになろう。」
レイナ「ありがとうございます。」
レイナは竜の骨笛を受け取ると首からかけた。
ヤマト「海竜王…そのなんて言うか…」
海竜王「なんだ…どうしたニンゲンよ…おまえたちも恩人に代わりは無い、言ってみろ!」
ヤマト「オレ元の世界に帰りたくて…」
海竜王「元の世界か、なるほど…ガブさっきはベアードの後ろに隠れていて見えなかったがガブとニンゲンが一緒にいるとタケルを思い出すな」
ガブ「ソイツはタケルのムスコだぜ。」
海竜王「そうかそうか、コレはまたなんという巡り合わせよ、海竜族の背に乗るニンゲンはタケル以来2人目だ、よしヤマトよ我の背に乗るがいい、次の島まで連れて行ってやる。」
ヤマト「いいのか?ありがとう海の王様!」
海竜王「懐かしいな、昔はタケルを乗せてどこまでも旅したものだ。」
ヤマト、ガブを背負ったベアードが海竜王の背中に乗る。
ヤマト「レイナ!来ないのか?」
レイナ「アタシはこの街が元通りになるのを見届けたいから…」
レイナも一緒に冒険したい気持ちもあるがやはり故郷の復興が気になる。
キカイ族の王「ここの復興はまだしばらくかかる…どうだろう、私達が留守を預かるから冒険に出てみてはどうだい?私達も罪を償いたいんだよ。」
レイナの表情が明るくなる。
レイナ「アタシが戻ってきた時までに元の港街に戻っていなかったら今度こそ許さないからっ!」
少しイタズラ気味にキカイ族の王に伝え、レイナは海竜王の背に飛び乗る。
レイナ「アタシも行くよ!この街を救ってくれたお礼に少しでも役立ちたいからさ!」
ヤマト「やった!またナカマが増えた!」
ガブ「擬人族のナカマなんて珍しいけどヤマトらしーな」
レイナ「よろしくねっ!」
ガブは動けないためベアードに背負われている。
ベアード「また例のジョブマッチ楽しみにしとるからのぉ」
ガブ「ベアードのスケベ」
一同笑い声をあげる。
新しいナカマ レイナを加えヤマト達はチュートリアル島を後にする。
(アラタニ レイナヲ ナカマニ シマスカ?)
(YES◀NO)
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