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~チュートリアル島②~

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ーチュートリアル島 迷いの森ー
ベビィの村を後にしたヤマトとガブ、つぎに向かった先は草木の生い茂った森の中。
ヤマト「ベビィの村を出た時には、まだ明るかったのに森に着いた途端暗くなるなんて...」
ガブ「この森はいつも暗いんだ。ヤマトは暗いのこわいのか?」
ヤマト「別に怖くはないけど、時間の感覚が分かんなくなるよ。一体ココに来てどれくらい時間が経っているのか、父さんが心配しているかもしれないし...」
ガブ「ヤマトは怖くないのか!タケルはオイラの後ろを震えながら着いてきてたぜ」
ヤマト「あの父さんが...あはは」
ガブ「戦いになると先頭に立って指示をくれるのに、暗いのが怖かったんだってさ」
ヤマト(ガブはオレの知らない父さんの色んな面をしっているんだなぁ...まさかあの父さんが子どもの頃暗いのが怖かったなんて...)
会話をしながら道無き道を進んでいくヤマトとガブ
時折、トリのような鳴き声やケモノのような鳴き声が聞こえてくる。
ヤマト「この森にもやっぱりモンスターが出るのか?」
ガブ「そりゃあ、どこにだっているさ。ちなみにこの森にはヒトを迷わせることが大好きなモンスターも出てくるから要注意だな」
ヤマト「そんな厄介なやつがいるのか」
ガブ「まぁオイラについてこれば大丈夫さ!」
ガブは自信満々にヤマトの前を歩いていく。
ガブ(懐かしいなぁ、前もこうしてタケルの前を歩いてこの森を抜けたんだよなぁ...)
どんどん先を進むガブ、ヤマトは置いていかれないようにあとを着いていくと突然ガブが止まった。
ヤマト「どうした?ガブ」
ガブ「ヤマト...言いにくいんだけど...」
ヤマト「まさか...迷ったのか?」
ガブ「...えっと...その...トイレー!」
ヤマト「あぁ、」(そういえば元々育成ゲームのモンスターだ、ごはんも食べるしトイレもいくのだ)
ガブ「ヤマトーもれるー!!!」
ヤマト「仕方ない、ガブそこの木の陰でしておいでよ。」
ガブ「もれるーっっ!」
ガサゴソと音をたてながらヤマトから見えないように木の陰へ移動しトイレを済ませた。
ガブ「やースッキリしたー」
ガブがヤマトの前へと戻ってきた。
ヤマト「フンの処理はしなくていいのか?」
ガブ「時間が経つと勝手に消えるんだ!」
ヤマト「そういうものなのか?」
ヤマトはこの世界の理屈がよく分からないがガブがそういうのであればそうなのだろうと思い込む。
ガブ「さぁヤマト、ガンガン進もーぜ!!!」
ガブはまた勢いよく歩き出した。
ヤマトもガブの後に続く。
ヤマトとガブはベビィ村での出来事を話しながら前へ前へとすすんでいく。
なぜエビラはベビィ村を襲っていたのか、ガブがエビラの攻撃を以前より強く感じたこと、エビラの記憶が途切れたこと、エビラの首の模様、ポケレーターからの眩い光り、考えても分からないことだらけであった。
かなりの距離を歩いて来たが一向に森を抜ける事が出来ないヤマトとガブ。
ガブ「あれ?」
ヤマト「どうしたガブ?」
ガブの目線の先には先ほどのガブのフンがあった。
ヤマト「アレってさっきの?」
ガブは恥ずかしそうにしながらも不思議そうな表情をしている。
ヤマト「ガブ?まさか...迷ったのか?」
ガブ「どーやらそーみたいだね...」
ヤマト「あんなに自信ありげだったのに?」
ガブ「おかしいな前にタケルと来た時は迷わなかったのに?それに匂いだって...」
ガブがクンクンと匂いを嗅ぐ仕草をする。
(この世界ではフンに匂いはないためガブは空気中の匂いを嗅いでいる)
ガブ「なんだ?コノあまい匂いは...フワフワしてぐるぐるするぞぉ...」
ガブがほろ酔い気味にフラフラしている。
ヤマト「ガブ、どうした?」
ガブ「ふわふわだぁ」
ガブの様子がおかしい、どうやらガブにしか分からないあまい匂いが原因らしい。
ヤマト「ガブしっかりしろっ!ガブ!」
ヤマトはガブを揺するがガブは元に戻る気配は無い。
???「迷え、迷え、みんな迷え、そして森の養分となれー」
突然声が聞こえて来たが姿はまるで見えない。
ヤマト「だっ誰だ?」
???「迷えるモンスターよ森の養分となるのだー」
ヤマトの問いに応える様子も無く声は森に響き渡る。
???「おや?どうやらあま~い香が効かないヤツがいるみたいだなー」
ヤマト「何者だ?」
???「あま~い香が効かないならば直接根を張り養分にしてやるー」
声の方向が分からないが森の中から木の根が伸びてきてヤマトを縛り上げた。
ミシミシミシッと音を立ててキツくキツくヤマトを縛る力が強くなる。
ヤマト「うっ、うあああー」
縛る力が強く、ヤマトは悲痛な叫び声をあげた。
ガブ「ヤマト...」
ガブに意識は戻ったがカラダが言うことを効かないようだ。
ヤマト「うあああー」
ミシミシッ木の根の音かヤマトの骨の音か分からない音が響く。
ガブ「ヤマトォー」
ガブは動けない。
ヤマト「くっ...」
ヤマトは意識を失いかける中ポケレーターに手が触れる。
ポケレーターから眩い光りが放たれ、ガブへと光りが当たる。
ガブ「ヤマトォォォ!!!」
ガブのカラダが動くようになった。
ガブ「ヤマトになにするんだー」
ガブは爪でヤマトを縛る木の根を切り裂いた。
(ドサッ)ヤマトは木の根が、巻き付いたまま地面に落ちた。
???「せっかくの養分を...邪魔をするなー」
ヤマトを縛りあげたモンスターが姿を現した。
枯れた木のような見た目をし、背中にはあまい香が出る大きな羽根のような花、腕のような部位は、
伸縮自在の木の枝または木の根のようになっている。
足は木の根になっておりそれを器用に動かして近づいてくる。
ガブ「ツリーデッド!!!よくもヤマトを!!!」
ガブはヤマトに巻き付いている木の根を爪で切り裂きヤマトを救出する。
ヤマト「はぁ...はぁ...ガブありがとう」
ヤマトは呼吸を整える。
縛り付けられた際のキズはあるものの大きな外傷はない。
ガブ「ヤマト、オイラが迷ったばっかりに...」
ヤマト「大丈夫だ、ガブやれるか?」
ガブ「ツリーデッドはオイラより1段階上の進化をしているけど相性は悪くないはずだ!」
ツリーデッド「なにをゴチャゴチャやっているー」
ツリーデッドが間合いを詰めながら腕を伸ばし攻撃を仕掛けてくる。
ガブはヤマトを抱え、攻撃を回避する。
ツリーデッドは攻撃をかわされるもすかさず、次の攻撃を繰り出してくる。
ガブはヤマトを抱えたままひたすらに回避を繰り出す。
ヤマト「ガブ!このままじゃキリがない」
ガブ「任せろ!ガブファイアー!」
ガブは周りの木を焼き、煙でツリーデッドの視界を遮った。
その隙にヤマトとガブは近くの木の上に隠れた。
ガブ「ヤマトはココを動かないで」
ヒソヒソと話す。
ヤマト「ガブは?」
ガブ「オイラは戦う、ヤマトはココから指示をくれ!」
ガブは素早く木の中から飛び出すとツリーデッドの後ろに回り込んだ。
ガブ「ガブファイアー」
ツリーデッドは攻撃に反応し腕(木の根)を伸ばすがガブファイアーに焼かれる。
ツリーデッド「ぎゃあああ」
ツリーデッドの右腕が焼け落ちる。
ツリーデッド「腕がぁぁ」
ガブ「ガブファイアー!ガブファイアー!ガブファイアー!」
追い打ちをかけるようにガブは何度もガブファイアーを放つ。
ツリーデッドは残ったもう片方の腕で受けるが、焼け落ちる。
ヤマト「いける!ガブ頑張れー!」
ツリーデッドから黒煙が立ち上がる。
ガブ「ぐわぁっ!」
黒煙の中から木の根が伸びガブにクリティカルヒットする。
ツリーデッド「この程度でワタシが倒れると思ったか?植物族の回復力をみくびるな!」
ガブ「くっ!」
ガブの胴体に木の根が貫いている。
ヤマト「ガブー!!!」
ガブは目を閉じ、ぐったりとしている。
(ピピピピピッ)
ポケレーターから音が鳴る。
ヤマトはポケレーターを手に取り画面を見る。
(ガブ ヲ シンカ サセマスカ?)
(YES◀・NO)
ヤマト(ガブの進化…)
ヤマトはポケレーターの決定ボタンを押す。
ポケレーターからガブ目掛けて光りが走る。
光に包まれたガブは進化を遂げる。
その姿はヤマトより大きくスタイリッシュな獣人の様だ。ツリーデッドに貫かれたキズも癒えている。
ヤマト「ガブ???」
ガブ「ようやく本気が出せる!」
(ザザッ、ザザッ)ガブのカラダにノイズが出ている。
ツリーデッド「進化したてでは本来のチカラも出せないだろー」
ツリーデッドは回復させた両手を伸ばし激しく攻撃を繰り出す。
ガブは軽々と攻撃を避けツリーデッドとの間合いを一気に詰めそのままの勢いで殴りつける。
怯むツリーデッドに次々と攻撃を与える。(ザザッ、ザザッ)
ツリーデッド「…。」
ヤマト「ガブ!決めろー!」
ガブ「ガブフレイムー!」
ガブファイアーよりも大きな青い火炎を口から吐きだす。
ツリーデッド「ぎゃあああああ」
大きな炎がツリーデッドを包む。
ツリーデッド「養分を…集めなくては…」
激しく燃え上がりツリーデッドは倒れた。背中の羽根のような花に付いていた模様が消えた。
ヤマト(エビラの時と同じだ…)
ヤマト「ガブ、よくやったな!」
ガブ「ヤマト…」(ザザッ、ザザッ、ザー)
ガブのカラダ全体をノイズが包み元の姿に戻った。
ヤマト「ガブ…?」
ガブ「…やっぱりダメか…。」
ヤマト「…???」
ガブ「本来オイラ達モンスターは1度進化したら元に戻ることはないんだ…でもオイラだけは…」
ヤマト「そうなのか?」
ガブ「…オイラのデータにはバグが入り込んでいるみたいなんだ…」
ツリーデッド「うぅ…なぜワタシは黒焦げなんだ…?」
ツリーデッドが目を覚ました。
ヤマト「ツリーデッド、やっぱりなにも覚えて無いのか?」
ツリーデッド「ニンゲン…どうして…」
ガブ「いきなり養分、養分言い出してオイラ達を襲ってきたんだ。」
ツリーデッド「養分…なんのことだ…???ワタシはなにを…」
(ズドンッ)黒い結晶のが空から降って来てツリーデッドを真っ二つにした。
ツリーデッド「…。」
ツリーデッドのカラダがサラサラと崩れ落ちた。
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