34 / 37
命のたまご
32 茜と真田のマリッジ
しおりを挟む
――マリッジ ◎ マリッジ
あなたと私。
……真田くんと茜のお話よ。
『二人の結婚指輪物語』
本当にあった愛の話。
あなたの優しさに触れられて、私は幸せです。
私の指輪とあなたの指輪。
お日さまに重ねてかざしてみると多角形。
綺麗だなっていつも見ていた。
あなたが、私が好きなのを選べばいいよとすすめてくれた指輪。
秋田のジュエリーショップで買った、マリッジリング。
一人に一つ。
二人で二つ。
――結婚十年目で、大事件が。
ごめんなさい。
私の指輪、うちの中でなくしたみたい。
ぽろぽろぽろぽろ泣いた。
俺には、直ぐには無理だけどさ。
又、マリッジリングを買うよ。
指輪で別れたくない。
俺たちの方が、大切だよ。
とても申し訳なかった。
ずっと連れ添うからとのあなたの声にうなずいた。
切なくなって、泣きながら。
あなたの胸に包まれた。
私の引っ越しが多くて、生活も大変だったね。
その時は、東京にいたっけ。
東京のジュエリーショップは、秋田とは違い、キラキラとしていた。
でも、なくした指輪とは、比べたくなかった。
愛に重さはないから。
秋田も東京も変わらないよ。
それになにより、あなたの想いの方が、輝いていたよ。
胸が締め付けられたわ。
新しい指輪は、重ねてみると二重丸。
太陽に透かしてみなくても、すぽっとまるに入ってしまうわ。
あなたの指は、節が太くて指輪も大きいまるなの。
私は細い指で、ジュエリーショップの方に驚かれたわ。
少し豪華になりました。
私のには三つのメレダイヤ。
こんなに素敵なもの。
最初の指輪より倍の高さになったのに、どうして買ってくれるの?
私が初めての妊娠をしているから?
ストレスのないように。
もし、お別れのことがあっても、涙しないようになの?
それに、あなた……。
どうやって苦労して働いてくれたのだろう。
涙しかないよ。
もう、お互いに指の形に合ってしまったね。
こうして年輪を重ねていくのね。
あなたと私、なじみゆく。
新しい指輪にしてから、絶対になくさないようにしている。
中が見えるボトルにしまっているの。
なくした指輪と今ある指輪。
二つの指輪、合わせて二十数年経つね。
二人合わせて四十数年か。
ありがとう。
あなた。
あなた。
ありがとう。
これからもよろしくね。
◇◇◇
――このお話は、私のお母さんとお父さん達がそうだったのですって。
お母さん達には、だから続きがあるの。
◇◇◇
私は、あなたのお蔭で、結婚記念日をまた一つむかえられました。
今度こそ、なくさないで、共に髪に霜の降るまで仲のよい夫婦でありたいです。
古き恋人は黄金なり。
とこしへの愛は変わらず。
◇◇◇
そんなことを宣言して、絹矢茜と真田佐助くんは、結婚しました。
櫻と慧が子どもに恵まれるのが遅かったように、茜も十年目に妊娠しました。
それが、どんな悪夢を引き起こすか――。
しかし、それでも、茜は、命のたまごを授かったのです。
あなたと私。
……真田くんと茜のお話よ。
『二人の結婚指輪物語』
本当にあった愛の話。
あなたの優しさに触れられて、私は幸せです。
私の指輪とあなたの指輪。
お日さまに重ねてかざしてみると多角形。
綺麗だなっていつも見ていた。
あなたが、私が好きなのを選べばいいよとすすめてくれた指輪。
秋田のジュエリーショップで買った、マリッジリング。
一人に一つ。
二人で二つ。
――結婚十年目で、大事件が。
ごめんなさい。
私の指輪、うちの中でなくしたみたい。
ぽろぽろぽろぽろ泣いた。
俺には、直ぐには無理だけどさ。
又、マリッジリングを買うよ。
指輪で別れたくない。
俺たちの方が、大切だよ。
とても申し訳なかった。
ずっと連れ添うからとのあなたの声にうなずいた。
切なくなって、泣きながら。
あなたの胸に包まれた。
私の引っ越しが多くて、生活も大変だったね。
その時は、東京にいたっけ。
東京のジュエリーショップは、秋田とは違い、キラキラとしていた。
でも、なくした指輪とは、比べたくなかった。
愛に重さはないから。
秋田も東京も変わらないよ。
それになにより、あなたの想いの方が、輝いていたよ。
胸が締め付けられたわ。
新しい指輪は、重ねてみると二重丸。
太陽に透かしてみなくても、すぽっとまるに入ってしまうわ。
あなたの指は、節が太くて指輪も大きいまるなの。
私は細い指で、ジュエリーショップの方に驚かれたわ。
少し豪華になりました。
私のには三つのメレダイヤ。
こんなに素敵なもの。
最初の指輪より倍の高さになったのに、どうして買ってくれるの?
私が初めての妊娠をしているから?
ストレスのないように。
もし、お別れのことがあっても、涙しないようになの?
それに、あなた……。
どうやって苦労して働いてくれたのだろう。
涙しかないよ。
もう、お互いに指の形に合ってしまったね。
こうして年輪を重ねていくのね。
あなたと私、なじみゆく。
新しい指輪にしてから、絶対になくさないようにしている。
中が見えるボトルにしまっているの。
なくした指輪と今ある指輪。
二つの指輪、合わせて二十数年経つね。
二人合わせて四十数年か。
ありがとう。
あなた。
あなた。
ありがとう。
これからもよろしくね。
◇◇◇
――このお話は、私のお母さんとお父さん達がそうだったのですって。
お母さん達には、だから続きがあるの。
◇◇◇
私は、あなたのお蔭で、結婚記念日をまた一つむかえられました。
今度こそ、なくさないで、共に髪に霜の降るまで仲のよい夫婦でありたいです。
古き恋人は黄金なり。
とこしへの愛は変わらず。
◇◇◇
そんなことを宣言して、絹矢茜と真田佐助くんは、結婚しました。
櫻と慧が子どもに恵まれるのが遅かったように、茜も十年目に妊娠しました。
それが、どんな悪夢を引き起こすか――。
しかし、それでも、茜は、命のたまごを授かったのです。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる