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犯人はレイの姉? その二
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「――というわけなんだ、ファリル姉さん」
「ふぅん・・・・・・。なるほどねぇ」
話を聞き終えた姉さんは、のほほんとした顔で、
「つまりレイちゃんは、呪いの下着が、私の店で売ってた物かどうか、確かめてほしいと」
「そういうこと」
「わかりました。ほかならぬ弟の頼みですもの」
姉さんはにっこりうなずくと、
「では早速、失礼しますね」
言うなり、ぴらっ、とリズ様のスカートをめくり上げる。
「はひぃっ!?」
「――ぶっ」
変な悲鳴をあげるリズ様。思わず吹き出す俺。
「な、なんてことすんですか、いきなりっ!」
慌てて手を押さえるエレナに、
「だってー。
呪いの下着を見ないと、私の作品かわからないでしょ?」
「じ、自分で脱ぎますからっ!」
王女は真っ赤になって叫ぶと、服のボタンに手をかけて――上目遣いに俺の方をじーっと見つめる。
「さっさと後ろを向かんかっ!」
エレナに頭を掴まれ、俺は、ぎぎぎっ、と後ろを向かされた。
「いててっ。
ごっ、ごめん。うっかりしてた」
「全く、この姉弟は・・・・・・」
ため息つくエレナ。
しばらく衣擦れの音が聞こえたあと。
「これ、なんですけど・・・・・・」
リズ様の恥ずかしげな声に続き、
「どれどれ。うーん・・・・・・」
しばし、姉さんのうなる声が聞こえ――
「・・・・・・こ、これはっ!?」
「何かわかったっ?」
突如あがった声に、俺は慌てて問いかける!
「あぁ、やっぱり王女の肌は、キメの細かさが違いますねぇ。
私の作品が似合いそう・・・・・・」
うっとりつぶやく姉さんに、
『真面目にやってくださいっ!』
俺とエレナの声がハモる。
「あん、怖ーい」
おどけて怯えた仕草をすると、姉さんは、ついっ、と視線をそらせて、
「残念ですけど、知りませんねぇ」
「・・・・・・本当?」
「可愛い弟に、嘘なんてつけないわ」
にっこり微笑む姉を、俺はジト目で見つめ、
「たった今、目の前でついてますけど」
「しくしく。
姉を疑うなんて、弟が反抗期ですー」
ファリル姉さんは、嘘泣きして目元をぬぐうと、不意に真面目な口調になり、
「――というか。
例え知ってても、教えられないんですよ、実は」
「な、なんでっ!?」
「いい、レイちゃん。よーく聞きなさい」
たずねる俺の鼻先に、姉さんは、ぴっ、と人差し指を立てると、
「騎士には、騎士道精神があるように。
大人の魔法グッズ屋にも、大切な仁義があるの。
だから、顧客情報をチクるなんて鬼畜なこと、絶対できないわ。
エッチアイテム職人の、プライドにかけても、ね」
「捨ててください! そんな恥ずかしいプライドっ!」
「感動してよー。せっかくいいコト言ったのにぃ」
「あきれることしかできませんっ!」
「ふーんだ。
とにかく、いくら弟の頼みでも、こればっかりはダーメ」
ツン、とそっぽを向くファリル姉さん。
「ちょっと姉さん!
これは王族の・・・・・・いや、祖国の危機なんだよ!
わがまま言わないで・・・・・・」
「あーあー。
聞こえませ―ん」
両手で耳ふさぎ、アッカンベーする二十二歳。
子供か。あんたは。
――くっ、仕方ない。
この手だけは使いたくなかったが・・・・・・
俺は覚悟を決めると、コホンッ、と一つ、せき払いして、
「ま、まぁ。姉さんが作ったにしては、デザインが下品すぎるかな」
その途端。
ぴきっ
舌出す姉さんの額に、青筋が立つ。
「ふぅん・・・・・・。なるほどねぇ」
話を聞き終えた姉さんは、のほほんとした顔で、
「つまりレイちゃんは、呪いの下着が、私の店で売ってた物かどうか、確かめてほしいと」
「そういうこと」
「わかりました。ほかならぬ弟の頼みですもの」
姉さんはにっこりうなずくと、
「では早速、失礼しますね」
言うなり、ぴらっ、とリズ様のスカートをめくり上げる。
「はひぃっ!?」
「――ぶっ」
変な悲鳴をあげるリズ様。思わず吹き出す俺。
「な、なんてことすんですか、いきなりっ!」
慌てて手を押さえるエレナに、
「だってー。
呪いの下着を見ないと、私の作品かわからないでしょ?」
「じ、自分で脱ぎますからっ!」
王女は真っ赤になって叫ぶと、服のボタンに手をかけて――上目遣いに俺の方をじーっと見つめる。
「さっさと後ろを向かんかっ!」
エレナに頭を掴まれ、俺は、ぎぎぎっ、と後ろを向かされた。
「いててっ。
ごっ、ごめん。うっかりしてた」
「全く、この姉弟は・・・・・・」
ため息つくエレナ。
しばらく衣擦れの音が聞こえたあと。
「これ、なんですけど・・・・・・」
リズ様の恥ずかしげな声に続き、
「どれどれ。うーん・・・・・・」
しばし、姉さんのうなる声が聞こえ――
「・・・・・・こ、これはっ!?」
「何かわかったっ?」
突如あがった声に、俺は慌てて問いかける!
「あぁ、やっぱり王女の肌は、キメの細かさが違いますねぇ。
私の作品が似合いそう・・・・・・」
うっとりつぶやく姉さんに、
『真面目にやってくださいっ!』
俺とエレナの声がハモる。
「あん、怖ーい」
おどけて怯えた仕草をすると、姉さんは、ついっ、と視線をそらせて、
「残念ですけど、知りませんねぇ」
「・・・・・・本当?」
「可愛い弟に、嘘なんてつけないわ」
にっこり微笑む姉を、俺はジト目で見つめ、
「たった今、目の前でついてますけど」
「しくしく。
姉を疑うなんて、弟が反抗期ですー」
ファリル姉さんは、嘘泣きして目元をぬぐうと、不意に真面目な口調になり、
「――というか。
例え知ってても、教えられないんですよ、実は」
「な、なんでっ!?」
「いい、レイちゃん。よーく聞きなさい」
たずねる俺の鼻先に、姉さんは、ぴっ、と人差し指を立てると、
「騎士には、騎士道精神があるように。
大人の魔法グッズ屋にも、大切な仁義があるの。
だから、顧客情報をチクるなんて鬼畜なこと、絶対できないわ。
エッチアイテム職人の、プライドにかけても、ね」
「捨ててください! そんな恥ずかしいプライドっ!」
「感動してよー。せっかくいいコト言ったのにぃ」
「あきれることしかできませんっ!」
「ふーんだ。
とにかく、いくら弟の頼みでも、こればっかりはダーメ」
ツン、とそっぽを向くファリル姉さん。
「ちょっと姉さん!
これは王族の・・・・・・いや、祖国の危機なんだよ!
わがまま言わないで・・・・・・」
「あーあー。
聞こえませ―ん」
両手で耳ふさぎ、アッカンベーする二十二歳。
子供か。あんたは。
――くっ、仕方ない。
この手だけは使いたくなかったが・・・・・・
俺は覚悟を決めると、コホンッ、と一つ、せき払いして、
「ま、まぁ。姉さんが作ったにしては、デザインが下品すぎるかな」
その途端。
ぴきっ
舌出す姉さんの額に、青筋が立つ。
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