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インビの箱 会議室編1
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彼はあせっていた。まさかこんな事になるとは。
電車を降りたあと、彼は余韻に浸っていた。
スカートと下着越しではあったが、女性の肌の柔らかさ、あの部分の潤い。グジョグジョとした感触は凄かった。
彼女、かなりビショビショに濡れてしまったと思うけど、スカートの生地は濡れても色が変わらない生地だった。きっと、ああやって時々楽しんでいるんだろうな。
それにしても、あの熱く訴えてくるような瞳、なまめかしい表情などを思い返すと堪らないものがある。声をかけてホテルに誘っても良かったのか?いや、節度を保っていた方がいい。調子に乗ってはいけない。
ああ、今日は良いことがありそうだ、いや、いい事はもうあったから、これから悪い事が起こるのかな?などと呑気にツラツラ考えながら歩いていた。
突然、スマホが振動した。会社の連絡用SNSにメッセージが入っている。リーダーからだった。
「すまん、今日子供が熱出したのでどうしても午前中に出社できない。代わりに地域リーダー会議に出席してくれ。」
彼は慌てて返信した。
「自分でいいんですか?」
「問題ない。その旨はもう上に伝えて了承もらっている。何か変更とか決定事項があったらそれだけ後で伝えて。」
仕方がない。嫌々だったが出社早々会議室へ向かった。いつも第五会議室で行われていることは知っている。
細長い会議室に入ると、なるべく進行役から離れるため、長い机の反対側、右の端っこに座った。左に進行役が立つはずだ。机は縦長のものが二列。中央あたりにプロジェクターが置かれている。おそらく自分の席の前あたりは誰も座らないはず。
もしかしたら自分の隣あたりも誰も座らないかもしれない。彼はそう期待した。
まだ誰も来ない。
リーダーから、この会議があまり意味がないことは聞いていた。だいたい、毎日の成果は常に把握されているし、営業部との連携は密に行われているのだ。わざわざ会議で報告することもない。リーダーが言うには毎回、意気軒昂のため社長や役員の演説を聞いて気勢を上げるだけだと。自分の言葉に酔って熱い演説をする役員達の話を聞くのはかなりしんどい、とよく愚痴っていた。まあ話を聞くだけなら自分でも務まるだろう。
そのうちゾロゾロと他の社員が入って来た。みんなダルそうにしている。それでも、かろうじてクビになってないだけの自分と違い、みんな業績アップの貢献者達だ。彼は少し気後れしながら人が入室する度に挨拶をした。だいたい、面倒くさそうに返事をしたりしなかったり。まあ、自分など誰も気に留めない存在だし、かえってその方が彼も気が楽だ。また一人入って来たので「おはようございます。」と挨拶をした。
「おはようございます!」
ひときわ元気で明るい女性の声がしっかりと返ってきて驚いた。返事の主を見てまた驚いた。
「あ、・・・・・」
彼女だ。今朝、電車で痴漢というか痴女というか、まあ、ちょっとあった彼女。あの女性がキビキビとした動作で入ってきたのだ。
ビジネスカジュアルとの規定はあるが、比較的服装は自由なので女性はカジュアルな服装の方も多い。今彼女は、よく見るとロングのグレーのプリーツスカートに大きめの薄ピンクのカーディガン、真っ白のシャツといういで立ちだった。艶々と輝く黒髪は肩にかかる長さのボブヘア。爽やかで知的な印象だった。
電車では彼女のリュックと揺れるスカートぐらいしか見ていなかったので、改めて魅力的な人だと思った。
そしてあの目。あの黒目がちな印象的な目が、今はこちらをはっきりと向いていた。
無表情でこちらをじっと見つめている。自分をはっきりと認識したようだ。彼はあせった。まさかこんな事になるとは。やばい。どうしよう。逃げ出したい気持ちを抑えて、慌てて視線を外した。
汗がどっと出てきた。ヤバイヤバイ。うつむいてその場で動けずにいると、彼女は彼のすぐそばまでカツカツと歩いて来た。
『えっ?えっ?えっ?』
うろたえる彼を尻目に、彼女は平気な様子で彼の左側にサっと座った。彼はあっけにとられていたが、はっと我に返ると、イソイソと自分も座った。彼女が座った勢いで、柑橘系の爽やかな香りがふわっと舞った。
『彼女、地域リーダーの一人だったんだ・・・・』
自分と違い、おそらくかなり仕事ができる有能な人なんだろう、と思うと彼は気後れした。
今朝のことは・・・・そう、夢だったんだ。そこから何かの展開を期待しないほうがいい。そう自戒した。
会議が始まり、進行役が今月の目標と現在の進捗、地域毎の状況と報告をする。彼は何一つ頭に入ってこなかった。隣りの彼女の体温まで感じるほど気になって仕方なかった。
進行役の方、左側を向くと自然と彼女の姿が視界に入る。彼女は真剣に司会役の方を見つめている。ときおり、手元の業務用タブレットに何事か入力している。彼もタブレットを開いてはいたが、チラチラと彼女の横顔ばかり見ていた。こんなに知的で美しい人だったのか、と改めて見惚れていた。柑橘系の香も溺れるように嗅いだ。変態そのものだな。と思いながら。
進行役が、では、と声をひときわ張った。
「社長が皆さんに挨拶と激励をしたいとのことです。会議用SNSでプロジェクターを使用します。皆さん、心して拝聴するように。」
そういうと、部屋の電気を消していった。カーテンが自動でしまっていく。
「これは・・・・・」
彼の胸は急に激しく高鳴った。部屋がドンドン暗くなっていく。
朝、痴漢遊びをした女性がすぐ隣にいる。会議室が暗闇になる。
会議室は一度真っ暗になった。パッとプロジェクターの明かりが点灯し、前方スクリーンにタブレットの画面が大写しになった。進行役がアプリをタップし、かしこまってひきつった顔の社長が写った。社長といってもまだ20台で、ロクな社会経験もないまま社長に就任した二代目だ。周りから尊敬されるような人物でもなく、うかつな発言も多い。いわゆる金持ちのボンボンだ。
「おはようございます!さて、皆さんご存知のとおり、今我が社は大きなセ、節目に来ております!」
「この社会の発展にコ、コウケンし、文明のコ、コ、コウジョウに努め・・・・・・」
大きな声で勢いよく話す社長に、皆我慢して聞く、という状況だった。ズレた一人よがりの演説が延々と続く。漢字の部分はルビが振ってあるのだろう。意味もわからず読んでいる。
あ~あ、と内心思ったが彼も我慢して演説が終わるのを待った。
改めて見回すと、スクリーン部分だけが明るく、部屋の人間達の姿は見えない暗さだった。自分の目の前あたりも全然人が座っておらず、彼女と彼だけが皆から少し離れて座っているような位置にいた。
と、左足のスラックスに何かがふわっとあたった。
もう一度、ふわっと何かがあたった。
「ん?」
彼は身を反らして机の下を目だけで見降ろした。
目の前の彼女の黒い薄手のストッキングに覆われた足が、両方ともヒールの低いパンプスを脱いでいた。彼女の右足がブラブラゆれている。彼の左足の方へ揺れて、今度は足に軽く当たった。
彼女は身体をプロジェクター画面の方へ向けず、机に対し正面に保っていた。顔だけ社長のイタい演説に向けている。そして彼は身体ごと斜めになる形でプロジェクター画面に向けていた。そのため、彼の足は彼女のすぐ近くに位置していた。今度は彼女の左足が、彼の左足にそっと当たるとスススっとなでていった。
彼はやっと気づいた。
彼女の息が荒いことに。
本当に小さくだが、吐息が聞こえる。
「ふっふっ、はっ、ふっ」
彼女が腰をモジモジ動かしている。
彼はそれを見て、音がしないよう注意しながら、少し椅子を彼女に寄せた。
彼女の左足がまた彼の左足へ、そっと触った。ススス~っと上へ、スラックスの中までさすりまた離れた。
彼女の柑橘系の香が強く匂うほど近く近づいた。
彼はそっと手を延ばし、背もたれ部と座席部の間に、彼女のお尻に触れた。
彼女が目を瞑ったのがわかる。そうか、と彼は思った。
お尻の割れ目の窪みを軽く押した。ひっかくように指を上へ動かした。
彼女が軽く口を開けた
「はああああっ」
ほんの小さく吐息を、長く漏らすのが聞こえた。
彼女、これを待っていたのだ。
彼の心臓はよりいっそう高鳴った。
END
電車を降りたあと、彼は余韻に浸っていた。
スカートと下着越しではあったが、女性の肌の柔らかさ、あの部分の潤い。グジョグジョとした感触は凄かった。
彼女、かなりビショビショに濡れてしまったと思うけど、スカートの生地は濡れても色が変わらない生地だった。きっと、ああやって時々楽しんでいるんだろうな。
それにしても、あの熱く訴えてくるような瞳、なまめかしい表情などを思い返すと堪らないものがある。声をかけてホテルに誘っても良かったのか?いや、節度を保っていた方がいい。調子に乗ってはいけない。
ああ、今日は良いことがありそうだ、いや、いい事はもうあったから、これから悪い事が起こるのかな?などと呑気にツラツラ考えながら歩いていた。
突然、スマホが振動した。会社の連絡用SNSにメッセージが入っている。リーダーからだった。
「すまん、今日子供が熱出したのでどうしても午前中に出社できない。代わりに地域リーダー会議に出席してくれ。」
彼は慌てて返信した。
「自分でいいんですか?」
「問題ない。その旨はもう上に伝えて了承もらっている。何か変更とか決定事項があったらそれだけ後で伝えて。」
仕方がない。嫌々だったが出社早々会議室へ向かった。いつも第五会議室で行われていることは知っている。
細長い会議室に入ると、なるべく進行役から離れるため、長い机の反対側、右の端っこに座った。左に進行役が立つはずだ。机は縦長のものが二列。中央あたりにプロジェクターが置かれている。おそらく自分の席の前あたりは誰も座らないはず。
もしかしたら自分の隣あたりも誰も座らないかもしれない。彼はそう期待した。
まだ誰も来ない。
リーダーから、この会議があまり意味がないことは聞いていた。だいたい、毎日の成果は常に把握されているし、営業部との連携は密に行われているのだ。わざわざ会議で報告することもない。リーダーが言うには毎回、意気軒昂のため社長や役員の演説を聞いて気勢を上げるだけだと。自分の言葉に酔って熱い演説をする役員達の話を聞くのはかなりしんどい、とよく愚痴っていた。まあ話を聞くだけなら自分でも務まるだろう。
そのうちゾロゾロと他の社員が入って来た。みんなダルそうにしている。それでも、かろうじてクビになってないだけの自分と違い、みんな業績アップの貢献者達だ。彼は少し気後れしながら人が入室する度に挨拶をした。だいたい、面倒くさそうに返事をしたりしなかったり。まあ、自分など誰も気に留めない存在だし、かえってその方が彼も気が楽だ。また一人入って来たので「おはようございます。」と挨拶をした。
「おはようございます!」
ひときわ元気で明るい女性の声がしっかりと返ってきて驚いた。返事の主を見てまた驚いた。
「あ、・・・・・」
彼女だ。今朝、電車で痴漢というか痴女というか、まあ、ちょっとあった彼女。あの女性がキビキビとした動作で入ってきたのだ。
ビジネスカジュアルとの規定はあるが、比較的服装は自由なので女性はカジュアルな服装の方も多い。今彼女は、よく見るとロングのグレーのプリーツスカートに大きめの薄ピンクのカーディガン、真っ白のシャツといういで立ちだった。艶々と輝く黒髪は肩にかかる長さのボブヘア。爽やかで知的な印象だった。
電車では彼女のリュックと揺れるスカートぐらいしか見ていなかったので、改めて魅力的な人だと思った。
そしてあの目。あの黒目がちな印象的な目が、今はこちらをはっきりと向いていた。
無表情でこちらをじっと見つめている。自分をはっきりと認識したようだ。彼はあせった。まさかこんな事になるとは。やばい。どうしよう。逃げ出したい気持ちを抑えて、慌てて視線を外した。
汗がどっと出てきた。ヤバイヤバイ。うつむいてその場で動けずにいると、彼女は彼のすぐそばまでカツカツと歩いて来た。
『えっ?えっ?えっ?』
うろたえる彼を尻目に、彼女は平気な様子で彼の左側にサっと座った。彼はあっけにとられていたが、はっと我に返ると、イソイソと自分も座った。彼女が座った勢いで、柑橘系の爽やかな香りがふわっと舞った。
『彼女、地域リーダーの一人だったんだ・・・・』
自分と違い、おそらくかなり仕事ができる有能な人なんだろう、と思うと彼は気後れした。
今朝のことは・・・・そう、夢だったんだ。そこから何かの展開を期待しないほうがいい。そう自戒した。
会議が始まり、進行役が今月の目標と現在の進捗、地域毎の状況と報告をする。彼は何一つ頭に入ってこなかった。隣りの彼女の体温まで感じるほど気になって仕方なかった。
進行役の方、左側を向くと自然と彼女の姿が視界に入る。彼女は真剣に司会役の方を見つめている。ときおり、手元の業務用タブレットに何事か入力している。彼もタブレットを開いてはいたが、チラチラと彼女の横顔ばかり見ていた。こんなに知的で美しい人だったのか、と改めて見惚れていた。柑橘系の香も溺れるように嗅いだ。変態そのものだな。と思いながら。
進行役が、では、と声をひときわ張った。
「社長が皆さんに挨拶と激励をしたいとのことです。会議用SNSでプロジェクターを使用します。皆さん、心して拝聴するように。」
そういうと、部屋の電気を消していった。カーテンが自動でしまっていく。
「これは・・・・・」
彼の胸は急に激しく高鳴った。部屋がドンドン暗くなっていく。
朝、痴漢遊びをした女性がすぐ隣にいる。会議室が暗闇になる。
会議室は一度真っ暗になった。パッとプロジェクターの明かりが点灯し、前方スクリーンにタブレットの画面が大写しになった。進行役がアプリをタップし、かしこまってひきつった顔の社長が写った。社長といってもまだ20台で、ロクな社会経験もないまま社長に就任した二代目だ。周りから尊敬されるような人物でもなく、うかつな発言も多い。いわゆる金持ちのボンボンだ。
「おはようございます!さて、皆さんご存知のとおり、今我が社は大きなセ、節目に来ております!」
「この社会の発展にコ、コウケンし、文明のコ、コ、コウジョウに努め・・・・・・」
大きな声で勢いよく話す社長に、皆我慢して聞く、という状況だった。ズレた一人よがりの演説が延々と続く。漢字の部分はルビが振ってあるのだろう。意味もわからず読んでいる。
あ~あ、と内心思ったが彼も我慢して演説が終わるのを待った。
改めて見回すと、スクリーン部分だけが明るく、部屋の人間達の姿は見えない暗さだった。自分の目の前あたりも全然人が座っておらず、彼女と彼だけが皆から少し離れて座っているような位置にいた。
と、左足のスラックスに何かがふわっとあたった。
もう一度、ふわっと何かがあたった。
「ん?」
彼は身を反らして机の下を目だけで見降ろした。
目の前の彼女の黒い薄手のストッキングに覆われた足が、両方ともヒールの低いパンプスを脱いでいた。彼女の右足がブラブラゆれている。彼の左足の方へ揺れて、今度は足に軽く当たった。
彼女は身体をプロジェクター画面の方へ向けず、机に対し正面に保っていた。顔だけ社長のイタい演説に向けている。そして彼は身体ごと斜めになる形でプロジェクター画面に向けていた。そのため、彼の足は彼女のすぐ近くに位置していた。今度は彼女の左足が、彼の左足にそっと当たるとスススっとなでていった。
彼はやっと気づいた。
彼女の息が荒いことに。
本当に小さくだが、吐息が聞こえる。
「ふっふっ、はっ、ふっ」
彼女が腰をモジモジ動かしている。
彼はそれを見て、音がしないよう注意しながら、少し椅子を彼女に寄せた。
彼女の左足がまた彼の左足へ、そっと触った。ススス~っと上へ、スラックスの中までさすりまた離れた。
彼女の柑橘系の香が強く匂うほど近く近づいた。
彼はそっと手を延ばし、背もたれ部と座席部の間に、彼女のお尻に触れた。
彼女が目を瞑ったのがわかる。そうか、と彼は思った。
お尻の割れ目の窪みを軽く押した。ひっかくように指を上へ動かした。
彼女が軽く口を開けた
「はああああっ」
ほんの小さく吐息を、長く漏らすのが聞こえた。
彼女、これを待っていたのだ。
彼の心臓はよりいっそう高鳴った。
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