8 / 22
8
しおりを挟む
住宅街を貫く駅までの道を、ぼんやり歩いている。
なんだか、脱け殻にでもなったみたいだ。
頭も体も妙にふわふわしていて現実感がない。そのくせ、ミユの発した悲鳴のような声が耳から離れず、そこだけは、やけにリアルに感じられる。
むき出しの感情をまともに食らうことが、これほど神経を削られるなんて知らなかった。
ふだん、どれだけ整えられた体裁のなかで生きているかを思い知らされる。
ふいに、手のなかでなにかが激しく振動しはじめた。
驚いて目を落とすと、右手にスマホが握られている。
サトルさんからのメッセージを確認したときから、ずっとそのままだったことに気づいて、空気のぬけるような力ない笑いがこぼれた。
着信の相手は、そのサトルさんだった。
『がまんできなくてかけちゃったよ。いま、マズかったかな』
やわらかな声を聞いた瞬間、泣きたいような気持ちになった。
「全然マズくないです。すみません、返信できなくて」
『それはいいけど…声、元気ないね。なにかあった?』
「…サトルさん」
『ん?』
「会いたいです」
『…いま、どこにいる?迎えに行くよ』
理由を聞くでもなく、サトルさんは当然のようにそういった。
このひとに、すべてを預けてしまいたい。そんな衝動に駆られている自分が怖い。
顔をあげると、道の向こうにコンビニの看板が見えた。
目印としてその場所を伝えたおれに、サトルさんは、「10分くらいで行けると思う。なにか楽しいことでも考えながら待ってて」と告げてから通話を切った。
スマホをポケットに突っこんで、再び歩き出す。
サトルさんのおかげで、いくらか気分がマシになっていた。
恋人と呼べるわけでもなければ、ただの友人とも違う。名前のつかないあやふやな関係なのに、いまのおれにとってサトルさんとのつながりは、夜の海を照らす灯台みたいに、ほのかな希望をもたらしてくれるかけがえのないものだ。
目指すコンビニまで残り数十メートルというところで、背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。
「なんで勝手に帰るんだよ。待ってろっていっただろ」
なんとなく予感はしていたから、声を聞いても驚かなかった。
「タマ!」
足を止めようとしないおれに、麟太郎がいらだった声をあげる。
「こっち向けよ、タマ」
「触るな」
背後から肩をつかまれた瞬間、ほとんど反射的に、おれは麟太郎の手をふり払っていた。
自分でも驚くほどの激しい拒絶に、止まった足が動かなくなる。
ひるんだように一瞬だけ動きを止めた麟太郎は、おれの正面に回りこむと、声のトーンを落としていった。
「ミユに、なんていわれたんだ」
無言のままのおれに向かって、続ける。
「三雲の彼女から聞いた。おまえがミユからケンカ売られてたって」
「…そんなんじゃない」
ケンカなら、まだよかった。ぶつけられた言葉を躊躇なく投げ返すことも、聞き流してさっさと忘れることもできただろう。
でもあれは…彼女の叫びは、胸のなかに長く留まり、ひたすら昏くよどんでいく類のものだ。どんなに望んだところで、いちばん欲しいものには手が届かず、もどかしさにあえいでいる、飢えた獣のようなおれ自身の声そのものだから。
「ミユには、もう一度ちゃんと話をつける。二度とこんなマネはせない」
「ちゃんとってなに。性懲りもなく同じ嘘ついて、彼女のこと、また傷つけんのか?」
自分でも、はっとするほど冷ややかな声が出た。
「おれは嫌だよ。そんなことに、もう協力はできない」
「…好きな男がいるからか?」
麟太郎の乾いた声に、思わず目をあげた。
「おまえが時どき会ってる相手、深山悟だろ、作家の」
「どうして、そんなこと知って…」
「見たんだよ。おまえらが落ち合うところ。俺とタマが、駅ナカで会った日の話だ」
「それって…おれの後つけたってこと?」
信じられない思いで問いかけると、麟太郎は、顔色ひとつ変えずにうなずいた。
「なんでそんなことするんだよ!」
「心配だからに決まってんだろ!危なっかしいんだよ、おまえ。俺の見てないところで、つまづいて泣いてんじゃないかと思ったら、放っておけるわけないだろうが」
「…なんだよ、それ。心配してくれなんて頼んでない」
無意識に、声が震えた。
おれは、麟太郎からそんなふうに思われていたのだ。親友なんてとんでもない。はじめから、対等な関係ですらなかった。
膝から力が抜けていく。なんとか立っていられたのは、かろうじて残されていた意地のおかげだ。
いまこの瞬間、麟太郎のまえでだけは、絶対に弱みを見せたくなかった。
「なぁ、タマ。あいつとは、もう会うなよ」
いつもの落ちついた口調に戻って、麟太郎がいった。
「釣り合わない相手といたって、いいことなんかなにもない。むしろお互い不幸になるだけだ。高校のときのこと、忘れたわけじゃないだろ」
「…過去の話を持ち出せば、おれが黙っていうこときくとでも思ってんの?」
「そんなつもりでいってるんじゃない」
「じゃあどんなつもりだよ。おれの行動を制限する権利が、おまえにあるのか?保護者にでもなったつもりかよ。それとも恋人ごっこの続き?」
「なんでわかんねぇかな」
麟太郎が、再びいらだちをにじませた。
「そういうおまえこそどういうつもりなんだよ。人気作家だかなんだか知らねぇけど、簡単に引っかかりやがって。どうせ、いいように遊ばれてんだろ。いつからそんなチョロいやつに成りさがったんだ、おまえは」
「サトルさんはそういうひとじゃないし、おれも簡単に引っかかったわけじゃない。だいたい、おれがだれとどんなふうにつき合おうが、おまえに関係ないだろ」
麟太郎は、なぜか痛みをこらえるような顔をした。その顔のまま、微妙に焦点のずれたまなざしで、おれをとらえる。
「そうだな。たしかに俺には関係ない。けど、オトコたらしこむなら、次からは俺の見えないところでやってくれ。これ見よがしに試合にまで連れてきてイチャつかれたら迷惑だ」
「それ…アキのこといってんの?」
思わず息をのんだ。
どこをどう切り取ったら、そんなふうに事実が歪んで見えるんだろう。めちゃくちゃだ。もはや否定する気にもならない。
怒りの代わりに、きしむような哀しみが胸を満たした。同時に、諦念に近いなにかが、すとんとおりてくる。
もう、こいつと一緒にはいられない。
シルバーのボルボが滑りこんできたのは、そのときだった。
ハザードランプをつけたメタリックな車体が、路肩ぎりぎりに幅寄せして止まる。
運転席から降りてきたのは、サトルさんだった。
「取りこみ中だったかな」
サトルさんは、麟太郎にちらっと目をやり、おれに向かってたずねた。
「ひょっとして、彼が噂の“麟太郎”くん?」
名指しされた麟太郎が、眉を寄せておれを見る。
「噂ってなんだよ、タマ。この男に、俺のことまで話したのか?」
応えたのは、サトルさんだった。
「話に聞いてたとおり、威勢がいいねぇ。エネルギー持て余してる感じがうらやましいよ」
ひょうひょうとしたものいいが癇にさわったのだろう。いつもより数段低い声で、麟太郎が険のある言葉を返した。
「あんた、ひとの神経逆なですんのがうまいんだな。さすが文章こねくり回して金もらってるだけあるわ」
「初対面の若者に褒めてもらえるなんて、光栄だな」
「褒めてねぇよ。嫌味も通じねぇとか、どんだけツラの皮が厚いんだ」
「ポジティブ思考なんでね。そういうきみのほうこそ、ずいぶん弁が立つみたいだ。大方、舌先ひとつで周りの人間を振り回してきたんじゃないのか?」
サトルさんの口調は、あくまで淡々としている。けれどその内容は、ヒリヒリするほど辛辣だった。
「いままでは、それでうまくいってたんだろう。でも気をつけたほうがいい。他人を振り回してるつもりが、きみの語る言葉にきみ自身が振り回されてる可能性だってないとはいえないからね」
「…なにがいいたい」
うめくように、麟太郎がいった。いまにも噛みつきそうな鋭い目で、サトルさんをにらみつけている。
「本音を隠すために言葉を取り繕ってばかりいると、自分でも、なにが本音かわからなくなるってことだよ」
「あいにく、俺はそんなにマヌケじゃない」
「だったら、どうして千年くんに恋人のフリなんて頼んだ。俺には、きみが迷走してるとしか思えないけどね」
いい返すかと思ったら、麟太郎は無言のまま、サトルさんから視線をそらした。顔から表情が消えている。
「言葉には力がある」
サトルさんが、静かにいった。
「だからこそ、使いようによっては自分を解放してくれる福音にもなるし、反対に、縛りつける呪いにもなるんだ。本心を偽るのはきみの勝手だし、心底どうでもいいと思うよ。でも、その偽装が行き過ぎて、いちばん大切なものまで見失ってしまったら、それこそマヌケの極みなんじゃないのか?気づいたときには手遅れだったなんて、べつに珍しい話でもないけどね」
麟太郎が、小さく息をのむのがわかった。
こいつが他人にやりこめられる場面を見るのは初めてだ。驚きととまどいと、わずかな憐憫の混ぜ合わされた感情が、モヤモヤと胸をふさぐ。
「行こうか、千年くん」
サトルさんにうながされ、後ろ髪を引かれる思いで、ボルボの助手席に乗りこんだ。
サトルさんの車が、来たときと同じようになめらかに発進するまで、麟太郎は、一度もおれを見ようとはしなかった。
なんだか、脱け殻にでもなったみたいだ。
頭も体も妙にふわふわしていて現実感がない。そのくせ、ミユの発した悲鳴のような声が耳から離れず、そこだけは、やけにリアルに感じられる。
むき出しの感情をまともに食らうことが、これほど神経を削られるなんて知らなかった。
ふだん、どれだけ整えられた体裁のなかで生きているかを思い知らされる。
ふいに、手のなかでなにかが激しく振動しはじめた。
驚いて目を落とすと、右手にスマホが握られている。
サトルさんからのメッセージを確認したときから、ずっとそのままだったことに気づいて、空気のぬけるような力ない笑いがこぼれた。
着信の相手は、そのサトルさんだった。
『がまんできなくてかけちゃったよ。いま、マズかったかな』
やわらかな声を聞いた瞬間、泣きたいような気持ちになった。
「全然マズくないです。すみません、返信できなくて」
『それはいいけど…声、元気ないね。なにかあった?』
「…サトルさん」
『ん?』
「会いたいです」
『…いま、どこにいる?迎えに行くよ』
理由を聞くでもなく、サトルさんは当然のようにそういった。
このひとに、すべてを預けてしまいたい。そんな衝動に駆られている自分が怖い。
顔をあげると、道の向こうにコンビニの看板が見えた。
目印としてその場所を伝えたおれに、サトルさんは、「10分くらいで行けると思う。なにか楽しいことでも考えながら待ってて」と告げてから通話を切った。
スマホをポケットに突っこんで、再び歩き出す。
サトルさんのおかげで、いくらか気分がマシになっていた。
恋人と呼べるわけでもなければ、ただの友人とも違う。名前のつかないあやふやな関係なのに、いまのおれにとってサトルさんとのつながりは、夜の海を照らす灯台みたいに、ほのかな希望をもたらしてくれるかけがえのないものだ。
目指すコンビニまで残り数十メートルというところで、背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。
「なんで勝手に帰るんだよ。待ってろっていっただろ」
なんとなく予感はしていたから、声を聞いても驚かなかった。
「タマ!」
足を止めようとしないおれに、麟太郎がいらだった声をあげる。
「こっち向けよ、タマ」
「触るな」
背後から肩をつかまれた瞬間、ほとんど反射的に、おれは麟太郎の手をふり払っていた。
自分でも驚くほどの激しい拒絶に、止まった足が動かなくなる。
ひるんだように一瞬だけ動きを止めた麟太郎は、おれの正面に回りこむと、声のトーンを落としていった。
「ミユに、なんていわれたんだ」
無言のままのおれに向かって、続ける。
「三雲の彼女から聞いた。おまえがミユからケンカ売られてたって」
「…そんなんじゃない」
ケンカなら、まだよかった。ぶつけられた言葉を躊躇なく投げ返すことも、聞き流してさっさと忘れることもできただろう。
でもあれは…彼女の叫びは、胸のなかに長く留まり、ひたすら昏くよどんでいく類のものだ。どんなに望んだところで、いちばん欲しいものには手が届かず、もどかしさにあえいでいる、飢えた獣のようなおれ自身の声そのものだから。
「ミユには、もう一度ちゃんと話をつける。二度とこんなマネはせない」
「ちゃんとってなに。性懲りもなく同じ嘘ついて、彼女のこと、また傷つけんのか?」
自分でも、はっとするほど冷ややかな声が出た。
「おれは嫌だよ。そんなことに、もう協力はできない」
「…好きな男がいるからか?」
麟太郎の乾いた声に、思わず目をあげた。
「おまえが時どき会ってる相手、深山悟だろ、作家の」
「どうして、そんなこと知って…」
「見たんだよ。おまえらが落ち合うところ。俺とタマが、駅ナカで会った日の話だ」
「それって…おれの後つけたってこと?」
信じられない思いで問いかけると、麟太郎は、顔色ひとつ変えずにうなずいた。
「なんでそんなことするんだよ!」
「心配だからに決まってんだろ!危なっかしいんだよ、おまえ。俺の見てないところで、つまづいて泣いてんじゃないかと思ったら、放っておけるわけないだろうが」
「…なんだよ、それ。心配してくれなんて頼んでない」
無意識に、声が震えた。
おれは、麟太郎からそんなふうに思われていたのだ。親友なんてとんでもない。はじめから、対等な関係ですらなかった。
膝から力が抜けていく。なんとか立っていられたのは、かろうじて残されていた意地のおかげだ。
いまこの瞬間、麟太郎のまえでだけは、絶対に弱みを見せたくなかった。
「なぁ、タマ。あいつとは、もう会うなよ」
いつもの落ちついた口調に戻って、麟太郎がいった。
「釣り合わない相手といたって、いいことなんかなにもない。むしろお互い不幸になるだけだ。高校のときのこと、忘れたわけじゃないだろ」
「…過去の話を持ち出せば、おれが黙っていうこときくとでも思ってんの?」
「そんなつもりでいってるんじゃない」
「じゃあどんなつもりだよ。おれの行動を制限する権利が、おまえにあるのか?保護者にでもなったつもりかよ。それとも恋人ごっこの続き?」
「なんでわかんねぇかな」
麟太郎が、再びいらだちをにじませた。
「そういうおまえこそどういうつもりなんだよ。人気作家だかなんだか知らねぇけど、簡単に引っかかりやがって。どうせ、いいように遊ばれてんだろ。いつからそんなチョロいやつに成りさがったんだ、おまえは」
「サトルさんはそういうひとじゃないし、おれも簡単に引っかかったわけじゃない。だいたい、おれがだれとどんなふうにつき合おうが、おまえに関係ないだろ」
麟太郎は、なぜか痛みをこらえるような顔をした。その顔のまま、微妙に焦点のずれたまなざしで、おれをとらえる。
「そうだな。たしかに俺には関係ない。けど、オトコたらしこむなら、次からは俺の見えないところでやってくれ。これ見よがしに試合にまで連れてきてイチャつかれたら迷惑だ」
「それ…アキのこといってんの?」
思わず息をのんだ。
どこをどう切り取ったら、そんなふうに事実が歪んで見えるんだろう。めちゃくちゃだ。もはや否定する気にもならない。
怒りの代わりに、きしむような哀しみが胸を満たした。同時に、諦念に近いなにかが、すとんとおりてくる。
もう、こいつと一緒にはいられない。
シルバーのボルボが滑りこんできたのは、そのときだった。
ハザードランプをつけたメタリックな車体が、路肩ぎりぎりに幅寄せして止まる。
運転席から降りてきたのは、サトルさんだった。
「取りこみ中だったかな」
サトルさんは、麟太郎にちらっと目をやり、おれに向かってたずねた。
「ひょっとして、彼が噂の“麟太郎”くん?」
名指しされた麟太郎が、眉を寄せておれを見る。
「噂ってなんだよ、タマ。この男に、俺のことまで話したのか?」
応えたのは、サトルさんだった。
「話に聞いてたとおり、威勢がいいねぇ。エネルギー持て余してる感じがうらやましいよ」
ひょうひょうとしたものいいが癇にさわったのだろう。いつもより数段低い声で、麟太郎が険のある言葉を返した。
「あんた、ひとの神経逆なですんのがうまいんだな。さすが文章こねくり回して金もらってるだけあるわ」
「初対面の若者に褒めてもらえるなんて、光栄だな」
「褒めてねぇよ。嫌味も通じねぇとか、どんだけツラの皮が厚いんだ」
「ポジティブ思考なんでね。そういうきみのほうこそ、ずいぶん弁が立つみたいだ。大方、舌先ひとつで周りの人間を振り回してきたんじゃないのか?」
サトルさんの口調は、あくまで淡々としている。けれどその内容は、ヒリヒリするほど辛辣だった。
「いままでは、それでうまくいってたんだろう。でも気をつけたほうがいい。他人を振り回してるつもりが、きみの語る言葉にきみ自身が振り回されてる可能性だってないとはいえないからね」
「…なにがいいたい」
うめくように、麟太郎がいった。いまにも噛みつきそうな鋭い目で、サトルさんをにらみつけている。
「本音を隠すために言葉を取り繕ってばかりいると、自分でも、なにが本音かわからなくなるってことだよ」
「あいにく、俺はそんなにマヌケじゃない」
「だったら、どうして千年くんに恋人のフリなんて頼んだ。俺には、きみが迷走してるとしか思えないけどね」
いい返すかと思ったら、麟太郎は無言のまま、サトルさんから視線をそらした。顔から表情が消えている。
「言葉には力がある」
サトルさんが、静かにいった。
「だからこそ、使いようによっては自分を解放してくれる福音にもなるし、反対に、縛りつける呪いにもなるんだ。本心を偽るのはきみの勝手だし、心底どうでもいいと思うよ。でも、その偽装が行き過ぎて、いちばん大切なものまで見失ってしまったら、それこそマヌケの極みなんじゃないのか?気づいたときには手遅れだったなんて、べつに珍しい話でもないけどね」
麟太郎が、小さく息をのむのがわかった。
こいつが他人にやりこめられる場面を見るのは初めてだ。驚きととまどいと、わずかな憐憫の混ぜ合わされた感情が、モヤモヤと胸をふさぐ。
「行こうか、千年くん」
サトルさんにうながされ、後ろ髪を引かれる思いで、ボルボの助手席に乗りこんだ。
サトルさんの車が、来たときと同じようになめらかに発進するまで、麟太郎は、一度もおれを見ようとはしなかった。
21
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
くんか、くんか Sweet ~甘くて堪らない、君のフェロモン~
天埜鳩愛
BL
爽やかスポーツマンα × 妄想巣作りのキュートΩ☆ お互いのフェロモンをくんかくんかして「甘い❤」ってとろんっとする、可愛い二人のもだきゅんラブコメ王道オメガバースです。
オメガ性を持つ大学生の青葉はアルバイト先のアイスクリームショップの向かいにあるコーヒーショップの店員、小野寺のことが気になっていた。
彼に週末のデートを誘われ浮かれていたが、発情期の予兆で休憩室で眠ってしまう。
目を覚ますと自分にかけられていた小野寺のパーカーから香る彼のフェロモンに我慢できなくなり、発情を促進させてしまった!
他の男に捕まりそうになった時小野寺が駆けつけ、彼の家の保護される。青葉はランドリーバスケットから誘われるように彼の衣服を拾い集めるが……。
ハッピーな気持ちになれる短編Ωバースです
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
騎士エリオット視点を含め全10話。
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる