魂の輪廻から外されました

Aiueo

文字の大きさ
上 下
66 / 71

第67話 修行の始まり

しおりを挟む


目を開けるとそこは、崖であった


ここは密林か?背後には生い茂るジャングル。目の前には見上げるほどの崖。

ここがヴァン管轄の世界・・・


「ようこそ、我が世界へ」


ひらりと回り、優雅にお辞儀。なるほどヴァンパイアと言うのは優雅な動きが似合うもんだな。


けど、お城は?ヴァンパイア城はどこ?


キョロキョロ周りを見渡してもお城は見当たらない。あるのはジャングルと、アホみたいに高い崖


「ヴォール。何を探しているんだ?」

「いや、お城。ヴァンパイア城ですよ。まさかないんですか?」

「舐めるなよ、これでもヴァンパイアの始祖だぞ。お城くらいあるわい」

「じゃあ、どこに?」


ヴァンが崖の上を指でさす。まさかな、三百mは余裕であるぞこれ


「さっそく鍛錬を始めるぞ」

「嘘でしょ!これ登るの?!」

「これくらい出来ないでどうする。俺は先に行ってるからな」


ぴょんぴょんと、華麗に崖を蹴り登ってゆくヴァン。唖然と見上げていると上から声が聞こえてきた


「そこのジャングルは夜になると獰猛な魔獣がわんさかでるからー!早く登らないと大変なことになるぞー!」

「殺す気かよ!マクアさんもなんとか言ってやってください!」

「私は先に行ってます」

「マクアさんまで?!」


そ、そうか。マクアさんも悪魔だしこれくらい楽勝なのか?ツノ様をボコボコにした時も、人間離れした動きしてたし・・・

てか、俺もヴァンパイアになったんだし、もしかしたら余裕なのか・・・?


なんてことを考えているうちに、マクアさんが登る体制を取り始めた。やばい、置いていかれるぞこれ!

マクアさん!まってー!置いていかないでー!


ぴょん!


・・・?


ぴょんぴょん!


小さく跳ねてる。可愛い。


あ、こっちきた。なんだろ。なにか言いたいことでもあるのかな?


ぐえっ?!


「どうしましょう!魔力が出ませんー!」

「うがが!く、首絞めてるし!そんなこと俺に言われても・・・!」


あ、なんかこの感じ懐かしい。千代ちゃん元気にしてるかな。

てか!ツノ様に俺の願い聞いてもらってねぇ!



・・・



三十分後。俺たちの現状


 検証の結果、やはり俺の身体能力は上がっていた。ヴァン程ではないが、時間をかけて登れば不可能ではなさそうだ。

問題はマクアさん。魔力が出ないとのことで、その身体能力は普通の女の子レベルにまで落ちてしまっている。


さて、どうしたものかな。今のところ太陽は真上でギラギラ輝いているから、時間はたっぷりありそうだ


「マクアさん、やっぱり俺がマクアさんを背負って登るしかないですわ」


どよーんと体育座りしているマクアさんに話しかける。


「・・・ご迷惑をおかけします」

「いいですよこれくらい!さ、俺の背中に乗ってください」


ほれ、としゃがむ。のそりと起き上がり、マクアさんが俺の背中に掴まった。


「よいしょっと」

「重くないですか?」

「軽いですよ。大丈夫です」


重さは大丈夫。問題は手だな、左手は落ちないようにマクアさんを支えるため使えない。結果、崖上りで使えるのは右手と両足だけってことか


それにしても・・・


「じゃあ、行きますね」


手がかりになりそうな岩を探して、手をかける。次に足場を見つけて足をかける


集中集中・・・集中・・・できねえ!!!


あかんよこんなに密着されたらぁ!すっげーいい匂いするしさぁ!大きくないけど二つの膨らみが背中を刺激するしさぁ!左手で支えるために触れてる太ももは柔らかいしさぁ!


おんぶって、こんなにもエロい行為だったのかよぉ?!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です

岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」  私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。  しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。  しかも私を年増呼ばわり。  はあ?  あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!  などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。  その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...