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第39話 苦戦!男
しおりを挟む「さぁ、始まりますよ世紀の対決!果たしてこの侍は、お嬢ちゃんのファーストキスを守ることができるのかぁぁあ!」
『うぉぉぉぉおおおお!』
気がつけば、騒ぎがどんどん大きくなってる。始めいた群集に野次馬が合わさり、ちょっとした祭りのようになっていた
わーわーうるせぇなぁ!だがいい、ここまで注目されている中、この大男を瞬殺してヒーローになって女の子にモテモテになって・・・ むふ!むふふふふ!
「ニヤニヤしてないで集中してよ、もう!」
すぱーん!
「あがっ! う、うそっ、俺ニヤニヤしてた?」
「してた!ほんとに勝ってよ?!あんな男にそ、その・・・き、きききキスとか無理だからね!ほんとに無理だからねぇーー!」
「うげ!うわうわうが!し、締めてる締めてる!息できないから!・・・ほんとにっ!・・・こらぁ!」
「あっ・・・ご、ごめんなさい・・・」
何回やらすんだよこの下り!いつか死ぬよ馬鹿ぁ!
・・・
テーブルを中心に向かいあう大男と俺。俺の後ろには千代ちゃんが立ち、俺達の周りを大勢の群集が囲っている
見なくてもわかる。心配そうな顔をしているな、だが安心してくれ。
俺は勝つ!
どんっ!
「さぁやろうぜ大男!さっさと手を出しなぁ!」
どんっ!
「ふへへへへ!威勢だけは一人前だな」
・・・っ! こいつの掌デカすぎぃ!皮厚すぎぃ!握力強すぎぃ!
ざわざわ・・・ やっちまえ!
調子に乗った侍をぶちのめせ!
お嬢ちゃんのファーストキスを守れぇ!
二人とも頑張えー!
ざわざわ・・・
「それでは!二人とも、力をぬいて・・・」
その一言で、あれほど騒ぎ立てていた群集の声が止む。静まり返った空気の中、誰かの息を呑む音が聞こえたようなしなかったような
「よーい・・・」
ごくっ・・・!
「始め!」
っ!!
「「どりゃぁぁぁぁぁぁぁあ!」」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
ぐぉぉお!つ、強ぇぇぇぇ!嘘だろ・・・っ!楽勝だと思ってたのに!
「おおっと!誰が予測できたでありましょうかぁ?!なんとなんと!この両者、いい勝負しているぞぉ?!」
ギリギリギリ・・・!!
「な、なかなかやるじゃねーか兄ちゃんよぉ?」
「は、ははは!・・・それはこっちのセリフだぜっ」
予想だにしなかったであろういい戦いに、群集はいっそう熱を持つ。大男を応援する者、俺を応援する者。ただ叫び声を上げる者
辺りは凄まじい盛り上がりをみせる!
「いくぜぇぇぇぇえええええ!」
ぐぅぅうおおおお・・・っ!
「あぁーっと!チャレンジャーが押されている!大丈夫か!このまま負けてしまうのかぁー!」
「服部半蔵!」
ギリギリ・・・!
「ま、負けてたまるかぁぁぁぁぁあ!」
「な、なにぃ!嘘だろ・・・っ!」
ぐぐぐっ・・・!ぐぐっ・・・!
「すごーい!チャレンジャー見事に押し返したぁ!この男ぉ!一見細そうな体をしているが、どこにこんなパワーがあるというのかぁ!」
『うぉぉぉおおおお!!!』
はぁ!はぁ!やばかった、今のはかなりやばかった!こ、こいつ・・・!
握り合う、拳の向こう側に見える大男と目が合う。
ニタぁ・・・
・・・! だ、だめだ!こんな不細工に、千代ちゃんのファーストキスを奪われてぇぇぇええええ!
すぅーーーーー!
「たまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
おらぁぁぁぁぁぁぁああああ!
ぐぐぐぐぐぐぐっ!
「ぬぉぉぉ・・・!」
「これは、ほんとに現実なのかぁ?!無敗を誇るチャンピオンが、押されているぅうう!」
あとちょっとだ!あと五センチ、押せば勝てるんだっ!このままいくぜぇぇぇぉぉぉお!
ぐぐぐっ・・・!ぐぐっ・・・!ぐっ・・・
ピタッ!
「?! く、くそっ・・・!動かねぇ・・・!?」
「・・・」
「おらっ! うぉぉぉらぁ!! ・・・く、くそっ!なぜだ!」
「へへへ・・・へはははは!」
大男の体から、大量の魔力が放出される。まてよ、魔力纏うのは禁止のはずだろ?!
「お、おい審判!魔力を纏うのは反則のはずではないのか?!」
そうだ千代ちゃん言ってやれ!
「ふふん?勘違いしてもらっては困りますなぁ。この戦いでは魔力を纏うのはあり!禁止とは一言も言ってませんよ?」
な、なんだとぉ?!
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