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私がエロゲを好きになったワケ その2
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「カード類はママに管理されてるから、買うのはどうしてもお店になっちゃうのよね」
「年齢確認されないのか?」
「ガチ目の大人メイクで行くから。もし確認されたら免許証を忘れたって言って逃げるわ。でも、今のところそういう目に遭ったことはないわ」
百合香は見た目も立ち振る舞いも凄く大人っぽいからメイクで全然誤魔化せそうだ。
「でもね、ママがときどき私の部屋をチェックするからパッケージを置いておけないの」
「それはつらいな。僕も妹にバレたくないから捨てた方がいいんだけど、パッケージは捨てられないんだ」
「でしょ~!? だから、こっそり借りたレンタルスペースに置いてるの」
うん、ガチオタの行動だ。
「それでね、最初に買ったのが『DOOM NIGHTMARE』」
「そ、それ! 僕のデビュー作……」
そして、さっきエッチシーンを演じたエロゲでもある。
「んふふふ~。一発でハマっちゃった♥ 余命幾ばくもない主人公が復讐のために次々と女の子を陵辱していくのが良質なドラマとしても面白いし、エッチシーンはすっごくエッチだし! 私、何回オナニーしたかわからないわ♥」
……やばい。めちゃくちゃ嬉しい。
「吹っ切れた主人公の隆一ってカリスマ性があってカッコイイじゃない!? 演じてみたいなって思ったの! それにエンディングが切なくて泣けるし、終末モノっぽい逃避行のルートなんて私、号泣しながらプレイして――……」
百合香はテンションマックスのまま早口で語りまくる。
オタク特有の現象が、彼女の場合でも発生するんだ。
……やばい。死ぬほど嬉しい。
「それで、このシナリオを書いた人――イクイク先生の他の作品をプレイしたくなったの」
僕がシナリオを書いたエロゲは今のところ三つの作品が世に出ている。ひとりで書いた低価格ソフトもあれば、2キャラを担当したフルプライス作品もある。
「もしかして、百合香は全部プレイした?」
「もっちろん!!!! こんな世界が、こんな物語があるんだ! って楽しくなったわ! そしたら――」
「そしたら?」
「ストレス全部吹っ飛んでた!」
「……そっか」
ライター冥利、クリエイター冥利に尽きる感想だ。本当に心底嬉しい。ジンジンするお尻の痛みなんて吹っ飛んでしまうくらいに。
「イクイク先生って器用よね。陵辱系作品でデビューしてるのに、イチャイチャラブエロ作品も純愛も泣きゲーっぽいキャラルートも書いてるわよね?」
「依頼の来る仕事全部受けてるから」
仕事が欲しかった僕はライターを募集しているメーカーさんに片っ端からサンプルシナリオを送った。
陵辱系作品を作っているメーカーさんには陵辱モノのサンプルシナリオを、純愛系を作っているメーカーさんには純愛モノのサンプルシナリオを。
そしたら多様なメーカーさんから運良く仕事の依頼が来て、今に至る。
「ぜ~んぶ大好き♥」
「……百合香」
「うん?」
「ありがとう」
エロゲなんて日の当たるコンテンツじゃないし、好きだなんて、とてもじゃないけれど公言できるジャンルじゃない。
他にも面白いエンタメ作品は星の数ほどあって、そんな中で彼女は僕のシナリオを見つけてくれた。
「本当に、ありがとう……」
「どういたしまして、イクイク先生。新作、期待してます」
「うん。今書いてるから待ってて。守秘義務があるから発売日とか言えないけれど、そんなに遠くないから」
「はーいっ♥」
そして、また百合香が抱きついてきた。
彼女の大きな双丘が僕の背中でむにゅっとつぶれている。感触でそれがはっきりとわかった。
「……そ、そろそろ出よう。僕、長いこと浸かってるし」
「だーめ。育巳くんの話がまだだもの」
「僕の?」
振り返ると、教えて欲しいと瞳に書かれているかのような興味津々の百合香がじっと僕を見ていた。
「年齢確認されないのか?」
「ガチ目の大人メイクで行くから。もし確認されたら免許証を忘れたって言って逃げるわ。でも、今のところそういう目に遭ったことはないわ」
百合香は見た目も立ち振る舞いも凄く大人っぽいからメイクで全然誤魔化せそうだ。
「でもね、ママがときどき私の部屋をチェックするからパッケージを置いておけないの」
「それはつらいな。僕も妹にバレたくないから捨てた方がいいんだけど、パッケージは捨てられないんだ」
「でしょ~!? だから、こっそり借りたレンタルスペースに置いてるの」
うん、ガチオタの行動だ。
「それでね、最初に買ったのが『DOOM NIGHTMARE』」
「そ、それ! 僕のデビュー作……」
そして、さっきエッチシーンを演じたエロゲでもある。
「んふふふ~。一発でハマっちゃった♥ 余命幾ばくもない主人公が復讐のために次々と女の子を陵辱していくのが良質なドラマとしても面白いし、エッチシーンはすっごくエッチだし! 私、何回オナニーしたかわからないわ♥」
……やばい。めちゃくちゃ嬉しい。
「吹っ切れた主人公の隆一ってカリスマ性があってカッコイイじゃない!? 演じてみたいなって思ったの! それにエンディングが切なくて泣けるし、終末モノっぽい逃避行のルートなんて私、号泣しながらプレイして――……」
百合香はテンションマックスのまま早口で語りまくる。
オタク特有の現象が、彼女の場合でも発生するんだ。
……やばい。死ぬほど嬉しい。
「それで、このシナリオを書いた人――イクイク先生の他の作品をプレイしたくなったの」
僕がシナリオを書いたエロゲは今のところ三つの作品が世に出ている。ひとりで書いた低価格ソフトもあれば、2キャラを担当したフルプライス作品もある。
「もしかして、百合香は全部プレイした?」
「もっちろん!!!! こんな世界が、こんな物語があるんだ! って楽しくなったわ! そしたら――」
「そしたら?」
「ストレス全部吹っ飛んでた!」
「……そっか」
ライター冥利、クリエイター冥利に尽きる感想だ。本当に心底嬉しい。ジンジンするお尻の痛みなんて吹っ飛んでしまうくらいに。
「イクイク先生って器用よね。陵辱系作品でデビューしてるのに、イチャイチャラブエロ作品も純愛も泣きゲーっぽいキャラルートも書いてるわよね?」
「依頼の来る仕事全部受けてるから」
仕事が欲しかった僕はライターを募集しているメーカーさんに片っ端からサンプルシナリオを送った。
陵辱系作品を作っているメーカーさんには陵辱モノのサンプルシナリオを、純愛系を作っているメーカーさんには純愛モノのサンプルシナリオを。
そしたら多様なメーカーさんから運良く仕事の依頼が来て、今に至る。
「ぜ~んぶ大好き♥」
「……百合香」
「うん?」
「ありがとう」
エロゲなんて日の当たるコンテンツじゃないし、好きだなんて、とてもじゃないけれど公言できるジャンルじゃない。
他にも面白いエンタメ作品は星の数ほどあって、そんな中で彼女は僕のシナリオを見つけてくれた。
「本当に、ありがとう……」
「どういたしまして、イクイク先生。新作、期待してます」
「うん。今書いてるから待ってて。守秘義務があるから発売日とか言えないけれど、そんなに遠くないから」
「はーいっ♥」
そして、また百合香が抱きついてきた。
彼女の大きな双丘が僕の背中でむにゅっとつぶれている。感触でそれがはっきりとわかった。
「……そ、そろそろ出よう。僕、長いこと浸かってるし」
「だーめ。育巳くんの話がまだだもの」
「僕の?」
振り返ると、教えて欲しいと瞳に書かれているかのような興味津々の百合香がじっと僕を見ていた。
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