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第八章
第251話 色々大集合
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「宮本! お前、なにやってんの!」
「朝倉君こそ、こんなところで何をしておるの……はあ? あれ、そっちは、か、カイザーではないか!」
「ひ、久しいゾウ、バルナンド殿」
「いやいや、待つのじゃ! えっと、うん、……ジャックポット王子! ユズリハ姫!」
「おお、ひっさしぶりやないか!」
「…………のう、おぬし……人違いじゃったら申し訳ないが、SS級鬼魔族の……」
「ハロー、ミスターケンドー!」
あっ、やばい!
「宮本、おまえ、顔真っ赤だぞ! 血圧上がってんじゃねえのか!」
「うっ、ど、動悸が…………」
「ちょっ、しっかり宮本君! いけないわ、興奮しすぎて心臓に負担が!」
「う、うう、薬は……」
「ちょ、パナイやばくない? みやもっちゃん、落ち着いてっしょ!」
いや、俺たちも驚いたが、正直これは逆の立場だったら、宮本の方が驚くに決まってる。
前世のクラスメート。
親友であるイーサムの子供二人。
伝説の亜人カイザー。
世界的指名手配犯の鬼。
そりゃー、老体に耐え切れねえぐらいの衝撃だわな。
だが、しかし、その時だった。
「おーーーーーーーーーい、ちょっとマジありえねーじゃん! こんなとこに、あたし一人おくなっつーの! マジクサ! さいあく~!」
よく見ると、停泊している船からこっちに大声で叫んでいる、褐色肌で色々ごっちゃり盛った頭に頭の悪そうなビキニ姿をした若い女が叫んでる。
そして、俺と綾瀬と加賀美は、一瞬でその女が誰か分かった。
「ちょっ、こっちも色々な意味で、えええええええっ!?」
「な、なんでよ! な、なんであなたたちが!」
「うわ~~、ナニコレ。マジパナイ」
森の妖精エルフを冒涜しまくったあの格好は紛れもなく、あの女しかない。
「おーい、みやじい! つか、あんたが無理やり船貸してくれっつーから、連れてきたんだし、あたしほったらかしとか、マジありえねーじゃん! つか、なんなの、ここ! くっさいし、汚いし、全然バカンスじゃねーっつうの!」
なに? なんなの、この異色過ぎる組み合わせは。つか、この偶然は!
「み、宮本……なんでお前が……あいつと」
「う、うう、わ、ワシが……この島に何度も来ようとしておったら、イーサムから渡航を禁止されてのう……船で来る手段がなく困ってたとき……去年再会した備山さんが、クルージング用に船買ったとかで、ボディーガードの依頼を受けて……」
「へ~、つか、再会してたんだ、お前ら。よくお互い分かったな。お前ら、絡みなさそうなのに」
「分かってくれるかのう………去年、備山さんと再会したんじゃが、自己紹介してもワシのこと覚えてなくてのう。朝倉くんと綾瀬さんの名前を出したら信じてくれたが………」
だからって、まさか今日のこのタイミングとか、マジでパナイな。
「ん? あ、あれ? ちょ、えっ、マジマジ! ちょっ、あんたら何してんの! 朝倉! 綾瀬! しかも加賀美いんじゃん! あんた死んだんじゃないの? 朝倉も、なんかみんなに忘れられてたんじゃねーの? ギャハハハハハ、あんたら、なんつーかっこしてんの? スパイ? ゼロゼロなんとか?」
いかん、何だかゴチャゴチャしてきたっていうか、目の前のゴミ島がどうでも良くなるぐらい、今の俺はかなり頭がグルグルなんだが。
「何だか騒がしいゾウ」
「なんだ、あのゴキブリみたいな女は」
だが、どんな神のイタズラかは知らねえが、これは相当変なことになった。
いや、すごいことが起こったと言うべきか?
「おい、もう、俺はなんか色々と嫌だ。誰か仕切ってくれ」
俺……
「気を確かに、朝倉くん。私もその、色々混乱しているから……」
帝国の姫、アルーシャこと綾瀬。
「ひははははははは! もう、とにかく、ひはははははは! つかさ、とりあえず今は睨むなよ、みやもっちゃん空気読めって」
最悪の愉快犯、マッキーこと加賀美。
「オ~~~! ジーザス! アンビリーバボー! イ~~~ッツア、ミラクル!」
ロックの魔王、キシンことミルコ。
「いやー、爺さん、ほんまあれやな、最後会ったのいつやったっけ?」
竜人族の王子、ジャックポットこと十郎丸。ただし、記憶なし。
「加賀美くん……なぜ、君がここに居るのじゃ。二年前、帝国に逮捕されて君は…………ッ、ラブ・アンド・マニーの君がどうして! って、ジャックポット王子……口調変わって……ん? なんで関西弁!?」
亜人の大剣豪、バルナンドこと宮本。
「つかなに? マジありえねーし。何であんたら全員まとめてここにいんの?」
黒姫、アルテアこと備山。
「あ~………とりあえず……よう、また会ったな……」
まさか、クラスメート集合とか、どういう前触れだよ。
もう、色々な意味で何だかもう色々とどうでもよくなってきた。
「ふ~~~、のう、みんな。この組み合わせ、目的、そして朝倉くんに関する二年間や、加賀美くんがここに居ること……聞きたいこと確認したいこと山ほどあるが、一つだけ教えて欲しい。ここで会ったのは偶然でも、この島に来たのは偶然ではあるまい。………なにしに来たのじゃ?」
老いても亜人の豪傑の雰囲気を醸し出す宮本。その鋭い目つきに、俺たちは逆に聞きたかった。
「テメエこそ、何を隠してんだよ。なんか去年からシンセン組をほったらかしにして、コソコソやってるみたいじゃねえかよ」
「ぬっ、な、なにを…………」
「宮本、俺に関する二年間と、俺たちがここに居る理由は関係ねえ。ここはただ、ここに行けと推されただけだ。あと一人、様子を見ないといけなそうなのが居たりもするけどな」
「では、君たちはここには知らないで来たということなのかのう?」
「ああ。つか、この島には何があるんだよ。教えろよ」
俺のその言葉に宮本は何か言葉につまり、苦虫を潰したような顔をしている。
だが、スグに目を開けると、その目は昔馴染みの旧友に向ける目ではなく、敵意に満ちた目で俺たちを威嚇していた。
「ならば、帰るのじゃ。ここから先は一歩も通さん」
抜刀の構えで俺たちの前に立つ宮本。これは脅し。だけど本気だな。
一歩でもフザケて前へ出ようとしたら、こいつ、抜くな。
「ちょ、宮本君!」
「ひはははは、あのみやもっちゃんが随分感情的だね~」
「加賀美くん、正直ワシは今でも君に対し、亜人として許す気はない。綾瀬さんもどうして一緒に居るか知らぬが……これ以上は、斬るぞ」
このメンツを前にしても一歩も引かない剣気。
「おいおい、じーさん、ほんまかいな」
「ミスターケンドー、それで引き下がるのはディフィカルトだな」
恐怖の知らない壊れた怪物たちとはまるで違う、相手を確実に射殺すような眼光。
なるほどね。これがイーサムと肩を並べて世界を渡り歩いた男の威圧感か。
なのに……
「う~わ、きったねきったね。ね~、せっかくなんだからマジどっか行こーっての。つかマジでここヤなんだけど」
「いや、お前、この状況を少しぐらい気にしろよ。俺の二年間を少しは気にしろよ」
「ああ、あんた、そう言えばみんなにハブられてたみたいじゃん。みんなが忘れてるとか、チョーイジメじゃん。なんかやったん?」
「いや、……もういいや、おう、イジメられたんだよ」
「でっしょ! マジウケる!」
緊迫感をぶっ壊すかのような能天気なバカ女に、俺たちは一瞬シラケた。
さらに……
「う~、つかれた。なあ、ゴミ~、まだ用事終わらんのか? はやくかえりたい」
空気読まないお姫様一号も目を覚ました。
その二人が出会ったとき……、
「うおおおお、朝倉、おま、マジなんなのこの子! チョー可愛いじゃん! どこで拾ったん?」
「ん? なんだ? ゴキブリ。私が可愛いのは当たり前だ」
「うーわ、マジ当たり前じゃん! そーそー可愛くて当たり前じゃん! すっげ、化粧も何もしてねーのに、プニプニ~! 肌もスベスベ~」
「む、むにむにするな! ゴキブリがまとわりつくな!」
「は~、いいね~、天然でこんなんて。ちょ、マジで色々イジりて~、なあ、朝倉、この子さ、貸してくんない?」
二人が出会ったとき、必然に空気は緊迫を一切排除する
「あ~……正直、黙れと言いたいところだが、備山、テメエは何やってんだよ」
「えっ? ああ、わたし? あのさ、ここずっとさ、ママンがスゲー忙しくってさ~、ぜんぜん遊んでくれねーからマジ退屈だったんじゃん! なんだっけ? ラブ・アンド・なんとか?」
いや、つか、お前、亜人側の幹部とかじゃなかったのかよ。
「せっかくさ~、儲けた金で船買ったのに全然遊びにいけねーしさ、危険とか言われてさ、だからシンセン組をボディーガードで頼んだら、みやじいが来たっつう話。つか、正直私はここじゃなくて、別の島に行きたかったって言ったじゃん! マジありえねえ、詐欺だし!」
「いや、備山さん、ワシの腕利きの門下生が五人も居るから問題ないと言ったじゃろう。別に降りてこなくても……」
「だーかーら、あいつらマジ堅物で、あそぼっつっても、あんたの命令で護衛が仕事とか言って、すげーつまんねーじゃん。あんた命令して、あいつら遊ぶように言えっつーの。あっ、なあ、朝倉、あんたらも遊びに行こうぜ」
あの船にまだ何人か……あっ、確かに道着を来た亜人が何人か、ものすっごいこの状況を気にしたような顔で見てるよ。
しかし、それなのに、この備山。この状況下で良く遊びに行こうとか言えるな。
「へへ、決まりじゃん。なあ、可愛いあんたはなんての?」
「ん? 可愛い私は、ユズリハ」
「よーし、ユズっち、来な。今より更に可愛くメイクアップしてやるじゃん!」
何だか話をドンドン進めていく備山は、ユズリハだけ手を繋いで強制的に連れて行こうとする。
さらに、ユズリハも「今より可愛い」に反応したのか、何だか普通にこの状況を無視して備山についていこうと……もっかい、ケツを叩くか?
「…………ここから先は、通さんからのう」
「頑張ってるな、お前!」
それでも壊れた空気を取り戻そうと凄んでくる宮本だが、正直台無しになり、何とも言えない空気が俺たちに流れた。
「朝倉君こそ、こんなところで何をしておるの……はあ? あれ、そっちは、か、カイザーではないか!」
「ひ、久しいゾウ、バルナンド殿」
「いやいや、待つのじゃ! えっと、うん、……ジャックポット王子! ユズリハ姫!」
「おお、ひっさしぶりやないか!」
「…………のう、おぬし……人違いじゃったら申し訳ないが、SS級鬼魔族の……」
「ハロー、ミスターケンドー!」
あっ、やばい!
「宮本、おまえ、顔真っ赤だぞ! 血圧上がってんじゃねえのか!」
「うっ、ど、動悸が…………」
「ちょっ、しっかり宮本君! いけないわ、興奮しすぎて心臓に負担が!」
「う、うう、薬は……」
「ちょ、パナイやばくない? みやもっちゃん、落ち着いてっしょ!」
いや、俺たちも驚いたが、正直これは逆の立場だったら、宮本の方が驚くに決まってる。
前世のクラスメート。
親友であるイーサムの子供二人。
伝説の亜人カイザー。
世界的指名手配犯の鬼。
そりゃー、老体に耐え切れねえぐらいの衝撃だわな。
だが、しかし、その時だった。
「おーーーーーーーーーい、ちょっとマジありえねーじゃん! こんなとこに、あたし一人おくなっつーの! マジクサ! さいあく~!」
よく見ると、停泊している船からこっちに大声で叫んでいる、褐色肌で色々ごっちゃり盛った頭に頭の悪そうなビキニ姿をした若い女が叫んでる。
そして、俺と綾瀬と加賀美は、一瞬でその女が誰か分かった。
「ちょっ、こっちも色々な意味で、えええええええっ!?」
「な、なんでよ! な、なんであなたたちが!」
「うわ~~、ナニコレ。マジパナイ」
森の妖精エルフを冒涜しまくったあの格好は紛れもなく、あの女しかない。
「おーい、みやじい! つか、あんたが無理やり船貸してくれっつーから、連れてきたんだし、あたしほったらかしとか、マジありえねーじゃん! つか、なんなの、ここ! くっさいし、汚いし、全然バカンスじゃねーっつうの!」
なに? なんなの、この異色過ぎる組み合わせは。つか、この偶然は!
「み、宮本……なんでお前が……あいつと」
「う、うう、わ、ワシが……この島に何度も来ようとしておったら、イーサムから渡航を禁止されてのう……船で来る手段がなく困ってたとき……去年再会した備山さんが、クルージング用に船買ったとかで、ボディーガードの依頼を受けて……」
「へ~、つか、再会してたんだ、お前ら。よくお互い分かったな。お前ら、絡みなさそうなのに」
「分かってくれるかのう………去年、備山さんと再会したんじゃが、自己紹介してもワシのこと覚えてなくてのう。朝倉くんと綾瀬さんの名前を出したら信じてくれたが………」
だからって、まさか今日のこのタイミングとか、マジでパナイな。
「ん? あ、あれ? ちょ、えっ、マジマジ! ちょっ、あんたら何してんの! 朝倉! 綾瀬! しかも加賀美いんじゃん! あんた死んだんじゃないの? 朝倉も、なんかみんなに忘れられてたんじゃねーの? ギャハハハハハ、あんたら、なんつーかっこしてんの? スパイ? ゼロゼロなんとか?」
いかん、何だかゴチャゴチャしてきたっていうか、目の前のゴミ島がどうでも良くなるぐらい、今の俺はかなり頭がグルグルなんだが。
「何だか騒がしいゾウ」
「なんだ、あのゴキブリみたいな女は」
だが、どんな神のイタズラかは知らねえが、これは相当変なことになった。
いや、すごいことが起こったと言うべきか?
「おい、もう、俺はなんか色々と嫌だ。誰か仕切ってくれ」
俺……
「気を確かに、朝倉くん。私もその、色々混乱しているから……」
帝国の姫、アルーシャこと綾瀬。
「ひははははははは! もう、とにかく、ひはははははは! つかさ、とりあえず今は睨むなよ、みやもっちゃん空気読めって」
最悪の愉快犯、マッキーこと加賀美。
「オ~~~! ジーザス! アンビリーバボー! イ~~~ッツア、ミラクル!」
ロックの魔王、キシンことミルコ。
「いやー、爺さん、ほんまあれやな、最後会ったのいつやったっけ?」
竜人族の王子、ジャックポットこと十郎丸。ただし、記憶なし。
「加賀美くん……なぜ、君がここに居るのじゃ。二年前、帝国に逮捕されて君は…………ッ、ラブ・アンド・マニーの君がどうして! って、ジャックポット王子……口調変わって……ん? なんで関西弁!?」
亜人の大剣豪、バルナンドこと宮本。
「つかなに? マジありえねーし。何であんたら全員まとめてここにいんの?」
黒姫、アルテアこと備山。
「あ~………とりあえず……よう、また会ったな……」
まさか、クラスメート集合とか、どういう前触れだよ。
もう、色々な意味で何だかもう色々とどうでもよくなってきた。
「ふ~~~、のう、みんな。この組み合わせ、目的、そして朝倉くんに関する二年間や、加賀美くんがここに居ること……聞きたいこと確認したいこと山ほどあるが、一つだけ教えて欲しい。ここで会ったのは偶然でも、この島に来たのは偶然ではあるまい。………なにしに来たのじゃ?」
老いても亜人の豪傑の雰囲気を醸し出す宮本。その鋭い目つきに、俺たちは逆に聞きたかった。
「テメエこそ、何を隠してんだよ。なんか去年からシンセン組をほったらかしにして、コソコソやってるみたいじゃねえかよ」
「ぬっ、な、なにを…………」
「宮本、俺に関する二年間と、俺たちがここに居る理由は関係ねえ。ここはただ、ここに行けと推されただけだ。あと一人、様子を見ないといけなそうなのが居たりもするけどな」
「では、君たちはここには知らないで来たということなのかのう?」
「ああ。つか、この島には何があるんだよ。教えろよ」
俺のその言葉に宮本は何か言葉につまり、苦虫を潰したような顔をしている。
だが、スグに目を開けると、その目は昔馴染みの旧友に向ける目ではなく、敵意に満ちた目で俺たちを威嚇していた。
「ならば、帰るのじゃ。ここから先は一歩も通さん」
抜刀の構えで俺たちの前に立つ宮本。これは脅し。だけど本気だな。
一歩でもフザケて前へ出ようとしたら、こいつ、抜くな。
「ちょ、宮本君!」
「ひはははは、あのみやもっちゃんが随分感情的だね~」
「加賀美くん、正直ワシは今でも君に対し、亜人として許す気はない。綾瀬さんもどうして一緒に居るか知らぬが……これ以上は、斬るぞ」
このメンツを前にしても一歩も引かない剣気。
「おいおい、じーさん、ほんまかいな」
「ミスターケンドー、それで引き下がるのはディフィカルトだな」
恐怖の知らない壊れた怪物たちとはまるで違う、相手を確実に射殺すような眼光。
なるほどね。これがイーサムと肩を並べて世界を渡り歩いた男の威圧感か。
なのに……
「う~わ、きったねきったね。ね~、せっかくなんだからマジどっか行こーっての。つかマジでここヤなんだけど」
「いや、お前、この状況を少しぐらい気にしろよ。俺の二年間を少しは気にしろよ」
「ああ、あんた、そう言えばみんなにハブられてたみたいじゃん。みんなが忘れてるとか、チョーイジメじゃん。なんかやったん?」
「いや、……もういいや、おう、イジメられたんだよ」
「でっしょ! マジウケる!」
緊迫感をぶっ壊すかのような能天気なバカ女に、俺たちは一瞬シラケた。
さらに……
「う~、つかれた。なあ、ゴミ~、まだ用事終わらんのか? はやくかえりたい」
空気読まないお姫様一号も目を覚ました。
その二人が出会ったとき……、
「うおおおお、朝倉、おま、マジなんなのこの子! チョー可愛いじゃん! どこで拾ったん?」
「ん? なんだ? ゴキブリ。私が可愛いのは当たり前だ」
「うーわ、マジ当たり前じゃん! そーそー可愛くて当たり前じゃん! すっげ、化粧も何もしてねーのに、プニプニ~! 肌もスベスベ~」
「む、むにむにするな! ゴキブリがまとわりつくな!」
「は~、いいね~、天然でこんなんて。ちょ、マジで色々イジりて~、なあ、朝倉、この子さ、貸してくんない?」
二人が出会ったとき、必然に空気は緊迫を一切排除する
「あ~……正直、黙れと言いたいところだが、備山、テメエは何やってんだよ」
「えっ? ああ、わたし? あのさ、ここずっとさ、ママンがスゲー忙しくってさ~、ぜんぜん遊んでくれねーからマジ退屈だったんじゃん! なんだっけ? ラブ・アンド・なんとか?」
いや、つか、お前、亜人側の幹部とかじゃなかったのかよ。
「せっかくさ~、儲けた金で船買ったのに全然遊びにいけねーしさ、危険とか言われてさ、だからシンセン組をボディーガードで頼んだら、みやじいが来たっつう話。つか、正直私はここじゃなくて、別の島に行きたかったって言ったじゃん! マジありえねえ、詐欺だし!」
「いや、備山さん、ワシの腕利きの門下生が五人も居るから問題ないと言ったじゃろう。別に降りてこなくても……」
「だーかーら、あいつらマジ堅物で、あそぼっつっても、あんたの命令で護衛が仕事とか言って、すげーつまんねーじゃん。あんた命令して、あいつら遊ぶように言えっつーの。あっ、なあ、朝倉、あんたらも遊びに行こうぜ」
あの船にまだ何人か……あっ、確かに道着を来た亜人が何人か、ものすっごいこの状況を気にしたような顔で見てるよ。
しかし、それなのに、この備山。この状況下で良く遊びに行こうとか言えるな。
「へへ、決まりじゃん。なあ、可愛いあんたはなんての?」
「ん? 可愛い私は、ユズリハ」
「よーし、ユズっち、来な。今より更に可愛くメイクアップしてやるじゃん!」
何だか話をドンドン進めていく備山は、ユズリハだけ手を繋いで強制的に連れて行こうとする。
さらに、ユズリハも「今より可愛い」に反応したのか、何だか普通にこの状況を無視して備山についていこうと……もっかい、ケツを叩くか?
「…………ここから先は、通さんからのう」
「頑張ってるな、お前!」
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