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第五章
第146話 旅立ちと想定外
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「その、申し訳ありません。今後は気を付けるようにします」
「あ~、ほんとマジで。お前、エロイ男が回りにいたら飛びかかるぞ?」
何の恥じらいもなく生乳をボロンと出してコスモスに授乳してエルジェラに少々お説教。
「エロイ男……それは困りますね。私もこの胸はコスモスとヴェルト様以外にはあげたくありません」
「ああ、それならちゃんと……って、サラリとそういうこと言うなぁ!」
「え? で、ですけど、ヴェルト様も今朝はとても心地よさそうに私とウラさんの胸を味わっ―――――」
「そういうの! そういうのも口に出して人前で言うな! 今朝のはなんつーか、もう訳わかんなくなって!」
「そ、そうなのですか!? で、では、ヴェルト様も本当は胸を触ったり飲んだりしたいということは、あまり好きではないと……?」
「いや、あの、そんなガチトーンでそんなこと聞くなよ……」
普通の女の子と色んな意味で貞操観念がズレているエルジェラの今後を心配に思う俺の気持ちとは裏腹に、エルジェラが何か真剣に考えだした。
どうした?
すると、
「あの、ヴェルト様。私……ヴェルト様によろこんでもらえると思って……で、ですが、実は私も……ヴェルト様にしていただけるのが、とても心地よいというか、気持ちいいといいますか……ですので、その……よければ……こ、今後も今朝のようなことをしていただけると私も……そ、その、わがままを言って申し訳ありません! で、ですが、私の体はヴェルト様とコスモスのモノではありますが……わ、私がヴェルト様を欲しているところもありまして、触れて欲しいといいますか……ヴェルト様に……その……」
天空族以外の全員がすっころんでしまった。
ファルガがビックリしてずっこけるなんて貴重な光景だった。
まあ、それだけこの女がとんでもないことを言ったってことだけどな。
「こ、こんの、エンジェルビッチめ!」
あっ、とうとう耐えきれなくなったウラがチョップで俺の頭を殴った。
「つおっ、な、なんで俺を殴る!」
「うるさい! エルジェラはコスモスを抱っこしてるんだから、お前が代わりに私の痛みを受けろ! こいつめ、こいつめ、こいつめ!」
「い、いてーって」
「いいか? もし、エルジェラにそういうことするなら、私にもだ! 平等にだ! っていうか、子供がいない時点で私が今とんでもなく不平等なんだから! まず子供!」
何だか昨日までは、引きこもり並に暗い影を背負ってどんよりとしていたのに、さすがに我慢できなくなったのか、鼻息荒くしている。
「賑やかだな。これなら、妹も大丈夫だろう」
「どーだかな」
「ふっ、ファルガさんも随分と苦労されているようだが、くれぐれも宜しく頼む」
「ああ…………。まあ、正直、愚弟の最初の子供は俺の愚妹に生んで貰いたかったから、複雑な気分だがな」
「妹君に? ああ、そういえば、地上人は男女のまぐわいで子供を作るのだったな。そう、チンチンを使って」
「テメエらは一生地上に降りてくるな」
本当は爽やかに別れたかったところだが、賑やかな別れになってしまった。
いや、別れと言うよりも、これはエルジェラとコスモスの「いってきます」と「いってらっしゃい」をの儀式の場でもあった。
「ロアーラお姉さま。レンザお姉さま。それでは、行って来ます」
「ああ、くれぐれも粗相のないようにな」
「たまには帰って来いよ」
そして、とうとうその時が近づいてきた。互いに包容しあって別れを告げる姉妹。
こういうところは地上人とあまり変わらないんだと思わされる。
そして、ロアーラたちは改めて妹の旅たちを「よろしく」と俺たちに一礼し、まあ、色々あったが俺たちも了承する形で頷いてやった。
「じゃあ、行くっすよ!」
巨大化するドラの背中に飛び乗る俺たち。
そこには、エルジェラとコスモスも加わった。
「では皆様、行って来ます!」
改めて、天空王国の天空族たちに旅立ちの挨拶をして、そのエルジェラの言葉に、天空族は盛大な歓声を上げて見送った。
何だかんだで二人も加わってしまった俺たちの旅路だが、これから「しっかりしねーとな」と思うと同時に、若干面白くなりそうだと感じて、俺たちも思わず笑っていた。
「よっしゃ! それじゃあ、地上に帰るぞ! その後は体勢を整えて神族大陸へ乗り込むぞ!」
「「「「おっし!」」」」
雲の上も下も本日は晴天、旅立ちには良い日だ。
今度は仮死状態にならないように、エルジェラたちの力で俺とコスモスを守って貰いながら、幾重の雲を突き抜けて、俺たちは数日ぶりの地上を一望できる上空へと降り立った。
「いや~、しっかし、なかなか面白かったね~、弟くんは大変だったけど」
「本当だ。おまけに、女を作るし女を作るし女を作るし、子供作るし」
「殿、今度こそ拙者は殿のお側を離れず、いかなる脅威も斬り裂いて見せるでござる! 御息女も拙者が教育係として一人前にしてみせるでござる!」
「だが、もう今度からはこういう展開は避けてもらいたいもんだぜ。クソ七大魔王やクソ四獅天亜人クラスとたて続けだったからな」
「ふふふ、皆様。ご迷惑をおかけしないよう、一日でも早く皆様のお役に立てるようにします。コスモスと一緒に、今後とも宜しくお願い致します」
「キャッキャ!」
上空の流れる風を浴びながら、俺たちはそんな会話をしながら再び旅へと戻った。
そして、前方に大陸が見えて、ドラが徐々に高度を下げる。
「あの~、とりあえず近場で降りていいっすか? オイラもいつまでも飛べるわけじゃないっすから」
それもそうだな。
っていうか、今更だが思った。
「そういえば、数日間雲の上に居たから忘れていたが、ここは大体どこらへんなんだ?」
俺の素朴な疑問に、一同首を傾げた。
だが、別に慌てることもなかった。どうせ、人類大陸のどこらへんかだろう。
あんま目的地から外れるのはめんどくさいが、この際贅沢も言ってられねえ。
「そうだな。とりあえず、近場で降りてその辺の誰かに聞いてみたらどうだ?」
「クソ遠回りになるかもしれねえが、まあ、それが無難だろう」
人気のあまりなさそうな海岸線を目指して、俺たちは降り立った。
数キロ程度の砂浜が横切っているが、あまり人気はなさそうで、とりあえずすんなり降りることができた。
「ドラ、とりあえず小型化しておけ」
「うっす」
「まあ、これが地上世界! これが大地! まあ、なんと素晴らしい!」
「ああ、そういえばエルジェラは地上に来るのは初めてだったな」
「そうだ、エルジェラ殿。少々翼を気にした方がよいかもしれませぬぞ?」
「そうね~、ウラちゃんやムサシちゃんですら、場所によっては注目されるんだから、人類大陸だとエルジェラちゃんも翼が目立っちゃうわね」
さて、砂浜に降り立ったはいいが、ここはどこだろうな?
「ファルガ、ここら辺、どこか分かるか?」
「いや」
だよな~、つか、誰か居ないかな?
そう思って俺たちが辺りを見渡してキョロキョロしていると、何やら看板が見えた。
看板に何かが書いてある。
「あん? え~っと…………『ミーステーク海岸?』」
聞いたこともない海岸の名前だった。
ファルガを見るが、「知らない」と首を横に振られた。
すると…………
「なんと! ここは、ミーステーク海岸でござったか!」
意外にも、ムサシが反応した。
「ムサシちゃん、ここ、知ってるの?」
「うむ。拙者も初めて来たでござるが、ミーステーク海岸は、亜人大陸の南方に位置する海岸でござる。まあ、有名なのはこの海岸よりも、むしろこの近くにある大きな街、『ジェーケー都市』の方でござるが」
あ~、なるほど、それじゃあ、知らない訳か。
「へ~、亜人大陸か。そりゃー、分からねえな」
「ほう、そうだったのか」
「だな。俺もクソ知らねえ」
「な~んだ。どうりで。私だって知らなかったわけね」
「オイラも全然知らなかったっす」
「アジンタイリクですか?」
「きゃう?」
まあ、みんな知ってるわけないな。
「だよな~」
「ほ~んと、アハハ」
俺たちは、アハハハハハハと笑った…………
……………………ゑ?
「「「「「……………………………ゑ?」」」」」
………………………ッ!!!!!!!!!
「「「「「ええええええ!? あ、あ、あ、あ、亜人大陸ッ!!??」」」」」
どうやら、俺たちはこの数日間、雲の上でぷかぷかと流されて、気づいたらとんでもないところに辿り着いていたらしい。
「あ~、ほんとマジで。お前、エロイ男が回りにいたら飛びかかるぞ?」
何の恥じらいもなく生乳をボロンと出してコスモスに授乳してエルジェラに少々お説教。
「エロイ男……それは困りますね。私もこの胸はコスモスとヴェルト様以外にはあげたくありません」
「ああ、それならちゃんと……って、サラリとそういうこと言うなぁ!」
「え? で、ですけど、ヴェルト様も今朝はとても心地よさそうに私とウラさんの胸を味わっ―――――」
「そういうの! そういうのも口に出して人前で言うな! 今朝のはなんつーか、もう訳わかんなくなって!」
「そ、そうなのですか!? で、では、ヴェルト様も本当は胸を触ったり飲んだりしたいということは、あまり好きではないと……?」
「いや、あの、そんなガチトーンでそんなこと聞くなよ……」
普通の女の子と色んな意味で貞操観念がズレているエルジェラの今後を心配に思う俺の気持ちとは裏腹に、エルジェラが何か真剣に考えだした。
どうした?
すると、
「あの、ヴェルト様。私……ヴェルト様によろこんでもらえると思って……で、ですが、実は私も……ヴェルト様にしていただけるのが、とても心地よいというか、気持ちいいといいますか……ですので、その……よければ……こ、今後も今朝のようなことをしていただけると私も……そ、その、わがままを言って申し訳ありません! で、ですが、私の体はヴェルト様とコスモスのモノではありますが……わ、私がヴェルト様を欲しているところもありまして、触れて欲しいといいますか……ヴェルト様に……その……」
天空族以外の全員がすっころんでしまった。
ファルガがビックリしてずっこけるなんて貴重な光景だった。
まあ、それだけこの女がとんでもないことを言ったってことだけどな。
「こ、こんの、エンジェルビッチめ!」
あっ、とうとう耐えきれなくなったウラがチョップで俺の頭を殴った。
「つおっ、な、なんで俺を殴る!」
「うるさい! エルジェラはコスモスを抱っこしてるんだから、お前が代わりに私の痛みを受けろ! こいつめ、こいつめ、こいつめ!」
「い、いてーって」
「いいか? もし、エルジェラにそういうことするなら、私にもだ! 平等にだ! っていうか、子供がいない時点で私が今とんでもなく不平等なんだから! まず子供!」
何だか昨日までは、引きこもり並に暗い影を背負ってどんよりとしていたのに、さすがに我慢できなくなったのか、鼻息荒くしている。
「賑やかだな。これなら、妹も大丈夫だろう」
「どーだかな」
「ふっ、ファルガさんも随分と苦労されているようだが、くれぐれも宜しく頼む」
「ああ…………。まあ、正直、愚弟の最初の子供は俺の愚妹に生んで貰いたかったから、複雑な気分だがな」
「妹君に? ああ、そういえば、地上人は男女のまぐわいで子供を作るのだったな。そう、チンチンを使って」
「テメエらは一生地上に降りてくるな」
本当は爽やかに別れたかったところだが、賑やかな別れになってしまった。
いや、別れと言うよりも、これはエルジェラとコスモスの「いってきます」と「いってらっしゃい」をの儀式の場でもあった。
「ロアーラお姉さま。レンザお姉さま。それでは、行って来ます」
「ああ、くれぐれも粗相のないようにな」
「たまには帰って来いよ」
そして、とうとうその時が近づいてきた。互いに包容しあって別れを告げる姉妹。
こういうところは地上人とあまり変わらないんだと思わされる。
そして、ロアーラたちは改めて妹の旅たちを「よろしく」と俺たちに一礼し、まあ、色々あったが俺たちも了承する形で頷いてやった。
「じゃあ、行くっすよ!」
巨大化するドラの背中に飛び乗る俺たち。
そこには、エルジェラとコスモスも加わった。
「では皆様、行って来ます!」
改めて、天空王国の天空族たちに旅立ちの挨拶をして、そのエルジェラの言葉に、天空族は盛大な歓声を上げて見送った。
何だかんだで二人も加わってしまった俺たちの旅路だが、これから「しっかりしねーとな」と思うと同時に、若干面白くなりそうだと感じて、俺たちも思わず笑っていた。
「よっしゃ! それじゃあ、地上に帰るぞ! その後は体勢を整えて神族大陸へ乗り込むぞ!」
「「「「おっし!」」」」
雲の上も下も本日は晴天、旅立ちには良い日だ。
今度は仮死状態にならないように、エルジェラたちの力で俺とコスモスを守って貰いながら、幾重の雲を突き抜けて、俺たちは数日ぶりの地上を一望できる上空へと降り立った。
「いや~、しっかし、なかなか面白かったね~、弟くんは大変だったけど」
「本当だ。おまけに、女を作るし女を作るし女を作るし、子供作るし」
「殿、今度こそ拙者は殿のお側を離れず、いかなる脅威も斬り裂いて見せるでござる! 御息女も拙者が教育係として一人前にしてみせるでござる!」
「だが、もう今度からはこういう展開は避けてもらいたいもんだぜ。クソ七大魔王やクソ四獅天亜人クラスとたて続けだったからな」
「ふふふ、皆様。ご迷惑をおかけしないよう、一日でも早く皆様のお役に立てるようにします。コスモスと一緒に、今後とも宜しくお願い致します」
「キャッキャ!」
上空の流れる風を浴びながら、俺たちはそんな会話をしながら再び旅へと戻った。
そして、前方に大陸が見えて、ドラが徐々に高度を下げる。
「あの~、とりあえず近場で降りていいっすか? オイラもいつまでも飛べるわけじゃないっすから」
それもそうだな。
っていうか、今更だが思った。
「そういえば、数日間雲の上に居たから忘れていたが、ここは大体どこらへんなんだ?」
俺の素朴な疑問に、一同首を傾げた。
だが、別に慌てることもなかった。どうせ、人類大陸のどこらへんかだろう。
あんま目的地から外れるのはめんどくさいが、この際贅沢も言ってられねえ。
「そうだな。とりあえず、近場で降りてその辺の誰かに聞いてみたらどうだ?」
「クソ遠回りになるかもしれねえが、まあ、それが無難だろう」
人気のあまりなさそうな海岸線を目指して、俺たちは降り立った。
数キロ程度の砂浜が横切っているが、あまり人気はなさそうで、とりあえずすんなり降りることができた。
「ドラ、とりあえず小型化しておけ」
「うっす」
「まあ、これが地上世界! これが大地! まあ、なんと素晴らしい!」
「ああ、そういえばエルジェラは地上に来るのは初めてだったな」
「そうだ、エルジェラ殿。少々翼を気にした方がよいかもしれませぬぞ?」
「そうね~、ウラちゃんやムサシちゃんですら、場所によっては注目されるんだから、人類大陸だとエルジェラちゃんも翼が目立っちゃうわね」
さて、砂浜に降り立ったはいいが、ここはどこだろうな?
「ファルガ、ここら辺、どこか分かるか?」
「いや」
だよな~、つか、誰か居ないかな?
そう思って俺たちが辺りを見渡してキョロキョロしていると、何やら看板が見えた。
看板に何かが書いてある。
「あん? え~っと…………『ミーステーク海岸?』」
聞いたこともない海岸の名前だった。
ファルガを見るが、「知らない」と首を横に振られた。
すると…………
「なんと! ここは、ミーステーク海岸でござったか!」
意外にも、ムサシが反応した。
「ムサシちゃん、ここ、知ってるの?」
「うむ。拙者も初めて来たでござるが、ミーステーク海岸は、亜人大陸の南方に位置する海岸でござる。まあ、有名なのはこの海岸よりも、むしろこの近くにある大きな街、『ジェーケー都市』の方でござるが」
あ~、なるほど、それじゃあ、知らない訳か。
「へ~、亜人大陸か。そりゃー、分からねえな」
「ほう、そうだったのか」
「だな。俺もクソ知らねえ」
「な~んだ。どうりで。私だって知らなかったわけね」
「オイラも全然知らなかったっす」
「アジンタイリクですか?」
「きゃう?」
まあ、みんな知ってるわけないな。
「だよな~」
「ほ~んと、アハハ」
俺たちは、アハハハハハハと笑った…………
……………………ゑ?
「「「「「……………………………ゑ?」」」」」
………………………ッ!!!!!!!!!
「「「「「ええええええ!? あ、あ、あ、あ、亜人大陸ッ!!??」」」」」
どうやら、俺たちはこの数日間、雲の上でぷかぷかと流されて、気づいたらとんでもないところに辿り着いていたらしい。
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