上 下
96 / 290
第三章

第93話 ハンターコンビのクリとリス★

しおりを挟む
 べたつく油っぽい湯気と、周囲に漂うガルリックの香り。
 替え玉なんかやった日には、メタボまっしぐらだというのに、ベテランのおっさんハンターも、色っぽい姉さんハンターたちも満足げに、今すぐ寝てしまいそうな微笑みを浮かべてまったりしていた。

「ぷはっ~~~、食った~」
「あ~、お腹いっぱい。ぜったい太るわ、これ」
「でも、ずっり~よな~。エルファーシア王国にはこんなウメーもんがあるなんてな」
「ここ数年、新種の食材や料理についちゃ、チェーンマイル帝国が進んでるってハンター仲間じゃ有名だが、こんなもんは初めてだぜ」

 ここに、貴族や王族はいねえ。いや、ウラとファルガは除くけど。
 額に汗をかいて泥まみれになって金を稼ぐハンターたちの姿は、故郷で仕事帰りに作業服のまま店にやってきた客たちを彷彿とさせる。
 そう、上品も下品も関係なく、勢いよくかっ食らって一日を締める。これでいいんだ。

「殿ッ! 深手を負われた殿が傷ついた体でなおもお作り頂いた一品を口にできるなど、このムサシ、天下一の果報者にございまする! 殿の想いの込められた一品を平らげさせて戴いたことにより、このムサシ! 明日だろうと、今であろうと、神々に挑むことすら厭いませ、ゲッブ…………!」

 土下座しながら、感激の涙を流しながらも、ゲップしてしまったムサシ。
 そりゃ、あんだけ「殿の手作り料理でごじゃる~」とか、一心不乱に食いまくってりゃ、そりゃーな。
 その表情はみるみるうちに真っ赤になり…………


「拙者としたことがーーーーーーっ! 殿の御前で何たる失礼をーーーーーっ!」


 感激から自分自身への羞恥の涙を流しながら走り去ってしまった。まあ、可愛い奴だな。

「ふ~、とにかく、俺は疲れたよ」
「おい、愚弟、大丈夫か?」
「お~、俺はもう寝るぞ。ファルガ、一応、ウラたちがハシャぎ過ぎねーか、見張っといてくれよ」
「分かった。クソゆっくり休んどけ」
「おお」

 一応一件落着とはいえ、何があるかわからねえし、とりあえずファルガに最後まで見張っといてもらって、俺はもう寝よう。
 さすがに、疲れた……
 まったりしても、すぐにダラダラとうるさくダベリだした、連中らの宴を背中に、俺は一人宿に戻ることにした。
 階段の上り下りも一苦労、ようやく部屋にたどり着いてベッドにダイブした瞬間、もうこのまま天国に行けるかもしれないと思った。


「は~~…………とにかく、落ち着い……」


 何はともあれ、落ち着いて良かったと、俺が深い夢の中に飛び込もうとした、次の瞬間だった。


「コンコーン、っと、坊や~、一人で~、何で~、抜け出しちゃってるの~?」
「お姉さんたち~、まだ~、坊やにお礼イッてない~」


 部屋をノックされ、俺が受け答える前にドアを勝手に開けて中に入ってくる二人の女。

「しー、ね、しー。ファルガの目を盗んで来たんだから~」
「こんなのバレたら、ウラちゃんに殺されちゃうし~」

 それは、さっきまで宴会の中心に居てウラやおっさんたちと盛り上がっていた、妖艶なハンター。
 顔は海外のポルノ関係に出てきそうなブロンドの巨乳、むっちりとした尻で、目を奪われる二人組だった。 
 その衣装は、露出の高いビキニアーマー。
 水色の胸当ては、ハートマークで乳首のみを覆い隠し、あとは簡単な肩当てと、額あてのみ。
 へそも背中も太ももも豪快に露出し、もはや隠しているのか、それともマッパなのか分からないぐらいのギリギリのローレグは、簡単にちぎれそうなほど、尻に、下腹部に食い込んでいる。
 ブロンドロングのクリ。ブロンドショートのリス。
 妖艶絶技のクリとリス。
 ハッキリ言って、目のやり場に困る二人組が、なんと俺の部屋にやってきやがった。


「えっと、なんで――――」

「はいはい~、こんばんまんこ~」

「こんばんまんこ~」


 って、何か用かと聞くまでもなく、二人はいきなりベッドに突っ伏す俺に接触してきて、クリが俺の背中に覆いかぶさり、リスは俺の顔の目の前でM字開脚しながらベッドに座った。
 
「えっ………いや、あの、マジでなに?」

 俺の人生では前世も通してこんな展開は初めてだった。
 いや、十歳のころ、ウラとフォルナのタッグで風呂場で全裸で襲われたことがあったが、この歳になり、しかも相手も若い年上ときたら、もう洒落にならん。
 てか、俺の背中に乗っている、リスは重いと感じるよりも、柔らかいふわふわの巨乳を俺の背中にこすりつけながら、俺の耳たぶを噛んできやがっ、つぉおおっ!

「ひゃぅっ!」
「れろっ♪ あははははは、かわいい~、坊や~、もう、濡れ濡れだよ~」
「ほんとほんと~、あんなに生意気だけど、実は童貞とか、ほんと燃えるよね~。ウラちゃんったら、意外と奥手なんだね~」

 俺の反応を楽しみながら、怪しく笑う二人の女。
 その大人の怪しい雰囲気に、俺も緊張で呼吸が苦しくなってきた。

「ふふふふふ~、お礼だよ~、お・れ・い!」
「そうそう~。坊やのおかけで~、温泉掘り起こしてくれたし~、美味しいご飯も食べさせてくれたし~。もうさ、タダマンしてあげるぐらいしてあげないと~、悪いじゃない?」

 そう言いながら、リスは俺の顔の目の前で開脚したまま、怪しい指の動きで、自分のローレグを引っ張ってズラす。
 するとそこには、ピンクのアワビ! 指という箸でつつくと、ヒクヒク動いて、中から汁まで出てくる。

「うふ、うふふふふ、今度は坊やの晩御飯~食べたい? それとも食べさせて欲しい~?」
「どうする~? もう、このバッキバキに固まった串を使って、好きなものブッ刺して食べていいんだよ~? それとも、お姉ちゃん達がひとつ残らず食べさせてあげちゃう~?」

 その時、俺は自身の熱くなる下腹部とは裏腹に、かつてのトラウマが脳裏を過ぎった。
 それは、十歳のころ、あのギャンザと出会った頃の話。
 ギャンザの力の前に成す術なく、体を押さえつけられて、無理やり犯されそうになったあの時。
 この二人も「食べろ」と言いながらも、明らかにその目は、俺のことを「喰う」目をしている。
 俺は、トラウマからか、声を失って、体が固まっちまった。

「あ~~ん、緊張しちゃって震えてる~。あんなに生意気だったのに、本当に童貞なんだ~」
「やっば、濡れてきた~、それじゃあ、お姉ちゃん達が、食べさせてあげる♪ 坊やも少し経験しておかないと、ウラちゃんとの初体験のときに~、リードしてあげられないよ~?」

 つっ、い、いかん! 何でおれ、こんな状況? 俺、今から寝るんじゃねえの? 何で俺が食われそう?  
 ダメだ、何考えてんのか、よくわかんねーし! でも、もしここで一線越えちまったら………経験値と引き換えに、なんか色々と失いそうな………


「ま、待てコラァ!」
「あんっ!」
「いや~ん、どうしたの~」


 俺の体を気遣うように、ズボンとシャツを丁寧に脱がしに掛かる途中で俺の声に動きを止める二人。
 とりあえず………


「あの、そのよ~。俺は………………す………好きな女が居る………………………」

「…………………………………………………………………………………」

「…………………………………………………………………………………」


 どうだ? 好きな女が居るとでも言えば、こういう状況は………

「うっわ! かっわいいいいい~~~!」
「ちょ、ワルぶってるくせに、意外とピュアとか、もうだめ! これはもう、涙目にさせたいっ!」

 余計に気合入っちまっ………


「それじゃ~、私たちも、一品食べさせてあげようかな~」

「そうね~、おっぱいサンドと、マンコサンド、どっちがいいかな~? どっちもトロける食感を絶対保証♪」

「単品でもいいよ~。芯までジンジンビンビンコリコリおっぱい、もちもちプニプニアツアツのオマンコ、獣っぽく、どーぞ召し上がれ♪」


 いや、もう、色々と、なんか怒涛の責めで、俺の中の性欲が色々とヤバイことになってる。
 無理だ。俺が僧侶でも無理だ。こんな、AVみたいなドン引きしそうな責め苦に、爆発寸前だ。
 つうか、こんなことなら、我慢しないで、あん時、クレランに筆おろしお願いすれば良かった。
 でも、俺には、………………

―――ヴェルトにはワタクシが居ないとダメですのよ!

―――ヴェルトは私のものだッ!

 ………この状況で、神乃じゃなくて、フォルナとウラを思い出すあたり、俺はどうなんだろうか。
 だが、もう、俺は今日、清い体じゃなくなって………


「殿――――っ! 申し訳ないでござるーーーーっ! 殿の御就寝だというのに、懐刀である拙者が御側を不在にするなど、あるまじきこと! どうか、どうか拙者に挽回の………………へ………………………?」


 ギリギリセーフで、ある意味でアウト。
 ムサシの『ダイビング入室土下座』!
 その効力は、俺たち三人の時を一瞬で止め、その副作用でムサシの体も完全硬直。
 しかし、ムサシは数秒後には顔を真っ赤にしながら、目が渦巻きのようにグルグル回りながら………


「と、と、とにょ、も、もうしわけ、ねねね、閨での、お、おじゃまを、してしまったでごじゃ………………」


 違う! これは、肉食動物の狩りだっ!

「ム、ムサシ………………これ、チゲーから………………」
「ほへっ?」
「………と、とりあえず、………………た、助けてくんね?」
「……………………………ッ!」
 
 もはや、状況などまるで分からないとはいえ、それでも俺の「助けて」の声。
 それはムサシ機動の何よりの呪文となり………


「お、お、お、おぬしらあああああああっ! せっしゃの、とのに、なにしてるでごじゃるかああああああああっ!」

「ひいいいいいっ! ごめんって! あ~~~~ん、もうちょっとで童貞プリプリチンポ喰えたのに~!」

「ちょっと~、これでお預けはないよーっ! ムサシちゃんも入って、四人でやろうよーっ!」

「ふぎゃああああああああああああっ! ぶれいものめええええ! せっしゃが、たたっきってやるでごじゃるううううっ!」


 とにかく、顔を真っ赤にして木刀振り回すムサシ。目がぐるぐる回ってフラフラ状態ながらも、激しく興奮して叫び、半裸のクリとリスを部屋から追い出す。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...