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第一章
序章
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不良なのに、ガラにもなく皆と修学旅行に行こうとするから死んだ。
いや、死んだのは俺だけではないはずだ。
もう助からない。俺と同じように中学からの付き合いで高校でも一緒に過ごしてきた悪友。
どんな喧嘩や怪我も笑って一緒に乗り越えてきたのに、今では虚ろな目で事切れそうだ。
だが、身動き一つ取れない俺には何もできない。
そして、あの子も―――
俺たちの乗っていたバスは無理な追い越しをしてきた車を避けようとして、急カーブの峠道を曲がりきれずに谷底へ落下した。
痛みを通り越して、痛覚すら麻痺して意識は遠のいた。
あっけない。
中学時代から喧嘩で数多くの修羅場を潜って、最強とか自惚れていた不良中二病時代。
他校やよそのチームの連中たちとツルんで好き放題して、楽しいけどむなしかった。
だが、そんな俺が高校生になり、修学旅行へ行くようになったのは、あの女が居たからだ。
『うおおおお、朝倉くんのバイクってカッチョイーねー』
出席日数の関係でたまたま学校へ行ったとき、悪友以外が俺を避ける中で、何の物怖じもせずに一人の女子が話しかけてきた。
ウザかった。
『ちょっと、朝倉くん、君って足は速い? 体育祭のリレーに出てくれたら嬉しいんだけど』
学校生活や行事を青春時代の中心に持っていくタイプ。クラスの中心になって騒いで盛り上がるタイプ。
『えへへへ~、いや~、私も追試になっちゃって。どうして日本人なのに英語を勉強しないといけないんだろうね? 数学も意味プーだよね!』
しかも、頭が悪いと来ている。俺が留年しないために追試や補修を強制的に受けるようになったら、いつも顔を合わせた。
顔もずば抜けて美人なわけでもない。運動も得意なわけではない。
だが、何事にも懸命で、へこたれず、誰とでも素の自分をさらけ出すあの女は友達が多く、いつしか俺もあいつのペースに巻き込まれていた。
『朝倉くん、帰っちゃダメだよ。君は学祭の劇で重要な役なんだから。はい、たぬきの着ぐるみ』
気づけば不良の俺も学校に行くようになり、今まで俺を恐れていた奴らも、俺に親しげに接するようになった。
『朝倉くん、修学旅行は行かないってどういうこと! てーやんでい、べらんめーだよ! いこ、みんな楽しみにしてるよ』
気安く接する周りの連中が、ウザくて、でもまんざらではなかった。
「神乃……」
俺は、そんな生活を与えてくれた『神乃美奈』に惚れていた。
だが、彼女は目を覚まさない。あれほどのバカみたいな笑顔が消え失せ、他のクラスメート同様に無惨な姿で目をつむっていた。
本当は、もっといっぱい話したかった。
照れくさくて言えなかったことがいっぱいあった。
一言お礼を、そして、「好きだ。付き合ってくれ」この言葉をずっと言いたかった。
――あとがき――
お世話になっております。最初の一か月は一日5話投稿続けていけたらとおもっております。
お気に入り登録よろしくお願い申し上げます。
いや、死んだのは俺だけではないはずだ。
もう助からない。俺と同じように中学からの付き合いで高校でも一緒に過ごしてきた悪友。
どんな喧嘩や怪我も笑って一緒に乗り越えてきたのに、今では虚ろな目で事切れそうだ。
だが、身動き一つ取れない俺には何もできない。
そして、あの子も―――
俺たちの乗っていたバスは無理な追い越しをしてきた車を避けようとして、急カーブの峠道を曲がりきれずに谷底へ落下した。
痛みを通り越して、痛覚すら麻痺して意識は遠のいた。
あっけない。
中学時代から喧嘩で数多くの修羅場を潜って、最強とか自惚れていた不良中二病時代。
他校やよそのチームの連中たちとツルんで好き放題して、楽しいけどむなしかった。
だが、そんな俺が高校生になり、修学旅行へ行くようになったのは、あの女が居たからだ。
『うおおおお、朝倉くんのバイクってカッチョイーねー』
出席日数の関係でたまたま学校へ行ったとき、悪友以外が俺を避ける中で、何の物怖じもせずに一人の女子が話しかけてきた。
ウザかった。
『ちょっと、朝倉くん、君って足は速い? 体育祭のリレーに出てくれたら嬉しいんだけど』
学校生活や行事を青春時代の中心に持っていくタイプ。クラスの中心になって騒いで盛り上がるタイプ。
『えへへへ~、いや~、私も追試になっちゃって。どうして日本人なのに英語を勉強しないといけないんだろうね? 数学も意味プーだよね!』
しかも、頭が悪いと来ている。俺が留年しないために追試や補修を強制的に受けるようになったら、いつも顔を合わせた。
顔もずば抜けて美人なわけでもない。運動も得意なわけではない。
だが、何事にも懸命で、へこたれず、誰とでも素の自分をさらけ出すあの女は友達が多く、いつしか俺もあいつのペースに巻き込まれていた。
『朝倉くん、帰っちゃダメだよ。君は学祭の劇で重要な役なんだから。はい、たぬきの着ぐるみ』
気づけば不良の俺も学校に行くようになり、今まで俺を恐れていた奴らも、俺に親しげに接するようになった。
『朝倉くん、修学旅行は行かないってどういうこと! てーやんでい、べらんめーだよ! いこ、みんな楽しみにしてるよ』
気安く接する周りの連中が、ウザくて、でもまんざらではなかった。
「神乃……」
俺は、そんな生活を与えてくれた『神乃美奈』に惚れていた。
だが、彼女は目を覚まさない。あれほどのバカみたいな笑顔が消え失せ、他のクラスメート同様に無惨な姿で目をつむっていた。
本当は、もっといっぱい話したかった。
照れくさくて言えなかったことがいっぱいあった。
一言お礼を、そして、「好きだ。付き合ってくれ」この言葉をずっと言いたかった。
――あとがき――
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