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第13話 私が君の道具になるわ
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イレットがいくつもの便座をフリスビーのように投げる。
ブラシィは巨大歯ブラシで弾き、ルゥは軽やかに回避。
回避された便座はそのまま来場客たちへと激突した。
すると、
「きゃ、きゃあああ、な、なんか、お、お尻に!」
「う、動けねえ、なんだこれはあ!」
「えええん、おとーさ~ん、おか~さん、お尻がはまっちゃったよ~」
それは正に異様な光景だった。
投げられた便座にぶつかった者たちは、その直後お尻がすっぽりと便座にはまってしまい、そのまま立ち上がれずに床に倒れて悲鳴を上げる。
「そ、そんな、な、なんだよ、これえ!」
お尻が便座にはまってしまう。それを意図的に作り出してしまうイレットに、神人は戦慄した。
だが同時に、この事態はまずいと、慌てて叫んだ。
「待ってくれよ、トイレの神様! 君たちの存在はなるべく内緒なんじゃないのか! こんな回りの人たちにまで迷惑をかけて……こんなことしていいのか!」
神の存在や力をこのような公衆の面前で大胆に披露しても良いのかとツッコミ入れる神人だったが、その言葉に突如イレットの表情が変わった。
それは鬼のような怒りに満ちた表情。
「坊ちゃまには分からないでしょうねん。我ら神々がこの地上の物へと宿り、八百万家との出会いを待ち幾星霜。その間、我らは八百万家と出会わなければ一生ただの道具として生き続けなければならず、他の人間に購入されてしまえば一生出会うことが出来ないという運命の元にいるのですわん」
その話は神人もブラシイたちから聞いていた。
だからこそ、奇跡のような確率で惹きあわされて出会った神たちは、誰もが異常なまでの奉仕精神を持って自分に尽くしてくる。
逆に他の人に購入されたり、出会わなければ、廃棄されるまで神々の世界にも帰れないという過酷な運命だと。
「誰の手垢も付かずに新品同様で坊ちゃまと出会うことができた、歯ブラシとボディタオルと掛け布団には分かるはずないわん。このホームセンターの男子トイレに宿り、その間、見ず知らずの男たちがわたしぃにぶっかけたり、唾とばされたりい、吐き出したり、ゴミを捨てたり、トイレをホテル代わりに使うバカカップルとかあん、思うが侭に汚されつくしたわたしぃは一生をこのまま終えるかもしれないと思った矢先に、八百万家と出会えた喜びをん」
だからこそ、こうして出会えたならば使命を全うする。生涯を捧げ、生涯を尽くし、生涯添い遂げる。
その邪魔は誰にもさせない。それが、イレットの本心。
「だからあん、お坊ちゃまをわたしなさああいいん! わたしぃを、坊ちゃまの生涯専用便器にしてええん!」
まずい! 搾り取られる! 襲い掛かるイレットに対して逃げ出すことが出来ない神人。
「しまった! 御子様!」
「ちょ、待ちなさいよ! あいつに……私の御主人様に迷惑かけるんじゃないわよ!」
これまでか? そう思ったときだった。
「よく分からないけれど……」
「ッ!」
「人の恋人にマニアックな趣向を押し付けないでもらえるかしら」
それは神々の力ではなく、地上の人間の力。
襲い掛かるイレットの両手を掴み、その勢い、相手の反射や反応と呼吸を合わせ、そして、いなし……
「愛全流柔術・乱雲車」
イレットがキョトンとした顔で、いや、ブラシィたち三人の神たちも同じ。
神人を守るために立ちはだかった愛全が、イレットを商品棚にぶん投げたのだった。
棚に陳列されていた商品が散乱し、イレットは商品に埋もれてしまった。
吸い込む能力を使うことすら忘れてしまうほど驚いたイレットやブラシィたち。
突然のことで他の客たちもビックリして声を発せぬ中、凛とした態度で若干乱れた髪を整えながら、愛全は言う。
「私の知らない神人くんの一面を見た気がしたわ。まさか、女の子を道具として、歯ブラシだのタオルなどと……」
「や、や……み……さん?」
「だけれども、仕方が無いわよね、そういう人を好きになった私の落ち度。恋人がそういう世界観を女の子に求めるのであれば、否定するよりもまずは理解をすることが大切。でも、他の女の子にそんなことをさせるわけにはいかない。ゆえに!」
真顔で、真剣に、揺ぎ無い強い瞳で愛全は……
「ゆえに、今日から、私が神人くんの歯ブラシにもなり、ボディタオルにもなり、掛け布団にもなり、そして、お手洗になろうじゃないの」
「「「「「んなっ!」」」」」
「ふふ、純潔を捧げる前にこんな宣言を女にさせるぐらいにしてしまったのだから、ちゃんと責任取ってもらうわよ? 神人くん」
……自分が道具になってやろうじゃないか……と、愛全からの爆弾発言。
「ちょっとまちなさああいいん!」
「「「ちょっと待ったアアー!」」」
「弥美さん、何言ってるんだよおおお!」
それには、敵対していた神同士も、同時に待ったをかける爆弾発言。
神々の対決に恋人が参戦し、場が更に混乱を極めた。
ブラシィは巨大歯ブラシで弾き、ルゥは軽やかに回避。
回避された便座はそのまま来場客たちへと激突した。
すると、
「きゃ、きゃあああ、な、なんか、お、お尻に!」
「う、動けねえ、なんだこれはあ!」
「えええん、おとーさ~ん、おか~さん、お尻がはまっちゃったよ~」
それは正に異様な光景だった。
投げられた便座にぶつかった者たちは、その直後お尻がすっぽりと便座にはまってしまい、そのまま立ち上がれずに床に倒れて悲鳴を上げる。
「そ、そんな、な、なんだよ、これえ!」
お尻が便座にはまってしまう。それを意図的に作り出してしまうイレットに、神人は戦慄した。
だが同時に、この事態はまずいと、慌てて叫んだ。
「待ってくれよ、トイレの神様! 君たちの存在はなるべく内緒なんじゃないのか! こんな回りの人たちにまで迷惑をかけて……こんなことしていいのか!」
神の存在や力をこのような公衆の面前で大胆に披露しても良いのかとツッコミ入れる神人だったが、その言葉に突如イレットの表情が変わった。
それは鬼のような怒りに満ちた表情。
「坊ちゃまには分からないでしょうねん。我ら神々がこの地上の物へと宿り、八百万家との出会いを待ち幾星霜。その間、我らは八百万家と出会わなければ一生ただの道具として生き続けなければならず、他の人間に購入されてしまえば一生出会うことが出来ないという運命の元にいるのですわん」
その話は神人もブラシイたちから聞いていた。
だからこそ、奇跡のような確率で惹きあわされて出会った神たちは、誰もが異常なまでの奉仕精神を持って自分に尽くしてくる。
逆に他の人に購入されたり、出会わなければ、廃棄されるまで神々の世界にも帰れないという過酷な運命だと。
「誰の手垢も付かずに新品同様で坊ちゃまと出会うことができた、歯ブラシとボディタオルと掛け布団には分かるはずないわん。このホームセンターの男子トイレに宿り、その間、見ず知らずの男たちがわたしぃにぶっかけたり、唾とばされたりい、吐き出したり、ゴミを捨てたり、トイレをホテル代わりに使うバカカップルとかあん、思うが侭に汚されつくしたわたしぃは一生をこのまま終えるかもしれないと思った矢先に、八百万家と出会えた喜びをん」
だからこそ、こうして出会えたならば使命を全うする。生涯を捧げ、生涯を尽くし、生涯添い遂げる。
その邪魔は誰にもさせない。それが、イレットの本心。
「だからあん、お坊ちゃまをわたしなさああいいん! わたしぃを、坊ちゃまの生涯専用便器にしてええん!」
まずい! 搾り取られる! 襲い掛かるイレットに対して逃げ出すことが出来ない神人。
「しまった! 御子様!」
「ちょ、待ちなさいよ! あいつに……私の御主人様に迷惑かけるんじゃないわよ!」
これまでか? そう思ったときだった。
「よく分からないけれど……」
「ッ!」
「人の恋人にマニアックな趣向を押し付けないでもらえるかしら」
それは神々の力ではなく、地上の人間の力。
襲い掛かるイレットの両手を掴み、その勢い、相手の反射や反応と呼吸を合わせ、そして、いなし……
「愛全流柔術・乱雲車」
イレットがキョトンとした顔で、いや、ブラシィたち三人の神たちも同じ。
神人を守るために立ちはだかった愛全が、イレットを商品棚にぶん投げたのだった。
棚に陳列されていた商品が散乱し、イレットは商品に埋もれてしまった。
吸い込む能力を使うことすら忘れてしまうほど驚いたイレットやブラシィたち。
突然のことで他の客たちもビックリして声を発せぬ中、凛とした態度で若干乱れた髪を整えながら、愛全は言う。
「私の知らない神人くんの一面を見た気がしたわ。まさか、女の子を道具として、歯ブラシだのタオルなどと……」
「や、や……み……さん?」
「だけれども、仕方が無いわよね、そういう人を好きになった私の落ち度。恋人がそういう世界観を女の子に求めるのであれば、否定するよりもまずは理解をすることが大切。でも、他の女の子にそんなことをさせるわけにはいかない。ゆえに!」
真顔で、真剣に、揺ぎ無い強い瞳で愛全は……
「ゆえに、今日から、私が神人くんの歯ブラシにもなり、ボディタオルにもなり、掛け布団にもなり、そして、お手洗になろうじゃないの」
「「「「「んなっ!」」」」」
「ふふ、純潔を捧げる前にこんな宣言を女にさせるぐらいにしてしまったのだから、ちゃんと責任取ってもらうわよ? 神人くん」
……自分が道具になってやろうじゃないか……と、愛全からの爆弾発言。
「ちょっとまちなさああいいん!」
「「「ちょっと待ったアアー!」」」
「弥美さん、何言ってるんだよおおお!」
それには、敵対していた神同士も、同時に待ったをかける爆弾発言。
神々の対決に恋人が参戦し、場が更に混乱を極めた。
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