ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら女勇者パーティー全員が痴女になってしまい世界はピンチ!?

アニッキーブラッザー

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第8話 試し打ち

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「おい……ソード……別にお前も買い物とかしたければ自由に……」
「なりませぬ! 坊ちゃまの護衛が小生の責務! 片時も離れませぬ! むしろベッドで朝まで局部合体したままでいたいぐらいであります!」

 ソードとマギナを奴隷身分から解放するのに戸籍を与えたりとかの手続きが必要になり、何とかならないかと親父に相談しようとしたら、ソードとマギナが何故か拒否。
 そして何故か俺の奴隷であることを強く望んでしまい、結果的にソードは俺の護衛、マギナは俺専属メイドという、ループ前の立場とあまり変わらない結果に落ち着いてしまった。
 前回の自分のクソ野郎ぶりを知って以降、こういうのも正直心が痛む。ソードは誰の目にも奴隷であることが一目瞭然の首輪をつけて俺の傍らから離れない。
 そうさせていることを前回は恍惚だった。これだけの美人で色気もある年上の女が俺の所有物であると見せつける行為に悦に浸っていた。
 こいつはどれだけ誇りを穢され、心が傷ついたのかなど微塵も考えなかったな。
 だからこそ、今回は考えるように、そして二人には身綺麗のまま幸せに……と誓ったはずなのに、こうして前回と変わらず街を歩くにもソードは必ずついてくるし、今後は学園にも『使い魔』的な立ち位置で俺の傍に居ることになる……いや、何のためのループだ? 何も変わってねえ。

「ったく……」

 思わず舌打ちした。
 親父や兄貴との関係が何だか改善されたんだが、肝心のこいつらがな。

(うぅ~む……相変わらずの真人間になった坊ちゃま……それはそれで優しく可愛らしいのだが……やはりスケベなことをされないのは寂しい。何だかんだで小生は未だに処女……早く犯して尻を乱暴に引っ叩きながら乱暴に色々とツッコんでもらえないだろうか? 夜に全裸首輪で、尻に剣の柄を刺して尻尾のようにして四つん這いになりながらの散歩とか、公園で犯していただいたときや、放尿を思い出しただけで……うぇへへ♥ よ~~し~~~えい♥)

 うぐっ!? というかくっつきすぎ……なんか腕組んできて谷間に俺の腕を……

「坊ちゃま……ムラムラされたのなら小生を存分にお使いくだされ。あそこに宿屋も丁度ありますので休憩も!」
「だ、だから俺はそういうことは……」

 ぬわあああああああああ、慣れ親しんだはずの巨乳うぅぅう! 煩悩ぅぅううう!
 にしても、こいつ前回と明らかに違う。
 まさか俺に惚れている? だが、惚れられる要素がまったく思い浮かばねえ。
 そして何を考えているかも読めない。

(くぅ、股間が反応しているのは丸分かり! やはり抱かぬ抱かぬと言いながらも体は正直であるぞ、坊ちゃま。どうすべきか……もういっそのこと小生から押し倒すか? いや、小生は坊ちゃまの方から荒々しくされたいのだが……いや、小生から坊ちゃまを犯して覚醒させるというのも……いかん、よだれが……落ち着け小生……今日は坊っちゃまイベントがある日だ!)

 思えば、俺は奴隷としてこいつらを扱って一緒に過ごし、何度も肌を重ねたが、こいつら自身のことを実はよく知らないんだよな。経歴的なのは知っているけど。
 特に俺の家が没落し、こいつらが勇者たちの手で奴隷身分から解放された後とかもこいつらがどういうふうに過ごしたかも知らない。
 そうなると、何だか別の思惑でもあるのではないかと勘繰ってしまいそうになるのは、俺がまだクズ野郎だからだろうか?
 いずれにせよ……


「今だーーっ! 攫え! やっちまえ!」

「「「「「おう!!!!」」」」」


 っと、来たな。
 一応この出来事は前回通りだな。

「なんだーおまえらー(棒読)」
「あぶないー、ぼっちゃまおさがりをー(棒読)」

 前回、ソードを連れて街を歩いていた時に俺を誘拐しようとした連中。
 まさに同じように現れたか。
 十人ぐらいのチンピラ連中。
 前回はソードが瞬殺したんだけど……

「せっかくだ、返り討ちにしてやるよ! ソード、お前が下がってな!」
「えっ、ぼ、坊ちゃま!?」

 丁度親父と兄貴に新しい技を叩き込まれたばかりなんだ。
 実戦で試したいと思って、実はひそかに期を伺っていたんだ。
 
(え!? 坊ちゃま自ら!? え、違う! 前回と! 前回は小生が華麗にこやつら蹴散らして、そのまま坊ちゃまは小生の尻を弄って、よくやったというご褒美で部屋に連れ込んでたっぷり濃厚に乱暴にしてくれたというのに……こ、これでは! また坊ちゃまメモリアルイベントが潰れてしまう!? うぅ、坊ちゃま……小生はもう一日10回●●ニーしても我慢できぬ身体であるぞ?!)

 蒼炎。

(坊ちゃま、小生はこのままでは悶々としすぎて悶死してしまう!)

 心は熱く、しかし安定。

「蒼炎拳ッ!!」
「「「「――――――――――ッ!!??」」」」

 それを解き放つ。炎の拳に変えて。
 まさに、瞬殺。
 
「お、おぉ……坊ちゃま……お、おみ……ごと……ぐすん(うぅ、朝は入念に尻も綺麗にしたのに……これで何もなし……)」
「けっ、歯ごたえねえな。テストにもなりゃしねえ」

 歯ごたえない相手。だが、自分自身に手応えは感じた。
 そして、この力はまだまだ練り上げられる。前回は知らなかったコツを掴んだからな。
 前回は世間知らずの井の中の蛙だった俺も、意外とこの世界ではやればきそうな気がする。
 ただ、何でソードは少し残念そうなんだ?

「おい、何の騒ぎだ?」
「しっ、軍総司令の子息……次男の方だ……」
「え? 喧嘩か?」
「さあ、何だか急に……」
「やだわ……お兄様は素敵な方なのに……あの方は……」

 と、何だか周囲の連中からゴニョゴニョコソコソとあまりよくなさそうな声が聞こえてくる。
 そういや、俺は今のところこの国での評判は最悪だったな。
 学園でも……どうしよう……

「ぐっゥ、う……くそぉ……」

 と、そのとき、誘拐犯たち共が呻き声。まぁ、立てないだろうけど。
 そういや、こいつらこの後どうなったんだっけ?
 とりあえず騎士団に来てもらって捕まえて――――

「すま、ねぇ……ロリィ……父ちゃん、おまえに、はらいっぱい食わせ……うぅ……」

 そのとき、誘拐犯共の身なりを見て、俺は前回気づかなかったことに気づいた。
 こいつらが持っていた武器的なのは剣とかそういうんじゃなく、安物の小さなナイフとか。
 ボロい汚ぇ服とかで、いかにも……

――えへへ、お兄ちゃん、お腹いっぱい食べていいよ! ううん、私お腹空いてないからへっちゃらだよ!

 何だか、不意に思い出した……

「……何の恩も返せなかったな……」
「ん? 坊ちゃま?」

 前の世界で俺が泣かされた……自分がみっともなくて、情けなくて、それを分からせてくれた出来事を思い出した。
 そうだな。
 あいつにも、あの人たちにも、腹いっぱい食わせて……って、つい最近、マギナを1億で買う無駄遣いをした俺が言うことじゃねえが……ってか、あそこまで行くのも結構時間かかるし、どうにかして時間を見つけねえとな。

「うぅ……ぐぅ……」
「…………」 

 ただ、それはそれ。俺を攫おうとした誘拐犯共に何の同情も温情も必要ない。
 むしろ、こんな奴らを見逃す方が治安的なアレが……いや、別に俺は勇者じゃないんだが、ここは模範となる貴族として……いや、俺はかなり嫌われてるけど……

「ああ~~~~~、もう!」

 もういい。メンドクセエ。
 悪党なら悪党らしく同情引くような泣き言呟くなよ……

「何の騒ぎだ!」
「道を開けろ、ッ……これは……ケンカか?」
「ぬぅ……何人も……おい、そこのお前がやったのか!?」
「……いや、待て! お前たち、そちらの……方は……」

 そして騒ぎを聞きつけ、ようやくゾロゾロと帝都の見回り騎士団連中がやってきた。
 前回はこいつらに後のことはまかせて、俺はソードのスカートに手を入れて尻を撫でながら宿屋に入ったんだったな……だけど今は……


「これはこれは……ハビリ坊ちゃん。何やら騒ぎがあったようですが……」

「……ああ……なんかイライラしてたからチンピラを全員ボコボコにしてしまい、やりすぎたからこいつらを手当てしてやってくれ。後は話を大きくしたくないから親父にお願いして慰謝料なり口止め料なり示談したい!」

「……はぁ?」


 あぁ~、くそ……俺は何をやってんだか……

「ちょっ、は?! 坊ちゃま、何を仰られるのです! こやつらは坊ちゃまを―――」
「うるせえ、ソード! 黙ってろ」
「し、しかし……」
「いいんだよ……」

 誘拐犯を庇う……そんなことする必要もねえし、家族なんざなんの言い訳にもならないけど……
 
「そ、それは本当でしょうか……坊ちゃま」
「おお、そうだ。俺がボッコボコにやり過ぎた!」

 思い出しちまったんだから仕方ねえ、あのことを。

「お、おい……おま……な、んの……」

 そのとき、ぶちのめされた誘拐犯が戸惑った様子で俺の足を掴み、俺は……


「いいか……俺もクズなんでクズができる最低限の情けはここまでだ……また金に困って俺に襲い掛かってきたら今度こそ容赦しねえ。それまでに職を何とかするんだな。働いてねぇボンボンの俺が言うのも何だけど……」

「ッ、……なん……だと?」

「あと、今度から子供のことをワザワザ呟くなよな」

「ッ!? ……あ……あんた……」


 あーあ、せっかく親父と兄貴から見直されたと思ったのに、これでまた元通りか……





 ただ……



「すごい……強い……あんな人が居るなんて、やはり帝都はすごいな……それに……」

 

 俺はこのとき、まだ「本来の流れを変えること」の重さを……


「それに……すごいカッコよくて優しい人……♥ っていけない、だめだよ。私は……ううん、僕は『男の子』として今日から帝都で過ごし、そして勇者を目指すんだから! 誰かに見惚れている場合じゃない……明日の入学試験、絶対に通って見せるんだから! 天国で見守っていてね……兄さん……兄さんの目指した勇者を僕がなってみせる!」


 まったく理解してなかった。


 それも知らずに、俺はついに運命の明日を迎えてしまう。



 ちなみに、真相はソードの口から親父と兄貴に熱弁されてしまい、それはそれで怒られた。苦笑されながら……
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