1 / 5
1
しおりを挟む
私の名前はクロミナ。
ゴウストア王国の何の変哲もない一般家庭に生まれ、今年十六歳になったばかり。
そして、なんやかんやで死んじゃった。
病気で。
「クロミナ……お前のことは一生忘れない。もう、二度と恋もしない。こんな女の恋人になれたんだから……俺の恋はこれが最後でいい! 終わっていい!」
まだ十代の女の子なんだから、やりたいことはいっぱいあった。
「姉さん! いや! 姉さん! お願い、やだ! いやぁ!」
「クロミナ! だめよ、まだ! まだ! しっかりして! クロミナ!」
「何をしているのです! ワタクシのライバルが、病などで逝くなど、ひっぐ、許しませんわぁ!」
「あぁ……クロミナ……」
「くそぉ……なんでお前がこんな目に……」
最後まで私の周りで泣いてくれている妹や友達。お父さんとお母さん。そして、生まれて初めてできた彼氏。
頭も良くて、かっこよくて、強くて、熱くて、でも照れたりすると可愛くて、たまに意地っ張りで……だから当然女の子にも人気があった。
そんな彼が私みたいなフツーの女の子に告白してくれた時は、すっごく嬉しかった。
これからいっぱい思い出作りたかった。
もっとイチャイチャラブラブしたかった。
手を繋いで、三回目のデートぐらいでキスをして、それで……でも、神様はイジワルというか、帳尻を合わせようとしてきた。
「クロミナ……」
愛しの彼氏でもあるヴェリュートくんが泣いている。
こんな素敵な彼氏を悲しませるなんて彼女失格だよね。
こんな素敵な彼氏ができたという分不相応な幸せを得ちゃったから、こんなに早く死んじゃうのかな?
でも、一方で私はこんなにヴェリュートくん、それに皆にも愛されてたんだなって実感できて、ちょっぴり満たされた気持ちもある。
そして、死んでこれからどうなるか分からないっていうのに、私は最後の最後までちょっと悩んだ。
ヴェリュートくんが私の所為で不幸を抱えたまま生きて欲しくない。
私なんかを本気で好きになってくれた男の子。幸せになって欲しいよ。
でも、そんなヴェリュートくんが私以外の女の子と結ばれて幸せになるっていうのも、ちょっと嫌かなって思っちゃう。
だって、私の彼氏だもん。
私を忘れて他の子とイチャイチャして、私ができなかったことを他の女の子とするのかな~? って考えると嫌な気持ちになっちゃった。
でも、死んじゃう私には関係ない。だから私は最後に「いい子」をアピールするかのように、ヴェリュートくんに最後の言葉を伝えた。
「ダメだよ……ヴェリュートくん……君の人生……あしひっぱりたくないもん……私のことさ……わすれちゃって、また素敵な彼女作っちゃってよ」
「できるわけないだろ! そんなこと言うな! 俺はお前のことがずっと……これからもずっと……たとえお前が―――」
あ~もう、好き……好き……大好き。
だから、心配だよ……こんなに私を想ってくれる君が……私が死んじゃったら……お願い……彼が立ち直るまで……みんな……
「みんなも……私の彼氏……『たのんだ』よ?」
これから色々と落ち込んだりして、つらい気持ちになるヴェリュートくんを『友達として』支えて欲しいってお願いをした。
「クロミナ!」
「姉さん! 何言ってるの! 姉さんッ!」
「何を言っていますの!? あなたらしくありませんわ!」
そしてそこで私の人生が終わり、意識も途絶え――――
……なんか、意識だけは途絶えなかった。
ゴウストア王国の何の変哲もない一般家庭に生まれ、今年十六歳になったばかり。
そして、なんやかんやで死んじゃった。
病気で。
「クロミナ……お前のことは一生忘れない。もう、二度と恋もしない。こんな女の恋人になれたんだから……俺の恋はこれが最後でいい! 終わっていい!」
まだ十代の女の子なんだから、やりたいことはいっぱいあった。
「姉さん! いや! 姉さん! お願い、やだ! いやぁ!」
「クロミナ! だめよ、まだ! まだ! しっかりして! クロミナ!」
「何をしているのです! ワタクシのライバルが、病などで逝くなど、ひっぐ、許しませんわぁ!」
「あぁ……クロミナ……」
「くそぉ……なんでお前がこんな目に……」
最後まで私の周りで泣いてくれている妹や友達。お父さんとお母さん。そして、生まれて初めてできた彼氏。
頭も良くて、かっこよくて、強くて、熱くて、でも照れたりすると可愛くて、たまに意地っ張りで……だから当然女の子にも人気があった。
そんな彼が私みたいなフツーの女の子に告白してくれた時は、すっごく嬉しかった。
これからいっぱい思い出作りたかった。
もっとイチャイチャラブラブしたかった。
手を繋いで、三回目のデートぐらいでキスをして、それで……でも、神様はイジワルというか、帳尻を合わせようとしてきた。
「クロミナ……」
愛しの彼氏でもあるヴェリュートくんが泣いている。
こんな素敵な彼氏を悲しませるなんて彼女失格だよね。
こんな素敵な彼氏ができたという分不相応な幸せを得ちゃったから、こんなに早く死んじゃうのかな?
でも、一方で私はこんなにヴェリュートくん、それに皆にも愛されてたんだなって実感できて、ちょっぴり満たされた気持ちもある。
そして、死んでこれからどうなるか分からないっていうのに、私は最後の最後までちょっと悩んだ。
ヴェリュートくんが私の所為で不幸を抱えたまま生きて欲しくない。
私なんかを本気で好きになってくれた男の子。幸せになって欲しいよ。
でも、そんなヴェリュートくんが私以外の女の子と結ばれて幸せになるっていうのも、ちょっと嫌かなって思っちゃう。
だって、私の彼氏だもん。
私を忘れて他の子とイチャイチャして、私ができなかったことを他の女の子とするのかな~? って考えると嫌な気持ちになっちゃった。
でも、死んじゃう私には関係ない。だから私は最後に「いい子」をアピールするかのように、ヴェリュートくんに最後の言葉を伝えた。
「ダメだよ……ヴェリュートくん……君の人生……あしひっぱりたくないもん……私のことさ……わすれちゃって、また素敵な彼女作っちゃってよ」
「できるわけないだろ! そんなこと言うな! 俺はお前のことがずっと……これからもずっと……たとえお前が―――」
あ~もう、好き……好き……大好き。
だから、心配だよ……こんなに私を想ってくれる君が……私が死んじゃったら……お願い……彼が立ち直るまで……みんな……
「みんなも……私の彼氏……『たのんだ』よ?」
これから色々と落ち込んだりして、つらい気持ちになるヴェリュートくんを『友達として』支えて欲しいってお願いをした。
「クロミナ!」
「姉さん! 何言ってるの! 姉さんッ!」
「何を言っていますの!? あなたらしくありませんわ!」
そしてそこで私の人生が終わり、意識も途絶え――――
……なんか、意識だけは途絶えなかった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
その声は媚薬.2
江上蒼羽
恋愛
【その声は媚薬】別視点、おまけエピソード詰め合わせ。
伊原 瑞希(27)
工事勤務の派遣社員
密かにリュークの声に悶えている重度の声フェチ
久世 竜生(28)
表向きは会社員
イケボを生かし、リュークとしてボイス動画を配信している。
※作中に登場する業界については想像で書いておりますので、矛盾点や不快な表現があるかと思いますが、あくまでも素人の作品なのでご理解願います。
誹謗中傷はご容赦下さい。
R3.3/7~公開
一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない
草笛あたる(乱暴)
恋愛
《視点・山柿》
大学入試を目前にしていた山柿が、一目惚れしたのは黒髪ロングの美少女、岩田愛里。
その子はよりにもよって親友岩田の妹で、しかも小学3年生!!
《視点・愛里》
兄さんの親友だと思っていた人は、恐ろしい顔をしていた。
だけどその怖顔が、なんだろう素敵! そして偶然が重なってしまい禁断の合体!
あーれーっ、それだめ、いやいや、でもくせになりそうっ!
身体が恋したってことなのかしら……っ?
男女双方の視点から読むラブコメ。
タイトル変更しました!!
前タイトル《 恐怖顔男が惚れたのは、変態思考美少女でした 》
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる