上 下
7 / 22

第七話 これでよし……なのかな?

しおりを挟む
「な……え? なん……で? なん……なんだ……これ……な、なんて大きさ……こ、これが、都の魔法学校の生徒の力……!? 勇者だった爺さんとも比べ物にならないほど強大な……こ、こんな人間が、こ、この世に……う、あ、……あ……」

 自分の力をはるかに上回る魔法の力に、ソラくんも全身を震わせる。

「へ? こ、これが、ぼ、ぼく?」

 そして、太陽を作り出した彼自身も、驚いて目が点になってますね。

『ぬわはははは。まっ、あとで記憶操作すればよいだろう。これ、一回こっきりだしな』
『そうですか……あれ? でも、この魔法打っちゃったら……この学校消滅しません? みんな、死にません?』
『ん? …………あ~………』

 あら? 御主神さま目が泳いで……あまり考えられてなかったのですか!?
 ですが……

「いいや、そんなはずはない! 少なくとも、爺さんより強いやつがこの世にいるはずはない……俺は弱い……だけど、世界最強と十年以上も戦って鍛えられた……見せてやる!」

 折れかかった心を奮い立たせ、ソラくんは……

「俺の力は魔法だけじゃない! 魔法剣!」

 腰に帯刀していた剣を抜き、幼いころから蓄積された膨大な魔力をその剣に宿し……

「全てを切り裂く魔法剣!」

 貴族くんの生み出した太陽に対して、ソラくんは大地を揺らすほどの魔力を剣に凝縮し、眩い閃光を放ちます。

「ちょ、あの新入生くん、なんなのあれは!」
「し、信じられない……ナヒカーリもそうだけど……やっぱ、あの新入生は何者なんだ!」
「信じられない……なんて力だ!」

 なんというか、周囲のギャラリーの生徒たちは、もはや驚き要員になってしまっていますね。
 そんな周囲の反応にソラくんは……


「ん? また、みんなして俺に……俺、また何かやっちゃったのかな?」

「「「「「いやいやいやいや!?」」」」」


 チートを与えられたものの宿命の鈍感力なのか、また的外れといいますか、御主神さまが不快に思われるようなことを……でも、彼が鈍感だろうが敏感だろうと、もう彼が何をやろうと勝負は……


「いくぞ、全てを切り裂く! シャイニングエターナルストラッシュ!」

「えっと……えい、プロミネンス!」

「ッッッ!!!???」


 ただ大きいだけではありません。
 貴族くんが御主神さまの加護より放った太陽は、もはや人間のチートでどうのこうのの次元を超越しているのです。

「う、あ、ああああああああああああああ!!??」

 激しくふっとばされ、剣も、服も燃え尽きて……

「あ、あわ……わ……」

 あれ? でも燃えたのは服だけ? 


『ふふん。急いで調整した。我の与えたチートは……人を殺めず、なおかつ怪我もさせないという条件を与えた……』

『御主神さま?』

『死なれたらメンドーだし、そもそも下手したらこの世界が滅んでいたからな……チート小僧の技を消して、衣服を燃やすぐらいに留めた……これぞ、我が与えた……『ご都合主義脱衣魔法』なのだ! ……ほんとうは、オナゴ相手に放つ魔法ではあるがな……』

『って、それはそれでどうなんでしょうか!? 脱衣魔法って……しかも女の子向けにって!?』

『なんじゃ、妾以外の裸に興味を持つとは、浮気か? おぬしは黙って妾の神下着でも見ておけ、ホレ!』

『ぶっ、御主神さまハシタナイです! スカートを自分で捲り上げるなど……って、ご、御主神さま!?』

『ん? おお、しまった……何も穿いてなかったな! さっき、おぬしと一戦する寸前にその辺に脱ぎ捨てておったわ。ぬわははは』

『も、もう……』

『何を照れておる。もう見慣れておるだろうが』


 まったく、御主神さまは困ります。何も生え……何も穿いていないんだなんて困ります!
 って、そうではなくて、今は目の前の決闘です。
 御主神さまの気まぐれには色々と心配でしたが、慈悲を与えられたのですね。
 そして、これで十分。
 ダメージなくとも、今のでいくら鈍感なソラ君も……
 
「あ……う、あ……そん、な……か、かてない……たすけ……て……」

 そもそも、戦うまでも無いのです。
 いかにチートを与えられても……所詮は人間なのです。
 戦意も、心も、それを保てるような相手ではない……そもそも、戦いを挑むという次元ではないのです……まぁ、腰を抜かしてお漏らしぐらいしちゃいますよね……あらら、立場が逆になってしまいましたね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

転生したら弱いものまね士になったけど結局活躍した。それはいいとして、英雄になったら隣に住んでたエルフとベッドの上でファンタジーが始まった

ぐうのすけ
ファンタジー
会社帰り、俺は突然異世界に転生した。 転生した異世界は貴族屋敷……の隣にあるボロ屋の息子だった。 10才で弱いと言われるものまね士のジョブを授かるが、それでも俺は冒険者を目指す。 所で隣のメイドさん、俺をからかうの、やめてもらえますか? やめて貰えないと幼馴染のお嬢様が頬をぷっくりさせて睨んでくるんですけど? そう言えば俺をバカにしていたライダーはどんどんボロボロになっていくけど、生きておるのか? まあ、そんな事はどうでもいいんだけど、俺が英雄になった後隣に住んでいたエルフメイドがベッドの上では弱すぎる。

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ハーレムは崩壊しました! ~或いは勇者ザマァでメシが美味い受付嬢の独白~

波津井
ファンタジー
【※報復行為は存在しません&恋愛要素も特に無いです】 ルルはギルドのど真ん中で繰り広げられるハーレム崩壊を見届けていた。救世の勇者と鳴り物入りで異国からやって来たハーレムパーティーが脆くも消え去る、ああ諸行無常。しかしなんの因果か元ハーレム勇者はルルに「女心の分かるハーレム勇者になりたい」と指名依頼をして来た。その日からルルと元ハーレム勇者ユージの相談という名の飲み会が始まる── ・全6話 総文字数15000足らずの短編、表紙は自作

どうやら主人公は付喪人のようです。 ~付喪神の力で闘う異世界カフェ生活?~【完結済み】

満部凸張(まんぶ凸ぱ)(谷瓜丸
ファンタジー
鍵を手に入れる…………それは獲得候補者の使命である。 これは、自身の未来と世界の未来を知り、信じる道を進んでいく男の物語。 そして、これはあらゆる時の中で行われた、付喪人と呼ばれる“付喪神の能力を操り戦う者”達の戦いの記録の1つである……。 ★女神によって異世界?へ送られた主人公。 着いた先は異世界要素と現実世界要素の入り交じり、ついでに付喪神もいる世界であった!! この物語は彼が憑依することになった明山平死郎(あきやまへいしろう)がお贈りする。 個性豊かなバイト仲間や市民と共に送る、異世界?付喪人ライフ。 そして、さらに個性のある魔王軍との闘い。 今、付喪人のシリーズの第1弾が幕を開ける!!! なろうノベプラ

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。

飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。 隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。 だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。 そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。

処理中です...