2 / 59
裏切りと決別
第2話:違和感
しおりを挟む
「お待たせ。まだ2月だし、めちゃくちゃ寒いな。もっとギリギリに来てくれても良かったのに」
「いいのよ。私が好きでやってることなんだから。それにしても本当に今日は寒いわね。到着したら最初にカフェに入って暖まりましょう」
改札を抜けて、ホームに立つと羽月は「うぅぅ……」と唸りながら、くすんだピンク色のコートの襟元を掴んでプルプルしている。正直俺の彼女めちゃくちゃ可愛い。俺以外といるときの羽月は凛としているので、こんなに弱々しい姿を学校のやつらが見たら吃驚することだろう。
ところで家が隣同士の俺と羽月が、わざわざ駅前で待ち合わせをしていたのには理由がある。それは、デートという時間を特別な物にするためだ。
以前俺は「家が隣同士なんだから、いつもみたいに一緒に行けば良いじゃん」って言ったのだが、「ダメよ。デートは特別なんだから。家から出掛けちゃったらいつもと変わらないじゃない」と凄い剣幕で言われてしまった。
思い返すと小学生のときから、いつも羽月の家の前で待ち合わせして学校に行ってたので、デートのときくらい特別感を出したいという羽月の言葉に納得したのだ。
-
「はぁぁ……生き返ったわ」
カフェに入るや否や羽月は顔を蕩けさせて、至福の声をあげる。
「相変わらず羽月は寒さに弱いよな」
「コートとかを着てるから体はそこまでじゃないんだけどね。顔がどうしても寒くて痛くなっちゃうのよ」
そう言いながら自分の手で、ほっぺたをムニムニしている。
その姿を見て、こんなに可愛い羽月を独占できるのは本当に幸せだな、と思い自然と目が細くなってしまう。
「今日は何を買うか狙いはあるのか?」
「うぅーん。特別このブランドの服が欲しいっていうのはないんだけど、春なんだしパステルカラーの薄手ニットや、レースのスカートとかで良いのがあると嬉しいなって思ってるわ」
「羽月は相変わらずオシャレさんだよな」
羽月は中学生になってからオシャレに目覚めたのか、着ている洋服も徐々に大人っぽくなっていった。もちろんそれを着こなしているのだから、羽月には自分に似合うファッションが分かるセンスがあったのだろう。
「だって、優李に可愛いって思われたいじゃない?」
「まぁ、羽月のことはいつも可愛いって思ってるけどな」
「うふふ。ありがと」
俺はあまりにも正直すぎる羽月の言葉にドキドキとしながら、まだ熱いコーヒーをグイッと口に含んで目を白黒させてしまう。そんな俺を見ながら「もう、優李ったら」と微笑んでる羽月を見て、「ずっと一緒にいるのにいつもドキドキさせられるな」と若干悔しい思いをするのだった。
-
買い物がひと段落して、俺と羽月は夜ご飯を食べるために、みんなが大好きな例のイタリアンに入った。
俺の前に座る羽月は、ホクホク顔でご満悦だ。どうやらお気に入りがたくさん見つかったらしく、今日のショッピングは大成功だったらしい。
「優李もちょっとだけ派手な洋服とか着てみたら良いのに」
「いや、俺にはそういうの似合わないだろ」
「そんなことはないわよ? むしろシンプルな着こなしの方が、元の素材が重要になってくるじゃない。ひょっとして、シンプルが似合っちゃう俺ってかっこいい! とか思ってるんじゃないの?」
「バッッッ!そんなことねぇよ!」
「うふふ、冗談よ、冗談」
羽月のニヤニヤ顔にイラッとしながらも、そんないつものやり取りを俺は心から楽しんでいた。そして、話題は3年のクラス替えになっていった。
「そういえば、3年生になったらクラス替えあるじゃない? 優李は理文どっちのコースを選ぶ予定なの?」
「うーん。あんまりまだ決めてないんだよな。大学もどの学部に行くかまだ決まってないしな。羽月はどっちにするんだ?」
「私は文系進学コースにする予定よ。大学は外語学部に入りたいって思ってるから」
「あー、高校入った当初から言ってるよな! そこを目指して高1から塾に毎日通ってるんだから、羽月は本当に偉いし尊敬しちゃうよ」
「もう、そんなに言われると恥ずかしいじゃない。けど、ありがとね。私も部活も勉強も手を抜いてない優李のことをとっても尊敬してるし、大好きよ」
顔をほのかな紅色に染めながら、俺が嬉しいことを言ってくれる羽月のことが愛おしくてたまらない。恐らくこの会話を誰かが聞いていたら、「ちっ」と舌打ちをされていただろう。もし俺が第三者としてこの話を聞いていたら、絶対に舌打ちをしていたはずだ。だって、青臭すぎるだろ、この会話。
「話は戻るけど、3年生になったら同じクラスになりたいわね。だって、同じクラスになったら、色々な行事を一緒に楽しむことができるしね。私としては最後の文化祭が一番楽しみね。後夜祭のキャンプファイヤーを2人ゆっくりと見ていたいわ」
「だよな。俺も高3は羽月と同じクラスになって、たくさん思い出を作りたいと思ってるよ。あー、クラス決めのプリント提出もそろそろだし、俺もちゃんと考えないとな」
「悩むことがあったらいつでも相談に乗るから気軽に話してね」
「おぅ! そのときは羽月に真っ先に相談することにするよ」
-
食後のコーヒーまで満喫してから俺たちはゆっくりと家路に向かう。
なぜか物足りない気分になった俺は、まだ羽月と話したいなと思って公園に寄らないかと誘ってみた。もう結構遅くなってるし、断られる可能性もあったが羽月の答えは「もちろんよ」だった。
「私ももうちょっとお話ししたいと思ってたのよね」
「そうだったのか! 無理言ったんじゃないかと思ったけど安心したわ。けど、本当にキツかったら素直に言うんだぞ?」
「ふふっ、今更あなたに遠慮なんてするわけないでしょ。なんでも優李に話してるわよ」
俺の目を見て真っ直ぐな気持ちを伝えてくれるのが、嬉しくなり羽月の頭を撫でようとしたそのとき、突然羽月が「キャッ」と小さな悲鳴をあげた。
「羽月どうした??」
落ち着いた羽月に聞くと、枯葉が身体にぶつかってきたので、それを虫だと勘違いしたようだ。
「ちょっと吃驚したけど、冷静に考えたらこの時期に虫なんて滅多にいないわよね」
落ち着いた羽月は先ほどの動揺を誤魔化すように「ふふっ」と笑った。それを見て安心した俺は、虫というキーワードを聞いて、この間俺の部屋で起きた虫騒動のことを聞いてみた。
「そういえばさ、この間俺の部屋で虫が出たって言ってたじゃん? あれってどんな虫だったのか? 羽月も言ってたけど冬なのに虫なんて珍しいよな」
するといつもは落ち着きのある羽月が目を泳がせて、「えっと、その……」と言い淀んでいる。
「どうした?そんなにデカい虫だったのか?」
「私はあんまり見てないんだけど、光輝くんが虫だって言って退治してくれるまで私はキャーキャー騒いでばかりだったからあんまり知らないんだ」
「そっか、昔から羽月は虫が嫌いだもんな」
「そうなのよ。あっ、それよりさ、月曜日の放課後は優李何してるの? 部活?」
「そうだよ。つか、いつも部活やってるじゃんよ。羽月は塾に行くんだろ?」
「う、うん。そうよね。えぇ、私も塾に行くわよ」
なんか羽月の様子がおかしいな。あのときなんか光輝とあったのかな?
俺は焦ったように話題を変える羽月を見て、ちょっとだけ胸に引っかかるものを感じたのだった。
「いいのよ。私が好きでやってることなんだから。それにしても本当に今日は寒いわね。到着したら最初にカフェに入って暖まりましょう」
改札を抜けて、ホームに立つと羽月は「うぅぅ……」と唸りながら、くすんだピンク色のコートの襟元を掴んでプルプルしている。正直俺の彼女めちゃくちゃ可愛い。俺以外といるときの羽月は凛としているので、こんなに弱々しい姿を学校のやつらが見たら吃驚することだろう。
ところで家が隣同士の俺と羽月が、わざわざ駅前で待ち合わせをしていたのには理由がある。それは、デートという時間を特別な物にするためだ。
以前俺は「家が隣同士なんだから、いつもみたいに一緒に行けば良いじゃん」って言ったのだが、「ダメよ。デートは特別なんだから。家から出掛けちゃったらいつもと変わらないじゃない」と凄い剣幕で言われてしまった。
思い返すと小学生のときから、いつも羽月の家の前で待ち合わせして学校に行ってたので、デートのときくらい特別感を出したいという羽月の言葉に納得したのだ。
-
「はぁぁ……生き返ったわ」
カフェに入るや否や羽月は顔を蕩けさせて、至福の声をあげる。
「相変わらず羽月は寒さに弱いよな」
「コートとかを着てるから体はそこまでじゃないんだけどね。顔がどうしても寒くて痛くなっちゃうのよ」
そう言いながら自分の手で、ほっぺたをムニムニしている。
その姿を見て、こんなに可愛い羽月を独占できるのは本当に幸せだな、と思い自然と目が細くなってしまう。
「今日は何を買うか狙いはあるのか?」
「うぅーん。特別このブランドの服が欲しいっていうのはないんだけど、春なんだしパステルカラーの薄手ニットや、レースのスカートとかで良いのがあると嬉しいなって思ってるわ」
「羽月は相変わらずオシャレさんだよな」
羽月は中学生になってからオシャレに目覚めたのか、着ている洋服も徐々に大人っぽくなっていった。もちろんそれを着こなしているのだから、羽月には自分に似合うファッションが分かるセンスがあったのだろう。
「だって、優李に可愛いって思われたいじゃない?」
「まぁ、羽月のことはいつも可愛いって思ってるけどな」
「うふふ。ありがと」
俺はあまりにも正直すぎる羽月の言葉にドキドキとしながら、まだ熱いコーヒーをグイッと口に含んで目を白黒させてしまう。そんな俺を見ながら「もう、優李ったら」と微笑んでる羽月を見て、「ずっと一緒にいるのにいつもドキドキさせられるな」と若干悔しい思いをするのだった。
-
買い物がひと段落して、俺と羽月は夜ご飯を食べるために、みんなが大好きな例のイタリアンに入った。
俺の前に座る羽月は、ホクホク顔でご満悦だ。どうやらお気に入りがたくさん見つかったらしく、今日のショッピングは大成功だったらしい。
「優李もちょっとだけ派手な洋服とか着てみたら良いのに」
「いや、俺にはそういうの似合わないだろ」
「そんなことはないわよ? むしろシンプルな着こなしの方が、元の素材が重要になってくるじゃない。ひょっとして、シンプルが似合っちゃう俺ってかっこいい! とか思ってるんじゃないの?」
「バッッッ!そんなことねぇよ!」
「うふふ、冗談よ、冗談」
羽月のニヤニヤ顔にイラッとしながらも、そんないつものやり取りを俺は心から楽しんでいた。そして、話題は3年のクラス替えになっていった。
「そういえば、3年生になったらクラス替えあるじゃない? 優李は理文どっちのコースを選ぶ予定なの?」
「うーん。あんまりまだ決めてないんだよな。大学もどの学部に行くかまだ決まってないしな。羽月はどっちにするんだ?」
「私は文系進学コースにする予定よ。大学は外語学部に入りたいって思ってるから」
「あー、高校入った当初から言ってるよな! そこを目指して高1から塾に毎日通ってるんだから、羽月は本当に偉いし尊敬しちゃうよ」
「もう、そんなに言われると恥ずかしいじゃない。けど、ありがとね。私も部活も勉強も手を抜いてない優李のことをとっても尊敬してるし、大好きよ」
顔をほのかな紅色に染めながら、俺が嬉しいことを言ってくれる羽月のことが愛おしくてたまらない。恐らくこの会話を誰かが聞いていたら、「ちっ」と舌打ちをされていただろう。もし俺が第三者としてこの話を聞いていたら、絶対に舌打ちをしていたはずだ。だって、青臭すぎるだろ、この会話。
「話は戻るけど、3年生になったら同じクラスになりたいわね。だって、同じクラスになったら、色々な行事を一緒に楽しむことができるしね。私としては最後の文化祭が一番楽しみね。後夜祭のキャンプファイヤーを2人ゆっくりと見ていたいわ」
「だよな。俺も高3は羽月と同じクラスになって、たくさん思い出を作りたいと思ってるよ。あー、クラス決めのプリント提出もそろそろだし、俺もちゃんと考えないとな」
「悩むことがあったらいつでも相談に乗るから気軽に話してね」
「おぅ! そのときは羽月に真っ先に相談することにするよ」
-
食後のコーヒーまで満喫してから俺たちはゆっくりと家路に向かう。
なぜか物足りない気分になった俺は、まだ羽月と話したいなと思って公園に寄らないかと誘ってみた。もう結構遅くなってるし、断られる可能性もあったが羽月の答えは「もちろんよ」だった。
「私ももうちょっとお話ししたいと思ってたのよね」
「そうだったのか! 無理言ったんじゃないかと思ったけど安心したわ。けど、本当にキツかったら素直に言うんだぞ?」
「ふふっ、今更あなたに遠慮なんてするわけないでしょ。なんでも優李に話してるわよ」
俺の目を見て真っ直ぐな気持ちを伝えてくれるのが、嬉しくなり羽月の頭を撫でようとしたそのとき、突然羽月が「キャッ」と小さな悲鳴をあげた。
「羽月どうした??」
落ち着いた羽月に聞くと、枯葉が身体にぶつかってきたので、それを虫だと勘違いしたようだ。
「ちょっと吃驚したけど、冷静に考えたらこの時期に虫なんて滅多にいないわよね」
落ち着いた羽月は先ほどの動揺を誤魔化すように「ふふっ」と笑った。それを見て安心した俺は、虫というキーワードを聞いて、この間俺の部屋で起きた虫騒動のことを聞いてみた。
「そういえばさ、この間俺の部屋で虫が出たって言ってたじゃん? あれってどんな虫だったのか? 羽月も言ってたけど冬なのに虫なんて珍しいよな」
するといつもは落ち着きのある羽月が目を泳がせて、「えっと、その……」と言い淀んでいる。
「どうした?そんなにデカい虫だったのか?」
「私はあんまり見てないんだけど、光輝くんが虫だって言って退治してくれるまで私はキャーキャー騒いでばかりだったからあんまり知らないんだ」
「そっか、昔から羽月は虫が嫌いだもんな」
「そうなのよ。あっ、それよりさ、月曜日の放課後は優李何してるの? 部活?」
「そうだよ。つか、いつも部活やってるじゃんよ。羽月は塾に行くんだろ?」
「う、うん。そうよね。えぇ、私も塾に行くわよ」
なんか羽月の様子がおかしいな。あのときなんか光輝とあったのかな?
俺は焦ったように話題を変える羽月を見て、ちょっとだけ胸に引っかかるものを感じたのだった。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる