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レベル4.女騎士と女奴隷と日常①
28.女騎士と女奴隷と運転免許(志願編)
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ある日。
「「「ごちそーさま」」」
のどかな昼下がり。
いつものように昼食を済ませた俺らは、食後の後片付けに入る。
俺が洗剤で洗って、クローラがすすいで、リファが拭く。それがいつものやり方だ。
いや、いつものやり方「だった」
そう、過去形。今は違う。どう違うかって言うと……。
まぁ端的に言えば、要員が一人減った。職務放棄した奴が現れたってことだ。
さてさて、それは誰なのか。
手伝いをしなくなったのは、この女~!
苦笑のニューウェーブ、陣内リファ則~!
という冗談はさておき、最近のリファは食器洗いを必ずサボる。
それも昼食時のみ。朝食と夕食の時はきちんとやるもんだから、俺もそう強く責めたりはしてこなかった。
では、一体どうしてそんなピンポイントな時間にだけ仕事をしないのか。
それは、手伝いよりも大事な用事があるからである。食器を拭くなんて作業よりも、よっぽど重要な用事が。
その用事とは何か。
答えはすぐにわかる。彼女を見てればね。
リファは何をしているかと言うと……。
窓を全開にし、ベランダに出て手すりに顎を乗せるようにして外の風景を眺めている。
否、正確には下の道路だ。このアパートに面した、何の変哲もないアスファルトの道路。そこを食い入るようにじーっ、と見つめているのである。
一見、意味不明な行動に思えるだろう。だがまともな理由はある。それは……。
バルルルルルルル……。
「きたっ!」
遠くから聞こえてくる音に、リファはテンションをMAXに上げてそう声高々に言った。
始まったか。と俺とクローラは二人同時にため息を吐いた。
バルルルルルルル!!!!
窓の外から聞こえてくるその音は段々と大きくなり、ついには耳をふさぎたくなるレベルの騒音になった。
正直不快極まりない。近所迷惑そのものであったが、リファだけはウキウキで見物しているのである。
その音の発生源、一台のオートバイの走るさまを。
アクセルをヴォンヴォン回しながら、この閑散とした風景の中を駆け巡っていくその姿を。
大きくなるエンジン音に比例するようにリファのテンションは更に上がっていく。やがて最大級となる家の前を横切る瞬間、それは絶頂に達した。
「わぁぁ! すごいぞー! カッコいいぞー!」
子供みたいに大はしゃぎして飛び跳ねている。恥ずかしいなもう……。
バルルルルルルル……ヴーーン……。
「……ふ~」
あっという間にそのバイクは遠ざかっていき、音も小さくなっていった時、ようやくリファも落ち着きを見せた。
近所の住民だか知らないが、最近になって毎日この時間にこの家の前を通るようになった。
最初はリファも鬱陶しく思っていたのだが、一目そのメタリックなカラーと雄々しいオーラを放つボディを見た途端心を奪われてしまい、今ではすっかり虜になっている。
なので、そのライダーがマシンを颯爽と駆って来る頃を見計らって、彼女自身も全力で待機するのが日課となっていた。
「はぁ~。いいなぁ、キカイの馬……バイク」
リファはうっとりとした声を漏らした。
「何度見ても心が踊る。ワイヤードの馬よりも速いし、嘶きも猛々しいし。何よりカッコいいし! 二人はどう思う?」
早く食器洗い手伝ってくれたらなー、と思う。
と、言ったところで聞きやしないんだから黙っておいた。
「あれを見るたび、昔を思い出す。騎士として、愛馬に拍車をかけて戦場を駆け抜けていったあの頃を!」
「……」
「ある時は迫る敵を踏み潰し、馬上から剣で刃向かう雑魚を切り裂き、そして同じ騎兵とお互い名乗りを上げての壮絶な一騎打ち……くぅ~、今思い返しても滾るなぁ!」
「……」
「まぁ、この世界では争いがないから、そういうことはできないのだけどな。別に平和であるに越したことはないが」
「……」
「それでも、あの時の疾走感は忘れられない。戦わずとも、せめてもう一度大地をあんなふうに思いっきり疾れたら……と思うのだよ」
さて、そろそろくるか。
こいつがあのバイクを見送った後に決まって出るあのセリフが。
チラチラと食器洗いに勤しむこちらの様子を伺いながら、リファはベランダから部屋の中に戻ってきた。
「マスター」
「なんだ」
そして愛想笑いを浮かべながら、騎士らしからぬキモい猫なで声でこう言うのである。
「私もバイク乗りたい」
「ダメ」
速攻で却下した俺に対して、ぷくーっと頬を膨らませて無言で反発するリファ女史。ここまでがいつもの流れ。
あとは向こうが膨れっ面のまま不貞寝するか、軽い言い合いになるかのどっちかだ。
「うぅー。いつになったら許可してくれるのだ……」
「永久にだ」
「だから何で!? 私は元騎士だぞ! 乗馬だって騎士団一の実力を誇っていたというのに」
「何度も言ってる。バイクと馬はぜんぜん違う。お前が馬と同じような乗り方でバイクなんか運転したら、即刻お陀仏だ。もう一度死にたいのかよ」
「……マスターは乗ったことないくせに」
ぼそっと言ったがあいにく全部丸聞こえだ。だからといっていちいち問い詰めるようなことはしないが。
「それにほら、近辺のパトロールとか……偵察のための遠征とか、自宅警備の仕事としても使い道は色々あるし」
家放ったらかしといてなーにが自宅警備だよ、片腹痛いわ。
「うぅーマスター! 頼む、乗りたいんだよぉ~」
そう涙目で訴えるように、リファは俺のシャツの裾を掴んで引っ張ってくる。
ふてくされ、反抗に続いて今度は駄々っ子かよ。いい年こいた大人がみっともない……。
「ダメったらダメ。そんな物騒なもの絶対に買いません!」
「やだやだやだぁ! 乗りたい乗りたい乗りたぁい!」
精神年齢十数歳くらいマイナスされたような言動でリファは泣き喚き始めた。
くっそ面倒くせぇな。いつからこんなワガママになったんだかまったく。
仕方ない、とにかく落ち着いてもらわなきゃ話にならん。その場しのぎになるかもしれないけど……。
俺はとなりでオロオロしているクローラに目配せする。彼女は首肯した後、台所を出て小走りでリビングに向かった。
そして隅っこにおいてある箱からあるものを取り出して戻ってくるや、彼女に見せてあやした。
「ほーら、バイクですよー」
ただし模型の。
ブリキ製で、定価1800円(税込み)。友達と旅行に行った時の記念品として買ったもの。
結構細部まで作り上げられているなかなか完成度の高い逸品だ。
「ほーらリファさん、カッコいいですよー。ぶるるーんって」
「いや、ただの玩具じゃないか……クローラ、お前頭大丈夫か?」
「奴隷だから侮蔑されるのは慣れっこですけど、これほどまでに言われて屈辱と感じたのは初めてですぅ」
そりゃ一番頭の心配しなきゃいけない人間からそんな事言われちゃあね。
模型で気を逸らす作戦はあえなく失敗。
次の一手は……バイクから離れさせてみるか。
「そうだそうだ! なんかテレビでも観ようぜリファ! な!」
「やだぁ! バイクがいい! バイクバイクバイク!」
必死にそう言っても、リファは俺をグーでボカボカ殴りながら喚き続けている。
自宅警備という名目のためにバイクを欲しがり、買ってもらえないと自宅の主に暴力を振るう人の図。字に起こすとひでぇなマジで。
とにかくこのままじゃこっちの身が持たない。俺は腕にしがみつく女騎士を牽引しながらリビングに直行。そこにあるテレビの前に彼女を座らせる。
「まぁそう言うなって、テレビは楽しいぞ」
「バイクに乗るほうが絶対楽しいもん! わあああん!!」
「痛てて、殴るなってば。クローラ、そこのリモコンでテレビつけてくれ!」
「は、はい! かしこまりました!」
エプロンで手を拭きながら、クローラはベッドの上に置いてあったリモコンを手にとって、素早く電源スイッチをオンに。
平日の午後だからニュースとかワイドショーみたいなものしかやってないだろうけど……こいつをバイクから遠ざけられればそれでいい。
で、実際に画面に映った番組はどんなものだったかというと。
『よかったらデートしない、俺と……』
『ほんと!? 嬉しいわ私……』
ただの海外ドラマだった。退屈そうなものでもなさそうだし、ちょうど無難なのに当たったな。これ観てりゃきっと気分も収まるだろ。
リファは未だにぐずっていたが、なんとかさっきよりは落ち着きを取り戻した。問題はこの状態が続くかどうかだけど。
というわけで、三人で仲良くその恋愛モノっぽいそのドラマを視聴することに。
『よし、じゃあ来週の日曜日に!』
『うん、楽しいデートにしましょ!』
どうやらカップルでデートに出かける約束をしてるシーンらしい。ベタだが、たまにはこういうのも悪くないよな。
そして画面がフェードアウトし、『次の日曜日』という字幕が出る。デート当日に場面転換だ。
きっと次のシーンではきっと腕を組んで、公園とかカフェに遊びにいくパターンだろう。
と思ってたのに。
広がる荒野の中に惹かれている一本の道路。
そこで鳴り響く爆音。
ヘルメットとサングラスを装備した二人の男女。
そして……。
『やっぱりツーリングって最高ねリチャード!』
『ああ! バイクでデートも悪くないだろレベッカ!』
「うわあああああああああああ!!!! バイクぅーーーーー!!!」
「なんでだよぉおおおおおおおお!!!!」
なんでさっきから改善策ことごとく裏目に出てんの!? 嫌がらせ? これ神様の嫌がらせ!?
何がバイクでデートも悪くないだよ!? 悪いよ! 主に俺の胃に!! もう穴が空きそうだよ! ていうか既に二、三個空いてるよ! お前らがマシンで走ることで感じるその風は、今俺の腹の中でも吹き抜けてんだよ!
「だぁも、クローラ! 別のチャンネルにしてくれ!」
「……」
「おいクローラ! 聞いてんのか!?」
女奴隷がいつまで経ってもその胃に良くないシーンを垂れ流したままだったので、様子をうかがうと……。
魅入っていた。
頬を赤らめながら、その楽しそうに笑い合う二人のカップル(マシンで爆走中)を。
そしてぼそっと、無意識に小さな声でこう言った。
「……いいな、バイク」
まさかの被害者増産番組。
おいおいおいちょっと待ってちょっと待って。これもしかしなくても状況悪化してんじゃないの? こりゃいかん、覚醒する前に止めなくちゃ。
俺は急いで彼女の持っているリモコンを取り上げようとする。
しかし、ガッチリと掴んだままクローラはそれを離そうとしない。
「二人共楽しそう。私もあんなことやってみたいな……。で、できればご主人様と一緒に……なんて、ゴニョニョ」
「うぐぐぐぐぐぐぐ……」
本人は浮ついた様子にもかかわらず、ものすごい力だ。男の俺が全力を出しても奪えないほど。やばい、早くなんとかしないと手遅れになる!
「ご主人様……」
「な、なんでしょうか」
テレビがCMに移り変わったタイミングで、首だけを動かして俺を見るクローラ。俺はゴクリとつばを飲み下して次の言葉を待った。
彼女はにこっ、と薄気味悪い笑みを浮かべ、言った。
「クローラも、バイク欲しいです」
手 遅 れ で し た 。
○
根負けした俺は二人をちゃぶ台の前に座らせて、家族会議を開始した。
「いいかよく聞けお前ら」
「バイク買ってくれるのか!?」
なぜよく聞けという四文字も認識できないんだ。オメーの知能レベルは馬か、鹿か、つまり馬鹿か。
「バイクに乗りたい。それ自体はまぁいい。だがこの世界では、ただ買えばいいというわけではないんだ」
「? 技術に関してなら私は問題ないぞ」
「クローラも……ちょっと練習すれば乗り方も思い出……いえ、身につくかもしれないですし」
「そうじゃなくて」
二人のあまりの聞き分けの無さに頭痛がしてきた俺は、こめかみを押さえながら説明する。
「この国では、車やバイクを運転するには『免許』っていうものが必要なんだ」
「「めんきょ?」」
「そう。いわばそれに乗ってもいいですよっていう許可証みたいなもの。この世界の法で、それを所持せずに運転することは禁じられている」
異世界人二人は顔を見合わせてキョトンとしていたが、やがて平然とこう返してきた。
「「ならそれを先に買ってください」」
金さえあれば何でもできると思ったら大間違いだ。
「免許は売り物じゃない。自分が運転する資格があるという国からのお墨付きみたいなもんなんだから」
「身分の証明みたいなものなのです?」
「そういうこと。手に入れるには、まぁ色々学んだり試験を受けたりする必要がある」
「一朝一夕には無理ということか……」
ようやく理解したのか、女騎士はしゅんとうなだれた。
「まぁ確かに、ワイヤードではめんきょ、という制度は無かったけど、帝国兵に志願する時に乗馬の試験等はあったからな」
「そういうこと。とりわけこの国の免許ってのは取るのは難しい。しかもお金も時間もかかる。一般人ですらハードルが高いのに、異世界から転生してきたお前らが取るのはまず無理だ」
「……そう、だったのですか。それならば仕方ありませんね」
さすがにこの国の決まりごとには逆らえなかったようで、二人はそれ以上わがままを言うことはなかった。やれやれ、最初からこうやって説明してればよかったよ。
ガタガタ……ゴトン。
と、そこで玄関の郵便受けに何かが放り込まれる音がした。
なんだろう、大学からかな。
「あ、私取ってきますね」
クローラが立ち上がると、いそいそと玄関へ向かっていった。
そして。
「ご主人様ぁ……」
まーた薄気味悪い笑みを浮かべながら戻ってきた。
え? 何? 何? どうしたの?
俺が困惑していると、クローラは笑顔絶やさずに後ろ手に隠した郵便物を俺とリファに見せた。
それは――!
『免許合宿のご案内! 今なら誰でも簡単に、お安く、最短二週間で免許ゲット!』
……Jesus Christ。
このタイミングの悪さ、なんか呪いでもかけられてんですかねボク? 教会行けば解除してもらえる?
「なんと! つまりこれは私達でも楽にめんきょが取得できるという意味か!」
テンションが再び最大値にまで激増したリファは、飛びつくようにその合宿のパンフをクローラから奪い取った。
「どうやらこの近くの場所でやってるらしいですね。最寄りの宿舎に泊まり込みしながらやっていくみたいです」
「ふぉぉぉぉぉ……これは素晴らしい」
二人共和気藹々としてそのパンフの内容を読んでいる。
あーあ。次から次へと逃げ道封じられてくじゃねぇかよ、弱ったなぁ。
普通に学校に通わせるならまだしも、合宿なんて。
まだこの世界に不慣れな人間を、目の届かないところにやるなんて現実的じゃない。そこで何やらかすかわかったもんじゃないからな。
同居人兼保護者として、そんなものは断じて許可する訳にはいかない。
「そ、それでしたら! ご主人様も一緒に行けばよろしいのではないでしょうか!」
「はぁ、何言ってんだお前」
ちなみに、俺も免許は持っていない。
特に車を運転する機会もないだろうし、就活とかで必要になりそうだったら取ればいいか、くらいの気持ちだった。身分証明書だって学生証があるし、正直取る意味あんま感じないんだよねー。
それに、二週間もそんな辺鄙な場所に縛り付けられるなんて俺はゴメンだ。
しかも、
俺が免許取る気がない
↓
合宿に同伴できない
↓
二人だけで行くのは危険
↓
だからお前らも免許はダメ
という理由付けならこいつらをうまく黙らせておけるかもしれないしな。ここは是が非でも首を横に振り続けてやるぜ。
「ん? 何か同封されてるようだぞ?」
すると、そこでリファがパンフレットにホチキスで留められていた白い紙をちぎって俺に手渡してきた。
きっと申込用紙かなにかでしょ、と軽い気持ちで俺はそれを受け取り、内容を確認する。
で、そこに書かれていた文章が以下。
--------------------------------------
・免許合宿ご招待についてのご案内
残暑の候、貴社ますますご隆盛のことと大慶に存じます。
死者処理事務局 転生判定課担当 木村でございます。
転生者二名との暮らしが開始してしばらく経ちますが、同居人様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度ですが転生者の現代文化教育のさらなるステップアップとして、運転免許取得のご案内をさせていただきます。
詳細につきましてはこちらの手紙が付属しているパンフレットを御覧ください。
また、誠に勝手ではございますが、この度は私共の方で既に御三方のエントリーをさせていただきました。
そのため入学手続きは不要となりますので、指定された日時に準備の上、現地へお向かいいただければと思います。
突然のお話で申し訳ありませんが、この世界の車や交通事情を学ぶという意味でも、有意義な経験となることでしょう。
お手数ですが、何卒よろしくおねがいします。
それでは皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
--------------------------------------
……。
…………。
……………………。
「木ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ村ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
呪いの犯人あっさり特定。
久々に連絡飛んできたと思ったらとんでもねぇ案件ブチ込んできやがってこいつ!
今までは単に粗品を送りつけて来るだけだったからまだ良かったものの……こんなクソめんどいイベントに、しかも勝手に申込みまでしてくださるとはねぇ! なんてありがたいんでしょうねぇ!
その親切心のおかげで胃に特大ワームホール開いちゃったわ! そこから溢れ出る怒りでマジで特異点できそうだわ!
もともと行く気なかったけど、これで意地でも行かねぇ決意固まった。是が非でも、ぜーったい行かねぇ。俺はオメーの操り人形じゃねぇーんだよボケ。
たとえどんなことがあろうとも、俺はこんな合宿なんぞに参加する気はサラサラ――
--------------------------------------
追伸
この免許合宿に参加される場合は、補助金として一人あたり十万円を支給いたします。
また、合格された場合は、以下を事務局より贈与いたします。
・祝儀金三十万円(一人あたり)
・お好きな車両一台(車種問わず)
--------------------------------------
……。
…………。
……………………。
しょうがね~~~~~~な~~~~~¥
「「「ごちそーさま」」」
のどかな昼下がり。
いつものように昼食を済ませた俺らは、食後の後片付けに入る。
俺が洗剤で洗って、クローラがすすいで、リファが拭く。それがいつものやり方だ。
いや、いつものやり方「だった」
そう、過去形。今は違う。どう違うかって言うと……。
まぁ端的に言えば、要員が一人減った。職務放棄した奴が現れたってことだ。
さてさて、それは誰なのか。
手伝いをしなくなったのは、この女~!
苦笑のニューウェーブ、陣内リファ則~!
という冗談はさておき、最近のリファは食器洗いを必ずサボる。
それも昼食時のみ。朝食と夕食の時はきちんとやるもんだから、俺もそう強く責めたりはしてこなかった。
では、一体どうしてそんなピンポイントな時間にだけ仕事をしないのか。
それは、手伝いよりも大事な用事があるからである。食器を拭くなんて作業よりも、よっぽど重要な用事が。
その用事とは何か。
答えはすぐにわかる。彼女を見てればね。
リファは何をしているかと言うと……。
窓を全開にし、ベランダに出て手すりに顎を乗せるようにして外の風景を眺めている。
否、正確には下の道路だ。このアパートに面した、何の変哲もないアスファルトの道路。そこを食い入るようにじーっ、と見つめているのである。
一見、意味不明な行動に思えるだろう。だがまともな理由はある。それは……。
バルルルルルルル……。
「きたっ!」
遠くから聞こえてくる音に、リファはテンションをMAXに上げてそう声高々に言った。
始まったか。と俺とクローラは二人同時にため息を吐いた。
バルルルルルルル!!!!
窓の外から聞こえてくるその音は段々と大きくなり、ついには耳をふさぎたくなるレベルの騒音になった。
正直不快極まりない。近所迷惑そのものであったが、リファだけはウキウキで見物しているのである。
その音の発生源、一台のオートバイの走るさまを。
アクセルをヴォンヴォン回しながら、この閑散とした風景の中を駆け巡っていくその姿を。
大きくなるエンジン音に比例するようにリファのテンションは更に上がっていく。やがて最大級となる家の前を横切る瞬間、それは絶頂に達した。
「わぁぁ! すごいぞー! カッコいいぞー!」
子供みたいに大はしゃぎして飛び跳ねている。恥ずかしいなもう……。
バルルルルルルル……ヴーーン……。
「……ふ~」
あっという間にそのバイクは遠ざかっていき、音も小さくなっていった時、ようやくリファも落ち着きを見せた。
近所の住民だか知らないが、最近になって毎日この時間にこの家の前を通るようになった。
最初はリファも鬱陶しく思っていたのだが、一目そのメタリックなカラーと雄々しいオーラを放つボディを見た途端心を奪われてしまい、今ではすっかり虜になっている。
なので、そのライダーがマシンを颯爽と駆って来る頃を見計らって、彼女自身も全力で待機するのが日課となっていた。
「はぁ~。いいなぁ、キカイの馬……バイク」
リファはうっとりとした声を漏らした。
「何度見ても心が踊る。ワイヤードの馬よりも速いし、嘶きも猛々しいし。何よりカッコいいし! 二人はどう思う?」
早く食器洗い手伝ってくれたらなー、と思う。
と、言ったところで聞きやしないんだから黙っておいた。
「あれを見るたび、昔を思い出す。騎士として、愛馬に拍車をかけて戦場を駆け抜けていったあの頃を!」
「……」
「ある時は迫る敵を踏み潰し、馬上から剣で刃向かう雑魚を切り裂き、そして同じ騎兵とお互い名乗りを上げての壮絶な一騎打ち……くぅ~、今思い返しても滾るなぁ!」
「……」
「まぁ、この世界では争いがないから、そういうことはできないのだけどな。別に平和であるに越したことはないが」
「……」
「それでも、あの時の疾走感は忘れられない。戦わずとも、せめてもう一度大地をあんなふうに思いっきり疾れたら……と思うのだよ」
さて、そろそろくるか。
こいつがあのバイクを見送った後に決まって出るあのセリフが。
チラチラと食器洗いに勤しむこちらの様子を伺いながら、リファはベランダから部屋の中に戻ってきた。
「マスター」
「なんだ」
そして愛想笑いを浮かべながら、騎士らしからぬキモい猫なで声でこう言うのである。
「私もバイク乗りたい」
「ダメ」
速攻で却下した俺に対して、ぷくーっと頬を膨らませて無言で反発するリファ女史。ここまでがいつもの流れ。
あとは向こうが膨れっ面のまま不貞寝するか、軽い言い合いになるかのどっちかだ。
「うぅー。いつになったら許可してくれるのだ……」
「永久にだ」
「だから何で!? 私は元騎士だぞ! 乗馬だって騎士団一の実力を誇っていたというのに」
「何度も言ってる。バイクと馬はぜんぜん違う。お前が馬と同じような乗り方でバイクなんか運転したら、即刻お陀仏だ。もう一度死にたいのかよ」
「……マスターは乗ったことないくせに」
ぼそっと言ったがあいにく全部丸聞こえだ。だからといっていちいち問い詰めるようなことはしないが。
「それにほら、近辺のパトロールとか……偵察のための遠征とか、自宅警備の仕事としても使い道は色々あるし」
家放ったらかしといてなーにが自宅警備だよ、片腹痛いわ。
「うぅーマスター! 頼む、乗りたいんだよぉ~」
そう涙目で訴えるように、リファは俺のシャツの裾を掴んで引っ張ってくる。
ふてくされ、反抗に続いて今度は駄々っ子かよ。いい年こいた大人がみっともない……。
「ダメったらダメ。そんな物騒なもの絶対に買いません!」
「やだやだやだぁ! 乗りたい乗りたい乗りたぁい!」
精神年齢十数歳くらいマイナスされたような言動でリファは泣き喚き始めた。
くっそ面倒くせぇな。いつからこんなワガママになったんだかまったく。
仕方ない、とにかく落ち着いてもらわなきゃ話にならん。その場しのぎになるかもしれないけど……。
俺はとなりでオロオロしているクローラに目配せする。彼女は首肯した後、台所を出て小走りでリビングに向かった。
そして隅っこにおいてある箱からあるものを取り出して戻ってくるや、彼女に見せてあやした。
「ほーら、バイクですよー」
ただし模型の。
ブリキ製で、定価1800円(税込み)。友達と旅行に行った時の記念品として買ったもの。
結構細部まで作り上げられているなかなか完成度の高い逸品だ。
「ほーらリファさん、カッコいいですよー。ぶるるーんって」
「いや、ただの玩具じゃないか……クローラ、お前頭大丈夫か?」
「奴隷だから侮蔑されるのは慣れっこですけど、これほどまでに言われて屈辱と感じたのは初めてですぅ」
そりゃ一番頭の心配しなきゃいけない人間からそんな事言われちゃあね。
模型で気を逸らす作戦はあえなく失敗。
次の一手は……バイクから離れさせてみるか。
「そうだそうだ! なんかテレビでも観ようぜリファ! な!」
「やだぁ! バイクがいい! バイクバイクバイク!」
必死にそう言っても、リファは俺をグーでボカボカ殴りながら喚き続けている。
自宅警備という名目のためにバイクを欲しがり、買ってもらえないと自宅の主に暴力を振るう人の図。字に起こすとひでぇなマジで。
とにかくこのままじゃこっちの身が持たない。俺は腕にしがみつく女騎士を牽引しながらリビングに直行。そこにあるテレビの前に彼女を座らせる。
「まぁそう言うなって、テレビは楽しいぞ」
「バイクに乗るほうが絶対楽しいもん! わあああん!!」
「痛てて、殴るなってば。クローラ、そこのリモコンでテレビつけてくれ!」
「は、はい! かしこまりました!」
エプロンで手を拭きながら、クローラはベッドの上に置いてあったリモコンを手にとって、素早く電源スイッチをオンに。
平日の午後だからニュースとかワイドショーみたいなものしかやってないだろうけど……こいつをバイクから遠ざけられればそれでいい。
で、実際に画面に映った番組はどんなものだったかというと。
『よかったらデートしない、俺と……』
『ほんと!? 嬉しいわ私……』
ただの海外ドラマだった。退屈そうなものでもなさそうだし、ちょうど無難なのに当たったな。これ観てりゃきっと気分も収まるだろ。
リファは未だにぐずっていたが、なんとかさっきよりは落ち着きを取り戻した。問題はこの状態が続くかどうかだけど。
というわけで、三人で仲良くその恋愛モノっぽいそのドラマを視聴することに。
『よし、じゃあ来週の日曜日に!』
『うん、楽しいデートにしましょ!』
どうやらカップルでデートに出かける約束をしてるシーンらしい。ベタだが、たまにはこういうのも悪くないよな。
そして画面がフェードアウトし、『次の日曜日』という字幕が出る。デート当日に場面転換だ。
きっと次のシーンではきっと腕を組んで、公園とかカフェに遊びにいくパターンだろう。
と思ってたのに。
広がる荒野の中に惹かれている一本の道路。
そこで鳴り響く爆音。
ヘルメットとサングラスを装備した二人の男女。
そして……。
『やっぱりツーリングって最高ねリチャード!』
『ああ! バイクでデートも悪くないだろレベッカ!』
「うわあああああああああああ!!!! バイクぅーーーーー!!!」
「なんでだよぉおおおおおおおお!!!!」
なんでさっきから改善策ことごとく裏目に出てんの!? 嫌がらせ? これ神様の嫌がらせ!?
何がバイクでデートも悪くないだよ!? 悪いよ! 主に俺の胃に!! もう穴が空きそうだよ! ていうか既に二、三個空いてるよ! お前らがマシンで走ることで感じるその風は、今俺の腹の中でも吹き抜けてんだよ!
「だぁも、クローラ! 別のチャンネルにしてくれ!」
「……」
「おいクローラ! 聞いてんのか!?」
女奴隷がいつまで経ってもその胃に良くないシーンを垂れ流したままだったので、様子をうかがうと……。
魅入っていた。
頬を赤らめながら、その楽しそうに笑い合う二人のカップル(マシンで爆走中)を。
そしてぼそっと、無意識に小さな声でこう言った。
「……いいな、バイク」
まさかの被害者増産番組。
おいおいおいちょっと待ってちょっと待って。これもしかしなくても状況悪化してんじゃないの? こりゃいかん、覚醒する前に止めなくちゃ。
俺は急いで彼女の持っているリモコンを取り上げようとする。
しかし、ガッチリと掴んだままクローラはそれを離そうとしない。
「二人共楽しそう。私もあんなことやってみたいな……。で、できればご主人様と一緒に……なんて、ゴニョニョ」
「うぐぐぐぐぐぐぐ……」
本人は浮ついた様子にもかかわらず、ものすごい力だ。男の俺が全力を出しても奪えないほど。やばい、早くなんとかしないと手遅れになる!
「ご主人様……」
「な、なんでしょうか」
テレビがCMに移り変わったタイミングで、首だけを動かして俺を見るクローラ。俺はゴクリとつばを飲み下して次の言葉を待った。
彼女はにこっ、と薄気味悪い笑みを浮かべ、言った。
「クローラも、バイク欲しいです」
手 遅 れ で し た 。
○
根負けした俺は二人をちゃぶ台の前に座らせて、家族会議を開始した。
「いいかよく聞けお前ら」
「バイク買ってくれるのか!?」
なぜよく聞けという四文字も認識できないんだ。オメーの知能レベルは馬か、鹿か、つまり馬鹿か。
「バイクに乗りたい。それ自体はまぁいい。だがこの世界では、ただ買えばいいというわけではないんだ」
「? 技術に関してなら私は問題ないぞ」
「クローラも……ちょっと練習すれば乗り方も思い出……いえ、身につくかもしれないですし」
「そうじゃなくて」
二人のあまりの聞き分けの無さに頭痛がしてきた俺は、こめかみを押さえながら説明する。
「この国では、車やバイクを運転するには『免許』っていうものが必要なんだ」
「「めんきょ?」」
「そう。いわばそれに乗ってもいいですよっていう許可証みたいなもの。この世界の法で、それを所持せずに運転することは禁じられている」
異世界人二人は顔を見合わせてキョトンとしていたが、やがて平然とこう返してきた。
「「ならそれを先に買ってください」」
金さえあれば何でもできると思ったら大間違いだ。
「免許は売り物じゃない。自分が運転する資格があるという国からのお墨付きみたいなもんなんだから」
「身分の証明みたいなものなのです?」
「そういうこと。手に入れるには、まぁ色々学んだり試験を受けたりする必要がある」
「一朝一夕には無理ということか……」
ようやく理解したのか、女騎士はしゅんとうなだれた。
「まぁ確かに、ワイヤードではめんきょ、という制度は無かったけど、帝国兵に志願する時に乗馬の試験等はあったからな」
「そういうこと。とりわけこの国の免許ってのは取るのは難しい。しかもお金も時間もかかる。一般人ですらハードルが高いのに、異世界から転生してきたお前らが取るのはまず無理だ」
「……そう、だったのですか。それならば仕方ありませんね」
さすがにこの国の決まりごとには逆らえなかったようで、二人はそれ以上わがままを言うことはなかった。やれやれ、最初からこうやって説明してればよかったよ。
ガタガタ……ゴトン。
と、そこで玄関の郵便受けに何かが放り込まれる音がした。
なんだろう、大学からかな。
「あ、私取ってきますね」
クローラが立ち上がると、いそいそと玄関へ向かっていった。
そして。
「ご主人様ぁ……」
まーた薄気味悪い笑みを浮かべながら戻ってきた。
え? 何? 何? どうしたの?
俺が困惑していると、クローラは笑顔絶やさずに後ろ手に隠した郵便物を俺とリファに見せた。
それは――!
『免許合宿のご案内! 今なら誰でも簡単に、お安く、最短二週間で免許ゲット!』
……Jesus Christ。
このタイミングの悪さ、なんか呪いでもかけられてんですかねボク? 教会行けば解除してもらえる?
「なんと! つまりこれは私達でも楽にめんきょが取得できるという意味か!」
テンションが再び最大値にまで激増したリファは、飛びつくようにその合宿のパンフをクローラから奪い取った。
「どうやらこの近くの場所でやってるらしいですね。最寄りの宿舎に泊まり込みしながらやっていくみたいです」
「ふぉぉぉぉぉ……これは素晴らしい」
二人共和気藹々としてそのパンフの内容を読んでいる。
あーあ。次から次へと逃げ道封じられてくじゃねぇかよ、弱ったなぁ。
普通に学校に通わせるならまだしも、合宿なんて。
まだこの世界に不慣れな人間を、目の届かないところにやるなんて現実的じゃない。そこで何やらかすかわかったもんじゃないからな。
同居人兼保護者として、そんなものは断じて許可する訳にはいかない。
「そ、それでしたら! ご主人様も一緒に行けばよろしいのではないでしょうか!」
「はぁ、何言ってんだお前」
ちなみに、俺も免許は持っていない。
特に車を運転する機会もないだろうし、就活とかで必要になりそうだったら取ればいいか、くらいの気持ちだった。身分証明書だって学生証があるし、正直取る意味あんま感じないんだよねー。
それに、二週間もそんな辺鄙な場所に縛り付けられるなんて俺はゴメンだ。
しかも、
俺が免許取る気がない
↓
合宿に同伴できない
↓
二人だけで行くのは危険
↓
だからお前らも免許はダメ
という理由付けならこいつらをうまく黙らせておけるかもしれないしな。ここは是が非でも首を横に振り続けてやるぜ。
「ん? 何か同封されてるようだぞ?」
すると、そこでリファがパンフレットにホチキスで留められていた白い紙をちぎって俺に手渡してきた。
きっと申込用紙かなにかでしょ、と軽い気持ちで俺はそれを受け取り、内容を確認する。
で、そこに書かれていた文章が以下。
--------------------------------------
・免許合宿ご招待についてのご案内
残暑の候、貴社ますますご隆盛のことと大慶に存じます。
死者処理事務局 転生判定課担当 木村でございます。
転生者二名との暮らしが開始してしばらく経ちますが、同居人様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度ですが転生者の現代文化教育のさらなるステップアップとして、運転免許取得のご案内をさせていただきます。
詳細につきましてはこちらの手紙が付属しているパンフレットを御覧ください。
また、誠に勝手ではございますが、この度は私共の方で既に御三方のエントリーをさせていただきました。
そのため入学手続きは不要となりますので、指定された日時に準備の上、現地へお向かいいただければと思います。
突然のお話で申し訳ありませんが、この世界の車や交通事情を学ぶという意味でも、有意義な経験となることでしょう。
お手数ですが、何卒よろしくおねがいします。
それでは皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
--------------------------------------
……。
…………。
……………………。
「木ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ村ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
呪いの犯人あっさり特定。
久々に連絡飛んできたと思ったらとんでもねぇ案件ブチ込んできやがってこいつ!
今までは単に粗品を送りつけて来るだけだったからまだ良かったものの……こんなクソめんどいイベントに、しかも勝手に申込みまでしてくださるとはねぇ! なんてありがたいんでしょうねぇ!
その親切心のおかげで胃に特大ワームホール開いちゃったわ! そこから溢れ出る怒りでマジで特異点できそうだわ!
もともと行く気なかったけど、これで意地でも行かねぇ決意固まった。是が非でも、ぜーったい行かねぇ。俺はオメーの操り人形じゃねぇーんだよボケ。
たとえどんなことがあろうとも、俺はこんな合宿なんぞに参加する気はサラサラ――
--------------------------------------
追伸
この免許合宿に参加される場合は、補助金として一人あたり十万円を支給いたします。
また、合格された場合は、以下を事務局より贈与いたします。
・祝儀金三十万円(一人あたり)
・お好きな車両一台(車種問わず)
--------------------------------------
……。
…………。
……………………。
しょうがね~~~~~~な~~~~~¥
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