女子高校生は不良(バカ)が悶絶するまで肝臓を殴るのをやめない

未定

文字の大きさ
上 下
6 / 10

部長 後半

しおりを挟む
 相手のフックを腰を落としてダッキングかわし左ボディを入れるが、相当鍛えているらしく効いているようには見えない。
 でも、そんなの関係ない。
 あたしは、シューティングゲームの様に相手の弾をかわして、自分の弾を当てるだけっ。
 あ! ゲームに例えられてもわからない? ごめんねっ♪
 部長はあたしがパンチをかわしながらもジャブをこつこつ当ててくるのを嫌がり後退した。
 部長、明らかに嫌がっているよね?

――この機は逃さないっ!

 あたしは、ディフェンスを怠ることなく、頭を左右に揺らしながら前進する。
 相手のジャブやストレートを頭を逸らしてかわしながらもジャブとストレートのコンビネーションを放つ。
 相手は攻撃を受けながらもフックを放ってくるが。当然それもダッキングでかわして、ボディを打つと見せかけアッパー。
 いいのが何発も入っているが、それでも倒れない。

――打たれ強いな……いや、あたしのパンチ力の問題か……

 あたしは打ち続けたが、部長はガードをがっちり固めて守る。
 打たれ強さもあって、攻めあぐねていると部長の反撃のフックが来た。

――しまったっ!

 かわしきれずに被弾する。
 かすった程度でも衝撃は強く、グラつきながらも、大きくバックステップを踏んだ。
 相手が追撃してくる。
 危うい状況だが、これは最大の好機でもあった。
 相手の動きが非常に雑で、冷静さを失っているのが見てとれるからだ。
 あたしを初めてグラつかせたという状況に、我を忘れている。
 あたしは落ち着いて、相手の大ぶりの右フックを膝を曲げ腰を落としてかわすと同時に体を最大限に右にひねる。
 そして、起き上がると同時にひねった体を戻し、裏拳気味のジャブを額に入れ、さらに右ストレートを顎に叩き込んだ。
 もろに食らった部長は大の字に倒れる。

「はあ……はあ……」

――あぶなかった。
  でも、偶然とはいえ今の一連の動作、かなり良かった気がする。

 とはいえ、あたしは紙一重の状況に少しだけひやりとした。
 部長は倒れていたが、直ぐに起き上がり、ファイティングポーズをとる。

――ホント、打たれ強い……

 今までのスパーリングはダウンした時点で終わりになったけど……

「まさか、ダウン取っから終わりとか言うんじゃねえだろうな?
 フリーノックダウン制だろ?」

 部長が挑発してくる。
 とはいえ、あたしも12R制を飲ませたわけだし、ここは飲むほかない。

「いいよ」

「そうこなくっちゃ」

 部長が不敵に笑った。
 あたしの見たてでは、あたしのスタミナの消耗も激しいが、部長はもっとだろう。
 直ぐに立ったとはいえ、いいのをアゴに受けてダウンもしている、空を切らせながら肝臓も沢山打った。
 消耗していないわけがない。
 それでも自信に満ちたギラついた視線をあたしに向けてくる。
 あたしはその自信に心当たりがあった。

――次の交差で決着がつくわね。

 再び部長が勢いよく前進してくる。
 あたしは構えをとって、相手を凝視。
 あたしの読み通り、部長はあたしの左足を踏んでくる、バックステップさせないために――
 バンっと大きな音が鳴ったっ!
 あたしは放ってくるストレートを避けるため迷わず頭を前につき出し、その額は部長の顎にぶつかったのだ。
 ヘッドギアがあるとはいえ、重くて堅い衝撃を受けて、部長が崩れ落ちた。
 無論わざと。師匠は、反則はされてもしてはいけないがモットーだが、あたしは違う。
 いや、流石に公式の試合じゃ、あたしもやらないけど……多分。
 しかし、強い衝撃、あたしの貴重な脳細胞が……
 あたしはアゴを抑えてうずくまる部長に対して、両手で顔をこちらに向かせると顔を近づけ恫喝した。

「反則をするなら、こっちもするからねっ!」

 師匠はスポーツマンシップを大事にする人で、それはとても立派な事だと思う。
 でも、反則で味をしめた奴は、そんなスポーツマンシップを鼻で笑って、今後もずっと反則を続けるだろう。
 そんな奴に、少しでも反則された時の痛みや悔しさをわからせてやりたいと思う。
 勿論、そんなんで、そいつが改めるかどうかなんて、人生経験の少ない、あたしにはわかんないけど。

――ごめん師匠、あたしは、反則されて黙っていられるほど大人じゃない。

 やられたらやり返す。
 やり返されて、初めて反則はやってはいけない事だと実感してくれる人がいると信じて。
 あたしが立ち上がると場は静まりかえっていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

乙男女じぇねれーしょん

ムラハチ
青春
 見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。 小説家になろうは現在休止中。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

彗星と遭う

皆川大輔
青春
【✨青春カテゴリ最高4位✨】 中学野球世界大会で〝世界一〟という称号を手にした。 その時、投手だった空野彗は中学生ながら152キロを記録し、怪物と呼ばれた。 その時、捕手だった武山一星は全試合でマスクを被ってリードを、打っては四番とマルチの才能を発揮し、天才と呼ばれた。 突出した実力を持っていながら世界一という実績をも手に入れた二人は、瞬く間にお茶の間を賑わせる存在となった。 もちろん、新しいスターを常に欲している強豪校がその卵たる二人を放っておく訳もなく。 二人の元には、多数の高校からオファーが届いた――しかし二人が選んだのは、地元埼玉の県立高校、彩星高校だった。 部員数は70名弱だが、その実は三年連続一回戦負けの弱小校一歩手前な崖っぷち中堅高校。 怪物は、ある困難を乗り越えるためにその高校へ。 天才は、ある理由で野球を諦めるためにその高校へ入学した。 各々の別の意思を持って選んだ高校で、本来会うはずのなかった運命が交差する。 衝突もしながら協力もし、共に高校野球の頂へ挑む二人。 圧倒的な実績と衝撃的な結果で、二人は〝彗星バッテリー〟と呼ばれるようになり、高校野球だけではなく野球界を賑わせることとなる。 彗星――怪しげな尾と共に現れるそれは、ある人には願いを叶える吉兆となり、ある人には夢を奪う凶兆となる。 この物語は、そんな彗星と呼ばれた二人の少年と、人を惑わす光と遭ってしまった人達の物語。        ☆ 第一部表紙絵制作者様→紫苑*Shion様《https://pixiv.net/users/43889070》 第二部表紙絵制作者様→和輝こころ様《https://twitter.com/honeybanana1》 第三部表紙絵制作者様→NYAZU様《https://skima.jp/profile?id=156412》 登場人物集です→https://jiechuandazhu.webnode.jp/%e5%bd%97%e6%98%9f%e3%81%a8%e9%81%ad%e3%81%86%e3%80%90%e7%99%bb%e5%a0%b4%e4%ba%ba%e7%89%a9%e3%80%91/

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

処理中です...