暴君王子は恋を知る

まぁ

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 スマホに保存していた画像を店員に見せると、店員はニコニコしながらアンリに商品の場所などを教えた。
「お兄さんの探しているものはこれね」
「そ、そうだ!」
「でもこれだけだと味気ないわね」
「えっ?」
 目当ての商品を手にしたアンリだが、店員の言う味気ないとはどういう事だ。しかいよく考えればこのお店はゲイ向けのアダルトショップだ。ここに入店している時点で何を臆する事があるのだろう。意を決したアンリは店員に相談する事にした。
「こ、こういうのは初めてで……どうやったら相手を喜ばせられるかわからない。教えてくれないか?」
 恥ずかし気に話すアンリを見た店員は「何このかわいい生き物!」と叫びむぎゅっとアンリに抱き着いた。やたら香水と男の臭いがする店員にアンリはジタバタと暴れた。
「は、離せ!」
「あらごめんなさい。でもあなたの初心な反応がついついかわいくてね。まぁいいわ。この愛の伝道師悦子さんがいろいろ教えてあげる!」
「よ、よろしく頼む!」
 自称愛の伝道師悦子は、いろいろとアンリに伝授すると共に、ちゃっかりグッズは売りさばいていたが、言われるがままのアンリはそれらを全て購入した。
「いつでもいいからまた遊びに来てねぇ」
 すっかり優良客になったアンリだが、手さげ袋いっぱいのそれら商品を手に気分はルンルンだ。これを持って二度目エッチにこぎつけようと頑張る。


「よし!準備は万端だ!」
 和史よりも早く帰宅したアンリは、悦子の店で購入した衣装を身にまとって和史を待ち構える事にした。言葉にするには恥ずかしいけど、こういう態度で示せばわかってくれるだろう。なんだかんだとアンリは必至だったのだ。
 しばらくすると部屋の鍵が開く音が聞こえた。
(来た!)
 これで和史をメロメロにしてやろう。そう思って玄関まで出迎えに行ったアンリ。だがそこに現れたのは和史ではなかった。
「アンリ様。お昼に手配していた資料ですが渡すのを忘れてい……て……」
 やって来たのはウィードだ。だがウィードはアンリのその姿を見て固まった。それはアンリもまた一緒だった。
「ど、どうしてお前がここに!」
「私は資料をお届けに。鍵はSPからお借りして、と言うよりもその恰好は一体何ですか?」
「う、うるさい!資料を置いてさっさと帰れ!」
「出来ません!どうしてそんな恰好を……まさか、あの男を出迎える為ですか?」
「ち、違……」
 この状況をどうしたらいいのかわからなくなったアンリは、とりあえず着替えようとウィードに背を向けた。だがアンリの背中を見てウィードはドキリとした。背中と言うよりはその下の臀部。アンリが今来ているのはフリルの付いた白のエプロンだけで、後ろを向けば完全に裸だ。
「アンリ様……その衣装であの男と何をしようと……」
「はぁ?だから和史は関係な……」
 状況を理解出来たアンリは、再びウィードの方を向いた。まさかこの衣装だけでなく後ろ姿までウィードに見られるとは思いもしなかった。恥ずかしくてこの場から逃げ出したいくらいだ。だがそんなアンリとは違い、ウィードの様子がおかしい。
「い、いいから出ていけ!」
「ダメです。アンリ様。昼間の会話覚えてますか?相手を満足させる為にセックスの練習をしてみてはどうかというのを」
「な、だから何だ……」
「今それをやってみましょうか」
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