モブ止まりの私がヒロインになる?

まぁ

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一難去って?

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「僕は佐和子さんとだったらうまくやっていく自信もありますし、年齢とかそういうのは関係なく、二人が納得した時に結婚出来たらいいなとは思う」
 加納の言葉に出会って初めて男らしいと思った。感動していたら良子から質問が飛んだ。
「佐和子さんはいかがですか?」
「私も俊也君と一緒です。たしかに私自身の年齢についてはいろいろありますが、急いでも仕方ないです。お互いその気になったらとは思います」
 これが正直な答えだ。焦っても、勢いでいっても仕方ない。佐和子自身ようやく前向きに捉えられるようになってきたのだ。その結論はすぐには出せない。
「成程。わかりました。確かに急いでも仕方ないですね。私は二人の気持ちを尊重させましょう」
「ふむ。私も異論はない」
 良子の反応に源蔵もまた答える。これは認めてくれるでいいのだろうか?若干謎な部分はあるが、この二人から了承を得たという事でいいだろう。
「ただし俊也は家に顔を出しなさい。お兄さん達も心配しています」
「わかりました……」
 若干戸惑ったような加納の反応。まさかまだ複雑な何かが隠されているのか。
「それから佐和子さんも、家に遊びに来て下さいね。お義姉さん達から料理などを教わるといいわ」
 今さらりと花嫁修業のフラグが立ったのではないかと、佐和子は表情を引きつらせた。


 なんとか加納両親との食事を終えた佐和子はぐったりしていた。だが同時に加納もぐったりしている。
「緊張しましたね」
「うん。さりげなく花嫁修業言われてるし。たか俊也君にとっては自分の両親でしょ?なんでそんなに緊張してるの?」
「あぁ……別に不仲とかじゃないんですけど、おそらく両親といた時期ってのが多いわけではないからかもしれません」
 どういう事だ?と頭を悩ませたが、立ち話もなんだしと、遅くまでやっているカフェに足を踏み入れた。
「僕、中高一貫の寮付き男子校だったんですよ。多感な時期に親元離れてたので、どう対応していいかわからなくなって……」
「な、成程。さすがお坊ちゃん」
「休みとかも寮から祖父母の家が近いのもあって、そっちに帰っていて両親に会うのも一年に数回とかになっちゃいました」
 自業自得だと言った加納。確かに年数回しか両親に会わなければどこか他人のような感覚があるのだろう。
「それもあってか会うたびに両親もですが兄もやたらと僕に構い倒して……兄は学生時代に寮や大学までやって来る始末で……」
 どうやら躊躇する理由はそこにもあったようだ。つまり加納兄は弟不在の影響からかなりのブラコンに変貌を遂げているらしい。
「一応結婚はしてます。けどお義姉さんにもやたら僕の話ばかりするからどうにかしてほしいと言われて」
 その言葉を聞いてもう一つの疑念が浮かぶ。もし結婚するとなったら時、兄はどんな反応をするのだろうか。両親ですらテンプレ通りの展開を見せた。そうなれば兄は……
「なんだか寒気がしてきた……」
「えっ?」
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