モブ止まりの私がヒロインになる?

まぁ

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リアルな話

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 遊び人佐藤と居酒屋を後にし、佐藤はそのまま次の店に行こうとしていたが、加納は辞退して帰宅する事にした。
「結婚かぁ……」
 まだ付き合ってそう時期も経ってはいない。そこまでの話を考えたこともなかった。別に遊びたい、経済的にもまだという理由ではなく、純粋に今を楽しみたいと思っていた。
 付き合い続けていずれは……とはなるのかもしれないが、佐藤の言っていたアラサー女子の焦りも一理あるなとも思った。
 今時結婚していない人もいる中で、佐和子はどう思っているのか。そんな事を考えていると少しは結婚というものに意識が向いた気もした。


 その考えが頭の隅にある中で佐和子が加納の家にやって来た。
「今日は暑いから冷やしうどんって、簡単だけどよかったの?」
 事前に夕食のリクエストを聞き、加納は家事の負担も少ないようなメニューを指定してきた。
「はい!佐和子さんも疲れてるのに凝ったもの頼めないです」
「まぁ、凝った内容にはよるけど、そんな気にしなくてもいいのに」
「コロッケとか角煮って言ってもよかったんですか?」
「うん。その辺は休日料理だね」
 こうして互いの家に行く事も、佐和子の手料理を食べる事も出来るようになった。意外にも佐和子は様々な料理が作れた。本人曰く年の功らしいが、実家を離れて久しい加納の胃には、家庭料理の味がしみじみとする。
(こういう時が結婚したいって思う時なのかな) 
 案外男の心など弱い物だ。胃袋を掴まれたら本当に最後だなと思った。そんな事を考えていると、佐和子は飲みかけのビールをテーブルに置いた。
「あ、あのさ。私からこんなこと言うと急かしてる風で嫌なんだけど……」
「な、何ですか?改まって」
「ほら、私ってなんだかんだいい歳してるでしょ?どうしても体の事とか将来の事を考えてはっきりしておきたいの。別にこれでダメだから別れるとかじゃなく……」
「さ、佐和子さん!別れるってなんですか!」
「だからね。俊也君は結婚の事とか考えてるのかなぁって?年上女子が言うとすごく急かしてる感あるよね」
 どうやら考えている事は一緒なのかもしれない。佐和子は佐和子で年齢的な限界を訴えているが、ここは佐藤の言っていた通りだと思った。
「僕は正直このまま続くなら結婚もありかなって思ってます」
「ま、まぁ普通そうだよね」
「けどリアルな話、女性にはそれなりの現実があるって事なんですよね」
 コクリとうなずいた佐和子。どうしても年齢と共にネックとなるのが妊娠出産。よく言われる三十五、六をピークにというのは何も女性だけでないが、初出産ならばいろいろと負担があると言う。
 そこまで考えた事もなかったが、やはり年上の女性とお付き合いするとこういあ話は必ずぶち当たるのだと加納は納得する。
「佐和子さん自身はどうなんですか?僕と結婚したいですか?」
「私は……」
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