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恋愛ってどうやるんだ?

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 LINE交換をし、その日はそのままお店で別れた佐和子は、帰りにコンビニに寄ってビールを買う。
 家に帰ってラフな格好になった自分の姿を鏡で見た。顔は特別可愛かったり美人でもない。おそらくブスでもない。何処にでもいる顔。首は短く足も短い。胸もない。三十越えた辺りからやってきた重量との戦い。
 それはもちろん既婚、出産した同世代の女性よりは苦労がない分見た目は若いかもしれない。だが若い子から見れば十分おばさんで、どこにでもいる、所謂モブという存在だろう。
「こんなのの何処がいいんだろ?」
 じっと自分を見ていると、「あっ!」となった。よく見ると白く輝く髪が一本。老化は始まってるのだ。そんな自分がいいと言った加納はチャレンジャーか?それともゲテモノ好きなのかと疑ってしまう。
「年下は年下でも、離れすぎると何を考えてるのかわからない。それに何話せばいいんだ?」
 共通の話題とは何か?仕事……はこの際置いておいたとしても、音楽や遊びの趣味が合うとも思えない。見た目アウトドアタイプだが、佐和子はインドア派だ。
「あー!お付き合いって結局何するんだ?デート?デートするってめんどくさいよ!」
 いっぱしのおしゃれをして出かけるという行為。正直いつ以来なのか不明すぎて忘れている。
「アラサー女子は特に着る服悩むっていうのにぃ……」
 電子だろうが冊子だろうが、ファッション誌を見て研究そのものが億劫に感じるほど枯れ果てているのだと実感した。
「人って人生にモテ期が三回あるっていうけど……もしかして今がその時?」
 元々積極的な方ではないので、女子は女子でも恋愛したりおしゃれ界隈で楽しむという事に興味はあまりなかった。
 モテ期自体も来たのか来てないのかすらわからない。過去の恋愛遍歴も、なんとなくや友達の紹介、あっ、好きかも?で告白して付き合う感じだった。
 加納のように積極的なアプローチをしてくる者は初めてだ。
「こういうのは慣れない奴より慣れた奴に聞くが早い!」
 早速二ヶ月ぶりくらいに親友にLINEを送ろうとした。すると加納から「今日は楽しかったです」「これからよろしくお願いします」「次はいつ時間ありますか?」といった具合に立て続けにメッセージが届いていた。
「一つにまとめなよ!」
 見えない相手にツッコミつつ、「今日はありがとうございました。また連絡します」と打つと、「わかりました」「連絡待ってます」「おやすみなさい」と即レスと可愛らしいgoodnightというスタンプが付けられていた。
「早い……」
 既読スルー当たり前すぎてこの早さについていけない。そもそも男性は返事遅いと言われてなかっただろうかと考えた。
「若い子が早いだけ?それとも私があまりにも返信遅いとか?」
 若いは宇宙人だと思った佐和子は、早速親友にヘルプメッセージを送った。
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